皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
∠渉さん |
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平均点: 6.03点 | 書評数: 120件 |
No.40 | 8点 | デッド・ゾーン- スティーヴン・キング | 2014/04/07 20:36 |
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良いプロットにおもくそエグいのぶち込むキングが好きです。真骨頂が出てます。
交通事故に遭い4年半の昏睡状態に陥ったジョン・スミスは意識を取り戻し奇跡の回復を遂げるも、事故後に身に付いた予知能力によって、人生の歯車が狂いだす・・・。 予知能力のせいだけではないし、色々な要素が、そして人が交錯してジョンの人生が動いていくのですが、あまりの迫真さにフィクションだって感じがしなかったし、この不条理さがキングだなぁ、と改めて感じました。そしてロマンチストです。 |
No.39 | 1点 | あなたも殺人犯になれる!- 赤川次郎 | 2014/03/27 18:06 |
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思うこともいろいろあるのですが、感想は・・・まぁ、点数で察してください笑。 |
No.38 | 6点 | ダーク・タワーⅢ-荒地-- スティーヴン・キング | 2014/03/27 18:00 |
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ストラウブとの共著の「タリスマン」を読んだときに、キングのファンタジーとは自分は相性がよくないかなぁ、と思いつつページを捲り、「ダーク・タワーⅠ・Ⅱ」では、とてつもないパワーを持つ小説に熱狂する反面、キングの創造と破壊の世界観があまりにも、なんというか、キングの内にある世界があまりにも生々しく小説になっているので、疲れるし辛い部分もあった。「まぁ俺はキングじゃないからなぁ・・・」と割り切るわけです。でももちろん続きは気になる。すっげぇ気になるし、まぁ結局読むことになるんですが、もう読む前からなんか怖いんですよ。読んでからも怖かったけど。なぜ怖いかといったら、自分の理解を遥かに超えてるわけです。自分の価値観と尺度がまったく通用しないのが怖い。ファンタジーって物語の中に作者の秩序があるとは思うのですが、読み手はそれを中々汲み取れないからどうしてもアナーキーに感じてしまう。でも<ダーク・タワー>シリーズでは常に世界が変転している、という「秩序」があって、それはまぁ「無秩序」ってことなんです。キングは「無秩序」という「秩序」を設けているような印象を受けました。じゃあ読み手として自分はどうすればいいのか。それはもう読み手としての自我を無くすということでした。やっぱり疲れたし辛かったけど、とてつもなく面白い。あぁこれがキングなんだなと、キングって「ミザリー」なり「シャイニング」なり、ぶっ飛んでるけど、制約はきっちり設けてたんだなぁと。そんなキングの創作の源の不連続でアナーキーな集合体が、今僕が思い描いている<ダーク・タワー>です。わけわからん感想笑。
あと、個人的なイメージだと、ローランドは断然クリント・イーストウッドなんだけど挿絵がシュワルツェネッガー似でイメージぶれちゃう笑 |
No.37 | 5点 | 駅と、その町- 眉村卓 | 2014/03/13 21:52 |
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小学生の頃、青い鳥文庫の「ねらわれた学園」を読んで以来の眉村さんの作品でしたが、あの頃感じた眉村さんの作品のイメージとは違ってて、ある意味かなりSFを突き詰めているひとなんだなぁと感じた。
駅があって、町があって、人がいて、でも心なしか情緒がない不思議な町。町の変化とともに紡がれていく物語には町に棲む「魔性」がいろんな姿かたちを持って、時に大きなうねりを伴って現れる。風景が浮かびやすいし、語り口はフラットなんだけど、けっこう怖かったり、驚いたりさせられて、著者の持つ感覚の鋭さと感受性の強さを感じた。 ひとつひとつの物語は小粒ですが通して読むとけっこうなアッパーカットでやられました。面白い。 SFのようでホラーにもミステリにもなってるし、しかもそれを露骨に表出させないところが、あとをひくストーリィになってて、まだ頭の中でぐるぐる回ってます。 |
No.36 | 6点 | ZOKUDAM- 森博嗣 | 2014/03/13 20:49 |
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悔しいくらいにロミ・品川に萌えながら読んでました。
頑張ったら疲れるし、真面目にやったって無駄は出てくるし、真面目にやんなかったらもっと無駄が出てくるし、楽しく生きたいし、好きな人もいれば嫌いな奴もいるし、男だし女だし、人生ってキリがないくらいソフト的な問題があるけれども、知らず知らず明日も明後日も生きようとすることが出来る「人間」ってのは、ハード的問題をなんだかんだ乗り越えてるんだから大したもんです。 |
No.35 | 5点 | 疾風ロンド- 東野圭吾 | 2014/03/13 20:23 |
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好きですね、東野さん、冬。
『白銀ジャック』の続編なのかなぁと思いながら読んでましたが、根津さんが出てきましたね。比較的ライトなサスペンスで、キャラも展開も非常にコミカルで、読んでる間はけっこう楽しい。さらっとそれぞれのキャラクターの特徴がわかるように書かれていて、安心して作品の中に入り込めます。まぁ読み終わってみればなかなか滑稽な話でした。もちろん良い意味で。読む前、そして読みはじめのときはこんな感じで終わるとは、思わなかったなぁ。そういう意味ではなかなかサスペンスしてたな笑。 あと、ひとつ思ったのは、ここ1~2年の小説ってあまり読んでなかったから、東日本大震災後の物語という位置づけの作品が出てきてるんだなぁと、まぁ当たり前のことでしょうが、だからこそコメディタッチにした意図もあったのかなとも思い、エンタテイメントっていいな、と改めて思いました。 |
No.34 | 9点 | ミザリー- スティーヴン・キング | 2014/03/06 14:14 |
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再読。
前回読んだときはなかなかえぐい描写が多くてそっちばっかりに気が行ってたんですが、改めて読んでみるとちょっとロマンチックな感じもしました。 ポールは常々アニーのことを「女神」と表現していて、最初はまぁ皮肉だったのでしょうが、最終的にはポールを再び作家へと導く「女神」になったわけです。前回読んだときはアニーは強いファン心理が生み出したモンスターみたいに思ってましたが、読み返してみると、「献身的なイイ女」に見えてきました。いちファンという点でみればかなり尊い存在なのでは?とまで思いました。 作中でポールは作品に献辞をつけることについて、「作家がよく本の始めに献辞をつけるのは、書き終えてから、それまでの自己本位の態度が空恐ろしくなるからなのさ」と言っていましたが、そんなマスタベーションの賜物にたいして献辞をおくる、普段は作家にとって実体をもたない愛読者たちの尊さを表現したかったのかなぁなんて思いました。それをキングが書くと、アニーのような躁鬱を繰り返し、傲慢で繊細で、尊大なのに感傷的な、かなり破壊的な人物が形成されています。でもやっぱ僕ら読者、愛読者、ファンも少なからずこういう不安定さを抱えているのでは?と思うと、とてもじゃないけど笑えません(失笑)。 作家と読者、アイドルとファン、色々ありますが、こういう関係って実はかなり健全な関係ではないのかもしれません。でも素敵な関係であるのも確か。「ただならぬ関係」といったところでしょうか。それが「ミザリー」に集約されていました。とても思い出深い作品ということもあって、この評価です。 |
No.33 | 8点 | シャイニング- スティーヴン・キング | 2014/03/06 13:29 |
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とにかくラストの怒涛の展開にはただただあっけにとられるばかりで、開いた口が塞がらなかった。それくらい破壊力があったし、これはホラーの枠に入りきるのかと思っちゃうくらいのスリルとサスペンスの質も最高だった。シリアルキラみたいな犯罪心理にも通じそうな感じで幽霊より人間のほうが恐い。幽霊が霞んじゃった笑。
物語が軌道に乗るまでが結構長いけれど、読み終わって「どうしてこうなってしまってのか」を振り返ってみたときの材料の量と質がものすごい。あぁ、だからこんなに自分は作品にのめりこめてたんだと。 とにかく現実世界の歯車にホラーを噛ませるのが巧い。とにかく入り込める。そらキングのことだから惨劇になるんだろうしそれが好きなんだけど、中盤あたりで「なんとかハッピーエンドにならんもんですか」って念じちゃってました。やっぱ惨劇だったけど笑。でも救いもあって良かった。心から良かったと思った笑。 とても使い古された題材とは思えない。なるほどモダン・ホラーってこういうことなのね。 |
No.32 | 4点 | カッコウの卵は誰のもの- 東野圭吾 | 2014/02/10 17:11 |
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最初の書評を見てみると、ちょうど4年前の冬。というか発売日も合わせてたんでしょうね。奇しくも今は冬季オリンピックの真っ只中。まさかこの時期にこの本を読むとは(買ったのは昨年春)思わなんだ。そんなオリンピックの勢いにのせてあっという間読み終わりました。では、作品の感想⇩
ウィンタースポーツ+サイエンス+悩める親父ときたら東野圭吾というか、いかにも東野作品というか、いかにもすぎますね。けっこう展開が動くので読みやすいし、それぞれのキャラの思惑なり葛藤なりも非常にわからんでもない。良い作品だと思います。ただ、僕の知識不足でアルペンとクロスカントリーがどんなものか全然わからんから、これからオリンピック見てべんきょーします。 |
No.31 | 6点 | ZOKU- 森博嗣 | 2014/02/10 16:43 |
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滑稽な秀作ですね。そんな作品なかなかない。けど結構鋭い視点も持ち合わせていて面白い。ZOKUという悪の悪戯組織とそれに立ち向かうTAIという組織の攻防が描かれているけれど、その関係性が面白い。敵対する組織ではあるけども利害関係が明確な両者が存在するから、わけのわかんない組織なんだけど存在価値を見出している。その関係を良く表した最後のオチは最高に滑稽で秀逸。こんな感じで人って生きられるんだよなぁと、しみじみ。佐久間真人さんの挿絵もいいですね。クールです。 |
No.30 | 6点 | The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day- 乙一 | 2014/02/10 16:24 |
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少年時代をジョジョに捧げていた身としては、こんだけやってくれて嬉しい限りですね。ストーリィなんか明快でいいっすね。クレヨンしんちゃんの映画みたいなわかりやすさで感情移入しやすい。まだまだ活字ビギナな身としてはありがたい。
それでいていつものジョジョのテイストとは違うアプローチで書いている。荒木先生が書いてるわけじゃないし、マンガでもないので、普通にジョジョやろうとしてもつまんないし、そもそも無理かも。そういう意味では感服いたしました。そして感謝と敬意(リスペクト)。億泰、仗助お対決シーンは燃えましたね。あっ、ジョジョだ、みたいな。そしてラストの康一君の、殺し文句には、泣けます。 とにかく良い作品でした。しかも荒木先生が良いと言うのなら、下手な文句は言えません笑。 |
No.29 | 2点 | パンドラの恋愛能力共通一次テスト- 小峰元 | 2014/02/10 16:06 |
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ユーモア路線の連作短編。形式にとらわれず主人公の立ち位置が話によって変わるのは愉快。「恋愛」がキーワードになっているけど物語事体にはあんまり恋愛要素もなく、意外とかっちり書いてる。なかなかマンダムですな。 |
No.28 | 2点 | ヒポクラテスの初恋処方箋- 小峰元 | 2014/01/30 23:55 |
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挿絵があって読みやすい。
ただ、キャラクタが似たり寄ったり。既視感ハンパない。 言えることは、それだけ。面白いんじゃないでしょうか。 |
No.27 | 10点 | ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編- スティーヴン・キング | 2014/01/26 14:10 |
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一つの希望を掴むには、数多の絶望を知って、時には己の運命を呪い、時に後悔し、また時には傷を負う。それでもなお「希望ってのはいいものだ」と言うデュフレーン。「がんばって生きるか、がんばって死ぬかだ。」はこの物語の全てを表していました。そんな静かな余韻と清しさを感じながら『刑務所のリタ・ヘイワース』を読み終え、なんか少しポカポカした感じで次の『ゴールデンボーイ』を読んで、希望ってなんだっけ?といきなり突き落とされました。こうなってしまえば希望もへったくれもありません。そしてそれはあまりにも真に迫っている。ここまで情けも救いもない人物を書けるのは日本人にいるのかはわかりませんが、やはりアメリカですね。スティーヴン・キング とはこの作品のことだと僕は思いました。しかしながら、つくづく、生きるって恐い。 |
No.26 | 7点 | スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編- スティーヴン・キング | 2014/01/26 13:26 |
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昨年も読んで感想を寄せたのですが早くも再読したので更新した所存。
モダン・ホラーの鬼才が書くホラーじゃない小説は、旨い焼き鳥屋のラーメンの如し、絶品です。青春文学として圧倒的な存在感を誇る『スタンド・バイ・ミー』はキングの持つバックボーンと作家としてのキングの二つの側面が生んだ秀作だと思います。憧憬や懐古趣味みたいな言葉では片づけられない、真に迫る物語がありました。青春ってなかなか人生の中でも片付きませんね。 『マンハッタンの奇譚クラブ』にある銘文「語る者ではなく、語られる話こそ」もまた、現代の真に迫るキングのストーリィテリングを表しています。両作を読んで、あぁ生きるって恐い、そして哀しい。なのになんで生きてるんだか、と思わせるキングはやはりホラー作家なのだなという結論に達して、今日もまた生きていくのでした。 |
No.25 | 2点 | 相馬野馬追い殺人事件- 皆川博子 | 2014/01/26 13:23 |
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野馬追い祭とか馬芝居とか自国政府官僚とか全くもって聞いたことがないので新鮮というかそもそもホントにあんのか?と思いながらも、それでいて日本の情緒あふるるミステリでした。 |
No.24 | 2点 | ホメロスの殺人方程式- 小峰元 | 2014/01/26 13:13 |
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こんなに回りくどい謎解きもなかなかないのでは。
わざわざ起こる事件を方程式にしてから解くとは・・・。 こんな青春もありなのでしょうかね。 キャラクタは相変わらずの小峰節でした。これまたくどい。 青春とはくどいもんです。 |
No.23 | 3点 | 親不孝のすすめ 青春の独立宣言- 小峰元 | 2014/01/14 22:41 |
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青春"ミステリ"とは名ばかりな、というか推理小説じゃなかった・・・。ティーンエージャーの生態を探るミステリっちゃあミステリ。小峰さん流の「少年よ大志を抱け」じゃないけど、スタンスというか、悩める十代がんばれ、みたいな想いは伝わってきたかな、3割位。とかくミステリでは、ない。
でも最後の「独立宣言」には、ちょっと救われた。 |
No.22 | 4点 | あの頃の誰か- 東野圭吾 | 2014/01/12 13:27 |
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こういう所から始まって後に良い作品ができていくのを鑑みると結構楽しかったですけどね。「とりあえず書かなきゃいけない」みたいな気持ちが出てて。
もちろん読者に対して親切でなくてはいけないというのは作家のスタンスとしては大事だと思いますが、そんな気概もないような感じが少し感慨深いし、東野さんにとっても感慨深いものだったのではないでしょうか。 「名探偵退場」が一番好きです。あとは・・・。 |
No.21 | 2点 | プラトンは赤いガウンがお好き- 小峰元 | 2014/01/08 18:08 |
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女版「小峰元」ことパトラのマシンガントーク?が冴えわたるどんでん返し必至のユーモアミステリ。楽しけり、楽しけり・・・ |