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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
リヴィエラを撃て
高村薫 出版月: 1992年10月 平均: 7.88点 書評数: 8件

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新潮社
1992年10月

新潮社
1997年06月

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1997年06月

双葉社
2007年06月

双葉社
2007年06月

No.8 2点 モンケ 2019/09/07 16:41
ひょっとしたらミステリーとしても面白いのかと期待しましたが、期待しただけ失望しました。壮大に大風呂敷を広げた劇画ですな。SF設定にでもなって方が楽しめたと思います。

No.7 7点 Tetchy 2018/05/06 21:13
物語の冒頭、日本の汐留インターで転がっていたIRAのテロリスト、ジャック・モーガンの死体、その事件前に見つかった東洋人女性の射殺体と、その直前に警察に入った女性の声でジャック・モーガンが捕まり、リヴィエラに殺されるとの一報から警視庁外事一課、手島修三がこの事件を捜査が始まる。
しかし物語はそこから様々な国の諜報機関が追う謎の人物リヴィエラの捜査に向かうのではなく、手島がかつてイギリス大使館時代にリヴィエラを通じて知り合ったスコットランド・ヤード副総監のジョージ・F・モナガンの手紙を辿るように、このIRAのテロリスト、ジャック・モーガンの生い立ちへと飛ぶ。

物語の中心は《リヴィエラ》という白髪の東洋人とだけが判明している謎の人物である。しかしこの謎の人物は姿を見せず、この殺害されたジャック・モーガンの、死に至るまでがメインに語られる。つまり彼の死から始まるこの物語は詰まるところ、主人公の死から始まる物語と云っていいだろう。東京の高速で見つかった異国人の波乱万丈の人生に昔彼に関わった男がその過去へと踏み込んでいく。《リヴィエラ》という名を手掛かりにして。
複雑に絡み合った人物相関。それらは最初には明かされず、上に書いたようにジャック・モーガンの生い立ちに沿って現れてくる数々の登場人物がジャックに語ることで次第に明らかになってくる。

髙村氏の描く諜報の世界で生きる者たちは物語当初は第三者の目を持って物事を見つめ、決して主体的になるわけではなく、覚めた視座で物事を見、分析をする、そんな冷静冷徹な様子を醸し出している。平常心を保つために、ある者はユーモアを常に持ち、またある者は折り目正しい姿勢を保ち続ける。
しかしそんな男たち女たちも人間であるかのように次第に感情を露わにしてくる。露わにしてくるといっても、彼ら彼女らは決して本意を悟られないように表に出さない。表面は凪いだ海のように平静を装いながら、心中は嵐のように波立たせて。
友情、そして愛情。諜報の世界に住む人々にとって決して抱いてはいけない人間的感情だ。しかし彼らは正気を保つためにそれを大事にする。
スパイやエージェントたちが常に客観的に物事を見据え、死と隣り合わせの世界で生きていくために冷静を強いられるのは、逆に云えばプライヴェートな部分で冷静さをかなぐり捨てたがゆえに既に過ちを犯したことを教訓にしているからかもしれない。だからこそ任務で私情を交えた時、それは彼の諜報の世界で生きる人間の運命の終焉になるのだろう。

政治家、諜報機関はなんとも些末な事実を隠すために事を荒立て、多くの命を犠牲にしてきたのか。そして恐らく21世紀の今も更に多くの国を巻き込んで、こんな不毛な命のやり取りを伴った諜報戦が繰り広げられているのに違いない。髙村氏の作品は今回もまた私を憂鬱にさせてくれた。

No.6 7点 いいちこ 2015/10/14 11:13
組織や登場人物の背景に関する説明を最小限に抑えながらも、続発する事件を通じて徐々に浮かび上がってくるプロット。
緻密な描写で息詰まるようなストーリーテリングと、最後に明らかになる皮肉極まりない真相。
すべてにおいて一級品でサスペンスの佳作と評価

No.5 9点 あびびび 2014/10/18 22:27
冒頭の手紙がどうも理解できず、天性の勘の悪さも手伝って、なかなか物語の中へ入れなかったが、終盤は山の霧が晴れるように視野が広がり、もちろん冒頭の手紙も意義あるものだと分かった。

高村さんは、どんな発想からこの物語を考え、執筆したのか?日本人らしくない?ワールド、ワイルドなこの物語をぜひ映画化してほしい、もちろんハリウッドで…と思った。

「マークスの山」がほとんど理解できず、ここ3年間、この作者の本は敬遠し、恐る恐る読んだが、これはもう一度、マークスの山を読みかえすべきだと思った。

No.4 9点 itokin 2014/10/09 13:21
物語の構成、組み立て齟齬のない緻密な描写、長編にもかかわらず最後まで盛り上げる力どれをとっても1級品、日本人でここまでかける作家はそう居ないないと思われる高村さんの実力を知らされる作品です。

No.3 10点 ボンボン 2014/07/06 14:05
最上級の映画か、海外の秀作ドラマか。小説なのに映像や音響効果の迫力がすごい。時間的にも空間的にもスケールがあれだけ大きい大河ドラマなのに、一方で人物像の繊細な表現が丁寧で、グッとくる場面の連続。
事件に人生を翻弄される人たちの悲壮感や無力感にあふれていて、その原因となった事件の真相がなんかあんな感じで・・・この原因と結果のギャップがおそろしく哀しい。終盤では結構いろいろ驚かされた。
それでも人生、日々辛いだけじゃなく、小さな幸せもたくさん描かれていている。何よりスピード感、緊張感、力強さがあり、若々しい作品だと思う。

No.2 10点 jyungin 2001/09/21 20:44
なんで、海外を舞台にしてこんなにリアルにかけるんだろ。登場人物がこんなにいるのにみんなかっこいい、美しい。でも、高村薫に出てくる男、ホモっけ多いよなあ。

No.1 9点 美来 2001/08/08 14:38
おもしろかった!
IRAものが好きなためか、ぐいぐい、引きずり込まれるように読みました。
高村さんのキャラは一人一人が泥臭くて良いですね。


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