皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
斎藤警部さん |
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平均点: 6.69点 | 書評数: 1357件 |
No.237 | 5点 | 動く密室―洋上トリックの謎- 斎藤栄 | 2015/08/11 21:05 |
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結末はふぅ~んてなもんだけど、読んでる間はまず面白かったっすよ。
古いし、緩いけど、それなりのスケール感はあり。 |
No.236 | 4点 | 倒錯のロンド- 折原一 | 2015/08/11 20:44 |
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最後、そこまでナニを連発されたら滑っちゃうばかりよ醒めるよ詰まらんよ。
そこまでは結構愉しく読んでたんだ。 現実世界の「乱歩賞獲り」を取り込んでいるのは面白いと思います。 乱歩自身が「陰獣」で試みた悪戯をうっすらと連想させるってなイメージ重層具合で。 |
No.235 | 5点 | 最終電車を待つ女- 小林久三 | 2015/08/11 16:38 |
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野暮ったい佐野洋、と言った趣だが、決して悪くはない。 が、いかんせん浅いね。「暗黒告知」との落差というか相違は大きい。ま量産期の文庫オリジナルですしね。
再読を唆るわけでなし、読み捨てに最適などと言ってしまいたくなるが、面白い事は面白い。 昭和末期の緩い短篇推理が好きな方に。。 お薦めは敢えてしませんw 個人的には、哀愁の昭和シティ歌謡「最終電車に乗る女(水沢夕子)」の方が好きだ。 その唄のイメージでなんとなく流され読みしちまったかな。 妻の過去 /耳の悪魔 /霧のなかの女 /犬を連れた貴婦人 /最終電車を待つ女 /太陽の墓場 (ケイブンシャ文庫) うん、どれも見事に内容憶えてない。 |
No.234 | 5点 | 四日間の奇蹟- 朝倉卓弥 | 2015/08/11 16:09 |
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面白く読めたけど、エンディングに感動も驚きもなかったね!
むしろ物語途上の清冽な雰囲気こそ記憶に残っている。 このミス大賞なのにミステリ要素が極薄なのには驚き。別にそれはいい。 |
No.233 | 6点 | 白い兎が逃げる- 有栖川有栖 | 2015/08/11 16:00 |
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このアリスさんは良かった。 表題作、女優さんの造形も魅力的、企画の鮮やかなアリバイ崩し、わくわくして読めました。 「地下室の処刑」における「毒殺の理由」と、それが看破されるきっかけ、唸らせるね。 |
No.232 | 4点 | 中途の家- エラリイ・クイーン | 2015/08/11 13:11 |
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世評も良く、かなりの期待を載せて読んでみたら、好みに合わず。
ただ、よく出来たA級推理小説ではあるように思えます。 |
No.231 | 8点 | 靴に棲む老婆- エラリイ・クイーン | 2015/08/11 13:05 |
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こんな家には住みたかないが、外から観るならメルヘンチックでカラフルでミステリ興味も充分のキュートな「館」もの。 もう相当な昔になるけど、読んでいて本当に愉しかったなあ。 エラリーさんの本も、ロジックで来るだけでなく舞台装置に妙な一癖かませてくれると相乗効果で本当に魅力的だ。
あんまり面白いんで母親にも薦めたら「そういう(ガーイキーチーのいっぱい出て来る)話は(気分的に)好きじゃない」と断られたんだ。懐かしいなあ。 |
No.230 | 7点 | 人それを情死と呼ぶ- 鮎川哲也 | 2015/08/10 19:01 |
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(ちょぃとネタバレ)
物語の半ば頃、犯人がどの方向にいる人物かふと勘付き、目の前の光景がグイーンと90度ずれる様なシビレる感覚を得ました。(180度の感覚じゃない所がニクい) 露骨に社会派ミステリへの果し状の様な結末の反転ぶりですが、松本清張の短篇にもこの様な騙しの一篇が有った様な、無かった様な。。 多くの方が言及される通り、ラストシーンが美しく印象的ですね。 私には二冊目の鮎川長篇でした。この辺から氏がだんだん特別な存在になりつつありました。 |
No.229 | 7点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2015/08/10 18:35 |
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ご他聞に漏れず、先に犯人と言うか仕掛けを知ってから読みましたが、物語が終盤に及ぶに連れ、仕掛けを知っているからこそのスリルがじりじりと突き上げて来、ポアロが眞犯人を追及する件(くだり)では本当に手に汗握るどころが汗かき過ぎで滑っちゃって握れもしない程でした。 逆に、もし仕掛けを知らずに読んだら(個人的にですが「幻の女」の場合のように)あのポワロによる眞犯人追い詰めのシーンの途中で「まさか!」と勘付いて急性のスリルに一気に襲われたのだと思います。 結末以外の部分がどうにも凡庸に感じられただけに、仕掛けを知ってしまってから読んで意外と正解だったかという気もしますなあ。
ところで、初読時全く気付かなかったのが、クリスティ再読さんご指摘の「死亡推定時刻」の件です。 (ここからはっきりネタバレ) 眞犯人が死亡推定時刻を決める医師であり、尚且つ物語の語り手でもあるという事は、当時まったく見過ごしていましたが、実は私が常々求めて止まない「悪魔的アリバイトリック」にかなり際どい所まで迫った怖るべき作品だったのではないか、と思われてなりません。 こりゃ再読しろという神のお告げでしょうか。 |
No.228 | 7点 | いつまでもショパン- 中山七里 | 2015/08/10 17:55 |
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冒頭に、政府専用機に乗ったポーランド国大統領が同乗の妻や高官達もろとも謀殺されるシーン。
ポーランド軍派遣に対するイスラム過激派報復と目されるテロが連発するワルシャワ市内で、通常通りショパン・コンクールが敢行される。 “ピアニスト”と当局に呼ばれるテロリスト(眞犯人)の正体は果たして誰。。 "ピアニスト"を追い詰めたと見える若い警官の屍体がコンクール会場内で見つかったが。。と言うお話。 例によって音楽と演奏の描写が怖ろしくヴィヴィッド&リアリスティック。 私は歓迎ですが、くどいと思う人も結構いると思います。 “ピアニスト”の独白や、”ピアニスト”と警官との面会シーン(警官はこいつが眞犯人と分かった上で会っている)を挟んだり、後半から対ゲリラ戦争の現場が意味ありげに挿入されたり、その構成の妙にはかなり引きずられました。 重要登場人物の一人が途中からあからさまに怪しい行動を取る。という事は。。と睨んだ「意外な人物」が果たして眞犯人でした。。 ただね、その動機というか動機を中心に据えた上での犯人像がですね、人間ドラマとしてなら確かに重い感慨を抱かせる類でしょうけど、ず~~っと謎で引っ張って来た推理小説の結末としては深みも重みも感じません。悪く唐突。 とは言え、ほとんど最後までとても愉しく読ませてもらいました。 そうそう、途中ちょっと迷ったんですよね、まさかあのピアニストが”ピアニスト”では。。と疑ってしまったピアニストが二名ほど(今思うともう一人疑えたな)。 そんな暗黒小説じゃなくて良かった、とは思わなくもない。 それは、この小説が一定の希望を含んで終わるきらきらと美しい物語であるせいもあろう。(但し最後の「戦場の奇蹟」はちょっとやり過ぎの感あり。) |
No.227 | 7点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2015/08/09 00:31 |
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薄気味の悪い、歴史が蠢く物々しい筆致が読ませます。
「巨人の家」の心理的物理トリックには頭の血がサーッと引く感動を覚えますが、最後に明かされる「横浜の家」の物理的物理トリックは、、突然のアホアホ大団円を迎えられても困ります。 |
No.226 | 8点 | 眩暈- 島田荘司 | 2015/08/09 00:14 |
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冒頭から謎の巨大エネルギーに呑み込まれました。島田荘司ミステリならではの壮大なトリックに貫かれた、ただ謎とその解決にのみ捧げられる大河物語。
「手記」に、ある種の悪魔的アリバイトリックめいた秘密が隠されていた事には全く気付きませんでした。 手記内容の異様さも然ることながら、異様なマンションの構造、光景も記憶に残るなあ。。 読後振りかえれば、全ては謎とその解決の為に建築され破壊された幻の楼閣がそこに。 眩暈無しにはとても立ち去る事が出来ません。。 |
No.225 | 7点 | 帽子収集狂事件- ジョン・ディクスン・カー | 2015/08/08 23:30 |
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中学の頃サーッと読んでみて意味が分からず(どこがどう不可能犯罪なの?)高校の時に再読し、ははんなるほどとひとまず納得。 今思うと、アリバイトリックにフーダニットを絡ませたトリッキーな鮎川作品めいているような。そう思うと犯人の可哀想な境遇も鮎川風に見えて来る。 |
No.224 | 8点 | 猫と鼠の殺人- ジョン・ディクスン・カー | 2015/08/08 23:07 |
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結末の意外性に圧倒された想い出の作品です。 色々と「まさかね。。」って。 「電話」の件が印象深い。 |
No.223 | 6点 | 聯愁殺- 西澤保彦 | 2015/08/07 22:36 |
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愉しい愉しい多重解決物語。。で終わるわきゃ無いよねえ、と思ってたら、そういう事だったんですか! aさんの動機はだいたいそういう事ですねとまず納得、ところがbさんの動機は。。 珍しい連続殺人動機として珍重しますが、そこまでするほど頭のぶっちぎれた人には見えないんですが、bさん。。 しかしこの構成の妙は、一連の事件の真相と合わせて後からじわじわ来ますね。
「これらの名前の共通点に気づきませんか?」 には笑ったなあ。 揃いも揃って超の付く珍姓さんばかり、に決まってんだろ! って突っ込みたくなった。 |
No.222 | 7点 | 回廊亭の殺人- 東野圭吾 | 2015/08/07 12:54 |
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莫大な遺産相続、偽装心中、火傷の痕、顔面整形、、犯人はきっとこいつだ、真相はアレだな、と早々に目星を付け結末を想像しながらジリジリわくわく読み進めて行くと、、最後に!! 流石の東野圭吾。
しかし、その結末がそれまでのサスペンスのエネルギーを抱きとめきれなかったのか、若干の「意外な肩透かし」を感じた。 |
No.221 | 8点 | むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 | 2015/08/07 12:44 |
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清冽な、おいしい水を少しずつ呑むように読みました。
東野作品の中でも特に美しい記憶に留まっている一作。 |
No.220 | 7点 | 完全犯罪―他8編 - 小栗虫太郎 | 2015/08/04 11:53 |
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読了に三十一年も掛かった『黒死館』の読書途上(実際は十五年以上に渡る長い長い中断期だったか?)に、たしかベトナムで読んだ短編集。 いかにも一風奇妙な設定の物語ばかり並ぶが、かの長篇に比すればこちらは格段に読み易い。とは言え標準の探偵小説に較べれば文章咀嚼に手間が掛かる事は確かで、しかしそれもまた彼の作品の厄介な魅力。
完全犯罪 /W・B会綺譚 /夢殿殺人事件 /コント・A /聖アレキセイ寺院 /コント・B /後光殺人事件 /寿命帳 /失楽園殺人事件 (春陽文庫) |
No.219 | 9点 | 黒死館殺人事件- 小栗虫太郎 | 2015/08/04 06:57 |
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雰囲気が最高。 連続殺人劇の舞台としてこれ以上の何物かが創造され得ましょうや。
作者の撒き散らす碩学の破片達は存外誤りも夥しいとの巻末解説こそ最大のドンデン返したる趣もありましたが、それでもこの容赦無い衒学ぶりこそ創出し得た『黒死館』の内外を漂う空気、邪気、妖気をおそるおそる吸う行為こそは我が生涯忘れ得ぬ戦慄の間接経験に他なりません。 これだけ物々しい推理小説ですから、世にもとんでもなくおぞましい犯人設定を作者は企んだに違いない、と勝手に想像していたもので、、、実際の眞犯人を知ってみるに思いの他おとなしい着地点だったかなと思わなくはなし。 そういう意味でも「イニシエーション・ラヴ」とは究極の正反対に位置する作品w。 さて評者は数ヶ月前この本を約三十一年も掛けてやっと読破しました。 どちらかと言うと速読み派の評者としては異例中の異例と言うに他無い時間の掛かり具合で(極めて雑な概算ですが「イニシエーション・ラヴ」の約三万二千分の一のスピードで読んだ事になる)、この特殊な読書行為こそ自分にとって究極の叙述トリックであり究極のアリバイトリックではなかったか、と思わなくも無いと言った次第であります。(読者が犯人、というのに一脈通じるかも知れん) |
No.218 | 9点 | トレント最後の事件- E・C・ベントリー | 2015/08/04 06:31 |
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とても若い時節に読み、「こ、これは特別な傑作推理小説だ!」と感服したものです。
どうしてそう思ったのかは、再読してみないと正確には分からないが。。結末の反転に、それ迄の読書経験に無い異様な美しさを感じ取ったのは思い当たる要因の一つです。 今も心の片隅で仄かな光りを放ち続ける一作です。 |