皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
いいちこさん |
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平均点: 5.67点 | 書評数: 541件 |
No.13 | 5点 | メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー | 2023/08/24 14:02 |
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犯行プロセスの合理性・フィージビリティの低さ、意外性を追求するあまり、フィージビリティを無視した真犯人の設定、実証性に欠ける捜査プロセス等、ミステリとして評価できる要素に乏しい。
また、タイトルとは裏腹に、舞台を中近東とし、主要登場人物が遺跡調査に携わっているとする必然性が感じられない。 世評ほどの傑作と評価することはできない |
No.12 | 4点 | 謎のクィン氏- アガサ・クリスティー | 2023/01/18 13:04 |
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非常に世評が高い作品であるが、真相解明プロセスに論理性がまるでなく、ファンタジーのような印象を受ける。
読者をかなり選ぶだろう |
No.11 | 6点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2021/01/04 10:50 |
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一人称での叙述も含めて、よく考えられた作品ではあるのだが、騙しの手数が少なすぎる。
この舞台設定・登場人物であれば、読者が客観的・合理的にさえ考えれば、この真相に辿り着いてしまう。 演出の工夫次第で、より大きなサプライズを生み出せたように感じる点で、もったいない作品 |
No.10 | 5点 | スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー | 2019/12/01 17:53 |
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「とにかく犯人を捻ってやろう」と無理をしすぎていて、多すぎるガジェット、細かすぎる手がかり、明快さに欠けるプロット等、その副作用が強く目に付く。
その結果、誰が犯人と言われても納得せざるを得ないような、著者によるお手盛り感満載の作品になっている。 それでいて真犯人を決定づける証拠が無粋で面白味がない。 捜査プロセスにおける論理性の高さ等から5点の最上位と、水準には達しているものの、著者の作品としては凡庸であり、その後のすばらしい成長を逆説的に印象付ける作品 |
No.9 | 7点 | 検察側の証人- アガサ・クリスティー | 2019/01/04 15:13 |
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そのプロットから着地点がある程度察せてしまうのは大きな難点であり、軽量コンパクトという印象は拭えないものの、全体として非常に完成度の高い作品と評価 |
No.8 | 6点 | 五匹の子豚- アガサ・クリスティー | 2018/09/19 15:10 |
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一番底の真相があまりにも容易に推測できることが、却って二番底を深くしている非常に巧妙なプロット。
ただ惜しむらくは、二番底の前提となっている「被害者と容疑者の会話」に仕掛けられた罠がもたらす衝撃が、翻訳によって相当に弱められていると推察されることであるが、これは当然著者に帰責する訳ではない。 一方、本作のプロットを事後的に俯瞰すれば、真犯人はどうしても一定の条件を満たす人物に絞り込まれてしまう点で、傑作とまでの評価は難しい |
No.7 | 6点 | 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー | 2018/03/06 15:26 |
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プロット全体の重要な前提となる、ある事実が判明した瞬間、プロットが一挙に反転し、真犯人が特定されるという構成の妙は買う。
しかし、犯行の動機や目的に比して、その手段があまりにもリスキーであり、それが全く露見しなかったことも含めて、リアリティが感じられない。 真相解明に至る推理のプロセスにも疑問が残り、世評ほどに高く評価することはできない |
No.6 | 6点 | 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー | 2017/09/05 09:25 |
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トリックは平凡であるものの、それを支える伏線・ディテールの巧みさに、確かな構成力が感じられた。
犯行動機に納得感が感じられないのが残念 |
No.5 | 6点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2017/04/28 17:21 |
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第一の犯行までに、やたら紙幅が割かれ、一見冗長に見えるものの、至るところに伏線とミスディレクションが仕掛けられており、ボリュームは多いものの無駄のない構成。
ただし、作者の作品の常として真相解明プロセスはロジカルではなく、または説明が尽くされておらず、飛躍を感じさせる印象が強い。 トリックも一定の堅牢さを備えているものの、結果として明かされる真相には意外性が乏しい |
No.4 | 6点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2017/02/20 20:22 |
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他の追随を許さないキャッチーなプロットに加え、それを活かすポアロへの挑戦状や、「あて先の間違い」を利用したトリック等にはさすがの手際を見せている。
一方、犯行自体の合理性とフィージビリティの欠如(特にカスト氏の利用)、真犯人の特定プロセスにおける論理性の欠如、露骨に怪しすぎるカスト氏の人物造形等の点で大きな減点があり、この評価に止まった |
No.3 | 8点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2016/10/27 20:37 |
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クリスティ再読さんの書評に共感。
本作の真相が比類なく独創的で衝撃的であることに疑いの余地はなく、これだけで9点・10点の評価に値する。 また、12名の乗客を書き分ける筆力と、それに起因するリーダビリティにも最高級の評価。 ただ、探偵の真相解明プロセスにおいて、多くの巧妙な伏線が活かされているものの、大筋としては極めて直感・情緒的なもので、論理性を欠く点は大きな減点。 その結果、作品中盤で多くの紙幅を割いた乗客への尋問や調査が十全に活かされたとは言えない。 犯行時間が極めて長くなることで、容疑者が抵抗し、また探偵が察知する可能性がある点等、犯行のフィージビリティにも疑問が残る。 以上を加減算してこの評価 |
No.2 | 8点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2016/07/26 14:40 |
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事前にトリック・真犯人を了知したうえでの読書にも耐え得るクオリティは流石の一言 |
No.1 | 10点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2016/05/17 18:35 |
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舞台設定とプロットの奇想が余人の追随を許さない。
多数の登場人物の描き分けと心理描写の手際、スピード感とサスペンスに満ちた筋肉質な骨格、登場人物の合理性を欠く行動、納得感に欠ける動機等々、そのディテールには毀誉褒貶があろうが、大胆極まる着想がそれらを問題にさえしていない。 明かされる衝撃の真犯人とそのトリック、印象的で美しいラストシーンを含め、ミステリの歴史における1つの金字塔 |