皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ クライム/倒叙 ] レディ・ジョーカー 合田刑事シリーズ |
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高村薫 | 出版月: 1997年12月 | 平均: 6.87点 | 書評数: 15件 |
毎日新聞社 1997年12月 |
新潮社 2010年03月 |
No.15 | 7点 | ʖˋ ၊၂ ਡ | 2022/07/01 15:01 |
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日本社会でタブーとされてきた同和問題や、大企業と結託して闇社会を形成している総会屋・暴力団などにも目を向けて、組織そのもの、ここでは企業だけでなく、警察もその内側から容赦なく描かれている。
もちろん、グリコ・森永事件が題材となっているが、この作品は単に現実に起きた企業犯罪をなぞっているのではない。むしろ、そのような犯罪が、人間の孤独と怒りの深い情念から紡ぎだされていくプロセスを生々しく描き出しているのだ。 現代社会の犯罪ルーツが、人間の感情の源泉に根ざしている事実に、驚愕させられるだろう。 |
No.14 | 7点 | ボンボン | 2013/09/15 16:54 |
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ついに読み終えた。読むのに物凄く時間がかかってしまった。
高村薫さんを初めて読んだけれど、そうか、こういう文章を書くのか。きめ細やかで優しくセンチメンタルな感じだった。 でも、作品そのものは、とんでもなく重い。犯人、被害者、警察、マスコミ、それぞれの立場に居る何人かの人間による、これでもか、これでもかと深く井戸を掘るような個人的内省を隙間無く敷き詰めながら、事件の真相を分刻みで描写していくというずっしり感。 事件の真実は確かにあるのだけれども、普段私たちが見ている表層の世界では、どうにも手をつけられない、世の中の裏側でのできごとを、その場に居るように克明に見せてくれる。 ちなみに合田刑事は、微妙にキモい。 |
No.13 | 9点 | TON2 | 2012/11/05 20:50 |
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レディジョーカーを名乗る組織が、大企業の社長を誘拐し、企業の商品と同和がらみの事件を人質に20億円の要求をつきつけます。犯行グループの、組織に嫌気がさした刑事、孤独な薬屋のじいさん、障害者の子を持つトラック運転手……としがない庶民が、警察。企業、マスコミを翻弄する物語の緻密さが、さすが高村薫です。
「マークスの山」「照柿」の合田雄一郎もちょっぴりですが姿を見せます。 映画では渡哲也が主人公のじいさん役だったけれど、強そうで全然イメージと会わなかったなぁ。 |
No.12 | 10点 | daiki | 2009/06/02 00:37 |
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作者の思想がもろにでていて鼻につくという意見もよく分かるのだけど、それでも優れた作品だと思う。これを評価できない人は、本を読めない人ではないか。 |
No.11 | 1点 | touko | 2008/09/10 18:35 |
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在日、障害者の親、部落出身者、老人が大企業を脅迫するという話。
弱者が強者を翻弄するトム&ジェリー路線?だとすれば、スカッとする部分もなく、かといって、リアルというには、すべてがステレオタイプ、しかも朝日新聞の社説か社民党の演説並みに偏向しすぎで、リアリティには著しく欠けています。 ミステリー要素もなければ、いい年した社会人が年甲斐もなく、ダラダラと青臭く見苦しいだけの幼稚極まりない内省を続けるはで、作者は前作までの成功により、何か勘違いしちゃったんですかね……元々そういう人だと言えばそれまでだけど、自分に酔っているとしか思えないです。 この作家の資質がすべて裏目に出た作品で、信者以外にはお勧めできません。 |
No.10 | 9点 | itokin | 2008/05/03 16:19 |
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社会性のある物語で犯人側の屈折した思い警察内部、企業の対応などリアルに表現されていた。もっとも好きな作品の一つです。 |
No.9 | 3点 | 梶元 | 2005/07/13 15:03 |
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左翼臭強すぎ。 作者が左翼なのはいいとしても、登場人物が現代日本で極左に類する考え方を持っていても、あたかも普通のように描写されるのは、違和感ありすぎ(シモーヌ・ヴェイユを愛読する新聞記者など、変わり者の左翼主義者と書かれるならまあ納得するんだが)。 文章や世界観ががあまりにも高橋和己の影響を受けすぎている。 いっそ60年代の話にすればよかったのに…。 |
No.8 | 9点 | くりからもんもん | 2005/05/18 14:12 |
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おもしろかったと思うけど、何でこんなに評価が低いの?特に犯人側に感情移入できた珍しい作品。ここまでいかなくても、こういった表沙汰にならない大企業恐喝ってよくあるんでしょうね。 |
No.7 | 7点 | ROCK MUTANT | 2004/12/23 01:05 |
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この方の作品は基本的には暗すぎてあまりすきではないのですが、この作品はほのかな明るさと活力が感じられ、良かったです。無理に合田さんを登場させる必要はなかったのでは? |
No.6 | 9点 | kenichi | 2003/06/30 00:37 |
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思い入れの強さがたまに絶妙だったり、やり過ぎだったり。まあ、ミステリに戻ってきて下さいってことです。 |
No.5 | 4点 | 医学研究者 | 2003/03/07 12:57 |
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読後の印象が希薄です。作者の他の作品を読む機会はしばらく訪れません。 |
No.4 | 8点 | tetrapot | 2002/01/07 09:12 |
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前半がメチャクチャ面白い。後半合田刑事がでてきてから失速するのが惜しすぎる。特に今回は合田の同僚がいないのもあって悪役の魅力に完全に負けている。でもやっぱり面白い。 加納検事はいらないね |
No.3 | 3点 | 美来 | 2001/08/03 11:54 |
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どこがおもしろいのかすら、わかりませんでした。合田刑事がでていたので、最後まで読みましたけど。。。 |
No.2 | 10点 | アデランコ | 2001/06/19 14:08 |
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シリーズのラスト?に相応しい合田雄一郎でした。 企業テロが与える影響を、企業・世間・警察・マスコミ・金融関係・政治家・暴力団等々ストーリーに織り交ぜた描き方は素晴らしい。 グリコ森永事件もこうだったらビックリだ。 映像化されたら「レディ」は誰がやるのだろう。 |
No.1 | 7点 | つよちゃん | 2001/02/24 19:01 |
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高村薫作品の中では一番好きです。ミステリーかどうかはよく分かりませんが。 |