皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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まさむねさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 1282件 |
| No.82 | 7点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2010/09/13 22:26 |
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| 清く・正しく・美しい(?),正統派のハウダニット作品。
叙述的ミスリードまで,清く・正しく・美しかった。 基本トリックが1点厳選というのも,潔さを感じて,嫌いではない。(トリックの発想自体が斬新なため,現実味云々は,私的には敢えて減点対象とせず。) トリックのみでいえば,短中編でも,十分に作品として成り立つと思うが,これに種々人間ドラマを絡ませ,冗長さを感じさせない長編に仕上げてしまう作者の力量は,さすがとしか言いようがない。(注:皮肉などではなく,純粋に拍手) ただし,湯川氏の「虚数解」発言は,こじ付けが過ぎる印象がして,最後まで違和感が消えなかったので,マイナス要素。本筋とはあまり関係のない,細かい点ではあるが…。 (ちょっとネタバレ) しかし,どうしようもない奴が随分モテたものだ。そもそもこんな奴と結婚しなきゃいいじゃない…ってトリックの全否定になっちゃうような気もするから,あくまでも戯言で。 |
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| No.81 | 7点 | 追想五断章- 米澤穂信 | 2010/09/11 11:09 |
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| 仕掛けの一部は確かに分かりやすいものの,全体的に面白い試みではある。その点は大いに拍手を送りたい。
ちなみに,作中の5つのリドルストーリー自体が,何気に良い。特に,最後のリドルストーリー「雪の花」などは,本作品の真実とも相まって,何と言うか,一回り深いリドルストーリーに仕上がっている。文学のかほりすら漂う。(ちょっと言い過ぎかな?) |
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| No.80 | 7点 | 99%の誘拐- 岡嶋二人 | 2010/09/08 22:49 |
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| 誘拐モノとしては,出色であると思います。さすがは「誘拐の岡嶋」。
展開もスピーディだし,緊張感もあって,ページをめくる手を止めることができませんでした。(個人的に蔵王スキー場は大好きだし…あまり関係ないですね…) 一方,謎の提示及び解明具合並びに結末にかけての意外性については物足りなかった印象も。(この点は皆様も同様の感想を持たれたようでしたね。) 基本スキームが倒叙形式であるので,作者の意図は分からないでもないですが,それでも「完全犯罪手法 誘拐版」の開示に特化しすぎているような気がしました。(正確には,「99%の」完全犯罪なのでしょうが。) とはいえ,やっぱり楽しい読書でしたね。 |
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| No.79 | 4点 | 電氣人閒の虞- 詠坂雄二 | 2010/09/05 23:16 |
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| 最終章1つ前の章のラスト1行の衝撃は,確かに結構なものでした。ページめくってあの1行。芸も細かいですね。その意味では,まぁ楽しめたと言えるのかな。
しかしながらですよ。結末にはやっぱり唖然としましたね。 まさか,そんなオチはないでしょ,自分の読解不足なだけでしょなどと読み返して見ても,やっぱりそれ?こりゃ私のような一般読者は,きっと唖然としますね。 衝撃そして唖然。この体験は貴重だけども,特にこの種の作品の「唖然感」は「喪失感」にも似て,心の傷になりそうだから,しばらくは避けたい。同種ネタの作品もそれなりに見受けられるようだし… でもこの種の作品って,それこそ「語ると現れる」からなぁ。ああ怖い。 |
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| No.78 | 6点 | 秋期限定栗きんとん事件- 米澤穂信 | 2010/09/03 22:41 |
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| ミステリとして目立った点はないのでしょうが,このシリーズのファンにとっては結構楽しめる内容。
特にラストはいいですね。小佐内さんは,これだから目が離せない。 |
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| No.77 | 7点 | 暴雪圏- 佐々木譲 | 2010/09/01 21:58 |
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| 川久保巡査部長シリーズ第2弾。
3月の暴風雪で閉ざされた北海道の田舎町のペンションに,訳アリの者たちが偶然にも集う。 この訳アリっぷりがすごい。強盗殺人犯・窃盗逃亡犯・不倫を清算しようとする主婦・その主婦を追いかける軽薄男・義父の性被害に悩む少女などなど…。そして近所では数ヶ月前の女性死体も発見されて…。 よくもまあ,同じ日にこれだけの偶然が重なったものだ…との突っ込みはさておき,各々の登場人物のキャラが立っていて,なかなか楽しめる。川久保巡査部長の登場シーンは前作ほど多くないが,最後においしいところは持っていく。 作者のリーダビリティの高さは変わらない。読後感も良い。 ちなみに個人的には,不倫主婦の結末に心からの拍手を。(良かったね~という意味で) |
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| No.76 | 4点 | 重力ピエロ- 伊坂幸太郎 | 2010/08/30 22:50 |
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| あまり楽しめない。
登場人物への感情移入ができませんでした。 映画も見たけど,やっぱり好きになれなかった・・・ |
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| No.75 | 7点 | 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 | 2010/08/29 12:14 |
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| すっかり騙されました。もやもやした違和感すら抱かず,最後にスパッと斬られた感じ。
まあ,読後当初は,単に~トリックのみに着目していたのですが,よくよく考えて見ると,悲し過ぎる家族の絆みたいなものが浮かび上がってくる。唯一性別の違う「犠牲者」については,ミステリ云々ではなく,考えさせられるなぁ…と。 この作品を単に,~トリックとか,エロ・グロとかの視点でのみ捉えてはいけないような気もします。 |
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| No.74 | 5点 | ラッシュライフ- 伊坂幸太郎 | 2010/08/29 11:06 |
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| 後半に向かっての繋がりの連鎖は,確かに面白かった。
各々の話に,ちょっとした意外性を差し込んでいるところもよい。とても綺麗にまとまっている。 しかし,「綺麗に」以上の爆破力と言うか,斬新な驚きは得られなかった。登場人物間の会話も,一般的には評価が高いようであるが,私はむしろ逆の印象を受けた。 総合的にこの点数。 |
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| No.73 | 6点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2010/08/23 21:26 |
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| 文庫本を手にした第一印象が「厚い!」でしたが,読み始めれば一気読みでした。止まらないというか止められない。リーダビリティの高さは,さすがです。この点は文句なしです。
で,なぜこの点数なのかといえば,私好みのミステリから離れていたから。それだけです。わがままで,すみません。(そもそもミステリ性が高いという印象も受けませんでしたが…) では,純粋に,2人の19年に及ぶ物語として見れば・・・どうなんでしょう? 印象に残る作品であることは異議なしですが,余韻を醸し出す結末と言ってよいのでしょうか?やや疑問です。 |
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| No.72 | 4点 | ボトルネック- 米澤穂信 | 2010/08/21 16:08 |
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| 主人公に感情移入できず。ラストも好きになれない。 | |||
| No.71 | 5点 | クラリネット症候群- 乾くるみ | 2010/08/19 21:59 |
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| 中編2本で構成。心をかるーくして読んでみた。
①マリオネット症候群 ありがちな設定と途中まで思わせつつの,終盤の展開っぷりは嫌いではない。 ②クラリネット症候群 とあるシーンは,バカバカし過ぎてちょっと笑えた。結末にはやや不満も。 |
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| No.70 | 5点 | 夏期限定トロピカルパフェ事件- 米澤穂信 | 2010/08/17 22:05 |
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| 前作「春季限定~」よりも上質にまとまっている。
あれれ?というラストシーンが気になったので(作者の策略にまんまと・・・),きっと次回作も読むことになるだろうなぁ。 |
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| No.69 | 4点 | 極北クレイマー- 海堂尊 | 2010/08/16 21:12 |
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| まず,この作品はミステリではありません。
医師の刑事訴追問題とか,地域医療崩壊問題とか,社会的なトピックを扱っており,それ自体は興味深い話題と言えます。しかし,前者については,いわゆる「大野病院事件」をそのまま描き直しただけですし,後者についても何とも薄っぺらい(真の問題点を履き違えている?)印象を受けました。 かといってエンタメ感溢れる作品でもない。作者は何がしたかったのだろう。いろんな意味で中途半端な印象。そういえば,姫宮の使いっぷりも中途半端だったなぁ。 |
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| No.68 | 5点 | 春期限定いちごタルト事件- 米澤穂信 | 2010/08/12 21:14 |
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| ライトな謎で,綺麗にまとめてるなって印象。
ちなみに,主人公の男子にちょっとイライラ。 なお,アラフォー男子としては,図書館で借りるのに多少の勇気が必要であった(題名及び表紙が)。 それでも続編も読んでみようという気にはなった。 |
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| No.67 | 9点 | 弁護側の証人- 小泉喜美子 | 2010/08/08 15:12 |
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| 一読の価値大の秀作。
素晴らしい。このヒトコトに尽きる。 しかし,これが昭和30年代の作品とは! 40年以上を経ても決して色褪せず,むしろ歴史を経れば経るほど輝きを増していくのではないかとさえ思わせる。まさに名作。 作品を書いた「年代」を考慮すれば,この評価が過大であるとは,決して思わない。 |
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| No.66 | 7点 | カラスの親指- 道尾秀介 | 2010/08/05 22:48 |
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| この作品がミステリなのかどうかといった疑問はとりあえず右に置いて,楽しい読書の時間をありがとうと言いたい。
読中感・読後感とも,相当に良い。作者の「主張」も嫌味が一切なく,良い。ご都合主義的側面も,まあ,このストーリーであれば,目くじらを立てる気にはならなかった。純粋な「読書」としての評価は,個人的には「ラットマン」より上。 <以下,未読の方は注意!> でも,道尾作品を多少なりとも知る者にとっては,どうしても「このまま終わるわけがない」という(ある意味非常に悲しい)視点で読み進めてしまう。結果として,詳細は分からないまでも,キーパーソンが誰であるのか,そしてキーパーソンと他の登場人物との真の関係が何となく予想できてしまう。無論,「何となくの予想」以上の仕掛けがあったので,それはそれで楽しめたが… |
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| No.65 | 7点 | 死神の精度- 伊坂幸太郎 | 2010/08/02 22:36 |
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| 主人公(死神)のキャラクターを含め,前提状況の設定が抜群。コミカルで,かつ,時に考えさせられる「会話シーン」もこの作品では嫌味(※)に感じることなく,純粋に良かった。
※正直,他作品では個人的にイライラする会話シーンが多いので… ラストの「死神対老女」などを読むと,なるほど,直木賞候補に挙げられたのも,素直に首肯できる。 ミステリ性が高いものではないが,意義ある読書タイムは保証できる連作短編集である。 |
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| No.64 | 6点 | 密室の如き籠るもの- 三津田信三 | 2010/08/01 23:30 |
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| 3短編+1中編から成る中短編集。
刀城言耶シリーズお決まり(?)の「どんでん連発」が,特に3短編では薄いが,それはそれで悪くはない。さらっとしていて逆に読みやすく感じた面も。それでいて,いつもの「雰囲気」はきっちりと守ってくれている。 刀城言耶ファンにはお買い得の中短編集では。 |
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| No.63 | 5点 | 女王様と私- 歌野晶午 | 2010/07/27 20:11 |
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| 「叙述と見せかけ,実は…」等々,オチのパターンを想像しつつ,それ以上の驚愕を期待していたのですが,そう来ましたか,はあ,そうですか・・・ってのが,読後の感想。
やや脱力気味。 しかし,さてさてオチはどうなのかな~という好奇心をラストまで切らすことなく読了したことは事実だから,5点で。 読後感は相当微妙だったけど。 |
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