皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.26 | 7点 | 顔のない肖像画- 連城三紀彦 | 2010/03/06 13:11 |
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花葬シリーズや「紫の傷」「夜よ鼠たちのために」に並ぶ、騙しのテクニック満載の逆説的ミステリ短編集。
すべての収録作で最後にひっくり返しが冴える。タイトルもそうだが、パラドックスがテーマとなっているのだと思う。 |
No.25 | 5点 | 兇弾- 逢坂剛 | 2010/03/06 12:59 |
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悪徳警官もの、禿鷹シリーズ外伝。
シリーズものなのでこれだけ読んでも楽しめないだろう。 (以下ネタバレ) 前作で主人公が殉職しているので、まさかの続編というか外伝。神宮署の裏金証拠書類の争奪戦だけで、ここまで話を創るのはさすがだが、逆に言うとただそれだけの話。最後の携帯電話の意味がわからない、さらなる続編があるのか? |
No.24 | 7点 | 真珠郎- 横溝正史 | 2010/03/05 22:58 |
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「真珠郎はどこにいる。」
戦前の耽美探偵小説の傑作、名探偵・由利麟太郎登場。 信州の湖畔に建つ屋敷(「犬神家の一族」)、主人公が現地に到着する寸前に出会う謎の老婆(「悪魔の手毬唄」)、洞窟内の追跡劇(「八つ墓村」)等々、戦後の金田一耕助シリーズに出てくるガシェットが多々出てきて横溝ミステリの原点といえる作品。 おまけに主人公(探偵役ではないが)の名前が椎名耕助である。 (以下ネタバレ) 鍵となる人物の登場が後出しで不満な点もあるが、顔のない死体を連続して作ることによって、トリックの新バージョンを案出しているのは評価できる。乱歩も指摘しているが、「赤毛のレドメイン家」風の香りがある。 扶桑社文庫版には由利先生ものの短編4作と顔のない死体トリックを論考した「私の探偵小説論」が併録されていてお得感がある。再読してみてさらに評価が上がった。 |
No.23 | 4点 | プールの底に眠る- 白河三兎 | 2010/03/05 11:48 |
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留置所内で回想する13年前のセミと出会った夏。
相性が悪い「僕と君」派の青春ミステリ。セミと名付けた少女の造形とか駅の掲示板のエピソードなど魅力的に描かれていると思うが、ぬるい文章が肌に合わなかった。若い読者だと、また違う評価だと思うが。 「衝撃的結末」も少しも衝撃を受けなかった。 |
No.22 | 2点 | Nのために- 湊かなえ | 2010/03/05 11:27 |
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見事に騙された!
紹介文に「湊かなえの新たなるステージ」のようなことが書かれていたが・・・男女4人のリレー形式の独白によって明らかになる殺人事件の真相・・って、どこが「新たなるステージ」なのか、マンネリもいいところ。 巧妙なトリックだ! 東京創元社だから、てっきりミステリだと思ってしまった。 |
No.21 | 6点 | リスの窒息- 石持浅海 | 2010/03/04 00:25 |
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「突然の冬の到来に慌てたリスが、食糧確保のため餌を頬張り過ぎたのと同じだ。あとは窒息するしかない」
女子中学生を誘拐した犯人が新聞社に身代金を要求してきた。・・・著者完全復調の誘拐ものサスペンス。 (以下ネタバレ) エリート女子中学生の淡々と進める狂言誘拐計画と新聞社幹部の慌てぶりが交互に描写され、その対比が面白い。この女の子は本当に恐ろしい。新聞社が警察に通報できない事情もうまく処理されている。久々に手に汗握る誘拐ものを読んだ気がする。 |
No.20 | 6点 | 花面祭- 山田正紀 | 2010/03/03 20:57 |
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天才華道家の死の謎をめぐる連作ミステリ。
読者を惑わすこの仕掛けは連城三紀彦を想起させる。気持よく騙されました。 |
No.19 | 6点 | そして犯人(ホシ)もいなくなった- 司城志朗 | 2010/03/03 20:39 |
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「ハンプティ・ダンプティ」という謎の倶楽部はいったい何を目的としているのか?
単にユーモア・ミステリと言い切れない不思議な魅力を持った小説。死体移動の動機は、ある海外の古典短編と同じなのだが、ちょっとした工夫が効いている。お薦めの逸品。 |
No.18 | 3点 | 声優密室殺人事件- 幾瀬勝彬 | 2010/03/03 20:24 |
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ミステリマニア6人の集い「推理実験室」が実際の殺人事件をディスカッションし解決するB級本格、シリーズ第1作。
設定自体はツボなんだが、あまりにもトリックがアレだし、せっかく色々な職業の人物が集まっているのだから、それを生かしたナルホドの推理を披露してほしかった。 |
No.17 | 8点 | 密約幻書- 多島斗志之 | 2010/03/03 20:05 |
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著者初期の数ある国際謀略ミステリ群の集大成といえる傑作。
とにかく予想を裏切るどんでん返しの連続技がすごすぎる。この騙しのテクニックは本格ミステリの秀作に通じると思う。 |
No.16 | 6点 | 髑髏銭- 角田喜久雄 | 2010/03/03 16:40 |
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著者の代表作。良くも悪くも正統派の伝奇時代小説です。
最後のどんでん返しで吃驚させてくれた「影丸極道帖」のような本格ミステリの要素があまりないのが残念。 舞台も江戸内に収まっているので、大長編の割にスケールが小さく感じた。 |
No.15 | 7点 | 扉守 潮ノ道の旅人- 光原百合 | 2010/03/03 16:27 |
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尾道がモデルの瀬戸内海沿岸の町「潮の道」をめぐるファンタジー系連作短編集。
これはいい、傑作です! 第1話の「帰去来の井戸」だけでも読む価値あり。 |
No.14 | 6点 | 殺人者は長く眠る- 梶龍雄 | 2010/03/03 16:08 |
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女優だった祖母が草軽鉄道から不可解な状況で消えたという。
数十年前のこの謎を主人公は孫娘と称する少女とともに追うことになる・・・これは楽しめた。 トリックは前例があるけれど、なんとなくロス・マク風のプロットがいい味だしてます。 |
No.13 | 5点 | ≠の殺人- 石崎幸二 | 2010/03/03 15:40 |
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会社員石崎と二人の女子高生との漫才ミステリ第6弾。
相変わらず、女子高生のボケっぷりとツッコミが笑えます。 またまた離島での殺人事件ですが、こちらのほうは論理的でなかなか端正な本格ミステリになっているんではないでしょうか。 |
No.12 | 5点 | 欧亜純白・ユーラシアホワイト- 大沢在昌 | 2010/03/03 15:22 |
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怒涛の謀略系冒険サスペンス大作。日米の潜入麻薬捜査官が謎の麻薬密売組織の野望と対峙するお話。
なんとなく古臭いストーリーだなと思っていたら、だいぶ前に週刊誌に連載されていたものだった。上下巻1000ページを超える大作の割に最後がしょぼい。なぜいままで出版されていなかったのか、分かるような気がする。 評価は本の重さで腱鞘炎になりかけたので▲1点。 |
No.11 | 5点 | 徳利長屋の怪- はやみねかおる | 2010/03/03 15:06 |
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夢水清志郎事件ノート外伝・大江戸編パート2。
傑作「消える総生島」では見事にまるまる島をひとつ消しちゃいましたが、今回は江戸城を消してくれてます。 こどもだましと言うなかれ、ジュブナイルなんだから。 |
No.10 | 7点 | 地獄島- 栗本薫 | 2010/03/01 21:38 |
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謎の女形役者・夢之丞が主人公のお役者捕物帖シリーズ第2弾。
ただし、捕物帖とはいっても今回は伝奇時代小説になっています。前作の「吸血鬼」は正統派連作捕物帖だったが、いきなりの軌道修正。城昌幸の「若さま侍」といい長編だとどうしても伝奇になってしまうのかもしれない。伝奇ものは大好物なので、これはこれでOKなんですが。 お話のほうは、冒頭の夢之丞の失踪に始まり伝奇もののお約束の善玉悪玉入り乱れ、地獄島になだれ込む。そして、最後に夢之丞の正体が・・・やはり栗本さん芸達者です。SFファンタジーのほうへ行かずに伝奇ものをもっと書いてほしかった。傑作。 |
No.9 | 6点 | 疑心- 今野敏 | 2010/03/01 20:45 |
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警察キャリア官僚から大森署長に異動させられた竜崎という人物のキャラクター小説、シリーズ第3弾。
一種の企業小説、家族小説で、さらに警察小説としても読めないこともないというお得な作品。今回はさらに中年の恋という要素も加わった。 懸案の事件に対する戸高刑事(安積班シリーズの須田刑事に相当する役割)のあり得ないほどの働きとご都合主義や、禅の極意を短期間で会得するなど突っ込みどころが満載で非常に楽しめた。書類のハンコ押しの繰り返しギャグも見事に決まった。 なによりサクサク読める点がこの作者の持ち味だから、時間を無駄にしたと思わせないところが一番よかった。 |
No.8 | 5点 | 交叉する線- 草野唯雄 | 2010/03/01 18:53 |
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初期のミステリ作品集。
やはり表題作の中編「交叉する線」が面白い。二つの無関係と思われる事件をそれぞれの捜査状況を交互に描写し最後に意外なところで交叉する、サスペンスあふれる力作。準ベストは「一人だけの鉱山」か。 ただ、ほとんどの作品が炭鉱を舞台背景にしており、読み進めるうちに、またかとうんざりさせる点が難点。 |
No.7 | 6点 | 特捜検屍官- 島田一男 | 2010/03/01 18:33 |
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警視庁鑑識課の近江警部を主人公とする連作ミステリ。
タイトルから通俗捜査小説をイメージするが、密室殺人、凶器消失トリック、アリバイ崩し等不可能興味満載の本格ミステリである。なかでもバラバラ殺人の意外な結末「屍臭を追う男」が秀逸。 主人公の近江も魅力的だが、脇を固める小学生の娘・町子や解剖教室の千葉教授とのやりとりなど非常に楽しい。 後の「科学捜査官」などの捜査官シリーズの先駆といえる作品。 |