皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ムラさん |
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平均点: 4.28点 | 書評数: 296件 |
No.276 | 4点 | モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2013/03/02 11:08 |
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想像していたよりも本格的な推理小説で面白かった
主人公の考え方も好き この作品がミステリ界に与えた影響はとても点数に出来るものじゃないが,純粋に面白さだけみて点数つけるとこんな感じ |
No.275 | 2点 | SOSの猿- 伊坂幸太郎 | 2013/03/01 21:53 |
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駄作でもないし、いい話ではあるのだが、いかんせん楽しむことが出来なかった。
ストーリーがあまり進んでいるように感じないというか単調。なにより話の枠組みのタネあかしをされてもたいした感動が無かった。 ちょっとためになる話的なのを重視すすぎて肝心の内容が薄くなってると個人的には思った。 伊坂お得意の逆転劇も大して出てこないし。 |
No.274 | 2点 | パラドックス13- 東野圭吾 | 2013/02/26 15:42 |
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善と悪を明確にしたキャラがそれぞれ対立して「生きるための善とは悪とは何か?」をうっとおしいくらいひたすら問いてくる作品。
一言で言えば東野作品らしくない印象。 もっと意外な謎で引っ張り、思いっきり負の方向に叩きつけつつも最後にバシッと決めてくれるいつもの作風とは全然違うのでそこがまずガッカリ。 pー13の真相は面白かったけど、それでもオチはありきたりだし。 やはり、この人の作品なら、読者を騙してやろうという本格ミステリが見たいと改めて思った ただ、東野作品なのでそこはいつも通り読みやすいです。最後まですらすらと読める。問題はオチや展開が手抜きとしか思えないくらいセオリー的なところ。 ところで河瀬はどうなったんだろ |
No.273 | 3点 | 独白するユニバーサル横メルカトル- 平山夢明 | 2013/02/26 01:50 |
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なかなかにグロ描写のある短編集。というか表紙の時点でオドロオドロしい。
しかし個人的に好きなのは描写のグロい奴よりも、SFちっくなオペラントの肖像と卵男である。 また、表題でもある独白するユニバーサル横メルカトルも犯罪の手引きを意思のある地図がするって設定が奇抜で面白かった。 残念なのは、オチがイマイチない作品があるのと、オチが面白くても何作か見るとどれも似たり寄ったりだなと感じる部分である。 とくに、グロ描写を頑張ってる作品はオチがない傾向に強かったから、もうちょっとSFちっくな設定のある作品を見たかった |
No.272 | 8点 | 後巷説百物語- 京極夏彦 | 2013/02/18 01:41 |
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この作品単品の評価だと7点くらいだが、巷説百物語シリーズとしては文句なく8点。
不思議な事なんてこの世にはないと散々謳い文句にし、すべての不思議は人間が裏で仕掛けているといわれてるのに、どうしても怪異を信じたくなる。 あえて怪異が死んだ文明開化後で怪異の話をすることで、不思議な事を信じていない昔の人こそ不思議に溢れているというのがよくわかる。 最初は、不思議を信じてない時代に移り、又一もでないでこじんまりとして寂しかったが、それもテーマの一つとなると感動が湧く。 手負い蛇あたりまでは、単に百介が昔語りをするだけの短編集だと思っていたが、山男から一気に巷説百物語としての確信に迫られていった印象。 最後はハッピーエンドなのに寂しかった。百物語が終わった気がして。 でも、ただ妖怪の存在意義が消えて寂しいってだけじゃなく次の世代に受け継ぐ構成なのが良い。 |
No.271 | 7点 | 続巷説百物語- 京極夏彦 | 2013/02/08 18:02 |
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(軽いネタバレあり)
前作の仕置き人短編集な作品から、一気に濃厚な百物語に昇華したイメージ。 この作品で個人的に何よりも面白い所は悪行も、仕掛けも、すべて人間がやったことなのに、それでも祟りや妖怪がやったとしか感じられない所にあった。 昔の人たちが祟りや妖怪を恐れていたのは、無知からではなく、そうしたほうが収まりがいいからと京極も言ってたが、この話をみるとさらに納得させられる。 起承転結の流れも秀逸で、序盤で謎をばら撒き、後半で回収するというミステリとしての体裁もきっちりそろっている。 この作品で出てきたもっとも醜悪な悪人も、単なる生まれの環境の所為にしなかったところも好印象。 ただ、残念だったのは取り巻きの四人の背景をもうちょっと他の話で見たかったかな。このうちの二人はガッツリ書かれてたけど、残り二人がぱっと出てぱっと消えたので印象に薄い。 しかし、百介は晴れて作家になったことでより一層関口くんみたいなキャラになってる気がする。 |
No.270 | 3点 | グラスホッパー- 伊坂幸太郎 | 2013/01/29 14:58 |
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(軽いネタバレあり)
伊坂によくある逆転劇は面白かったのだがその他の物語が微妙な形で終わってしまった。 殺しやの物語というよりはちょい安っぽい裏社会の話に感じた。 伊坂節の岩のキャラはよかったけど他はちょっと薄い感じ。鈴木みたいな流されタイプもまた伊坂の小説にはけっこう出てくるけど。 一番不満だったのは三人が交差したとき大した事件が起きなかったと |
No.269 | 4点 | ラヴクラフト全集 (7)- H・P・ラヴクラフト | 2013/01/25 19:13 |
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これにて終了。
一番残念なのはこの作品の中でも特に面白そうだった断片が未完だったこと。末裔と本はヨグとネクロノミコンの事を言ってると思うので、銀の鍵の扉を越えてで完結してる気がするけど、アザトホースはドリームランドの保管として続きを読みたかった。 サルナス、イラノンはダンセイニ風の神話ファンタジーで結構楽しめた。木なんかもセオリーどうりの話だが、文体が好みだったので楽しめた。しかしこの巻を見ると、ラヴクラフトがギリシア神話大好きなのがわかる。ノーデンスとギリシア神話の神々がコラボしたのには笑ってしまった。 ファラオとともに幽閉されては、訳者の解説見た感じ仕方ないとはいえさすがに説明が多すぎないだろうか。 とはいえこれでおしまいと思うとさびしくもある。まぁ別冊あるのだけれども |
No.268 | 4点 | 黒死館殺人事件- 小栗虫太郎 | 2013/01/10 18:36 |
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まさに奇書にふさわしい一冊。内容もそうだがこれだけの量の下地を書いた作家にも当てはまる。
暗号の解読やトリックなんかは割とこの本の中ではわりとまともでまだ楽しめたのだが、他の大半の部分は意味不明だった。とくに法水が閃いた後のマシンガントークは読者を撃ち殺すかの如くの勢いで何度か読み直してやっと輪郭を掴めたかなって感じだ。 超時間かけて読み終わったこの本だが、他人に「面白かった?」と聞かれても「わからなかった」としか答えようがないのが残念。同様に「読み辛かった?」と聞かれても「わからなかった」としか答えようがない。例えるなら、専門分野外の論文を読まされているような感覚。 そういう面も含めて、点数は個人的に平均点と決めてる4点。 この本そのものが謎なせいで面白いつまらないの感想が出せないせいである。 もしこの本の中にある蘊蓄が身についたら、今度はしっかりと点数をつけたいものだ。 とりあえず自分はゲーテを読もうと思った。 |
No.267 | 5点 | ラヴクラフト全集 (5)- H・P・ラヴクラフト | 2013/01/09 20:31 |
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比較的、他の全集に比べて合う奴が多かった今回。
解説を見ると凡庸な作品との評価を受けた「死体蘇生者」はだからこそなのか、ラヴクラフト作品の中でもトップクラスに読者を想定した感じに書いてあってかなり楽しめた。研究に没頭する様とか疫病が流行った感じなんかがわかりやすくてよかった。 ただ、本作で一番楽しめたのは「魔女の家の夢」である。さほど横道にそれずに徐々に未知の恐怖が主人公を浸食していく様がありありと浮かんで楽しめた。それと同じタイプで「神殿」なんかも深海に潜む恐怖に包まれる船員たちの心情が面白かった。 「ダニッチの怪」の見えざる怪物にやられていく様はこれらとは逆に直接恐怖に貶める感じだったかな。この作品は魔女の家の夢の次に怖い作品だったかも。 「レッド・フックの怪」はラブクラフトにしては珍しく、ヘカテーとかヒュドラとかリリスとかセフィロトとかユダヤ教&ギリシア神話に関する事柄がド直球に出てきてた。それまでもダゴンとかいたけど、これはラヴクラフト風味にアレンジされていたのに対し、この作品はそのまんま持ってきたような感じだった。千なる貌をもてる月霊もナイアルラトホテップのことかと思ってたらどうも、ヒュドラのこと言ってるらしいし。 余談。 「死体蘇生者」にて、ある黒人の顔を『名状しがたいコンゴの秘密と不気味な月の下でひびくタムタムと言ったもの』と例えているが、タムタムのような顔ってどんなのだろう。 |
No.266 | 7点 | ラヴクラフト全集 (6)- H・P・ラヴクラフト | 2012/12/30 20:52 |
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怪奇小説なのでジャンルをホラーにしたけど、本当はSF・ファンタジーにしたいくらい本作はそっちの色が濃かった。特に未知なるカダスに夢を求めてはラヴクラフト作品の総結集という風に感じた。正直、他の作品はポウのようなホラーの枠を出ていなかったが、この作品集で一気に気色が変わった印象。
解説見てランドルフ・カーター連作は冒険小説の気色が強い感じなのでそっちに入れることにしました。 銀の鍵の門を越えてのカーターとヨグ=ソトースの関係をみると他の作品の主人公もカーターが夢見ていた登場人物ということになるのかな? ラヴクラフト作品をこれから見るって人がいるならこの作品集のランドルフー・カーター連作の中でも<銀の鍵の門を越えて>と<未知なるカダスに夢を求めて>を特にオススメしたいです。前者はラヴクラフトのSFホラーの総決算、後者はラヴクラフト世界の総決算というイメージを抱けたので。(まぁ、ホラーじゃなくて完全に冒険譚なんだけど) 余談 銀の鍵の門を越えてだけ外なる実体というかヨグが明らかに神聖な者として描かれてるのはホフマンのアイディアを取り入れたからなのか、単に元々そういうつもりなのだろうかどっちなのだろう。それくらい、五巻のダニッチの怪でのヨグの扱いと本作の扱いが違う気がする。というかこの話は他のホラーに描いてる話と違ってけっこう異質に思えた |
No.265 | 5点 | 夜の国のクーパー- 伊坂幸太郎 | 2012/12/18 22:17 |
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感覚としてはオーデュボンの祈りと同じ感じのSFファンタジー。船の出た主人公が普通の世界とちょっと変わった異世界にたどり着くといったもの。
内容は猫と鼠、鉄国と視点の国などを絡めさせて、敵の真の目的などを読者に悟らせる感じだが、個人的にはあまり謎解きや驚きのオチを出したかったわけではないように感じた。物語の趣旨としてはどちらかというと風刺重視に思えた。 主人公が猫視点なので、敵国に襲われる民衆の姿もちょっとほんわりした第三視点で見れたかな。個人的には猫が感じる鼠への感情とか、猫の仕草が細かくてよかった。 まだ、だれも書評してなかったのでネタバレは避けておきます。 |
No.264 | 4点 | ブルータスの心臓−完全犯罪殺人リレー- 東野圭吾 | 2012/12/13 20:44 |
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(軽いネタバレあり)
相変わらず倒錯物のプロットはうまい。飽きが来ないですらすらと読める とくに、殺人リレーというハウダユニットを見せるものと見せかけて、ホワイ、フーダニットを魅せて行くのがお見事。 ただ、最後の〆が不満。もう完結ってことでタイトル通りに終わらせたかったのか、主人公の拙い行動に不満が。これまでそこそこは慎重に行っているのに対して。 星子にしても、あれだけ出したなら、もう少し事件に絡んでほしかった。 というわけで、この点数ですが、東野作品じゃなかったら、5か6点くらいはつけてた出来でした(それだけこの人の倒錯物には期待してしまう) |
No.263 | 4点 | ラヴクラフト全集 (4)- H・P・ラヴクラフト | 2012/11/28 18:22 |
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解説にもあるが、本作は狂気の山脈にての中でラヴクラフト作品にちょくちょく顔を見せる<旧支配者>についての歴史が濃厚に書かれている。
だからというわけじゃないけど、<旧支配者>達の神殿の情景[この描写がちと長かったが]やシュゴスに恐怖する主人公たちが鮮明に書かれていて面白かった。 本作は科学的な一面を強くだした短編集とあるように宇宙からの色や眠りの壁の彼方はSF的なホラーになっている(というよりもこれはラヴクラフト全般に言えることなのかな) 冷気とピックマンのモデルは典型的なホラーという感じ(解説ではポオの影響そのまんま出てるとも) どうでもいいが、最後の解説にあるピックマンのモデルの絵がファンタジーに出てきそうな感じでちと可愛かった |
No.262 | 5点 | ジグβは神ですか- 森博嗣 | 2012/11/20 18:59 |
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(ネタバレあり)
久々の新刊。 ジェーンに真賀田博士疑惑が浮かんだときは「なんか凡人的なこと言う天才になっちゃったなぁ」と劣化具合に嘆いたが偽物と聞いて安心。新作で急に方向性変えたのかと思った。 本編のネタは普通にミステリしていて満足。ところどころ回収されるのか不安な複線があるが。 しかしあの探偵の正体がやっとわかった。逆にこれまではわからんわけだ。 しかしみんなけっこう成長したなぁ。最終巻あたりで全員老人レベルまで成長するような気がしてきた |
No.261 | 3点 | 時間の砂- シドニー・シェルダン | 2012/11/13 20:45 |
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歴史小説としてみるならありだけど、サスペンスとしてみるとちょっと物足りなかった。
4人のシスター達の人生をそれぞれ比較して読むような話ではあるが、前半に一気に自己紹介に使った所為で話の進みがちとのろくなった感がある。 メーガン、ルチアは必要なシスターであったし、テレサも発狂の理由が長く書かれていたから説得力もあったが、グラシエラだけはいらなかったような気がする しかし、三点を付けた自分が言うのもあれだが、スペインの歴史に触れる小説としては文章も読みやすく、オススメな作品ではあります。 |
No.260 | 8点 | ジェノサイド- 高野和明 | 2012/11/10 04:08 |
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実際に起こっている戦争の悲惨さや、不治の病と闘う人たちと化学者の葛藤。そのリアルさが溢れていたから、本当に起こってもおかしくないという説得力が凄いあった。
少し専門分野的な話が多かったかなと思うけど、戦地で戦うイエーガーと不治の病の薬づくりに挑む古賀というまったく別種の話を同時並行しつつ、しかもどっちも勢いを落とすことなく最後まで読み終えるような内容には素晴らしいとしかいいようがない。もちろんルーベンスサイドの話もわくわくしながら読めた。 SFとしても読めるし、ハリウッドみたいなアクション物しても読めるし、謎を探求するミステリとしても読めるエンタメ性のある一冊でした。 欲を言えば「エマ」の正体で驚きが欲しかったかな。あとはバーンズの人間描写も。 |
No.259 | 2点 | ビブリア古書堂の事件手帖- 三上延 | 2012/11/05 16:02 |
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つまらなくは無かったけど、そこまで惹かれる部分もなかった。
もう少し、本についての薀蓄を聞きたかったかなぁ。 最後は続巻が見てみたくなる終わり方ではあったけど |
No.258 | 6点 | 砂漠- 伊坂幸太郎 | 2012/10/29 18:49 |
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安心して読める良い作品だった。
やっぱりこの人はこういうキャラ物を描くの上手い。 特にプロットとして一番好きなのは夏の章だった。 正直なところそれまで西嶋は好きになれないキャラあったけど、(特に鳥を見てロン!とか強引なところ)あのオチを持ってこられたら好きにならざるをえない。 莞爾の幹事とか古賀とかわりと出てこないキャラもしっかりとしていていい。莞爾とか特に春のほうは嫌味なだけのキャラだったのに。 あと個人的に南みたいなキャラは可愛くて好きだ。 |
No.257 | 4点 | ラヴクラフト全集 (3)- H・P・ラヴクラフト | 2012/10/25 03:19 |
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一巻の闇に囁くでも思ったが、ラヴクラフトは主人公が狂った友達あるいは知り合いの経過を眺める話のが心理描写の比率が多くて面白い。というわけで三巻で一番よかったのは戸口にあらわれるものである。アウトサイダーは驚異的な読みづらさ以外はセオリー的なホラーだったかな。家の中の絵も比較的ホラーのほうに比率が傾いていた気がする。普段、自分は解説などは読まないで次の本を読み始めちゃうのだが、この翻訳者の解説は作品に理解の補強に役立つので見ていて損はないと感じた |