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文生さん
平均点: 5.85点 書評数: 456件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.76 3点 ウインター殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2012/04/03 01:19
ヴァン・ダインの遺作となった12作目の長編作品。
著者の死により未完成のダイジェスト版での出版となったため、内容はかなり薄い。
それを差し引いてもプロット、トリック、事件の概要といったミステリー的要素に特筆するものが何もなく、印象に残らない作品になってしまっている。

No.75 7点 密閉教室- 法月綸太郎 2012/04/03 01:05
他の新本格作家のデビュー作と同じく全体に青臭さが鼻につく。
だが、本作の場合はその青臭さが作品のテーマと妙にマッチし、結果として本格ミステリーのロジックと並行して描かれる青春のほろ苦さを効果的に演出するのに成功している。
後の代表作と比べるとまだ甘さが目立つが、その独特の雰囲気が忘れ難い。

No.74 6点 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 2012/04/02 20:14
≪ネタばれあり≫

意外な高評価にびっくりです。
確かにこの作品は本格ミステリーとして高いレベルにあると思います。
メタっぽい趣向もいかにも麻耶雄嵩らしく嫌いじゃないです。
おどろおどろしい設定の割に探偵の口から語られる多重推理の数々はいささか地味な気もしますが、しょせん捨てネタなので大きな欠点とは言えないでしょう。
だがしかし、終盤語られる本当の真相。実は「ふく×××つ」でしたって、あれはどうなんだ?
あれですべてはぶち壊しだと思うのだが。
仮にも緻密なロジックが売りの作品であれはないでしょう。

No.73 8点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2012/04/02 19:51
散りばめられた愛書趣味と作品全体のブラックな味わいが非常に自分好みの作品だった。
ただ、帯の惹句から本格ミステリーのどんでん返しなどを期待するとちょっと肩透かしを覚えるのではないかと思う。
真相自体はむしろ予想の範囲内。
最後の一行の衝撃とは意外な真相などではなく、作品のグロテスさを引き立たせるスパイスの一滴なのだ。
そいう意味で、
「あらゆる予想は、最後の最後で覆される」
の一文は出版社側の勇み足と言わざるをえないだろう。

No.72 7点 初秋- ロバート・B・パーカー 2010/04/27 09:19
少年の成長物語を軸に非常にシャープにまとめられた
ハードボイル小説の佳作。

No.71 7点 探偵映画- 我孫子武丸 2010/01/31 11:00
地味な小品だが、映画の結末を推理するという趣向が面白い。
結末もきれいに決まっていてよくまとまった佳品という感じ。

No.70 5点 魍魎の匣- 京極夏彦 2010/01/29 04:10
京極夏彦の最高傑作であり、ミステリー史上に残る名作という位置づけになっているが、個人的にはイマイチな作品だった。
大ボリュームの中に色々な要素を詰め込み、その壮大さがウリになっているが、核となっているミステリーの部分が弱すぎる。
消失トリックはすぐに分かったし、犯人の正体は意外性のカケラもないし、複数の事件はそれぞれ×××だし、何というか単純な事件をわざわざ複雑に書いているような印象を受けるのだ。
ミステリー以外の部分は評価できるが、本格ミステリーの形を取っている以上、ミステリーとしての弱さで全体の評価を下げざるを得ない。

No.69 8点 姑獲鳥の夏- 京極夏彦 2010/01/28 04:13
事件を妖怪の仕業、推理を憑き物落としに見立てたストーリーが興味深く、一気に引き込まれた。
反則気味の人間消失トリックも榎木津の特殊能力や京極堂の薀蓄を伏線としてからませ、そのうまさに思わず納得させられてしまった。
個人的には本作品がシリーズのピークで以後巻を重ねるごとにボリュームの増加が冗長に感じられ、ミステリーとしての質も低下しているように思えるのが残念。

No.68 8点 白光- 連城三紀彦 2010/01/27 14:41
典型的な本格ミステリーのように終盤でどんでん返しの快感を味わえるようなタイプの作品ではないです。
語り手が代わる度に事件の違う側面が明らかになり、事件の根深さが露出する。
そして単純と思われた事件に隠されたとんでもない構図が名探偵の推理ではなく、文学的な香りともに徐々に徐々につまびらかにされていきます。
その過程が実に味わいがあって読んでいてゾクゾクしました。
トリックやロジックは皆無なので本格ファンには受けが悪いかもしれませんが、個人的には連城三紀彦ミステリーの中で一番気に入っている作品です。

No.67 7点 はじまりの島- 柳広司 2010/01/27 14:18
本格ミステリとしてはやや小粒ですが、若き日のダーウィンを主人公に、進化論とうまく絡めた事件やトリックが興味深い。
プロットのうまさが光る佳作です。

No.66 6点 アヒルと鴨のコインロッカー- 伊坂幸太郎 2010/01/25 12:28
伊坂幸太郎の文章はよく村上春樹に似ているといわれますが、本作はその中でも特に村上春樹っぽい作品に仕上がっています。
おしゃれかつ文学っぽい語りで展開する謎の顛末は、それなりに面白くはあるけれど、インパクト不足で物足りなさが残りました。

No.65 3点 プリズン・トリック- 遠藤武文 2010/01/25 12:14
江戸川乱歩賞お得意のちょっと変わった職業や設定についての詳細を語りつつミステリーを展開していくタイプの作品。
そういう意味では、交通刑務所の内情はよく書けていると思う。
ただ、受賞理由になった本格ミステリーとしての魅力があまり感じられなかった。
いろいろ謎やトリックはあるのだが、どれも無理があったり、投げっぱなしだったりでいかにも練り込み不足という感じがする。

No.64 5点 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2010/01/24 12:53
童謡殺人というジャンルを確立したという意味において偉大な作品ですが、本格ミステリとしての面白みがほとんどない点が評価が分かれるところです。
サスペンスものとしても話が冗長でテンポの悪さが目立ちます。
格調高い作品なので、古き良き時代の探偵小説をじっくり読みたいという人にはおすすめですが。

No.63 5点 グリーン家殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2010/01/24 12:38
良く言えば王道、悪く言えばありきたりな推理小説で現代の目から見れば突出した所は何ひとつないのですが、洋館の中での連続殺人というひとつの定型を作り出したという点では『そして誰もいなくなった』と双璧をなす金字塔的作品です。

No.62 5点 超・殺人事件―推理作家の苦悩- 東野圭吾 2010/01/24 12:32
「超読書機械殺人事件」とか結構面白いけれどミステリーのパロディとしてはベタで特筆するものはない。
マニアとしてはもっと凝ったものが読みたかったというのが正直な所。

No.61 5点 スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー 2010/01/23 14:48
クリスティーのデビュー作で、ある有名なトリックが使われている。
ただ、このころのクリスティにはまだ作家としての超絶技巧なテクニックを持ち合わせておらず、中期以降の作品に比べると面白みに欠ける。

No.60 6点 カブト虫殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2010/01/23 14:38
まあ面白く読めたがこの作者の作品に登場するトリックは過去の作品の流用ばかりで、自身のトリック創作能力はゼロなんだな。

No.59 5点 カナリヤ殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2010/01/23 14:32
本格ミステリーの古典としては興味深いが、密室殺人とアリバイトリックは今となってはいくらんでも単純すぎる。
ポーカーによる心理的推理法もプロファイリングなめんなよという感じ。
歴史的価値を加味してこの点数。

No.58 4点 女王蜂- 横溝正史 2010/01/23 14:28
密室殺人をはじめとして色々本格要素を詰め込んだ作品だけど、当時としても使い古されたアイデアばかりで、使いか方にもさして工夫がないのでいまひとつ面白さを感じない。

No.57 6点 死を開く扉- 高木彬光 2010/01/23 14:13
密室トリックはユニークだが、それだけの作品。
密室ものが好きな人はどうぞ。

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文生さん
ひとこと
本格脳なので本格度が高いほど評価も高くなります。ただし、本格好きと言ってもフェアプレーなどはどうでもよい派なのでロジックだけの作品は評価が低めです。トリックやプロットを重視した採点となっています。
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー、土屋隆夫、竹本健治、山田正紀
採点傾向
平均点: 5.85点   採点数: 456件
採点の多い作家(TOP10)
ジョン・ディクスン・カー(18)
アガサ・クリスティー(17)
横溝正史(12)
西尾維新(11)
カーター・ディクスン(11)
エラリイ・クイーン(11)
東野圭吾(10)
米澤穂信(10)
森村誠一(10)
竹本健治(9)