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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.680 6点 忍びの卍- 山田風太郎 2010/07/08 18:45
徳川家光の時代を背景に、公儀忍び組の統一問題が絡んだ陰謀劇。
甲賀、伊賀、根来の三派の代表に加え、大老の命を受けた柳生流剣法の使い手の4人がまさに卍状に絡み合っています。
ほとんど4人の争いに焦点が絞られていますので、人物造形も比較的ていねいに描かれていて読みやすい。
今作も、最後に忍者の宿命と悲哀が浮かび上がります。

No.679 6点 外道忍法帖- 山田風太郎 2010/07/08 18:44
切支丹の隠し財宝を巡る三つ巴の忍法合戦。
あまりに多数の忍者が登場し名前を覚える前に死んでいきます。なにせ、伊賀忍者15名×甲賀忍者15名×切支丹童女15名が入り乱れています。
「甲賀忍法帖」などの使い回しの忍法であったり、戦いがあっけなく決着するケースが多々あり、合戦ゲームとしてはいまいちですが、財宝をめぐる伝奇ものとして楽しめました。

No.678 7点 くの一忍法帖- 山田風太郎 2010/07/08 18:44
大阪城落城後の千姫を守る5人の女忍者と徳川家康傘下の伊賀忍者5人の忍法合戦。
もちろん女の武器を用いた忍法が読みどころ(笑)ですが、原作は映画ほどエロチックではありません。
秀頼の落し胤を宿した5人の女忍者たちの行く末は明白ですが、史実を覆す終盤のサプライズには、きっちり伏線が張られていたのはさすがです。

No.677 8点 風来忍法帖- 山田風太郎 2010/07/08 00:19
風来坊の7人の香具師たちVS風魔忍者という構図で、忍法帖本来の楽しさを満喫させてくれる隠れた傑作です。
どうしようもない風来坊の男たちが、麻也姫というヒロインに出会って心機一転、困難なミッションに挑むというストーリーは、後の山田正紀に見られる素人VSプロのアクションものに影響を与えたに違いありません。
主役格の7人の男たちが個性豊かで、読むほどに魅力に満ちて来るのは不思議な感覚です。

No.676 6点 伊賀忍法帖- 山田風太郎 2010/07/07 23:57
傑作「甲賀忍法帖」と対になるタイトルですが、内容に直接の関連はありません。
飛び抜けた能力がない一人の伊賀忍者VS松永弾正率いる根来忍者衆というのが対立の構図で、主人公の置かれた立場上感情移入しやすいかもしれません。

No.675 6点 柳生十兵衛死す- 山田風太郎 2010/07/07 23:30
柳生十兵衛三部作の第3作。
十兵衛が室町時代にタイムスリップするという設定自体もはや忍法帖シリーズとは言えないでしょう。相当後期の作品で、作者も忍法帖に飽きていたことを如実に現しているプロットです。
主人公よりも、世阿弥などの能の世界の興味で書かれたような作品でした。

No.674 8点 魔界転生- 山田風太郎 2010/07/07 23:30
柳生十兵衛三部作の第2作。
山風忍法帖の中で一般受けナンバーワンは本書でしょう。当初のタイトルは「おぼろ忍法帖」でしたが、映画化もありインパクトがある作中に出てくる忍法名に改題されたようです。
他の忍法帖と大きく異なるところは、設定自体が忍法魔界転生による剣豪たちの蘇生にありますが、物語中の活劇は忍法ではなく、剣劇が主体という本格的な剣豪小説の趣が強い点でしょうか。
天草四郎をはじめ宮本武蔵、荒木又右衛門など多彩な敵役の魅力も見逃せません。

No.673 8点 柳生忍法帖(上・下)- 山田風太郎 2010/07/07 23:30
柳生十兵衛三部作の1作目。
山風忍法帖はページ分量が多い作品ほど面白いというのが定説のようです。本書も大作ですが、忍法帖と銘打たれるほど忍法が出てこない点では異色です。
千姫の命を受けた十兵衛が、7人の女性の敵討の助太刀をするというのがメインプロットで、伝奇時代小説を思わせる波乱万丈の謀略戦が読みどころ。奇想天外さがない分、往年の時代小説ファンにも抵抗なく受け入れられる内容です。

No.672 7点 妖異金瓶梅- 山田風太郎 2010/07/07 23:29
中国宋代を時代背景にした艶笑譚を元ネタにした連作ミステリ。
連鎖式短編集を読んでいくうちに、いつの間にか長編ミステリに変貌していきます。豪商の妻と7人の妾の間で次々と殺人事件が発生する様は、だんだんマンネリ感が漂ってきて、ミステリ趣向よりも、ある女性の人物造形に引き込まれる創りになっています。

No.671 7点 明治断頭台- 山田風太郎 2010/07/07 23:29
山風の明治ものと言えば、史実の隙間に大胆なフィクションを織り込んだ謀略系の時代小説が大半ですが、本書は連作式の本格ミステリとなっています。
各編とも明治時代ならではの奇抜なアイデアに機械トリックを多用しているところが異色で、しかも最終話で単なる本格編ではないことが判明します。最後に作者のメッセージが現れている点では、他の明治ものに通じるところがあります。

No.670 8点 名探偵篇「十三角関係」- 山田風太郎 2010/07/07 21:54
ミステリ傑作選2(光文社文庫)。
著者唯一のシリーズ探偵・荊木歓喜先生ものの集大成。
表題作の長編「十三角関係」は、タイトル通りの複雑な人間関係の中に組み込まれた構図と、真犯人の動機の凄まじさが非常に印象に残る傑作。
短編の中では、「帰去来殺人事件」がずば抜けて面白い。探偵が事件とどのように関わるかという命題はクイーンを彷彿とさせ、差別用語がトリックに繋がるところは「獄門島」を連想しました。

No.669 8点 本格篇「眼中の悪魔」- 山田風太郎 2010/07/07 21:32
ミステリ傑作選1(光文社文庫)。
タイトルの”本格篇”は、必ずしも内容に沿っているとは思いませんが、次の”名探偵篇”とのかね合いでしょうか。とにかくファンには贅沢なラインナップです。
「誰でも出来る殺人」は、短編の連鎖式による長編ミステリで、現在の新本格もしくは折原一が書いたと言ってもいいほど先駆的なプロットで、最終話でのサプライズもお約束の構成。
夏目漱石とホームズが競演する「黄色い下宿人」はいまやパスティーシュの古典名作でしょう。
「厨子家の悪霊」のドンデン返しの連続技もすごいですね。

No.668 6点 夏の魔法- 北國浩二 2010/07/07 18:39
南国の離島を舞台にした恋愛ミステリ。
長編2作目ですが、デビユー作と比べて格段に文章がうまくなっていることに驚く。
特殊な病気に罹患した主人公の女性の心情描写には惹き込まれますし、島の情景描写も目に浮かぶようです。それだけに、ミステリとしての結末の付け方に若干の不満が残りました。

No.667 5点 リバース- 北國浩二 2010/07/07 18:26
物語が中盤以降に別の様相を呈してくるプロット創りの巧みさは評価できますが、ミステリの仕掛けとしては、伏線が丁寧過ぎるため真相が透けて見えるのが残念です。
現在流行りのタイプのミステリ趣向では、他の秀作と比較すると、どうしても分が悪い感じを受けます。

No.666 4点 ルドルフ・カイヨワの憂鬱- 北國浩二 2010/07/07 18:26
SF系の新人賞受賞作ですが、むしろミステリ寄りの作品。
近未来の米国を舞台に、先端医学をテーマにしたサスペンスをハードボイルドに近い文体で書いていますが、中心となる謀略は新味に欠け、硬い文章と相まって主人公の弁護士に感情移入できなかった。

No.665 5点 青い風景画- 仁木悦子 2010/07/06 22:01
ミステリ短編集(講談社文庫版)。
晩年に書かれた長めの短編5作収録されています。
なかでは、富豪の別荘での大胆なトリックが印象的な私立探偵・三影潤もの「青い風景画」が個人的ベスト。

No.664 5点 銅の魚- 仁木悦子 2010/07/06 21:52
ミステリ短編集(角川文庫版)。
収録6編のうち3編が子供視点の物語となっていて、相変わらず巧いです。
なかでは、一歳の妹の誘拐事件を小学生の兄の視点で描いた「誘拐犯はサクラ印」が印象に残りました。

No.663 7点 冷えきった街- 仁木悦子 2010/07/06 21:25
私立探偵・三影潤もの唯一の長編ミステリ。
短編ではあまり顕著ではありませんが、本書は著者がファンだというロス・マクを意識した複雑な家族関係を描いたハードボイルドになっています。
三影自身の暗い過去が明らかにされる点など、他のスマートな本格ミステリとはだいぶテイストが異なり、人物の書き込みにも厚みがあるように思いました。

No.662 6点 赤い猫- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
ミステリ短編集(角川文庫版)。
角川文庫から出ている作者の文庫本の表紙絵は全て猫のイラストで統一されていることに気がついた。猫など出てこない作品が大半なんですが、それだけ乱歩賞作品の印象が強いということでしょうか。
本書は比較的後期の作品が6編収録されていますが、協会賞を受けた表題作の「赤い猫」、三影潤ものの「白い部屋」、仁木雄太郎もの「青い香炉」の3作は、いずれもが安楽椅子探偵もので、ほかにも面白い仕掛けがあり楽しめる。

No.661 5点 枯葉色の街で- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
田舎出身の素朴な青年を主人公にした一種のミッシングリンクものの本格ミステリ。
拾った札入れの中の8枚の名刺の人物を訪ね歩くと殺人事件に巻き込まれというストーリーで、市井の名もなき人々を暖かい眼差しで見つめているのはいつものとおり。
清貧な昭和40年代初頭の香りが漂っています。

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