皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ZAtoさん |
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平均点: 6.55点 | 書評数: 109件 |
No.8 | 7点 | 新参者- 東野圭吾 | 2010/10/17 22:45 |
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加賀の刑事像が闇雲に事件にのめり込んでいくキャラクターではなく、物事を俯瞰で捉えて、冷静にフォーカスを絞っていくタイプであることも、この小説にはよかったのではないか。
下町人情ものという一面を持つこの小説で、あまり深く土着に根ざしていないという匙加減も功を奏したといえるのではないかと思う。 |
No.7 | 7点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2010/10/17 22:01 |
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主人公たちに共感するしないは読者の感覚に委ねられている。
雪穂と亮司によって、ある者は命を奪われ、尊厳を失い踏みつけられていくのだが、 困ったことに周囲の人間がバタバタと落とされていく様を楽しむ悪意を喚起されたような気もする。 なるほど読者の立場は常に正義の側に身を置く必要はない。 ときには悪に身を染めてみるのも自由なのかもしれない。 |
No.6 | 8点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2010/10/17 20:36 |
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この人は表現者として情動の発露の中で物語を紡いでいるのではなく、冷徹に厳選されたピースを用いて「情動」そのものを構築しているのではないだろうかとも思った。
情動などとまったく抽象的な言葉で誤魔化すことを許してほしいのだが、パズルを構築し、物語そのものを支配してた“X”が、最後の2ページに情動を昂ぶらせて一気に破綻することで読者が得るであろう解放感までも計算していたとすれば、トリックや仕掛けとと同列に情動をも組み込んでしまった作者には恐れ入るしかない。 |
No.5 | 6点 | 探偵ガリレオ- 東野圭吾 | 2009/11/02 22:57 |
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「ヘリウム・ネオン・レーザー」「電気エネルギーによる衝撃波」「超音波加工機」「水とナトリウムによる爆発」「液体窒素がもたらす光の屈折による蜃気楼現象」など、専門的な知識がなければ絶対に解き明かすことは出来ないものばかり。
天才物理学者・湯川学は謎の解答を懇切丁寧に実験つきで講義してくるのだが、説明されてもまるでチンプンカンプン。 ひとつの話が終わるたびに「へえ~」と他人事のように関心するばかりだった。 |
No.4 | 6点 | ブルータスの心臓−完全犯罪殺人リレー- 東野圭吾 | 2009/10/21 01:27 |
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人間のドラマで読ませることよりもプロットだけで読ませるという東野の自信がこの小説にはあったのだろう。 |
No.3 | 5点 | 宿命- 東野圭吾 | 2009/10/19 00:00 |
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ボウガンによる殺人や電脳式心動操作への関心はさほど湧かなかったのは、
読み手である私に和倉勇作と瓜生晃彦という男二人のライバル関係というものがストーリーを超えた核として存在したからか。 |
No.2 | 7点 | 分身- 東野圭吾 | 2009/10/18 12:47 |
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別々の話が次第に接点へと加速度をあげてていくサスペンスに読者を乗せ、カタルシスへと運び込んでいく作劇が巧く計算されていると思った。 |
No.1 | 7点 | さまよう刃- 東野圭吾 | 2009/10/18 12:31 |
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「警察は市民を守っているわけじゃない。警察が守ろうとするのは法律のほうだ」と自嘲しながらも、
もちろん法治国家として復讐を容認することなど絶対に許されないという葛藤と向き合うことになる。 この警察側の描写が物語に深みを与えている。 |