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kanamoriさん
平均点: 5.88点 書評数: 2474件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.74 3点 黒白の虹- 高木彬光 2010/03/20 12:52
グズ茂こと近松検事シリーズの長編第1作。
以前読んだ「黒白の囮」が非常に面白かったし、タイトルも似てるので期待して読みましたが、楽しめなかったです。
出来が良くないということもありますが、株価操作などを扱った経済ミステリの様相で、殺人事件はあるけども本格ミステリ的要素が希薄でした。
出来不出来の波が大きい作家だと、あらためて思いました。

No.73 6点 飛奴- 泡坂妻夫 2010/03/20 12:35
八丁堀同心・通称「夢裡庵先生」シリーズの完結編、連作時代ミステリ第3弾。
著者は小説に色々趣向をこらすのが好きですが、このシリーズでは各話で物語の視点人物と探偵役がリレー形式で引き継がれているのが面白い。第1話で探偵役の人物が、第2話の視点人物となり探偵役は別の人物というふうに・・・主人公であるはずの夢裡庵先生はどちらかというと脇役ですが、最終話は幕末動乱を背景に大活躍します。やはり職人芸ですね。
しかし、こちらが「捕物帳」で宝引の辰シリーズが「捕者帳」なのは何故なんだろうか。

No.72 4点 北溟の鷹- 関口甫四郎 2010/03/18 23:36
間宮林蔵を主人公に据えた歴史本格ミステリ、乱歩賞最終候補作。
蝦夷地探検隊一行が、知床半島沿岸の小屋で不可解な密室殺人に遭遇する所まではよかったです。
この後、舞台を江戸に移してから急失速してしまいました。おそらく調べた資料をもとに謀略系を狙ったのだと思いますが、歴史論文を読むような内容と硬質で読みづらい文体で、ついていけなくなりました。冒頭の北海道での密室事件をもっとふくらませば、ミステリ読みにまだ受けたと思います。
この年の同じ乱歩賞最終候補の「猿丸幻視行」「占星術のマジック」と比べて、だいぶレベルが落ちる出来だと思いました。

No.71 6点 白い森の幽霊殺人- 本岡類 2010/03/18 23:20
ペンション「銀の森」のオーナーが探偵役の本格ミステリ、シリーズ第1作。
雪だるまの中から両足切断の女子大生が発見された事件を描いていますが、過剰な煽りもなくユーモアも適度にまぶされていて、読後感が気持よかったです。
なぜ両足が切断されていたのか?ロジカルなミステリが好きな読者向けの端正な本格ものです。

No.70 7点 闇の貴族- 新堂冬樹 2010/03/18 23:06
金融の裏社会の頂点を目指す男を描くピカレスク小説。
といっても、作者近年の単なる暴力的ノワールものとは異なり、ミステリ趣向が充分に施された、どんでん返しが冴えた秀作だと思います。
そういえば、メフィスト賞出身作家でしたよね。

No.69 6点 寒椿ゆれる- 近藤史恵 2010/03/18 22:51
猿若町捕物帳シリーズ第4作、連作時代ミステリ。
同心・玉島千陰と美貌の花魁、人気女形の3人の複数探偵ものの様相で始まったシリーズですが、徐々にミステリの色合いが薄れてきた感じがして、少々残念です。好きなシリーズなんですが。
千陰の隠居した父親が、いいアクセントになっています。高橋克彦の「だましゑ歌麿」シリーズの父親と非常にダブるんですけどね。

No.68 6点 死の報酬- 結城昌治 2010/03/18 22:26
私立探偵・佐久&久里十八シリーズ長編第2作目の軽ハードボイルド。
脇役のひげの郷原部長やアルバイト秘書の加山春江も健在です。
失踪人探しの過程で、佐久が次々と死体の発見者となるのは、前作「死者に送る花束はない」同様、作者のこの手の作品の常道ですが、ある物質があらゆる関係者を結びつけるプロットはちょっと過剰ながら、まあよくできていると思いました。
今回は、持ち味のシニカルなユーモアを控えめにし、真木シリーズに通じる様な、シリアスでやるせない結末になっています。

No.67 8点 一八八八 切り裂きジャック- 服部まゆみ 2010/03/17 21:42
切り裂きジャック事件を題材にした歴史ミステリ大作・・・と書くと類似先行作品がいくつも頭に浮かびますが、これが決定版といっていい傑作だと思いました。
スコットランドヤードに派遣中の日本人青年と英国留学中の日本人医学生(これがホームズ&ワトソン役)が切り裂きジャックの正体を追うというのが、もちろん本筋なんですが、細部がいいです。
ビクトリア朝文化や実在人物の造形がいきいきと描かれています。エドワード殿下やヴァージニア・ウルフ、エレファント・マン!まで登場しています。この時代の英国に詳しければ、より楽しめたと思います。
探偵役の鷹原と柏木のコンビもいい味だしてます。締めのセリフがしゃれてました。
しかし、あの人をジャックにしていいのか!とは思いましたが。

「だって君・・・小説とはそういうものだろう」

No.66 7点 蒸発- 夏樹静子 2010/03/17 21:06
羽田発札幌行きの航空機から女性が消えた・・・。
母性の喪失という社会派ミステリ的要素と航空機からの人間消失という不可能興味の本格ミステリ的要素がうまく結実した作者の代表作といわれる作品。
たしかに、読者を母性に関わるある状況に惹きつけることにより、消失トリックの真相を分かりにくくしている点はうまいと思いました。

No.65 6点 ネメシスの哄笑- 小森健太朗 2010/03/17 20:45
出版業界を舞台背景にした楽屋落ち的メタ・ミステリ。
話し手で主人公の編集者・溝畑康史(実はフリー編集者&アンソロジストの日下三蔵氏の本名)や作家の小森健太朗自身など実在の人物が登場し、主人公が謎の同人誌をめぐる連続殺人事件を解決する、というお話なんですが、幕が下りたと思った瞬間に、とんでもない仕掛けが炸裂します。
作者の初期のミステリは、読み手によっては壁本扱いされますが、これは一般受けする作風だと思いました。(でも、メタ・ミステリではあるんだけどね)

No.64 6点 うさぎ幻化行- 北森鴻 2010/03/17 20:15
うーん、惜しいです。
途中までは義兄の残した「音のメッセージ」が有機的に各挿話に絡んで、物語に引き込まれましたが、中盤に鉄道雑誌の記者が登場してから、緊密度が低下しご都合主義も目立つようになりました。これは二人の「うさぎ」の橋渡しのために便宜上登場させたという感じです。
また、冒頭の飛行機事故の記事に一文だけ浮いた記載があり、伏線がバレバレになっているのも痛いですね。結末がなんとなく読めてしまいました。

No.63 8点 虎口からの脱出- 景山民夫 2010/03/16 20:32
日中戦争前夜の中国大陸を舞台にした国際謀略&冒険小説の大傑作。
張作霖爆破事件の目撃少女を助けて、関東軍、奉天軍、国民党など日中全軍を敵に回し、デューセンバーグ車が中国全土を駆け巡ります。
万里の長城でのカーチェイス(笑)、最高です。
男たちの友情、しゃれた会話など、冒険小説のエッセンスを全て詰め込んだ徹夜本でした。

No.62 6点 塗りつぶした顔- 戸板康二 2010/03/16 20:09
ノンシリーズのミステリ短編集。
表題作と「明治村の時計」が読み応えがありました。
中村雅楽シリーズとテイストはあまり変わりませんね。

No.61 4点 マラッカの海に消えた- 山村美紗 2010/03/16 20:04
著者3度目の乱歩賞最終候補作で単行本デビュー作。
日本ーペナン島をまたぐ、いかにも二時間ドラマ向けの作品で、アリバイ、密室トリックともチープなのは否めないです。

No.60 5点 蝦蟇倉市事件1- アンソロジー(出版社編) 2010/03/16 18:48
不可能犯罪の発生率が異常に高い架空の街を舞台にしたアンソロジーの第1弾。
道尾秀介、伊坂幸太郎の作品はそれぞれの持ち味である、騙しのテクニックと遊び心が出ていてまずまずの出来。あまり期待していなかった福田栄一の「大黒天」が物語の世界をキッチリ構成できていて、編中のベストだと思った。
しかし、蝦蟇倉市という共通の材料が与えられていながら、それぞれの作家が好き勝手なことをやっていて、共有化が出来ていない印象がある。作品間のつながりが希薄。

No.59 8点 叫びと祈り- 梓崎優 2010/03/16 02:01
旅人・斉木が遭遇する4つの謎ともう一つの物語。
とてもデビュー作とは思えない高いクオリテイと完成度の連作ミステリ。
これは年末のベストテン上位に顔を出すでしょうね、ホワイダニットの秀作が満載です。
サハラ砂漠のキャラバン隊、ロシア正教の修道院、アマゾンの密林部落など、その土地その設定であればこその殺人の動機が秀逸、意想外で唸ってしまいました。
(以下ネタバレ)

とくに第3話「凍れるルーシー」は傑作でしょう。
信仰をテーマにしたところはホックの「長方形の部屋」を彷彿させますが、その上をいってます。結末はカーのアレ、文句なし。「砂漠を走る船の道」もいいんですが、サブの叙述トリックが、この作品の場合は余分だと思いました。

No.58 6点 ディオゲネスは午前三時に笑う- 小峰元 2010/03/16 01:37
姉の不倫相手が北陸の列車事故で死んだ・・・。
これまでの小峰元というと、いかにもオジサンが書いた明るめの青春ミステリという感じで、トリックもイマイチなのが多かったですが、これはまあ感心しました。
作風もシリアスが入って、大人が読んでも楽しめます。

No.57 4点 予告探偵 西郷家の謎- 太田忠司 2010/03/16 01:21
猫も杓子も叙述トリック。
時代は1950年、旧家の令嬢をめぐる連続殺人を特異なキャラの名探偵が謎を解く話・・と思わせて、最後にとんでもない仕掛けが。
でもこれはアイデア倒れ?それとも感性が麻痺したのか、あまり驚けませんでした。

No.56 9点 虚無への供物- 中井英夫 2010/03/14 22:09
―――その人々に

「アンチ・ミステリの金字塔」はともかく「すべての探偵小説はこの一作を超えられない運命にある。」というのは、ちょっと大袈裟だと思いますが、物議をかもす怪物的小説であることはたしかでしょう。
連続密室殺人や五色の薔薇の暗合に引き込まれ、推理合戦に狂喜した段階で、作者の術中にはまっていることになるのかな。
読者をある方向に誘導するためだけに、小説のほとんどが費やされている感じです。
さしずめ、ミステリ書評サイトに投稿して好き勝手なことを書き、嬉々として点数をつけてるような輩は、まちがいなく、献辞に書かれた「その人々」の最前列に位置することになるんでしょうね。

No.55 4点 13人の殺人者- 多岐川恭 2010/03/14 14:40
ミステリ短編集。
倒叙もの、クライム・ミステリを主体にタイトルどおり13編収録。最後に意外な証拠物件の提示がある「過去から来た男」、容疑者の4人が次々殺人を自白する「4人の自白者」など。まあ、時代を感じさせる作品が多いですね。

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