皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1667件 |
No.1227 | 8点 | 愚者の毒- 宇佐美まこと | 2019/08/17 20:58 |
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第70回日本推理作家協会賞受賞。裏表紙より~『一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!』~
なんと女性心理をうまく書く「男性」作家さんなどと思いながらの読書。読後「女性」作家さんと知り納得(苦笑~大変失礼しました)。他の書評をみると、ある仕掛けはすぐわかるなどの評が多いですね。私はホワイダニットのことばかりが頭の中にあり、まんまと引っかかってしまいました。重い題材だけれど後味は良い。ミステリー的にフェアに書こうとする著者の意志が伝わってくる作品でした。 |
No.1226 | 6点 | 日本傑作推理12選(Ⅱ)- アンソロジー(海外編集者) | 2019/08/15 18:00 |
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「神獣の爪」陳舜臣 8点・・・知人の妻が浮気?。その浮気相手が殺人容疑者に・・・短篇では勿体ないプロット。
「滑走路灯」夏樹静子 7点・・・元カレから殺人のアリバイ工作の話を聞く。彼は彼女に未練があると言うのだが。揺れ動く女性心理。 「殺意のまつり」山村美紗 7点・・・時効後、真犯人が名乗り出た。そのわけは?。オチがいい。 以下採点のみ 「駆ける男」松本清張 6点 「凍った時間」結城昌治 4点 「五島・福江行」石沢英太郎 6点 「柴田巡査の奇妙なアルバイト」西村京太郎 5点 「酒乱」笹沢左保 5点 「自負のアリバイ」鮎川哲也 6点 「尊属殺人事件」和久峻三 5点 「天分」海渡英祐 5点 「肉親の証言」佐野洋 6点 「柴田巡査の奇妙なアルバイト」西村京太郎と「自負のアリバイ」鮎川哲也は真相が共通しており選定ミスか?(苦笑) |
No.1225 | 6点 | 日本傑作推理12選(Ⅰ)- アンソロジー(海外編集者) | 2019/08/09 17:24 |
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「加えて、消した」土屋隆夫 9点・・・妻が遺書を残し自殺。遺書には妻の妹、佳代さんをよろしくとあった。妹は自分のことを「佳代さん」などと書くはずはないと言い出す。
「奇妙な被告」松本清張 8点・・・高利貸しを殺したとして逮捕された男は犯行状況や凶器について素直に自白した。決定的な証拠はなかったが・・・。裁判では一転して無罪を主張し出した。 「噂を集め過ぎた男」石沢英太郎 7点・・・誰からも相談を受けるような人のいい人物が毒殺された。動機がまったくわからない。 以下採点のみ 「死者の便り」三好徹 4点 「魔少年」森村誠一 6点 「断崖からの声」夏樹静子 6点 「優しい脅迫者」西村京太郎 8点 「証拠なし」佐野洋 6点 「海からの招待状」笹沢左保 6点 「復顔」草野唯雄 4点 「黄色い吸血鬼」戸川昌子 5点 「如菩薩団」筒井康隆 3点 エラリークイーン氏の寸評に「日本ではSF作品が推理小説に混じって発表されるケースが多く、この両者の境界は従来必ずしも明らかでなかったきらいがある。・・・」そうなんですよね。推理小説要素がいくら濃厚でも、SF要素が少しでもあれば、それはやはりSFでしょう?(笑)。 |
No.1224 | 8点 | エンジェルズ・フライト- マイクル・コナリー | 2019/08/05 16:27 |
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ロサンゼルスの「エンジェルズ・フライト」と呼ばれるケーブルカーが現場です。その付近にある名優アンソニー・クイーン氏(2001年86歳で没)の壁画が何回か登場するのですが、若い刑事はそれが誰だかわからない。トホホ・・・(苦笑)。作中で、主人公ボッシュ刑事の知り合いの元FBI捜査官マッケイレブに関する実話が「わが心臓の痛み」として映画化された。そのポスターを刑事が見て、主演イーストウッドはマッケイレブ本人とは似てはいないなどと「楽屋落ち」的な場面もあります。本主人公はスティーブ・マックイーン氏をイメージして書いたようです。なお、主人公ハリー・ボッシュの本名はヒエロニムス・ボッシュで「快楽の園」で有名な画家と同じです。名前の由来は1作目から読めばわかるのかもしれませんが、本作はシリーズ6作目で?でした。後の楽しみ・・・。評価は、真相が二転三転し読み応え十分なこと、背景も良く描かれているなどで8の上です。 |
No.1223 | 5点 | リスタデール卿の謎- アガサ・クリスティー | 2019/07/25 18:38 |
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12篇の短篇集。恋愛ものや冒険譚が半数位あります。
ベスト3は 「白鳥の歌」(8点)白鳥は死ぬ前に一番美しい声を出すという伝承があるらしい。「わたくし『トスカ』を歌うことはもう二度とないのよ」のセリフが心に沁みます。「お芝居はこれでおしまい!」とオシャレに短篇集のラストを締めくくっています。 「ナイチンゲール荘」(7点)どこかで読んでいると思ったら江戸川乱歩編「世界短編傑作集3」で「夜鶯荘」として紹介されていました。ブラックユーモア系です。 「リスタデール卿の謎」(7点)謎と真相のギャップが面白く微笑ましい。ハッピーエンド系。 |
No.1222 | 9点 | わが心臓の痛み- マイクル・コナリー | 2019/07/21 00:12 |
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表紙はクリントイーストウッド氏。読み始めると主人公のイメージとは合わず、ケビンコスナー氏を思い浮かべながらの読書となりました(笑)。登場人物の一人が「砂の器」を読んでおり、日本人読者にとってはうれしいところ。またアガサ・ファンとしては、U・Nオーエン氏の云われと同様な命名の小ネタがあり、ほくそ笑んでしまいました。高評価の要因は、伏線の回収が見事な点、動機良し、単行本上下と長いが飽きさせない点等々。著者の作品はハードボイルド系と長編(上・下)とのことで敬遠気味でしたが、今後読んでいきたいと思います。 |
No.1221 | 6点 | ブルックリンの少女- ギヨーム・ミュッソ | 2019/07/15 21:30 |
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裏表紙より~『人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクと共にラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。彼女の秘められた半生とはいったい…。フランスの大ベストセラーミステリー。』~
前半はいろいろな謎が提示され緊張感がありました。しかし、後半は視点の転換(失敗?)により、ややダレてしまったかも。ストーリー自体は新鮮味があるとは言えません。まあ、この手の王道を行った感じですかね。けしてつまらないということではないのですが・・・。 |
No.1220 | 8点 | オリジン- ダン・ブラウン | 2019/07/13 09:29 |
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「BOOK」データベースの内容紹介は、かなりのネタバレで興ざめです。シリーズ第1作「天使と悪魔」は宗教と科学の対立・共存がテーマでした。本作も同様ですが、日本においてはあまり興味のないテーマで痛いところ(苦笑)。しかし、宗教と科学の対立構造が単純明快に解説されていて大変勉強になりました。物語は「われわれはどこから来たのか、われわれはどこへ行くのか」(ゴーギャンの有名な絵画の題名であるのですが知りませんでした)という壮大な謎と暗殺者の黒幕は誰かという謎で引っ張っていきます。舞台はスペインのガウディの作品群で、AIも登場します。エンタメ系としてはまずまずのどんでん返しもあり楽しめました。「謝辞」で科学者、宗教学者、歴史家などの名前が100人近く挙がっており、かなり綿密な取材を行ったことが窺え+1点。 |
No.1219 | 5点 | ルパンの娘- 横関大 | 2019/07/03 16:35 |
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裏表紙より~『泥棒一家の娘・三雲華は、警察一家の長男・桜庭和馬と素性を隠して交際していた。ある日、華の祖父・巌が顔を潰された遺体で見つかり、華は独自に犯人を捜す。和馬は華と結婚を考えていたが、殺人事件を捜査する中で華が伝説のスリ師・巌の孫だと知り悩む。事件の真相と二人の恋の行方は?著者会心の長編ミステリ!』~
7月11日から深田恭子さん主演でTV放送されます。先日、そのロケが自宅の3軒先の空き家で行われました。ミーハー(死語?)興味で本書購入。 ラブ・コメディーですね。ミステリー部分は、若干のひねりはあるものの王道パターンでした。TV予告編や、ポスターによると出演者が泥棒スーツ?に身を包んでいます。原作にはそのようなシーンはありませんので、原作と違ったパターンが見られるのかもと期待(笑)。 |
No.1218 | 7点 | 江戸川乱歩全短篇<3>怪奇幻想- 江戸川乱歩 | 2019/06/30 10:00 |
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夢野久作氏の「江戸川乱歩氏に対する私の感想」の中で紹介された『白昼夢』~その純な、日本風な、ヤルセのない魅力に、私はスッカリ強直させられてしまいました。『蟲』~あられもない気分の変幻を、あんなに平気で扱い去った筆力の凄まじさには「鬼か人か」と叫びたいくらい、参いらせられてしまいました。~を拝読。
サブタイトルが怪奇幻想とあり、猟奇ものなどが多く収録された短編集(22篇)。 著者の一面でもあるグロさの極めは「虫」「白昼夢」(既読分では「芋虫」)。その他印象に残った作品は「百面相役者」「踊る一寸法師」「お勢登場」「人でなしの恋」など。読者を選ぶ作品集ではあると思います。 |
No.1217 | 5点 | アンドロギュノスの裔(ちすじ)- 渡辺温 | 2019/06/27 18:30 |
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夢野久作氏の「江戸川乱歩氏に対する私の感想」の中で紹介された『可哀相な姉』~素敵を叫ぶ~を拝読。昭和初期、モダンでハイカラがもてはやされた時代であったろうが、その裏で一部の女性たちは困難な生活を余儀なくされていた…そんなことが本作から浮かび上がってきます。ミステリー的には弱く、「嘘」を主題としたものが意外と多かった。
印象に残った作品 「少女」私は恋焦がれている乙女そっくりの少女を助け、キスをしたが・・・ 「象牙の牌」昔の武勇伝のおかげで命を狙われいるというのだが・・・ 「可哀相な姉」私は聾唖の姉に育てられ、やがて大人になった・・・ 「勝敗」兄嫁が崖から転落死、兄弟それぞれが自分が犯人というのだが・・・ 「遺書に就て」同居人が殺された。妻の遺書には私が犯人とあるのだが・・・ 「アンドロギュノスの裔」Y君は女優に恋をし、毎晩彼女の家の様子を見張っていた。やがて女中が出て来て私に恋しているでしょうというのだった・・・ 「兵隊の死」(ショートショート)死因について、シャアロック・ホルムスは頭をかいて当惑するのだった・・・ |
No.1216 | 5点 | 恐ろしき凝視- 甲賀三郎 | 2019/06/23 22:24 |
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12篇の短編集。夢野久作氏の「江戸川乱歩氏に対する私の感想」の中で紹介された『従弟の死』~純日本式の「良心の遊戯のモノスゴサ」がズンズン開発されつつあることを知った~を拝読。複雑なプロットを駆使した本格短篇の佳作です(9点)。それより驚いたのは、1926年海外某有名作品が発表されたのと同時期に、同トリックがこの作品で用いられていることでした。海外作品はメイントリックとしていますが、本作はサブトリックでした。ああ、なんと勿体ないこと!(笑)。「魔の池事件」と「黒衣を纏う人」がまあまあ面白かった。その他はやや落ちる印象。ご都合主義というより、探偵小説として成り立たないのではないかという作品もあったのが残念な点です。 |
No.1215 | 6点 | ペン先の殺意- アンソロジー(ミステリー文学資料館編) | 2019/06/22 11:11 |
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文豪によるミステリー風味の作品集。谷崎潤一郎「柳湯の事件」、芥川龍之介「疑惑」、大岡昇平「お艶殺し」、佐藤春夫「女人焚死」、松本清張「記憶」、坂口安吾「選挙殺人事件」、小沼丹「バルセロナの書盗」、山川方夫「ロンリー・マン」、曾野綾子「競売」、倉橋由美子「警官バラバラ事件」、遠藤周作「憑かれた人」、五木寛之「ヒットラーの遺産」、井上ひさし「鍵」、村上春樹「ゾンビ」
ベストは佐藤春夫「女人焚死」。足を縛られた女性の焼死体。一見他殺、しかし自殺の可能性も?。その他は、犯罪心理、幻想怪奇、ショートショートなどバラエティーに富んでいます。ミステリー度が弱いのは致し方ないところですが、谷崎、芥川などは独特な雰囲気を味わうことが出来ました。 |
No.1214 | 6点 | 乗客ナンバー23の消失- セバスチャン・フィツェック | 2019/06/09 17:50 |
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タイトルは、豪華客船で毎年平均23名の人が行方不明となっているところからつけられている旨。エンタメ系サスペンスです。ただ、動機が思っていたものとかけ離れ、結構重いものでした。ドイツ作品ですが、ラストはフレンチミステリー風。 |
No.1213 | 6点 | 鍵- 谷崎潤一郎 | 2019/06/07 23:59 |
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著者の「途上」や「私」は江戸川乱歩氏や横溝正史氏に多大な影響を与えたとのことです。その点についてはあまりピンとくるものがありません。つまり、二作品はそれほどミステリー要素があるとは思えないからです。しかし、ある書評に本作「鍵」はまさにミステリーであるとあり、棚から引っ張り出し再読してみました。本作は「猥褻か芸術か」と世間を騒がせたことで有名で、また何度も映画化されていますね(先月、逝去された京マチ子さん主演作もあります)。表紙と挿絵が棟方志功氏によるもので、全編日記形式であるのが珍しいです。性愛小説の端緒的作品?。ミステリー的には娘の関与が最大の謎でした。
(追記~横溝正史氏は昭和32年刊行開始の新書版谷崎潤一郎全集の月報で「鍵」に言及。本作を探偵小説であると言っています。) |
No.1212 | 3点 | ロード・キル- ジャック・ケッチャム | 2019/06/03 17:14 |
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病めるアメリカをオフ・ビート感覚で描き切る超異常心理スリラー、スティーヴン・キング絶賛とあるが・・・。 |
No.1211 | 3点 | 悪魔の関係- 笹沢左保 | 2019/05/31 18:12 |
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裏表紙より~『夫が16歳年下の女・マチ子と服毒心中! 遺体確認のため現地を訪れた妻・香代は、マチ子の婚約者・乙也に魅せられる。そして通夜の晩、ついに乙也に抱かれる香代……しかしそこに刑事が!? 執拗な愛撫に身を灼く香代の脳裏に黒い疑惑が。――魔性を秘めた男女の愛憎を、鮮烈な官能描写で描く大好評「悪魔」シリーズ』~
まずの驚きは、著者がこのような官能小説を書いていたことです(笑)。スポーツ紙に連載されたということで、まあ内容は推して知るべしですね。ミステリー部分はそれなりのオチはあるのですが、そこに至る過程がご都合主義と言われても致し方ない。 |
No.1210 | 6点 | 黒い睡蓮- ミシェル・ビュッシ | 2019/05/29 21:24 |
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フェアかアンフェアか?。完璧にアンフェアです(笑)。2004年の浜名湖花博で見学した「モネの庭」をイメージしながらの読書。ラストがよかったという書評が多いが、さて・・・。 |
No.1209 | 6点 | 夜市- 恒川光太郎 | 2019/05/23 14:08 |
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~何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ「夜市」に迷い込んだ祐司は、あるものと引き換えに野球選手の才能を手に入れた。エースとして成長した裕司ではあるが、罪悪感にさいなまれていた~
「夜市」「風の古道」の2中編。「夜市」は第12回・日本ホラー小説大賞受賞作。しかし、完全にファンタジーの世界です。たまにはいいかも。 |
No.1208 | 6点 | 魔眼の匣の殺人- 今村昌弘 | 2019/05/21 22:34 |
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緊張感がなかったことが残念。それは葉村譲視点に起因するものと思います。彼は前作で殺人不感症におちいっています。よって彼が殺人に関し、ハラハラドキドキしなければ、読者も同様にハラハラドキドキしません。動機は新機軸で新鮮なのですが、いま一つ納得性に欠けていました。一人の動機であれば、まったく問題ないのですが・・・。本作の場合、ご都合主義と言われても致し方ない。光っている点は、時計に関するロジックですね。まあ、前作が強烈過ぎたので、それと比較して本作はこの点数で。 |