皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.8 | 5点 | 蠟人形館の殺人- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/24 18:41 |
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パリの予審判事アンリ・バンコランが探偵役を務めるシリーズ第4弾。
なぜか2、3作目はライン河の古城とかロンドンが舞台でしたが、今回は再びパリにもどり、蝋人形館での連続女性殺人事件に挑みます。 退廃的なパリの情景描写とか蝋人形館の雰囲気はよく出ていて、最後の大佐とのカード勝負の場面なども読ませはしますが、フーダニットとしては物足りなく思いました。翻訳が古いのも難点。 |
No.7 | 9点 | 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 20:47 |
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密室講義である程度手の内を明かしておきながら、さらに高度な不可能トリックに挑んだということで、極度に複雑なプロット&トリックになっています。
カーの代表作であることに異論はありませんが、読者が最初に手を出す作品でもありません。「ユダの窓」や「かぎ煙草入れ」などと違って、仕掛けをひと言で表現できない複雑さが、この作品の長所であり短所でもあると思います。 |
No.6 | 9点 | 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 20:31 |
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怪奇趣味が存分に発揮されたカーの個人的ベスト作品。
二人のジョン卿の真贋に関するスリリングな展開は最後まで物語に惹きつけられました。 トリックについては賛否が分かれるかもしれませんが、タイタニック遭難による後遺症がダイレクトに不可能トリックに結びつく趣向に感心しましたし、頭に浮かんでくるその状況から受ける衝撃は他の作品を圧倒していると思います。 |
No.5 | 5点 | 悪魔のひじの家- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 20:12 |
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60年代以降の後期の作品のなかでは比較的出来がいいと思いますが、密室トリックは多少改変されていても自身旧作の使い回しですので、カーを読みなれた人は察するのは容易だと思います。
犯人の意外性を追求する姿勢は変わっていませんが、隠蔽手段として関係者の嘘の証言が関わっている点は感心できません。 |
No.4 | 7点 | 囁く影- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 18:55 |
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パリ郊外の古塔最上階での不可能殺人をフェル博士が解く本格編で、中期の佳作だと思いました。
吸血鬼伝説は添えものという感じですが、物語導入部のミステリアスな情景描写や殺人クラブの雰囲気から引き込まれます。 カーの描く若い女性像はいつも類型的ですが、本書のヒロインのフェイ・ノートンの造形は異質で、あるミスディレクションに寄与していると思います。 |
No.3 | 7点 | ビロードの悪魔- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/20 15:57 |
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ディクスン・カーの歴史ものはあまり楽しめないけれど、本書の趣向には感心しました。
悪魔との契約によって魂だけが17世紀にタイムスリップし貴族に乗り移るという特殊な設定自体が、意外な真相に直結するとは思いませんでした。 非常によく考えられたフーダニットです。 |
No.2 | 8点 | 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/18 21:01 |
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作者の代名詞である怪奇趣味がまったくないスマートな本格編です。
有名な心理トリックについてはある程度途中で察することができましたが、トリックを隠蔽するための小道具の使い方や叙述の巧妙さなど、カーのテクニックを存分に味わう事ができました。 小道具の煙草入れについてはトリック成立に寄与すると同時に、その形状によりトリックを暴露するための小道具でもある訳で、そこに一番感心しました。 |
No.1 | 5点 | 震えない男- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/13 16:39 |
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フェル博士が古い屋敷に招かれた客人の密室殺人に挑むという著者定番のストーリー。創元推理文庫からは「幽霊屋敷」の邦題で出ていますが、ともに絶版のようです。
機械的密室トリックはちょっと推理するのは難しそうで、証言者の嘘が関与している点もマイナス要素です。 面白いのは、フーダニットに関してプロット上のある仕掛けをしているところ。これは、バークリーの某作を思い浮かべました。 |