皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ボンボンさん |
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平均点: 6.51点 | 書評数: 185件 |
No.45 | 7点 | ソロモンの偽証- 宮部みゆき | 2014/11/17 23:15 |
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こんな出来過ぎな中学生いるわけがない、大人でも無理、と判りながらも、はまってしまった。これだけ長いのに、読後も、その後どうなったのか、あの子はこの子はあの人はと、引きずらずにはいられない。いつまでもこの町の人々を見ていたい、終わってほしくない、中毒になる面白さ。
最初から最後まで引っ張る”真相”の魅力は当然のこと、数えきれないサイドストーリーの展開を操る宮部さんの力は、本当に果てしない。 人間万歳。 でも、宮部さんの作品は、”やさしい”ので、どうしても8点、9点、満点とはなりにくい。凄いのに満点にならないスゴさ。 |
No.44 | 6点 | 龍は眠る- 宮部みゆき | 2014/10/09 00:36 |
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再読。なのに、なんとすっかり内容を忘れ去っていたことに驚く。
後の”能力”ものの表現の巧みさが凄過ぎるので、それに比べると、本作は意外とリアルさに欠けていたかな。そこが眼目なのに残念。”移動”するやつは、このお話では、いらなかったのでは。 それでも、やっぱりスリリングな展開はさすがです。挿話もキャラも盛りだくさん。七恵さんが、いい。 |
No.43 | 6点 | 魔術はささやく- 宮部みゆき | 2014/10/02 22:25 |
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十数年ぶりの再読。
こんなにきれいにまとまった名作だったかと改めて驚きました。 どうも「鍵」の知識の印象ばかりが強く、そればかり頭に残っていたのですが、やはり読み直しても、私は、皆さんがおっしゃる”魔術”よりも、こっちのほうが都合良過ぎるように思います。 それでも、展開の分からないサスペンスぶりと、人間ドラマの読ませ方は流石です。数本のドラマが無理なく合流していて、最後の最後に、主人公の心を大きくゆすぶる話をまだ残しているのだから、宮部さん、並大抵の筆力ではありません。 |
No.42 | 6点 | オー!ファーザー- 伊坂幸太郎 | 2014/09/08 23:24 |
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楽しかった。
こんなふうに親に育てられたかったなあ。こんなに立派に育ちたかったなあ。でも、現実の家族ってこんなに素敵じゃないよなあ。だからこそ、この小説は楽しいんだなあ。 設定そのものが謎っぽい魅力たっぷりなので、そちらにばかり気を取られ、事件のほうは、なんだか散漫な感じに。最後の謎解きが、二時間ドラマのように説明で終わるのが残念。たっぷり散りばめられた伏線が、結構バレバレだった。 でも、キャラもセリフも、やっぱり面白い。伊坂幸太郎の得意技を寄せ集めたような作品。 |
No.41 | 4点 | 珈琲店タレーランの事件簿3- 岡崎琢磨 | 2014/08/24 00:19 |
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「ふつう」だった。物語性が薄くなり、トリックの説明ばかりで平坦すぎるか。このシリーズは、嫌いではなかったので、ちょっと残念。
話のベースになっているバリスタの大会の運営が現実的にはあり得ないゆるさで、出場者にも社会性がなく、作品全体が稚拙な感じになってしまっている。 と、ここまで書いて悲しくなってきた。せっかく人気があるんだから、もっとキャラクターを大事にして、頑張っていただきたい。 |
No.40 | 10点 | リヴィエラを撃て- 高村薫 | 2014/07/06 14:05 |
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最上級の映画か、海外の秀作ドラマか。小説なのに映像や音響効果の迫力がすごい。時間的にも空間的にもスケールがあれだけ大きい大河ドラマなのに、一方で人物像の繊細な表現が丁寧で、グッとくる場面の連続。
事件に人生を翻弄される人たちの悲壮感や無力感にあふれていて、その原因となった事件の真相がなんかあんな感じで・・・この原因と結果のギャップがおそろしく哀しい。終盤では結構いろいろ驚かされた。 それでも人生、日々辛いだけじゃなく、小さな幸せもたくさん描かれていている。何よりスピード感、緊張感、力強さがあり、若々しい作品だと思う。 |
No.39 | 8点 | 照柿- 高村薫 | 2014/01/27 23:28 |
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とにかく強烈。
人間の痛いところを容赦なく抉ってくる。暑苦しく、息苦しく、ろくでもない出来事ばかりが執拗に詳述され、その果てのラストがとてつもなく哀しい。 やっと高村薫の読み方が分かった。凄い人だ。 (※単行本のほうを読んだ。) |
No.38 | 7点 | マークスの山- 高村薫 | 2013/10/18 00:40 |
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キャラクターが活き活きとしていてスピード感がある。独特の世界観。山の刺すような空気が強く印象に残った。なぜだか、自分も気力と体力の限り、働きづめに働きたいと思ってしまった。
ただ、いくつもの犯罪の一つ一つの結果が、捜査の盛り上がりの割りに、どうも肩透かしのような。 |
No.37 | 7点 | レディ・ジョーカー- 高村薫 | 2013/09/15 16:54 |
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ついに読み終えた。読むのに物凄く時間がかかってしまった。
高村薫さんを初めて読んだけれど、そうか、こういう文章を書くのか。きめ細やかで優しくセンチメンタルな感じだった。 でも、作品そのものは、とんでもなく重い。犯人、被害者、警察、マスコミ、それぞれの立場に居る何人かの人間による、これでもか、これでもかと深く井戸を掘るような個人的内省を隙間無く敷き詰めながら、事件の真相を分刻みで描写していくというずっしり感。 事件の真実は確かにあるのだけれども、普段私たちが見ている表層の世界では、どうにも手をつけられない、世の中の裏側でのできごとを、その場に居るように克明に見せてくれる。 ちなみに合田刑事は、微妙にキモい。 |
No.36 | 6点 | ガリレオの苦悩- 東野圭吾 | 2013/06/23 21:12 |
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ドラマを見ての再読。
小説では、内海薫がかなりちゃんとした刑事だったことを思い出し、感心した。 ただ、トリックの見せ方や話の整理は、どうしてもドラマの方が勝っているように思う。 この作品辺りから湯川先生の人間の面白さが描かれだして、見所になっていく。 |
No.35 | 6点 | 真夏の方程式- 東野圭吾 | 2013/06/09 16:25 |
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子どもと湯川先生のやり取りが面白く、いつまでも見ていたいようないいシーンが数々あった。
親と、親に限らず広く大人が持つ、子どもを守り育てる責任について、繰り返し表現されていたように思う。 事件のカラクリに、様々な人の過去だけでなく、観光地の衰退、環境のこと、子どものこと、そして定番の科学的理屈などが複雑に絡み合っていて、解決も大人の対応で収められるところがいい。 |
No.34 | 5点 | 珈琲店タレーランの事件簿2- 岡崎琢磨 | 2013/05/27 23:09 |
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良さも悪さも全編の構造も1巻目と全く同じ。このシリーズの世界に慣れたので、上手でないところにも、あまり引っかからなかった。小さな謎や引っ掛けがコマゴマと詰め込まれ、飽きずに楽しく読める。
しかし、このシリーズ、軽妙なギャグもあり、若者の青春話満載なのにもかかわらず、なぜ、全体にくすんだような、蛍光灯が暗くなっているような、外に出ても曇っているような重い印象なのか。不思議。独特。 |
No.33 | 5点 | つきまとわれて- 今邑彩 | 2013/05/12 22:32 |
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ほとんど個性を出さない、キャラクターも作らない、ネタ勝負の書きぶり。単純な話かと思わせて、二転三転するので読み進めることができるが、淡々とした気分で読み終わる。
バラバラな内容の短編の一つの話の登場人物を次の話の主人公にして連鎖させる、この趣向一点で支えられている感じ。 |
No.32 | 4点 | 向日葵の咲かない夏- 道尾秀介 | 2013/05/05 23:25 |
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気持ち悪い。読者を騙してやろう騙してやろうとしているだけ。 |
No.31 | 6点 | 鹿男あをによし- 万城目学 | 2013/05/05 09:18 |
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期待していなかった分、驚くほど面白かった。発想が珍しいし、謎解きも散りばめられている。キャラクターがそれぞれ印象深い。質のいい漫画に近い感じか。 |
No.30 | 8点 | バイバイ、ブラックバード- 伊坂幸太郎 | 2013/04/29 21:47 |
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繭美と星野という、すばらしいキャラクターに出会えただけで、かなりの高評価。人と人が出会って起きる化学反応が感動的で、趣向が凝らされ、笑いを散りばめながらも泣ける名作だ。でも、伊坂幸太郎らしく謎は謎のまま、解決することは無いので、ミステリーではない、のかな。 |
No.29 | 10点 | カジュアル・ベイカンシー 突然の空席- J・K・ローリング | 2013/04/14 22:43 |
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巧過ぎる。ぶ厚い2冊組みだが、一気読みは確実。
実にローリングらしく、驚くほど大勢の登場人物を全員丁寧に描写していく。全くバラバラな人々の内面を細切れに説明し続けていくうちに、なんと最後に、全てがひとつの大きな物語に織りあがってしまう。 「いい人・悪い人」ではない、複雑で、なかなかマトモにはいかない、リアルな人間の心のひだの捉え方は、日本人向きだ。 これまたローリングらしく、辛くて嫌なことばかり次々と起こるが、最後の最後に多くの人の気持ちが劇的に変化するところが、カタルシスで気持ちいい。 書店ではミステリーとして売られていたけれど、これがミステリーかどうかは、私には分からなかった。読者にとって、というよりも登場人物にとっては充分にミステリーのような状況だったろうなあ、とは思った。 |
No.28 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖4- 三上延 | 2013/03/03 21:04 |
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一冊全編、江戸川乱歩のコレクションに関わる一つの事件でまとめられている。東日本大震災後の古書店の話として、”なるほど”のエピソードが挿入されていて、好感が持てた。
乱歩については、乱歩にどっぷり、乱歩をなぞるような仕掛けを次々投入。見た目と違ったり、色々とひっくり返したり、裏返したりが面白い。 栞子さんの母親の問題も恋の話題も色々進展するが、すべて途中という感じで、次の巻に期待がかかる。 それにしても、こんなお母さん居るのかなあ、こわいなあ。ホントは意外にいい人かもって言われてもなあ。 |
No.27 | 5点 | 珈琲店タレーランの事件簿- 岡崎琢磨 | 2013/02/17 18:30 |
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前半は、些細な話ばかりでどうなることかと思ったが、後半一気に盛り上がった。キャラクターもなかなか良いし、それぞれの人たちの恋愛観、人生観も読み応えがある。
ただ、トリックと謎解きありきの話の作り方や、クドいほど何重にもミスリードを誘ってくるもっていき方が不自然で、小説として上手ではない。 また、人物の名前をいちいち珈琲の種類に引っ掛けて付けているのも子どもっぽくて嫌だったが、最終的にそれも必要だったことが分かったので、まあいいか、というところ。 |
No.26 | 7点 | ゆんでめて- 畠中恵 | 2013/01/09 23:52 |
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画期的な構成!よくぞ、ここまで美しくまとめられた。
レギュラーメンバーに大波乱があるので、はじめは驚いたが、完璧で切ないラストに大満足。 毎作、様々な趣向が凝らされて飽きさせない、シリーズ9作目。 |