皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 2460件 |
| No.1180 | 6点 | 王者のゲーム- ネルソン・デミル | 2010/09/24 18:10 |
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| 偏見かもしれないが、同じ作者の作品でも他の出版社で出ているものは非常に面白いのに、講談社文庫になるととたんにつまらなくなってしまう気がする。ゴダード、コナリーしかりで、このデミルの作品もそう感じた。
物語は、JFK空港に着いた航空機乗客全員の惨事から、主人公とテロリストとの対決と、序盤はこの種のサスペンスの水準をクリアしていると思いますが、下巻に入ってから間延びした展開が続き、集中して読み続けるのが少々苦しかった。 主人公ジョン・コーリーの皮肉混じりのユーモラスな会話は前作同様さえていて楽しいが、物語から浮いた感じもしました。 |
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| No.1179 | 5点 | アリバイの唄- 笹沢左保 | 2010/09/24 17:39 |
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| 元警視庁捜査一課刑事のタクシー運転手・夜明日出夫シリーズの第1作。
このシリーズは、毎回トンデモ系のアリバイ・トリックを見せてくれますが、アリバイ・トリックのために何億円も支出するという犯人は前代未聞だろう、しかも、あの程度の殺人動機で。費用対効果を考えるとバカミスと言っていい作品。 探偵役のニヒルでストイックな造形は作者の定番ながら、木枯し紋次郎がタクシー運転手をやっているように思えて笑える。 |
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| No.1178 | 7点 | 完璧な絵画- レジナルド・ヒル | 2010/09/23 17:15 |
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| 英国ミステリ教養派の伝統を継ぐレジナルド・ヒルのダルジール警視シリーズ第13作。
ヨークシャー地区の片田舎エンスクーム村という魅力的な舞台設定を得て、古典パズラーでいう田園ミステリのテイストが全開で楽しく読めた。 今作は、醜悪顔でゲイという部下のウィールド部長刑事が主役を張って、個性をいかんなく発揮してくれています。多視点で語られていくバラバラの村のエピソードがまとまって、最後にどんな構図の絵になるか、それは読んでのお楽しみということで。 |
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| No.1177 | 8点 | グランド・ミステリー- 奥泉光 | 2010/09/23 16:45 |
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| 真珠湾攻撃さなかの、着艦戦闘機内という不可能状況での飛行士の変死から始まる壮大な物語は、太平洋戦争を背景にした歴史ミステリ。
主人公の眼を通してリアリティのある戦記ものの物語が展開していきますが、予言者や謎めいた研究所が登場してから徐々に様相が変貌し、伝奇ロマン風から最後はなんと歴史改変SFになっています。 ”二つの現実”と過去と現在が並行して描かれるなど、読者を混乱させるプロットはやや難解と思わせるところもありますが、文学性の高い異色のジャンルミックス・エンタテイメント小説で不思議な読書体験をさせてもらった。 |
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| No.1176 | 7点 | 裁くのは誰か?- ビル・プロンジーニ | 2010/09/22 17:58 |
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| 改選を控えた米国大統領の側近が次々と謎の死を遂げていくというポリティカル風のサスペンス、なんですが最後に明らかになる卓袱台返し的な仕掛けによって、毀誉褒貶入り乱れる怪作になっています。
この叙述方法がフェアかアン・フェアかと聞かれれば、アン・フェアと断言できますが、どんな手を使ってでも読者を驚かしてやろうという作者の意気込みは買えます。 せめて、複数の視点人物のうちジャスティス警護官とハーパー補佐官の部分を一人称記述にしていれば....などと、思わず作者を擁護したくなる。 |
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| No.1175 | 5点 | 三つの部屋の九つの謎- 海渡英祐 | 2010/09/22 17:30 |
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| 3つのシリーズ探偵ものの短編9編収録されているのがタイトルの由来。1つのシリーズものでは1冊が賄えない作品数のため、このような形になったものだろう。
怪盗スーハーは、海外作品によくある軽妙な泥棒探偵もので、設定、トリックとも目新しさのない連作でした。後半はバーネット探偵社の模倣になっている。 女性カメラマンを探偵役にしたシリーズでは「引伸した真実」が、男女探偵コンビものの定型を外した結末が意表を突く。 テレビのご対面番組でタレントの思い出の人を捜すという「探し屋」探偵が、私立探偵小説を捻った設定で面白かった。アリバイ崩しや密室もののトリックを入れたハードボイルド・タッチの作風で、2編で終えるのは惜しいと思わせる内容でした。 |
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| No.1174 | 5点 | 殺人混成曲- マリオン・マナリング | 2010/09/21 18:31 |
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| 大西洋航路の豪華客船上の殺人を扱った本格ミステリ。と書いても本書の特徴をなんら表現していない。
本書のウリは、ポアロ、クイーン、ピーター卿、ネロ・ウルフ、ペリイ・メイスン、マイク・ハマーなど、偶然9名の有名な現役名探偵が乗り合わせて、協調して事件を解決するプロットで、パスティーシュの大判振る舞いです。 しかし、この設定でこれだけ面白くないミステリになるとは思わなかった。ようするに探偵役が多すぎて、推理合戦ではなく、リレー形式で部分的に捜査に関与するだけなので、消化不良という感じです。 翻訳は都筑道夫他となっていて、9名の探偵パートで9名の翻訳者(マイク・ハマーは田中小実昌ね)を割り当てるなど、編集者は涙ぐましい趣向を凝らしているんですが、肝心の中身が伴っていませんでした。 |
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| No.1173 | 8点 | ガダラの豚- 中島らも | 2010/09/21 18:00 |
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| 超能力と新興宗教にアフリカの呪術、怪しげなアイテムを次々と繰り出して、読者を躁状態のまま最後まで引っ張っていく、この筆力はすごい。宗教・民俗学的な記述も多いが全く退屈と感じなかった。
超常現象の仕掛けを暴くトリック小説であり、アフリカに舞台を移した秘境冒険小説であり、オカルト紛いの呪術師との対峙によるホラー要素もある。超大作ながら途中で本を置くことが出来なかった、まさに総合エンタテイメント小説の傑作。 |
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| No.1172 | 6点 | 嘲笑う闇夜- ビル・プロンジーニ | 2010/09/20 16:19 |
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| 片田舎の女性連続切裂き魔を扱ったサイコ・サスペンス。マルツバーグとの合作第1弾。
文庫解説の折原一が書いているが「木製のジェット・コースター」という形容がピッタリで、カーブの毎にガタピシ揺れてゴールまで壊れずに到着できるのかという危うさが見え隠れするプロットでした。 後の「裁くのは誰か?」同様に、切裂き魔を含む複数の人物の多視点でそれぞれの内面描写を入れながら、場面転換を多用したスピード感ある展開で楽しめた。新聞の見出し記事で終えるエンディングはなかなか衝撃的だ。 |
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| No.1171 | 6点 | 死の命題- 門前典之 | 2010/09/20 15:58 |
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| 閉された雪の山荘を舞台にした「そして誰もいなくなった」型の本格ミステリ。
トンデモ系の個々のトリック、プロット全体の大仕掛け、カブト虫の亡霊の爆裂真相と、バカミス本格パズラーの王道を行く怪作でした。改稿があったにしても、後の鮎川賞「建築屍材」より数段出来がいいし面白かった。 |
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| No.1170 | 6点 | 俺たちには今日がある- トニー・ケンリック | 2010/09/19 15:33 |
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| 初期のスラプスティック・コメデイの一冊。余命1か月を宣告された男女2人が、怖いものなしの強みで暗黒街のボスに対峙するというストーリー。
素人が玄人集団に対して戦いを挑むというプロットは「バーニーよ銃をとれ」に通じるところがありますが、爆笑度は作者の作品のなかでもトップ・クラスだと思います。 また、毎度各作品に懐かしの名画をもじって、プロットに応じたしゃれた邦訳タイトルを付ける上田公子さんにも拍手。 |
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| No.1169 | 5点 | 夜宴―美少女代理探偵の殺人ファイル- 愛川晶 | 2010/09/19 15:11 |
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| 美少女代理探偵・根津愛シリーズの長編第1作。
扼殺死体が運転する車が高速道路から墜落。比較的長尺の物語をこの一つの不可能状況のみで引っ張っているのは結構キツイものがあります。ノベルズ版では解決編の部分を袋とじにしていますが、パズラーの趣向というより図解が読者の目に入らない配慮のようです。力技のトリックに対して、実際の事例を提示しての説明がくどいのは逆効果のような気がします。 |
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| No.1168 | 5点 | ミスター・ディアボロ- アントニー・レジューン | 2010/09/18 16:51 |
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| シルクハットにマントの謎の怪人、閉鎖空間からの人間消失に密室殺人と、前半部で立て続けにカーもどきの派手な展開を見せてくれますが、中盤以降は失速ぎみで、真相も分かりやすくやや拍子抜けでした。
しかし、よくこんなマニアックな本格ミステリを捜してくるなあと、扶桑社文庫には感心。よって採点にプラス1点。 |
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| No.1167 | 5点 | シェルター終末の殺人- 三津田信三 | 2010/09/18 16:32 |
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| 三津田信三シリーズの番外編。
核爆発と同時に核シェルターに閉じ込められた作家の三津田ら見学者6名内に発生する連続殺人、そして・・・誰もいなくなった。 途中までサスペンス・ミステリとして面白く読めたが、もともとメタ・ミステリと分かっていても、この結末には壁本扱いされてもしょうがないでしょう。 |
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| No.1166 | 5点 | ウルフ連続殺人- ウィリアム・L・デアンドリア | 2010/09/17 18:58 |
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| 「ホッグ連続殺人」に続く素人探偵ベイネデイッティ教授シリーズの第2作。
アルプス山中で開かれた国際的科学者集会を舞台にした連続殺人を描いていて、前作とは一転、非常にオーソドックスな本格ミステリになっています。 「ホッグ」のアイデアがあまりにもユニークだったため、本書は凡庸に感じてしまいますが、ていねいに伏線が張られていて、巷で言われるほど酷い出来とは思いません。まあ、現代のパズラーで狼男をネタに使うというのはどうかと思いますが。 少なくとも、残る未訳のシリーズ第3作を読んでみたい気にはなりました。 |
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| No.1165 | 7点 | 黒白の囮- 高木彬光 | 2010/09/17 18:30 |
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| 近松検事シリーズの第2長編。
前作はどちらかというと脇役に甘んじていた近松だが、本書は堂々の(といっても登場は物語の半ばから)名探偵ぶりでした。 ダミーの犯人にアリバイトリックを誘導させる手際とか、証拠を提示するタイミングなど偶然の多用が気になりますが、被疑者が二転三転するプロットは楽しめた。 ネタバレになるが、弁護士が張りきりすぎて、結果的に依頼人である真犯人を追い詰める決め手を提示してしまうという結末が皮肉に満ちていて面白い。 |
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| No.1164 | 7点 | 悪魔の涙- ジェフリー・ディーヴァー | 2010/09/16 19:24 |
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| 首都ワシントンを人質にしたタイムリミット・サスペンス。主人公が筆跡鑑定士というヒネリがはいっていても、基本的にリンカーン・ライムシリーズと同じジェットコースター・サスペンスで、最後の最後までどんでん返しで読者を翻弄してくれてます。
ライムやアメリア・サックスの特別出演ありの読者サービスというか”何でもサーガ症候群”は、コナリーともども米国人気作家の流行りなんだろうか? |
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| No.1163 | 5点 | 浅草殺人案内- 中町信 | 2010/09/16 17:33 |
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| 東京下町の鮨屋・山内鬼一が探偵役を務めるシリーズ第1弾。
莫大な遺産相続を巡って3人の相続人が次々と殺されていくというお話。いくら被害者と面識があって担当警部と同級生だったといえ、単なる寿司屋の主人がそこまで捜査に突っ込めないだろうとか、”浅草のミス・マープル”こと鬼一の母親タツのあのキャラはどうなんだろうとか、例によってツッコミどころが多く楽しめた。 |
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| No.1162 | 6点 | カナリヤの爪- E・S・ガードナー | 2010/09/15 17:59 |
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| 前作「どもりの主教」のエピローグで予告されていた「びっこのカナリヤ」事件。
依頼人女性の姉夫婦の家で発見された死体と、同時期に近所で発生した交通事故がどう結びつくのかがメインの謎で、お得意のトリックで意外な真相を見せてくれてます。カナリヤの爪はほとんど本筋と関係ありませんが。 最後に世界一周旅行に旅立つ船上で、メイスンが秘書のデラ・ストリートにプロポーズしますが、デラの返事とその理由がなかなかふるっています。 |
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| No.1161 | 6点 | 秋に墓標を- 大沢在昌 | 2010/09/15 17:45 |
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| 都会生活を捨て外房・勝浦で釣りをしながら気ままに暮らす男の前に、謎の女性が現れやがて失踪する。複数の組織の影を感じながら、その女性を追う主人公をしっとりとした文章で描いたハードボイルド。
「新宿鮫」などの派手なハードアクションものではありませんが、最近はこのようなゆったりと展開する物語が妙に読み心地よく感じる。 |
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