皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
文生さん |
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平均点: 5.87点 | 書評数: 405件 |
No.165 | 6点 | 新幹線殺人事件- 森村誠一 | 2017/11/10 21:18 |
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第1の殺人と第2の殺人にそれぞれ鉄壁のアリバイが用意されているという初期森村作品らしいトリック大盤振る舞いの作品。ただ、最初のアリバイの方は凝った作りではあるものの、アリバイに共犯者が必要だという点がちょっとマイナス。第2のアリバイの方はアイデアはユニークだが、それを実行するにはあまりにもリスキーな気がする。力作ではあるけれど、傑作と呼ぶにはあと一歩及ばないといった感じです。 |
No.164 | 4点 | 宇宙捜査艦「ギガンテス」- 二階堂黎人 | 2017/11/10 20:36 |
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汎用小型宇宙惑星で起きた不可能犯罪に挑む宇宙捜査艦《ギガンテス》の活躍を描いたSFミステリー。しかし、SF的アイデアもミステリーとしてもの仕掛けもいささか凡庸でわざわざSF仕立てにした意味があまり感じられなかった。全体的にイマイチ感の漂う作品である。 |
No.163 | 6点 | 狂骨の夢- 京極夏彦 | 2017/11/10 14:57 |
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幻想的で不可思議な事件を魅力的なレギュラーキャラを交えながらムードたっぷりに描く手腕はさすがだが、それに対する真相がやや凡庸。ミステリー的な仕掛けも個人的にはデビュー作である「姑獲鳥の夏」がベストであり、作を重ねるごとにインパクトが薄くなっている印象を受ける。 |
No.162 | 7点 | 日本アルプス殺人事件- 森村誠一 | 2017/11/10 09:00 |
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写真を利用した古典的なアリバイ崩しものですが、山岳を舞台にした愛憎サスペンスとアリバイ崩しのプロセスがうまく絡まり合って、存外楽しく読むことができました。 |
No.161 | 6点 | 風の証言- 鮎川哲也 | 2017/11/10 07:43 |
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アリバイ崩しに焦点を当てた本格ミステリ。堅実な作品で読みごたえも十分ですが、カメラを使ったトリックは小粒で特にそれ以外の見所もないため、長編ミステリーとしてはやや物足りない。 |
No.160 | 6点 | 時間の習俗- 松本清張 | 2017/11/10 07:37 |
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社会派ミステリの巨匠松本清張としては珍しい純本格に特化した作品。写真を利用したアリバイトリックはなかなかユニークにであり、点と線よりも格段に進歩の跡が見られる。ただ、カメラ事情が大きく異なる現代の読者からすると読んでいてわかりにくい部分があるのが難点か。 |
No.159 | 5点 | 囲碁殺人事件- 竹本健治 | 2017/11/09 18:20 |
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囲碁の対局中に起こった首なし殺人の謎が描かれているが、前作の「匣の中の失楽」の次に書かれた作品としてはひどくまっとうな本格ミステリに仕上がっている。
無難にまとまっていて決してつまらなくはないが、特筆すべき点もなく、出来は可もなく不可もなくといったところ。 |
No.158 | 5点 | 帽子から飛び出した死- クレイトン・ロースン | 2017/11/09 16:44 |
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プロのマジシャンだけあって不可能犯罪を構成する手段は巧みではあるけれど、それがあまりにも堅実すぎて真相が明らかになった際のサプライズにつながっていない点が残念。その辺が種明かしを必要としないマジックと種明かしがクライマックスとなるミステリーとの差であるように感じました。同じ不可能はでもカーなどと比べるとけれ見不足であり、ストーリー自体もこなれていない感があって読みにくかったので点数は低め。 |
No.157 | 6点 | 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 | 2017/11/09 15:09 |
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ミステリーとしての仕掛けそのものは素晴らしいと思うのですが、作中の描写になんとなく違和感を感じていたので最後のどんでん返しにあまり驚くことができませんでした。それに、世界観が反転するようなタイプのミステリーは大好物であるものの、この作品に関しては描かれている世界にそのものに魅力を感じなかったのでそう意味でも評価はそこそこどまりになってしまいます。同じ作者の作品でも本作の前後に書かれた「世界の終わり、あるいは始まり」や「女王様と私」の両作は作品舞台が非常に魅力的に感じただけに作者の代表作が自分の感性と合わなかった点が残念です。 |
No.156 | 2点 | 完全殺人事件- クリストファー・ブッシュ | 2017/11/09 14:50 |
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ミステリーにハマり始めた頃に読んだ作品で、大風呂敷を広げた割にトリックがしょぼくてひどくがっかりしたのを覚えている。ストーリー的にも盛り上がるのは冒頭だけで、あとは終始グダグダの残念な作品。 |
No.155 | 5点 | ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 | 2017/11/09 11:01 |
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エラリー・クイーンをリスペクトしている作者の名探偵の挫折から復活を描いた作品。「頼子のために」から本作の流れがちょうどクイーンの「10日間の不思議」から「九尾の猫」の流れに当たる。まあ、「頼子のために」自体は ニコラス・ブレイクの「野獣死すべし」のリスペクトだが。
本作は名探偵復活の物語としてはなかなか読ませるのだが、肝心の事件がミステリーとしてあまり魅力的ではないのでどうしても全体の印象としては薄いものになってしまう。 |
No.154 | 5点 | はなれわざ- クリスチアナ・ブランド | 2017/11/08 16:58 |
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1985年版東西ミステリベスト100の38位に選ばれ、一時はクリスチアナ・ブランドの最高傑作と目された作品である。しかし、読んでみると物語の起伏が乏しく、中盤が相当だるい。感情移入がうまくできないために、どうしても作者の狙いがピンとこず、せっかくの仕掛けも「なんだ、そんなことか」と感じてしまうのだ。ちなみに、1955年発表の本作は1941年発表のクリスティ作「白昼の悪魔」と共通点が多々見受けられる。もちろん、ストーリーやトリックは別物なのだがミステリーとしての構造がそっくりなのだ。
具体的には、バカンスで地中海に訪れた探偵、そこで起きる殺人事件、関係者全員にアリバイがあり、それをひとつずつ崩しながらやがて真相に到達するといった具合だ。 後発だけあって本作の方がより大胆な仕掛けを施しているのだが、テンポよく話が進む白昼の悪魔の方がミステリーとしての切れ味を感じることができた。そして、明確な比較対象があるため、本作の評価はどうしても低いものになってしまう。 |
No.153 | 7点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2017/11/08 09:54 |
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1967年の発表のクリスティ晩年の作品であり、あまり期待していなかったのですが非常に面白かったです。ミステリー要素はあまりないものの、恋愛サスペンス風なストーリーにぐいぐいい引き込まれていきました。タイトルも秀逸で皮肉なラストも印象深いものがあります。ただ、メイントリックが自著の使い回しだったのが残念。 |
No.152 | 3点 | 病院坂の首縊りの家- 横溝正史 | 2017/11/08 09:23 |
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上下巻の大作であり、20年間に及ぶ難事件を扱っているがこれがあまり面白くない。とにかく登場人物がやたら多くていたずらに混乱を招いている上に、事件もスケールが大きそうだった割に特に面白みを感じることもなく終焉をむかえていくので肩透かし感が半端ないのだ。何より自著の過去作で用いたトリックをそのまま使い回しているのがいただけない。これが金田一耕助最後の事件だというのは残念だが、思えば名探偵の最後の事件というのはどれもこんなもんだよなあという気もする。 |
No.151 | 2点 | 狐の密室- 高木彬光 | 2017/11/08 09:08 |
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神津恭介と大前田英策の2大探偵が夢の競演を果たして密室殺人に挑むという割に事件そのものがかなりこじんまりとしている。密室殺人も初歩の初歩といったトリックが使われており、これならわざわざ神津恭介が登場するまでもなかったよなあといった感じ。著者晩年の作品であり、創作力の衰えを企画でカバーしようという意図が見てとれる凡作である。 |
No.150 | 6点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2017/11/07 17:15 |
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新しいジャンルを確立したという意味で「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」と並ぶ重要作品であり、全体のプロットもよく練られている。しかし、現代の読者にとっては初歩的すぎて作者の狙いはバレバレだろう。 |
No.149 | 5点 | シタフォードの秘密- アガサ・クリスティー | 2017/11/07 17:07 |
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江戸川乱歩の「帽子収集狂事件」推しと並んで不可解な坂口安吾絶賛の本作。トリックの新境地と言っているがどこにそんな要素があるのかと首をかしげてしまう。クリスティの作品としてはせいぜい中の下ぐらいの作品ではないだろうか。 |
No.148 | 7点 | 準急ながら- 鮎川哲也 | 2017/11/07 08:05 |
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アリバイ崩しを主軸とした作品ですが、トリック自体は作者の代表作と比べると小粒です。それでもアリバイを主張する容疑者に対してあーでもない、こうでもないと試行錯誤するさまは読み応え十分で本格ミステリとしての面白さを十分に堪能することができました。作品全体としても破綻なくまとまっており、手堅い佳作といった感じです。 |
No.147 | 7点 | 蝶々殺人事件- 横溝正史 | 2017/11/06 14:05 |
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読者への挑戦状を挿入するなど金田一シリーズよりもパズラーに特化した作品です。時刻表を駆使したトリックが用いられているという点でも横溝作品としては貴重。第2の殺人のトリックもユニークで本格好きにはおすすの作品です。 |
No.146 | 5点 | 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 | 2017/11/06 13:40 |
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岡山を始めとする地方ものに名作が多い金田一シリーズにおいて東京ものの最高傑作という位置付けの作品。確かに、本作は没落貴族の悲哀をメインに12人を毒殺したことで有名な帝銀事件を絡ませ、作者のストーリーテリングぶりが存分に発揮された力作に仕上がっている。しかし、物語の充実ぶりに対してミステリーの骨格は案外貧弱でどうしても物足りなさが残ってしまう。密室トリックなども全く面白みに欠け、無理に組み込む必要はなかったのではないだろうか。 |