皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.88点 | 書評数: 2474件 |
| No.2034 | 6点 | 世界で一つだけの殺し方- 深水黎一郎 | 2014/01/12 18:15 |
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| 芸術探偵こと神泉寺瞬一郎シリーズの中編2作収録。表題どおり、どちらも特異な殺害トリックを扱っているのが共通していますが、物語のテイストは対照的なものでした。
「不可能アイランドの殺人」は、家族旅行で訪れた地方都市で、小学4年生の女の子モモちゃんが次々と不可思議な現象に遭遇して...という奇想の連打と特殊な殺人トリックが読みどころ。舞田ひとみが探偵ガリレオしている感もありますが、ブラックな結末が後を引きそう。モモちゃんは今後の作品でも登場するのだろうか。 「インペリアルと象」は、ピアノの歴史などの音楽の薀蓄が満載で読む者の教養を高めてくれる正統の芸術探偵もの。殺害トリックはなんとなく想像がつくが、前段の物語とつなげる構成の妙と、救いのある結末で読後感は良。 |
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| No.2033 | 6点 | 氷結の国- ギルバート・フェルプス | 2014/01/10 18:39 |
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| 英国の名家一族のなかの変人で、アマチュア人類学者の大叔父ジョン・パー大佐が「私」に遺した日記には、南米アンデスの高地を探検した際に発見した、未知の谷に住む不思議な村民たちとの交流が綴られていた-------。
瀬戸川猛資編のガイドブック「ミステリ絶対名作201」からのセレクト。 同ガイドブックでは”本格”編に分類されていますが、謎解きの要素といっても、未知のインディオ種族の秘密ぐらいで、(それもタイトルから何となく想像がつきます)、どう読んでも”本格”とはいえないと思います。 ゴシックロマン風の枠組みの中に、秘境冒険小説風の大叔父の日記による記録が大部分を占めていますが、最後まで読むと日記の真偽をどう判断するかでガラリと印象が変わる、一種のリドル・ストーリーだと判断しました。(グレアム・グリーンも書評で「懐疑の時代の産物」と書いています)。ジャンル分類がちょっと難しい小説です。 |
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| No.2032 | 5点 | 烏丸ルヴォワール- 円居挽 | 2014/01/07 19:01 |
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| 京都に伝わる稀覯本の持ち主が不審死する。事件の真相とその本の継承を巡る兄弟の争いは、私的裁判”双龍会”で決着をつけることになるが、伝説の龍師”山月”の計略により、瓶賀流は仲間たちとの対決を選ぶことに------。
「ルヴォワール」シリーズの2作目。確かにこれは前作を読んでないとついていくのが厳しい。前作のネタバレもそうですが、最初は龍樹家と周囲の若い龍師たちの人物関係が思い出せず、把握するのに苦労しました。 で、前回と比べると面白さはだいぶ落ちるという評価です。ひとつにはクライマックスの双龍会での対決までの準備段階(ミステリ的には仕込みの部分)が長すぎる。もう一つは、設定された謎が小粒で魅力に欠けること。 もともと、本シリーズは謎解きというよりコンゲーム、ディベート合戦の面白さで読ませるのですが、今回は個人的にその部分が嗜好に合いませんでした。 |
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| No.2031 | 6点 | 盤面の敵はどこへ行ったか- 評論・エッセイ | 2014/01/05 22:01 |
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| 法月綸太郎氏のミステリ書評集第4弾。作者による”まえがき”にもありますが、2000年以降に色々な媒体に発表した文章を三部構成にまとめたもので、寄せ集めという感もあります。
第1部は、電子出版サイトe-NOVELSの「週刊書評」掲載文を中心としたもので、ハイランド「国会議事堂の死体」、コナリー「わが心臓の痛み」など海外ミステリの書評13編収録。本書の中では書かれたのが一番古く、”フランス新本格”などの言い回しが最早懐かしく感じてしまう。媒体の関係か、氏にしてはエッセイ風のわりと軽妙な内容になっている気がする。 第2部は、内外ミステリの文庫解説の転載が中心なので既読のものが多かったが、なかでは深水黎一郎の「エコール・ド・パリ殺人事件」の解説が秀逸。これが読めただけで十分。 都筑道夫とエラリー・クイーンに関する論考が中心となる第3部が本書のコアとなるパートで、さすがに作者の力の入り具合が違いますw 「黄色い部屋はいかに~」増補版の解説である都筑道夫論は既読なのが残念でしたが、クイーンに関するネタは無尽蔵な感じで、なぜ後期の代作者がSF作家ばかりなのか?など非常に興味深く読めました。 |
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| No.2030 | 6点 | 十二人の抹殺者- 輪堂寺耀 | 2014/01/03 13:17 |
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| 「謹賀死年」「死にましてお芽出たう」------同じ敷地に建つ2つの屋敷、結城家と鬼塚家の全家族12名のもとに殺人を予告する不吉な年賀状が届く。一方の家長が鍵のかかった部屋で惨殺される事件を発端に次々と両一族の者が殺されていく--------。
あの「本格ミステリ・フラッシュバック」で取り上げられた昭和のミステリ作家のなかでも、ひときわ異彩を放つ得体の知れない作家・輪堂寺耀の代表作。昨年半世紀ぶりに復刊された、日下三蔵編”ミステリ珍本全集”の2巻目で読みました。 昭和35年の発表当時でも時代錯誤と見做されたであろうコテコテの本格探偵小説です。密室殺人や雪上の足跡のない死体など、次々と連打される不可能殺人の謎は魅力的です。ただ、その謎を引っ張らず、読者が推理する暇なくその都度解き明かされ、フーダニットの興味主体で展開される構成がちょっともったいない感じを受けます。まあ、「四次元の密室」や「逆密室」という煽りが凄い割には、どの密室トリックも独創性はあまりないのですが。 事件が起こる都度、関係者に訊問を繰り返す同じパターンは単調ながら、名探偵・江良利久一(=エラリー・クイーンのもじりw)と叔父の佐藤警部らとの推理のディスカッションは意外と丁寧だと思います。 併録の「人間掛軸」も名探偵・江良利ものの探偵小説。床間に掛軸のかわりに死体を吊るす連続殺人には、見立て殺人という意味合いはなく、伏線や犯人特定のロジック面も弱いものの、怪奇趣向の冒険スリラーとして面白い、こちらも怪作でした。 |
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| No.2029 | 7点 | スノーマン- ジョー・ネスボ | 2013/12/30 13:22 |
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| オスロに初雪が降った日、ひとりの女性が失踪し、家の外には彼女のスカーフを巻いた雪だるまが置かれていた。既婚女性の失踪事件が多いことに不審を抱いていたホーレ警部のもとに、スノーマン(雪だるま)と名乗る人物からメッセージが届く-------。
ノルウェーのオスロ警察本部、ハリー・ホーレ警部を主人公とする警察小説シリーズの7作目(邦訳は2作目)。またひとり追っかけなければと思わせる、気になる北欧作家が現れた。 犯行現場がカーリング・リンクやスキーのジャンプ台だったり、ノルウェーの情景、風俗・文化を取り入れた、いかにも”北欧ミステリ”という道具立てですが、敏腕警部ハリー・ホーレVSシリアル・キラーという図式で何度もドンデン返しを演出するプロット自体は、北欧モノというより、ディーヴァーやコナリー、カーリイなどのアメリカ産の謎解きサスペンスに近いテイストを感じる。 アルコール依存で一匹狼の主人公というのは、まあ定形ではあるものの、新参者の女性刑事や身辺の人物たちの役割を巧く活かし、ジョットコースターサスペンスとなる終盤は読み応え充分。特に、雪だるまが溶けていくシーンは戦慄を覚えた。 |
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| No.2028 | 6点 | ドラゴンフライ- 河合莞爾 | 2013/12/26 20:11 |
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| 二子玉川の河川敷で臓器を抜き取られた焼死体が発見された。警視庁の鏑木率いる特別捜査班4人の捜査は、ダムに沈む運命にある群馬県の飛龍村で20年前に起きた夫婦殺害事件が今回の事件に関係することに気付く------。
”踊る大捜査線”風のライトな警察小説と、島田荘司(今は小島正樹?)ばりの奇想が連打される本格ミステリを融合させたシリーズの2作目。 テンポのいい語り口で非常にリーダビリティが高いのがまず良です。群馬の山奥で道に迷った男が見たのが東京にあるはずの我が家、というプロローグの不可思議現象をはじめ、巨大トンボや、死者からの電話など、今回もいくつかの魅力的な謎の提示で読者を引き込みます。ただ、電話の件はメイントリックを気付かせてしまう諸刃の剣かもしれませんが。 飛龍村で育った幼なじみ男女3人それぞれの20年後の運命など人間ドラマとしてもよく出来ていると思います。 |
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| No.2027 | 6点 | 北極基地/潜航作戦- アリステア・マクリーン | 2013/12/24 22:15 |
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| 北極冠にある英国気象観測基地で原因不明の大火災が発生、米国の原子力潜水艦ドルフィン号が生存者を救助すべく出航した。しかし北極海という自然との戦いに加え、艦内では不可解な事故につづき殺人事件までが発生する------。
”舞台が寒冷地域になるほど物語が冴える”といわれたマクリーンの北極圏を舞台にした冒険小説。 たしかに凍結した北極の海、吹き荒れる烈風との戦いなど、王道の冒険行はスリル満点の内容です。とくにブリザードのなか大氷原の捜索行の場面が圧巻のひとことです。 しかし本書の魅力は、その冒険小説としてのクライマックスを物語の中盤にもってきて、後半はフーダニットものの本格ミステリになっていることでしょう。自らも秘密を抱える主人公、英国海軍の軍医カーペンターが探偵役となり、(後出し情報もありますが)いくつかの伏線も張られたうえ、大団円では関係者を一堂に集めた謎解き披露という構成はなかなかユニークです。 |
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| No.2026 | 6点 | 宰領- 今野敏 | 2013/12/22 20:18 |
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| 国会議員が羽田空港からの帰路に失踪、大森署管内で運転手の遺体が見つかり犯人から警視庁に脅迫電話が入る。やがて事件の舞台は横須賀に移り、大森署のスーパー署長・竜崎は、犬猿の仲の神奈川県警との合同捜査を指揮することに------。
隠蔽捜査シリーズの5作目。今回の竜崎もブレはない。 あくまで原理原則を貫き、前作の”国の縦割り行政”に続いて、今回は警視庁と神奈川県警の確執を取っ払う。(「疑心」という変化球はあったけれど)正直シリーズの2作目からは内容はほとんど同じようなものと言っていい。捜査小説としてはあまり新味があるとはいえないが、このスカッとした胸のすく思いが忘れられず、ついつい読んでしまう。 ハンコ押し作業中の電話の対応策として、竜崎がハンドフリーのヘッドセットを考えるくだりには爆笑。 |
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| No.2025 | 7点 | 殺人者の湿地- アンドリュウ・ガーヴ | 2013/12/20 18:43 |
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| 富豪の娘との資産めあての結婚を目前にしたアラン・ハントだったが、ノルウェー旅行中に遊びで情事を楽しんだ純真な娘グウェンダが目の前に現れ妊娠を告げられる。窮地のアランは家の周辺に広がる湿地帯に目をつけ、ある計画を実行するが-------。
比較的翻訳状況に恵まれ60年代にポケミスから次々と邦訳作品が出ていたガーヴの、なんと42年ぶりの翻訳作品。なぜこれがいままで未訳だったのか不思議に思えるレベルの秀作だった。 冒頭は倒叙形式で語られるが、犯行場面の描写の直前で第1部が終わる。第2部に入り、捜査側の視点で語られるグウェンダ失踪に対するアランのアリバイなど、事件が雲をつかむような展開になるところが最大の読みどころ。二人の刑事による推理のディスカッションはコリン・デクスターの初期作を思わせる。またメインの仕掛けの部分が単純ながら意表を突くトリックで(解説の”国内の超有名作を想起させる”は慧眼)これは本格派志向の読者にも受け入れられるのではと思う。 |
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| No.2024 | 5点 | 鏡の城の美女- 石崎幸二 | 2013/12/18 18:28 |
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| 南紀白浜沖の島に建つ大手美容グループ所有の風変わりな城館。そのなかの、七枚の堅牢な扉で守られた奥の部屋で女社長の長女が焼死体で見つかった------。
会社員・石崎とミステリ研の女子高生3人組がボケとツッコミをかましながら、孤島での殺人事件を謎解くといった、毎度同じような設定のシリーズもいつの間にやら今作で10作目。 今回は”頭の体操”のとんちクイズのような密室トリックだったが、珍しく真相が途中で分かってしまった。そのトリックが分かると大凡の事件の構図が簡単に導き出されるのが難点だけども、それ以外のいくつかの伏線がなかなか巧妙で楽しめる。 |
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| No.2023 | 7点 | 探偵サミュエル・ジョンソン博士- リリアン・デ・ラ・トーレ | 2013/12/16 21:10 |
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| 18世紀英文学の巨人サミュエル・ジョンソン博士と、弟子の伝記作家ジェームズ・ボズウェルの師弟コンビによる探偵譚。
”クイーンの定員”に選ばれた第1短編集の収録作を中心に9編を収録した傑作選です。 シャーロック・ホームズの時代のさらに100年以上前の英国を舞台にして、全て実際に起きた事件を基に作者の創作部分を織り込んだ内容になっており、当時の政治体制など英国の歴史に詳しくない身には最初はとっつきにくい側面もありましたが、歴史上の有名人を何人か登場させている点が興味深かった。 蝋人形館でのトリッキィな殺人を扱った第1話「蝋人形の死体」だけは血生臭い事件ですが、他の作品は貴重品の盗難や消失もの、歴史秘話などが中心で正直ミステリとしては驚くような出来ではないですが、そのなかでも、サム・ジョンソン博士と盲目の治安判事ジョン・フィールディング卿という18世紀英国の二大ヒーローの共演作品「空飛ぶ追いはぎ」、当時の文化・風俗が消失トリックに結び付く秀作「消えたシェイクスピア原稿」、作者の代表作『消えたエリザベス』の短編ヴァージョン「女中失踪事件」などが特に印象に残りました。 |
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| No.2022 | 6点 | 伊藤博文邸の怪事件- 岡田秀文 | 2013/12/14 20:33 |
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| 小説家の私は、伊藤博文邸に書生として住み込むことになった青年の古い手記を古書店で入手する。それには、明治17年に伊藤邸で発生したある殺人事件の顛末が記されていた-------。
「太閤暗殺」や「本能寺六夜物語」など、ミステリ味を利かした時代小説を書いてきた作者による本格的な謎解き長編ミステリ。それほど期待せずに読みましたが、これは思わぬ拾い物でした。 作風はどちらかというと地味で、現代本格に見られる派手な趣向こそないものの、端正な仕上がりになっていると思います。地味といっても、梶龍雄を想起させるメインの〇〇トリックをはじめ、手記形式を利用したミスディレクション、巧妙なな伏線、書生2人による推理合戦、その時代ならではの犯行動機と、本格ミステリのツボをきっちり押さえていて、非常に好感がもてる佳作といっていいと思います。また、伊藤公をはじめ津田うめ、芸者貞奴などが重要な役割で登場し歴史モノとしても楽しめる。 |
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| No.2021 | 7点 | 暗殺者の鎮魂- マーク・グリーニー | 2013/12/13 18:43 |
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| CIAやロシア・マフィアの刺客の追及によって、アマゾンの奥地からメキシコへ逃れたグレイマンは、かつての命の恩人が麻薬組織に殺されたことを知る。さらにその遺族までも狙われる事態にいたり、カルテルとの壮絶な戦いに巻き込まれることに------。
書評家・北上次郎氏激賞の、暗殺者「グレイマン」こと元CIA工作員コート・ジェントリーを主人公とするシリーズの3作目。 今回の最大の敵は、メキシコで絶対的な勢力を誇る麻薬カルテル。もう冒頭からスリリングな活劇シーンの連続で、600ページに何度も見せ場が登場する。特に中盤の隠れ家からの脱出シーンはシリーズ最大の過激さを見せてくれる、いま最も熱い冒険活劇小説と言っていいだろう。 ただ、、終盤のグレイマンの窮地に登場するある人物の行動はちょっと納得がいかず、ややご都合主義的な側面が目立つのが気になる。そういったところがこのシリーズに共通する弱点かなと思う。 |
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| No.2020 | 6点 | このミステリーがすごい!2014年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 2013/12/12 12:03 |
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| 「このライトノベルがすごい!」を買うつもりが、間違って「このミス」のほうを購入してしまった(嘘)。
今年の目玉企画は、なんといっても”復刊希望!幻の名作ベストテン”投票。 国内編で小泉喜美子、梶龍雄、飛鳥高がランクインしているのがうれしい。さっそく東京創元社の企画会議では梶龍雄の復刊を検討していることだろうw 泡坂妻夫や連城三紀彦がもう”幻の”というのは困ったものだけど。 海外編では、参考作品リストに載ってもいない「魔術師が多すぎる」がブッチギリの1位というのには驚いた。大学ミス研の投票が多いから、これは「折れた竜骨」の影響だろうか。 マーガレット・ミラーの「まる天」は早川での復刊は期待薄だから、いっそのこと創元で全部揃えてくれればありがたい。 こういう企画は、ベストテン以外の個々の投票者が挙げているレア作品を眺めるのが楽しい。ジョン・ブラックバーンやタッカー・コウ、エクスブライヤ、ジョイス・ポーターなどを挙げている人には親近感を覚える。(なかには、自身の著作に投票している人もいた。切実な復刊希望なんだろうか) 恒例の”わが社の隠し玉”では、カール・ハイアセンのスキンク・シリーズ(文春文庫)、マーガレット・ミラーの本邦初訳作品(創元文庫)、リチャード・ニーリイの延び延びになっていたやつ(扶桑社文庫)が個人的注目作品。載ってないけどフィリップ・カーのグンター・シリーズ(PHP文庫)も楽しみ。論創社のウィザーズ&マローンは言及がないけど大丈夫か? 巻末の収録小説、今回は海堂尊の田口&白鳥シリーズ「カレイドスコープの箱庭」一編のみだが、ボケ~と読んでいたから最終ページで驚いた。(こんなサプライズ・エンディングはいらない) |
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| No.2019 | 5点 | 雀蜂- 貴志祐介 | 2013/12/09 20:20 |
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| 八ヶ岳の雪の山荘で目覚めたミステリ作家の”俺”が見たものは、次から次へと襲ってくるスズメバチの大群だった。一緒にいたはずの妻の姿は消えており、蜂毒アレルギー体質の”俺”は一人で蜂と死闘を繰り広げることに------。
角川ホラー文庫の200ページ余りの書下ろし長編。 雪の山荘を舞台に、そこで手に入る小道具を巧みに利用しながら、蜂の襲撃に対抗するアイデアが多彩で面白く、途中まではサバイバルもののサスペンスとしては上出来の部類です。 しかし残念ながら、ホラーとミステリを強引に融合させようとしたため、ラストの処理でぶち壊しにになっているように思います。そのままストレートにサスペンス小説として終わらせたほうがまだよかった。 |
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| No.2018 | 6点 | 警官の騎士道- ルーパート・ペニー | 2013/12/07 20:19 |
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| ロンドン警視庁のビール主任警部を探偵役とするシリーズ第3作。
この前に邦訳出版された「警官の証言」は、密室トリックにあるアイデアを利用した構成上の仕掛けがユニークでしたが、本書は本格ミステリの王道を往くような非常に正攻法のパズラーです。 密室状況の屋敷見取り図や、容疑者のアリバイ確認のためのタイムテーブルを付け、推理のディスカッションを経て、読者への挑戦状を挟み、大団円で容疑者を集めた謎解き披露と、本格ミステリのガシェットを取り揃えたフーダニット&ハウダニットが堪能できます。物語がやや起伏に欠ける点はあるものの、今回は「〜証言」と比べて文章も意外と読みやすい。 ただ、犯行時に予想外の事態が発生して...というキモの部分がもう少し効果的に使われていたらと思わなくもありません。また、動機も機会もある疑わしい人物が、感じがいい女性ということだけで無実を前提に推理を展開するのはロジカルとはいえませんw |
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| No.2017 | 5点 | 探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2- 東川篤哉 | 2013/12/05 18:32 |
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| 鯉ヶ窪学園の探偵部副部長・霧ヶ峰涼シリーズの連作短編集、「放課後はミステリーとともに」につづく第2弾。
今回は、鯉ヶ窪学園・長編シリーズの探偵部三人組との初のコラボとなっています(というか、なぜこの三人は前作で登場してこなかったのだろうw)。 本作で扱われている謎は、密室状況下の盗難や足跡のない犯行現場からの犯人消失、消えた凶器など、不可能トリックを中心とするものですが、体育祭や文化祭など学校行事に絡めたトリックとなっている点に工夫が見れるものの、総じて脱力系のものが目立つ。前作より出来は落ちる印象。 なかでは、探偵部とライバル関係にあるミステリ研究会から推理ゲームの挑戦を受ける「霧ヶ峰涼への挑戦」がまあ面白かったが、ややアンフェアな感じもする。 |
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| No.2016 | 8点 | 三秒間の死角- アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム | 2013/12/03 18:41 |
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| スウェーデン警察の潜入捜査員ホフマンは、犯罪組織から、囚人となって刑務所内に麻薬密売の拠点をつくるという新たな任務を与えられる。一方、麻薬取引に絡む殺人の捜査で、グレーンス警部の追及の手は刑務所内のホフマンに迫っていく-------。
ストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部シリーズの5作目(邦訳は4作目)。 警察上層部の秘密工作を知らされず捜査を続けるグレーンス警部の視点で描く警察小説風のパートと、犯罪組織の中枢まで潜り込み、刑務所内で苦境に立たされる元犯罪者の潜入捜査員ホフマン視点のスパイ冒険小説風のパートが、交互に描かれる構成が巧みです。 ともに魅力的なダブル主人公が交差するクライマックス場面も非常にスリリングですが、物語がどう転がるか見当がつかない前半部が読み応え十分で、今年読んだ警察小説のなかでは断トツに面白かった。 ただ、タイトルが平凡で工夫がないうえに仕掛けの部分のネタバレにもなってしまっているのが少々もったいないです。 |
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| No.2015 | 6点 | 目黒の狂女(創元推理文庫版)- 戸板康二 | 2013/12/01 22:32 |
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| 歌舞伎の老俳優・中村雅楽の探偵全集3巻目。昭和50年代に創作された23編が収録されています。
シリーズのワトソン役?竹野記者が何度も同じ場所で遭遇する女性にまつわる謎を、雅楽が解き明かす表題作「目黒の狂女」をはじめ、ほとんどが歌舞伎界周辺の人間関係がからむ”日常の謎”を扱っていてます。そもそも、梨園で何度も殺人事件を発生させるのは不自然ですし作者としても抵抗があるでしょうから、これはやむを得ないでしょう。 初期作のような殺人がからむ派手な事件がないのは少々物足りない感もありますが、独特のゆったりした語り口は味があり、ミステリー版「ちょっといい話」という趣があります。まとめて読むと飽きてくるので、少しづつ時間をかけて読むのが吉だと思います。 中編の「淀君の謎」は、淀君が大坂の陣で逃げ延びなかった謎を扱ったいわば歴史ミステリで、編中では一番の異色作です。 |
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