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文生さん
平均点: 5.86点 書評数: 491件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.91 6点 夜歩く- ジョン・ディクスン・カー 2012/04/06 10:08
カーのデビュー作。
往年の作品と比べるとミステリとしては色々と物足りない作品だが、強烈な怪奇性をはじめとしてストリーテラーとしての才は垣間見ることができる。
荒削りではあるが捨てがたい味のある佳品。

No.90 2点 テニスコートの謎- ジョン・ディクスン・カー 2012/04/05 14:41
カー作品における足跡のない殺人ものといえば、『白い僧院の殺人』と『貴婦人として死す』、それに本作が挙げられるが、この作品は他のふたつと比べて出来は大きく劣る。
肝心のメイントリックが全く面白味がない上に推理小説として他に見るべき点もない。
カーの長編の中でもかなりつまらない部類の作品である。

No.89 8点 貴婦人として死す- カーター・ディクスン 2012/04/05 14:34
『白い僧院の殺人』と並ぶカー作品における足跡のない殺人の双璧。
メイントリックの素晴らしさでは白い僧院だが、それに対して本作はメイントリック以外にも小技が隅々にまで効いており、ミステリー小説としての総合力ではこちらに軍配を上げたい。

No.88 4点 青銅ランプの呪- カーター・ディクスン 2012/04/05 12:38
冒頭の謎の提示はなかなか魅力的。
やはり、人ひとりが忽然と姿を消すというシチュエーションにはわくわくするものがある。
しかし、状況の説明を読んだ時からまさかあのネタじゃないよななどと考えていたらまんまそのネタだったのにはガッカリ。
トリックがあまりに古典的な上に説得力がなさすぎるのだ。
物語として存外楽しめたので最低点にはしないけれどトリックだけの評価ならば1点が妥当な作品。

No.87 7点 白い僧院の殺人- カーター・ディクスン 2012/04/05 12:27
足跡のない殺人と言えばこれというくらい有名な雪密室の決定版。
まさにシンプルイズベストという言葉がふさわしい見事なトリックです。
ただ、物語自体は他のカーの作品と比べると平坦で面白味に欠け、個人的にはいまひとつのめり込むことができなかった。

No.86 6点 招かれざる客- 笹沢左保 2012/04/04 12:37
笹沢左保の初長編であり、第5回江戸川乱歩賞候補次席作品。
トリックやミステリー的ガジェットをふんだんに盛り込むという著者の特徴がすでに現れており、本格好きにとってはたまらない限りだが、トリック自体はどこかで見たようなものが多く、使い方自体もいまひとつ浅い感じがするのが残念な所。

No.85 3点 空白の起点- 笹沢左保 2012/04/04 12:26
目撃者が犯人という本格ファンの気をひくに十分な趣向に対し、トリック自体はベタすぎてひねりに欠けるのがなんとも残念。

No.84 7点 三毛猫ホームズの推理- 赤川次郎 2012/04/04 12:17
赤川次郎といえば読みやすさだけが取り柄の薄味の作風というイメージですが、最初期のこの作品ではその読みやすさに加え、ミステリー的なアイディアがふんだんに盛り込まれ、良質の娯楽作品に仕上がっています。特に、リアリティには欠けるものの、意表を突いた密室トリックには驚かされました。

No.83 6点 硝子のハンマー- 貴志祐介 2012/04/04 12:10
完全な密室状況下の殺人に対し、可能性を徹底的にディスカッションする構成は本格マインド満点でミステリー好きにとってはたまらない作品。
ただ、肝心のトリックは専門知識を必要とするものであり、真相が明らかになった時のインパクト不足は否めない。
その反面、タイトルとハードカバーの表紙絵がヒントになりすぎていて、私自身は途中でトリックについてなんとなく想像がついてしまった。
その辺りが減点要素である。

No.82 8点 『アリス・ミラー城』殺人事件- 北山猛邦 2012/04/03 11:05
孤島に集められた探偵たちがひとり、またひとりと殺されていく、いわゆるクローズドサークルもの。


メイントリックが某作品のパクリといわれたりもしましたが、自分的にはこっちの方が好み。まず、著者ならではの終末感溢れる幻想的な世界観がツボで、最後の騙し絵的などんでん返しも世界観にマッチしていて痺れました。
まあ、これは極めて個人的な嗜好に寄りすぎた評価であり、純粋に本格ミステリとしてみた場合はそこまで高い点数はあげられないのかなとは思う。

No.81 1点 リアル鬼ごっこ- 山田悠介 2012/04/03 10:50
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」(原文ママ)

世の本好きたちを唖然とさせた世紀の愚作。
そしてこの作家が売れっ子になったという事実は現代における奇跡である。

No.80 9点 星を継ぐもの- ジェイムズ・P・ホーガン 2012/04/03 10:40
月面で発見された死後5万年が経過した死体。
彼は一体何者なのか?
ハードSFの論理と本格ミステリーとしてのロジック。
本作はそのふたつの要件を極めて高いレベルで併せ持つ、稀有の傑作である。

No.79 5点 レイクサイド- 東野圭吾 2012/04/03 10:27
それなりに読ませるが、本格ミステリとしては可もなく不可もない凡作。

No.78 7点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2012/04/03 01:44
極めて巧妙な作品だと思いますが、misty2さんと同じく真相に気づいてしまったのがなんとも残念。
小説自体はカーにしてはケレンに乏しく、これを物足りないと感じるか、読みやすいととるかで評価が分かれそう。

No.77 7点 首無の如き祟るもの- 三津田信三 2012/04/03 01:34
本格ミステリーのロジックとホラー小説としての恐怖が見事に融合した傑作。
ただ、警察の指紋照合の仕方がきわめて杜撰に感じられる所があり、これが個人的に大きなマイナス点になっている。

No.76 3点 ウインター殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2012/04/03 01:19
ヴァン・ダインの遺作となった12作目の長編作品。
著者の死により未完成のダイジェスト版での出版となったため、内容はかなり薄い。
それを差し引いてもプロット、トリック、事件の概要といったミステリー的要素に特筆するものが何もなく、印象に残らない作品になってしまっている。

No.75 7点 密閉教室- 法月綸太郎 2012/04/03 01:05
他の新本格作家のデビュー作と同じく全体に青臭さが鼻につく。
だが、本作の場合はその青臭さが作品のテーマと妙にマッチし、結果として本格ミステリーのロジックと並行して描かれる青春のほろ苦さを効果的に演出するのに成功している。
後の代表作と比べるとまだ甘さが目立つが、その独特の雰囲気が忘れ難い。

No.74 6点 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 2012/04/02 20:14
≪ネタばれあり≫

意外な高評価にびっくりです。
確かにこの作品は本格ミステリーとして高いレベルにあると思います。
メタっぽい趣向もいかにも麻耶雄嵩らしく嫌いじゃないです。
おどろおどろしい設定の割に探偵の口から語られる多重推理の数々はいささか地味な気もしますが、しょせん捨てネタなので大きな欠点とは言えないでしょう。
だがしかし、終盤語られる本当の真相。実は「ふく×××つ」でしたって、あれはどうなんだ?
あれですべてはぶち壊しだと思うのだが。
仮にも緻密なロジックが売りの作品であれはないでしょう。

No.73 8点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2012/04/02 19:51
散りばめられた愛書趣味と作品全体のブラックな味わいが非常に自分好みの作品だった。
ただ、帯の惹句から本格ミステリーのどんでん返しなどを期待するとちょっと肩透かしを覚えるのではないかと思う。
真相自体はむしろ予想の範囲内。
最後の一行の衝撃とは意外な真相などではなく、作品のグロテスさを引き立たせるスパイスの一滴なのだ。
そいう意味で、
「あらゆる予想は、最後の最後で覆される」
の一文は出版社側の勇み足と言わざるをえないだろう。

No.72 7点 初秋- ロバート・B・パーカー 2010/04/27 09:19
少年の成長物語を軸に非常にシャープにまとめられた
ハードボイル小説の佳作。

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文生さん
ひとこと
本格脳なので本格度が高いほど評価も高くなります。ただし、本格好きと言ってもフェアプレーなどはどうでもよい派なのでロジックだけの作品は評価が低めです。トリックやプロットを重視した採点となっています。
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー、土屋隆夫、竹本健治、山田正紀
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 491件
採点の多い作家(TOP10)
ジョン・ディクスン・カー(18)
アガサ・クリスティー(17)
横溝正史(12)
西尾維新(11)
カーター・ディクスン(11)
エラリイ・クイーン(11)
東野圭吾(10)
米澤穂信(10)
森村誠一(10)
竹本健治(9)