皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリ初心者さん |
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平均点: 6.20点 | 書評数: 388件 |
No.8 | 5点 | 望湖荘の殺人- 折原一 | 2020/10/29 19:13 |
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よくみるクローズドサークルの流れを踏襲している作品です。館に集まった男女が一人ずつ殺されていき、外に出る事も連絡を取ることもできない…系です。非常に読みやすく、私の大好物です(笑)。本作品は、そのなかでもサスペンス色が強めであり、テンポが良く、読了までに時間はかかりませんでした。 以下、難癖部分。 ・太蔵への脅迫者と協力者の女の名前を伏せる意味があまりわからなかった(笑)。 ・誰が殺したのか?や、どうやって殺したのか?といった要素はなく、かといってどんでん返しも微妙…。手だけ持って行った話は、ジョジョを読んでいた私には察しがつきました(笑)。 ・最後のエピローグは別になくてもいいとおもいます(笑)。 この程度なら、もうちょっと軽めの文にして、黒星警部シリーズにしてもよかったのでは(笑)。 |
No.7 | 6点 | 漂流者- 折原一 | 2020/06/10 01:29 |
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500ページを超える力作です。風間と美智代の漂流の件はやや長いと感じることもありましたが、サスペンス色の濃く、全体的にはすいすい読めました。とくに風間が三田村夫妻と佐伯と美智代をあつめた、そして誰もいなくなった風復讐劇が始まってからは先の展開が気になって仕方がなかったです(笑)。 推理小説的には、しょっぱなから風間の口述テープから始まり、三田村の復讐ノートという作中作のような複雑な構造でいろいろ妄想させられます。しかし、肝心の叙述トリックの肝が、真っ先に思いつく類のものであり、やや拍子抜けしました。推理小説的にはいまいちな印象です。 |
No.6 | 6点 | 丹波家の殺人- 折原一 | 2020/05/21 18:30 |
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光文社文庫の割と新しいのを購入しましたが、シリーズ④と書いてあります。wikiをみると黄色館の秘密よりも早く出版されているのですが、この順番で正しいのでしょうか(笑)。 ちょっと間抜けでおもしろい黒星警部が魅力のシリーズで、本作もとても読みやすかったです。丹波家の人々が竜造の遺産を巡って争い、その中での連続殺人という、横溝作品のような良い雰囲気があります(笑)。こういう展開は何度読んでも飽きませんね。 今回も密室が多数存在します。末子殺しの密室はなかなか考えてしまいました。私は神谷が犯人かと思い、ミスリードに引っかかってしまいました(笑)。千春と共犯や、リエの本当の父親なのかと妄想していました(整合性とかの検証は全くしてません(笑))。末子殺しの足跡のトリックは、他の作品で見ました。その作品は大好きなのですが、本作のほうが早く世に出ているということに驚きました! また、途中に挿入される殺人者の独白もよいヒントと伏線であったと思います。 好みではなかった部分 ・虹子が出ない(涙)。部下の竹内も悪くないのですが、やはり黒星警部とのコンビは虹子が一番です。探偵役は最終的にリエということになるのでしょうが、リエは丹波家であり、まじめな性格なので作風もまじめになってしまいました。個人的にこのシリーズにはユーモアも期待していたので、ここは残念です。 ・密室事件は多かったが、末子殺し以外はあまり価値を感じませんでした。健太郎殺しについては、電気による外部からの犯行…という密室をたびたび見ますが、これって本当に殺せるものなのでしょうかね(笑)。まあ本作はいたずら程度だったようですし、それが犯人の独白で明らかになっているのですぐわかりましたが…。そして涼はただの自殺。 この作品でシリーズ長編が出てない…ということは黒星警部シリーズはもう出ないのでしょうか(涙)。 |
No.5 | 7点 | 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 - 折原一 | 2020/05/11 17:37 |
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江戸川乱歩の短編?を思わすような、天井裏にひそむ男がいる話です。穴から毒薬を垂らして口を狙うシーンなど、オマージュ的な要素があります。序盤の天井男は、時子の妄想なのか実在するのかがはっきりとはわからず、その正体をいろいろと妄想するのが楽しいです。 また、登場人物もキャラクターが濃くて惹き込まれました。ボケているのかボケていないのか、あるいはとても賢いのか、しかし意味不明な行動をとる時子。夫からDVを受け、かわいそう…だが出会った男を即利用する直美。DV糞夫。そして小野寺(笑)。登場人物が全員どこか狂っていて、おもしろ(?)かったです。途中、ややダレる展開もありましたが、全体として読みやすかったと思います。 推理小説的要素は、いくつかの叙述トリックがありました。 " まず大きなものが、時子の主観の話と直美の主観の話では同じ時間軸ではありません。プロローグに、飯塚家2階で女性の密室殺人が起こり、それを時子が発見し、自分でそれを解き明かすことを決意します。そして天井男の主観となります。これを最初に入れることで、このシーンが物語の時系列の最初にきていると勘違いしてしまいます。また、このシーンの天井男の文章を太字ではなく、本の後半に登場する時子によって書かれた天井男ノートではないことが示唆されていて、よいミスリードと伏線になっています。 小野寺は時子と直美の両視点に登場し、それがまた同時系列と混同させるように書かれています。それだけのために登場させただけでなく、天井男の正体にするところも大きな驚きであり素晴らしいと思いました。 時子が密室を解けないでいることも伏線であると思います。読者にはプロローグや(天井裏)のパートの文章で天井男の存在を知らされているし、時子もまた天井男を挑発するシーンが多々あり天井男を認識しています(いるように読めます)。読者には、密室にした犯人が天井裏に逃げたに決まっているとわかりきっているので、なぜ時子が密室を解けないでいるのかが疑問だと思います(笑)。時子のボケ具合と推理能力はどうとでも取れるのですが…。これは物語前半の太字部分には天井男がいなかった伏線だと思うのですがどうでしょう??" その他の叙述トリックとしては、時子の正体はその娘の春江でした。これは味付け程度の叙述トリックでしたが、この小説に厚みをもたらす意味ではよかったです。正直、時子にはその伏線も多く、また時子の物語の文章では時子のことを”彼女”と表記しているし、春江しかないと割と早い段階で思っていました(笑)。直美が時子になる展開も妄想しましたが、30代が80代になるのはやはり不可能ですね(笑)。勝男を天井裏に住まわすというのも、なかなか狂っていて好みだったのですが(笑)。 私は割と早い段階で、密室殺人の被害者が直美であり時系列がずれていることに気づきました。しかし、天井男の正体に気づけませんでした(涙)。登場人物の中であり、飯塚家の中を知ることができたのは小野寺ぐらいなので、よく考えればわかったはず。非常に悔しかったです(笑)。 以下、好みではなかった部分。 ・時子の妄想天井男がないとこのトリックは成立しませんが、一方でボケてはいないので、やや作者に都合がよい妄想と頭脳をもったキャラクターだと思いました。 ・小野寺の犯行後の行動は意味不明だと思います(笑)。それも狂っていてまた良しですが。 ちょっと甘めかもしれませんが7点にしました。 長ったらしい文章を書いてしまってすいません(笑)。 |
No.4 | 5点 | 黄色館の秘密- 折原一 | 2020/04/20 17:40 |
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黒星警部と虹子の掛け合いが楽しいシリーズです。クローズドサークルでもあり、非常に読みやすく、読了までに時間はかかりませんでした。 また、私が気づかなかったのかわかりませんが、前作にあったような他作品のネタバレはなかったように思えます。 ユーモアミステリということで、本格推理小説として評価するのはナンセンスかもしれませんが、いちおう不満点を書きます(笑)。 ・竹内警部が記述者として潜んでいる叙述トリックのようなしかけは必要なのでしょうか(笑)。このトリックを用いた他の素晴らしい推理小説を見たときに驚きが半減してしまいそうです。 ・いろいろな人が、いろいろなところで、いろいろなことをしているため、真相の推理は不可能に思えます(笑)。 ・密室が2つあります。しかし、よくあるパターンとはいえ、好みのものではありませんでした。滝村明美の死は特に… ・黒星警部が目立っていたのはよかったのですが、虹子があまり出てこなかったのは残念です。 |
No.3 | 5点 | 遭難者- 折原一 | 2020/04/01 20:34 |
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追悼集という、作中作的な文章が2つ入った、凝った趣向でした。地図はもちろん、はがきや登山届など手書きで書かれたものが載っています。 笹村雪彦の死に疑問を持った母親が、その真相を調べるために慰霊登山へゆき、また死んでしまう。それを今度は笹村雪彦の妹千春と南が事件を調べなおす…そしてまた死人が~という構成で、あまり無駄なところがなく読みやすかったです。 ただ、雪彦・時子の死について、登山記録と登場者のインタビューが細かく書かれている割にはあまり読者が考える点が少なかった印象です。 そして、本の内容のうちの大部分を占める、N子とSは誰か?という謎の存在もそれほど本筋とは関係なく、肩透かしを食らった感じでした。 凝った趣向のわりに、内容は普通だった。全体的にはそんな感想でした。 |
No.2 | 5点 | 猿島館の殺人~モンキー・パズル~- 折原一 | 2020/01/26 02:51 |
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前作に引き続き、黒星警部と虹子のコンビが最高に読みやすいシリーズです。ユーモアと古典のパロディ?がたくさんあり、よかったです。 大きな謎としては、第一の藤吉郎殺し(?)の密室。 自分は、美奈子を襲おうとした藤吉郎が失敗して、書斎へ急いで逃げかえる途中に煙突から落下死したと考えました。しかし、”猿がやった”というダイイングメッセージに頭を悩ませました(笑)。美奈子の証言は、寝ぼけていて藤吉郎と猿を勘違いしたとか考えていました。 大輔犯人説も考えましたが、まあそれだとあからさまにアレと同じになってしまうので考えから外しました(結果的に、第三の事件が部分的にソレだったのですが)。 以下、好みではなかった部分。 ・第一の事件については事故死に近く、このパターンの密室はちょいちょいみますが好みではありません。 ・第一~第三の事件はそれぞれ犯人が違っており、やはり単独犯であるほうが好きです。 ・犯人?に有利な偶然や証言や協力者がおおすぎ、論理的に真相を当てることができません。私だけかもしれませんが。 ・ネタバレになるといけないので詳しくは言えませんが、前作とかぶっている部分があります。 ・他の作品のネタが割れるのはやめてほしいです。どのパロディなのかは、小説の始めに明記してほしいです(涙)。私は偶然にもパロディと思われる部分は知っていたのですが… |
No.1 | 6点 | 鬼面村の殺人- 折原一 | 2019/08/19 20:58 |
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とても明るいキャラクターたちが、非常に読みやすい作品でした。主人公の黒星警部、相方の虹子は魅力的でした。 メインのトリックは、建物が消失するという大掛かりなもの。あとは小粒目の密室が2つ。大がかりなものだと、やはり大人数で行わなくてはならず、馬鹿ミスの香りが漂います(笑)。黒星と虹子の主観が入れ替わり、読んでいると別々の位置にいることをわかりにくくさせるミスリードが良かったです。 以下、不満点。 別作品のネタバレはやめてほしいです。ビニールハウスの密室は私の盲点で、はっとさせられましたが、これも前例があるんですね(笑)。 黒星警部が気に入ったので、いつかまたこのシリーズを読みたいと思います。 |