皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
E-BANKERさん |
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平均点: 6.01点 | 書評数: 1809件 |
No.27 | 7点 | 雨の狩人- 大沢在昌 | 2024/05/24 18:03 |
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不定期に発表されてる「・・・狩人」シリーズ。昔なにか読んだなあーと思って当サイトを探ってみると、「北の狩人」を読了していた。それ以来の本シリーズということになる。
単行本は2014年の発表。 ~「誇りのために殺し殺され、誇りのために守り守られる。」 新宿のキャバクラで、不動産会社の社長が射殺された。捜査に当たった新宿署の刑事・佐江と警視庁捜査一課の谷神は、その事件の裏に日本最大の暴力団である高河連合の影があることを突き止める。高河連合最高幹部の延井は、全国の暴力団の存亡をも左右する一世一代の大勝負「Kプロジェクト」を立ち上げ、完全無欠の殺し屋を使い、邪魔者を排除しようとしていた。佐江、谷神と高河連合が、互いの矜持と誇りを賭けた戦争を始めようとするなか、プラムと名乗るひとりの少女が現れる。進むことも退くこともできない暗闇の中にいた佐江は、絶望を湛えたプラムの瞳に一縷の光を見出すが・・・~ 単行本の最終ページを見てビックリ。本作って新聞連載だったんだね! こんな(拳銃バンバン撃ち合うような激しい)小説・・・よく真面目な新聞社が連載してたねェ で、本筋なのだが、うーん。これは大沢在昌エキス100%、渾身のハードボイルドだな。 「新宿鮫シリーズ」を長きに亘って読み継いでいる者としても、これをもし「新宿鮫シリーズです」と言われれば信じてしまいそうなプロット、物語だった。 主な舞台は新宿・歌舞伎町。主人公は一匹狼の新宿署刑事、相手は日本を代表する反社組織の若頭、そして現れる謎の殺し屋、そしてもうひとりのキーパーソンとなるタイ人の少女・・・ これだけ並べてみても、もはや「新宿鮫」と何ら変わるものではない。 別にこれはネガティブな評価なのではなくて、作者のエネルギーの籠った読者の心を揺さぶることのできる佳作ということである。 登場人物の一人一人にドラマがあり、背負っている過去や宿命がある。それを知る読者は、どうしても先読みしてしまう。「あーあ。これはこうなるんじゃないか?」「こういう悲しい結末を迎えるんじゃないか?」と。 そして、実際にそのとおりの展開、結末を迎えてしまう刹那・・・ いつも感じることだけど、作者の作品の登場人物は、常に「矜持」を持っている。それは刑事であれ、ヤクザであれ、殺し屋であれ・・・。みな、己の生き様を貫きとおして、作品のなかで己の命を全うしていく・・・ それがきっと、読者の心に響いていくのだろう。 本作のラスト。日比谷のビルでの壮絶な撃ち合い。そして、最後の最後に示される「親娘の絆」。ベタといえばベタかもしれないけど、所詮人の一生なんて、ベタな展開の連続なのだ。ド派手な銃撃戦を描きながら、作者が言いたかったのは、そういうベタな「親子愛」だったのかもしれない。 ということで作品世界にどっぷりのめり込んでしまった。ただ、書いているとおりベタなので、そういうのが鼻につく人は合わないかもしれません。 |
No.26 | 7点 | 黒石 新宿鮫Ⅻ- 大沢在昌 | 2024/01/06 15:43 |
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少し遅くなりましたが、2024年、新年明けましておめでとうございます。今年は元旦からまさかの事態がつぎつぎと・・・
画面から見ているだけで大変恐縮なのですが、被害に遭われた方の心中を察するといたたまれれない気持ちになってしまいます。 ですが、こういう時こそ、われわれは「己の本分」を全うすることがまずは大事と信じております。 ということで、新年一発目の作品は、ついにⅫ(12)まで進んだ「新宿鮫シリーズ」最新刊で、ということです。 単行本は2022年の発表。 ~リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク「金石」の幹部、高川が警視庁公安に保護を求めてきた。正体不明の幹部「徐福」が謎の殺人者「黒石」を使い、「金石」の支配を進めていると怯えていた。「金石」と闘ってきた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、公安の矢崎の依頼で高川と会う。その数日後に千葉県で「徐福」に反発した幹部と思しき男の頭を潰された遺体が発見された。過去10年間の「黒石」と類似した手口の未解決事件を検討した鮫島らは、知られざる大量殺人の可能性に戦慄した・・・。どこまでも不気味な異形の殺人者「黒石」と反抗する者への殺人指令を出し続ける「徐福」の秘匿されてきた犯罪と闘う鮫島。シリーズ最高の緊迫感!~ シリーズ12作目でこの面白さなら十分合格点、そういいたい気持ちはある。 本作は、前作(「暗約領域」)と深いつながりがあり、特に前作でもキーパーソンだった「新本ほのか」(またの名を「荒井真梨華」)は本作でもまた、事件のカギを握る存在として鮫島の前に現れることになる。 そして、何より本作最大の謎は、「異形の殺人者」=「黒石(ヘイシ)」とそれを操る「徐福」の正体、ということになる。殺人者に関しては、これまでもⅡの「毒猿」やⅥ「氷舞」での美しき殺人者など、謎に満ち魅力的なキャラクターが登場していた。 始まってすぐに「黒石」視点でのパートが少しずつ挟まっており、それを読み進むごと、読者もその不気味さを徐々に理解していく・・・そんな効果を狙ってのことなんだろう。(ただ、ちょっと書きすぎの感はあって、終盤はかえって「不気味さ」の興を削いでいたが) 事件は鮫島と新パートナーである矢崎、そして桃井の後任である阿坂課長、薮たちの捜査により、徐々に詳らかにされていき、「金石」の幹部である「八石」の正体が判明するとともに、ついには「徐福」と「黒石」の正体も姿を現していく・・・ ただ、徐々にページ数が少なくなっていくなかで、まだ対決シーンが始まっていないじゃないか!と思っていた矢先、突然に訪れたかの「ふたり」との遭遇、そして急展開ともいえる終幕・・・ いやいや、早仕舞いすぎでしょー もう少し味わいたかったよー。鮫島と「徐福」そして「黒石」との対決。この辺りが、他の方の書評でも不満として見られるのかなとは思った。 まあでも、シリーズ第一作の発表が1991年だから、足掛け30年が経過。作品の世界では恐らく鮫島は10歳程度しか加齢していないように見えるけど、それでも40代半ばではあるだろう。 先に触れたⅡ「毒猿」ラストの名シーン。新宿御苑内での「毒猿」との戦慄の対決シーン。そのときは鮫島も30代前半。体力も気力も充実していた頃だろう。それを本作でも再現すること自体が無理筋なのかもしれない。 フィクションの世界だって加齢するのだ。それこそが30年も続いてきた本シリーズの強みであり、弱みなのかもしれない。 でも、本作では阿坂の口から鮫島のチーム力についての言及がある。いつもひとりで闘ってきた鮫島だったはずだが、本作では矢崎も薮も阿坂もそれぞれの「本分」で力を発揮する。 そうだ、40代も後半を迎えた(合ってる?)鮫島にとっては、「チーム」で闘うすべを痛感した本作だったのではないか? いかんいかん。何だかフィクションかノンフィクションか分からないような書評になってしまった。 でもいいのだ。私も鮫島に習って、決して現実に目を背けないようにしたい。そう強く思った新年一発目となった。(何だかよく分からん書評ですが・・・) |
No.25 | 5点 | 烙印の森- 大沢在昌 | 2021/04/29 22:19 |
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ノンシリーズ・ハードボイルド。(ノワールかもしれないが・・・)
こういう小説を書かせれば安定感十分! 作者の比較的初期の作品。 ということで単行本は1992年の発表。 ~芝浦の人気のない運河沿いに佇むバー「ポッド」。集まるのは裏稼業に携わる者ばかり。元傭兵のマスター、盗聴のプロ、ニューハーフのボディガード、そして私は犯罪現場専門のカメラマン。特に殺人現場に拘るのは、ある目的で伝説の殺し屋”フクロウ”を探し当てるためだ。ある晩、ついに命を狙われ始めた私は裏社会に生きる「ポッド」の連中と手を組むことに。驚愕のラストが待ち受ける!~ 作者というと、どうしても新宿、歌舞伎町の薄暗い街角が思い浮かぶ。 しかし、「新宿鮫」の人気シリーズ化以前である本作の舞台は六本木・西麻布界隈。どちらかというと、薄暗いというよりは「きらびやか」な雰囲気。 そのせいなのか、どうもしっくりこないというか、ややうわべ感が強いような気がしてしまう。 伝説の殺し屋「フクロウ」を巡って、決してカタギでない登場人物たちが繰り広げるドラマが本作のテーマ。 主人公の「メジロー」の秘められた過去が明かされる中盤以降、物語はスピードを増し、紹介文でも触れている驚愕のラストへ突入する。 ただ、これが「驚愕」かというと大いに疑問ではある。 全体的に、「新宿鮫」以降に触れてきた人物たちの背負っている「因果」に比べれば、どうにも軽いような気がするな・・・ まっでも、それほど穴のない作品に仕上がっているのは事実。 さすがにまとめ方は若いころから熟知していたのだろう。一定の満足感は得られるはず。 ラストになってタイトル(=烙印)の意味が判明するところも読みどころかな。 |
No.24 | 5点 | 鏡の顔- 大沢在昌 | 2020/08/24 19:55 |
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『傑作ハードボイルド小説集』と銘打たれた本作。
鮫島刑事やジョーカー、佐久間公など、作者が生み出したヒーロー(?)たちが共演する豪華作品集。 単行本は2009年の発表。今回は講談社文庫版で読了。 ①「夜風」=短編集「鮫島の貌」の収録作であり既読。ごくごく短い作品だが、鮫島VS悪徳刑事というシリーズ中でもよくお目にかかる構図。”癒着”って嫌ねぇ・・・ ②「年期」、③「Saturday」、④「Wednesday」、⑤「ひとり」=ショート・ショートというべき分量。長い物語の一部分を切り取りました、とでも言うべきか。あまり印象には残らず。洒落た読み心地ではある。 ⑥「二杯目のジンフィズ」=俺も好きだよ、ジンフィズ! ⑦「空気のように」=登場する女性の「K」って、この前読了した「Kの日々」に出てくる「K」のこと? 単身極道の事務所に飛び込んだ主人公をKは救えるのかって感じ。 ⑧「ゆきどまりの女」=こんな女怖ぇー。ヤリ終えた瞬間にズドン・・・だもんな。でも最後は報いを受けることに。 ⑨「冬の保安官」=元敏腕刑事が別荘地の保安官に。昔の異名が”ハマのシェリフ”・・・名がダサい! ⑩「ダックのルール」=いかにも大沢ハードボイルド、っていう雰囲気の舞台設定。佐久間公とダックと呼ばれる日系ハーフの大男。彼には日本で取り返さなければならないものがあった。巻き込まれただけの佐久間は、いつの間にかダックを助けることに・・・ ⑪「ジョーカーと革命」=作者の人気シリーズのひとつの主役”ジョーカー”。今回の相手はかなり手強い。だって、カクテルグラスに手榴弾入れるんだぜ! 爆発するよ、そりゃぁー ⑫「鏡の顔」=結局最後まで名前さえ語られなかった殺し屋の男。彼の「目」に魅せられたフォトグラファー沢原は彼の後を追うことに。最後は・・・切なさが残る。 以上12編。 短編だから、読者としては語られなかった行間を楽しむことが求められる。 そういう意味ではまぁ合格点かなというレベル。 作者が創造した男たちは、鮫島にしろ、ジョーカーにしろ、佐久間公にしろ、「強さ」と「優しや」そして「弱さ」を持ち合わせている。それが読者に共感や深い余韻を残させることに成功しているのだろう。 ただ、やっぱりこってりした長編の方が作者の良さがより発揮できるのは間違いない。 作者が年齢を重ねるごとに、作中の主人公たちもやや足腰が重くなっている感はあるので(やむを得ないかな)、無理かもしれないけど新鮮&鮮烈な新作が読みたいものだ。 |
No.23 | 5点 | Kの日々- 大沢在昌 | 2020/04/19 18:21 |
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消えた8,000万円を追って、裏社会の人間たちがそれぞれのプライドを賭け、蠢いていく・・・
物語の中心にあるのは謎の美女“K” 2010年の発表。 ~闇に葬られた三年前の組長誘拐事件。身代金は八千万円。身代金を受け取った中国人・李は、事件から間もなく、白骨となって東京湾に浮かんだという。李の恋人ケイ(K)の調査を始めた裏の探偵・木(モク)。謎の女Kは、恋人を殺しカネを独り占めした悪女なのか、それとも亡き恋人を今も思い続ける聖女なのか? 逆転、また逆転、手に汗握る長編ミステリー~ うーん。ちょっと「龍頭蛇尾」的な作品に思えた。 出だしから終盤まではマズマズ。 主人公の探偵・木、誘拐された組長の息子でヤクザの二代目、裏の死体処理稼業の男、誘拐犯に仕立てられたヤクザの二人組、そしてヤクザをも食い物にする刑事・・・ それぞれがそれぞれの思惑を持ち、付いたり離れたりしながら消えた8,000万円を追う。 殺人の実行犯、裏で事件の糸を引いていた人物は誰なのか、なかなか判然としない展開が続くことで、読者の関心を繋いでいく。 そう、ここまではいいのだ。 問題は最終盤。どんどんページ数が少なくなっているにも関わらず、相変わらず「誰がやったのか?」という展開が続くなか、「?!」 唐突にやってきた急展開! 「えっ!」って思ってるうちに終了してしまった。 いやいや、それはなぁー。いわゆる後出しではないか? まぁそもそも本格ミステリーじゃないんだから、読者が謎を解けるなんて思ってなかったけど、そういう可能性があるのなら、もっと早い段階で探偵たちが調査するんじゃないのか?というのが偽らざる感想。 美女・Kの謎もなぁー。引っ張った割には特段サプライズはなかったしなぁ・・・ ということで、やっぱり「龍頭蛇尾」っていう評価がピッタリ当て嵌まる。 ぜんぜんダメっていうわけではないんだけどね。 |
No.22 | 7点 | 暗約領域 新宿鮫XI- 大沢在昌 | 2020/01/05 10:42 |
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2020年、令和2年、皆さま明けましておめでとうございます。
毎年、新年の一発目で何を読もうか考えるわけですが、今回は迷うこと一切なし! “国内ハードボイルドの金字塔”新宿鮫シリーズの最新作で。サブタイトルは『暗約領域』(なせ『暗躍』ではなく『暗約』なのか?) 2019年の発表。 ~信頼する上司・桃井が死に、恋人・晶と別れた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は孤独のなか、捜査に没入していた。北新宿のヤミ民泊で男の銃殺死体を発見した鮫島に新上司・阿坂景子は、単独捜査をやめ新人刑事・矢崎と組むことを命じる。一方、国際的犯罪者・陸永昌は、友人の死を知って来日する。友人とはヤミ民泊で殺された男だった・・・。冒頭から一気に引き込む展開、脇役まで魅力的なキャラクター造形、痺れるセリフ、感動的なエピソードを注ぎ込んだ八年ぶりのシリーズ最新作・・・~ 紹介文を読んで初めて気付いた。「八年ぶりだったんだな・・・」と。そんなに経ってたんだ・・・。八年ぶりだよ。八年前って言えば、自分もまだ〇〇歳だったんだよなぁーなどとどうでもいいことを思ったりした。 もはや新宿鮫シリーズに対しては書評すら必要ないと思う。よって終了! というのも新年一発目としては寂しいので雑感だけ。 シリーズ11作目となった本作。一番の注目点はやはり新上司と相棒の登場だろうか。 新上司となる阿坂景子。ノンキャリアそして女性警察官の期待の星という存在。警察官としての原理原則、そしてルールを何よりも大切にする。当然鮫島と衝突すると思ったのだが、実際は・・・。もちろん桃井とは正反対の人物。しかし終盤読者の鼻の奥をツンとさせる。 そして相棒となる矢崎。何となく「相棒シリーズ」のような展開かと想像したのだが、そこはやはり新宿鮫だった・・・ (ただ、正直なところ、この二人、まだまだシリーズに馴染めていない感が強い。今後どうなるのか?) 作者が本作でのプロットの出発点として考えたのが「宝探し」・・・ということがネットの特設サイトに出ていた。 そう。今回、鮫島、田島組、公安、そして外国人犯罪組織の四者がこの「宝」を探し回ることになる。 いったいこの「宝」とはなにか?(〇〇〇〇と分かったときは若干拍子抜けしたけど・・・。ちょっと時代がズレてる) なかなかこの宝の正体が判明せず、いつもの鮫島vs犯罪者たちという濃密な人間ドラマというよりは、捜査・推理の過程が重視されている感がした。 もしかしたら、これまでのシリーズ作品と比べて、この辺りを淡白と捉える読者もいるかもしれない。 実はかくいう私もそう。特に気になったのは最終盤。いつもなら、作品内に溜め込んだエネルギーのすべてを放出するかのような臨界点が描かれるのだが、今回はやや冷えていたように思う。 これは本作が新たな展開への序章だからなのか、それとも経年劣化なのか・・・若干気になるところ。 でも、トータルで評すれば十分に面白い。正月の静かな空間で、少しずつ、味わうように読ませていただきました。 まさに、作者からのクリスマスプレゼント、いやお年玉・・・かな。 (結局『暗約』の意図ははっきり分からず・・・) |
No.21 | 5点 | 語りつづけろ、届くまで- 大沢在昌 | 2017/01/21 21:08 |
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“日本一不幸なサラリーマン”、坂田勇吉を主人公とするシリーズ。
「走らなあかん、夜明けまで」、「涙はふくな、凍るまで」に続く三作目であり、且つシリーズ最終作(とのこと)。 2012年の発表。 ~大手食品会社のサラリーマン・坂田勇吉は新商品を宣伝するため、東京下町の老人会に通っていた。老人たちやボランティアの女性・咲子の心をつかんでいた彼に、健康枕のセールス指導のアルバイトが持ちかけられる。打ち合わせ場所に着いた坂田の目の前には、刺殺体が! ヤクザがらみの厄介な事態に巻き込まれた坂田に危険が迫る・・・~ またも「ヤクザがらみ」の事件に巻き込まれる坂田勇吉・・・というシリーズ定番の展開&プロット。 第一作の「走らなあかん、夜明けまで」が非常に気に入って、続編も手に取ってきたシリーズ。 (巻末解説によると、一作目はハリソン・フォード主演の映画「フランティック」に触発されて書かれた作品とのこと。) 大阪、北海道と坂田が出張先で事件に巻き込まれるという舞台設定から一変。本作は、地元の東京でもわざわざ事件に遭遇することになる。 ただ・・・本シリーズは、二作目からのパワーダウンというか、二番煎じ感(ある種当たり前だが)がどうにも目に付く。 作者というと、どうしても「新宿鮫シリーズ」の孤高で静謐で、かつ熱量のあるハードボイルド、っていうイメージを持ってしまうのだが、それに比べると、プロットの安直さや膨らみのなさがねぇ・・・ シリーズを打ち切るという作者の思いもよく分かる(気がする)。 シリーズキャラクターの造形にも、どうにも「想い」が込められていないよなぁ・・・ 「今どき、こんな冴えないっていうか、不器用なヤツ」っていうのが、どうにも共感できないっていう気持ちになる。 まっ書き方次第なんだろうけどね。 結構分量はあるのだが、中身はそれほど・・・ 「鮫」の続編に期待!っていうところだ。 |
No.20 | 7点 | 鮫島の貌 新宿鮫短編集 - 大沢在昌 | 2012/04/01 16:35 |
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ゾロ目666冊目の書評は、大好きなシリーズの最新刊で。
「新宿鮫シリーズ」初の短編作品集。 短編になっても、やっぱり鮫島は鮫島なのだが、本作では超意外なあの人たちもゲスト出演(!) ①「区立花園公園」=新宿署に異動したばかりの鮫島が登場。そういう意味で、本作は「新宿鮫エピソード1」的な位置付けかも。とにかく、今は亡き桃井警部の雄姿が読めて、それだけでもうれしくなった。 ②「夜風」=①に続いて悪徳警官が登場し、鮫島と対決。ヤクザと警官は紙一重とはよく言ったものだ。 ③「似たものどうし」=本作ではさるマンガで有名な「あのキャラクター」がなぜか登場。しかも鮫島と知り合いの様子。でも、なぜ知り合いなのかは全く不明・・・(モッ○リはしなかったのか?) ④「亡霊」=死んだはずの男が新宿の街をうろついている・・・まさに「亡霊」かと思いきや、真相は? ⑤「雷鳴」=これはラストの捻りが効いている秀作。お得意のヤクザの抗争をネタに意外な真相がラストに用意されている。 ⑥「幼馴染み」=③に続いて超意外な「あの人物」がなぜかゲスト出演。しかも、なぜか藪鑑識員の幼馴染みとしての登場・・・舞台が浅草で警察官といえばこの人でしょう。そう「両○○吉」(!) ⑦「再会」=鮫島が高校の同窓会に出席。これ自体も珍しいエピソードだが、元クラスメートとして登場する視点人物にはある秘密があって・・・鮫島のカッコよさが引き立つ。 ⑧「水仙」=鮫島に協力を申し出る1人の美女。その美女のおかげで、凶悪犯を逮捕できたのだが、彼女には大きな秘密があった・・・ ⑨「五十階で待つ」=新手の詐欺事件に引っ掛かる半端者たち。ラスト、鮫島に真相を知らされた感想は「なーんだ」。 ⑩「霊園の男」=「新宿鮫Ⅸ~狼花」で華々しく散った「間野」。彼の墓参時に会ったある肉親。ある意味好敵手だった男の死は鮫島にとっても一抹の寂しさを誘う・・・ 以上10編。 「新宿鮫シリーズ」には独特の雰囲気があり、それが鮫島のキャラクターや新宿・歌舞伎町の雰囲気と何とも言えない相乗効果を生み出している。 本作は、短編としても短めの作品が並んでおり、1つ1つはいつもより薄味なのだが、逆に鮫島のいろいろな一面が窺えて、ファンとしては面白く読むことができた。 ただ、やっぱり本シリーズは長編が読みたい。序盤からヒリヒリしたような緊張感、そして中盤から一気に加速して終盤に突き進んでいくスピード感。そして、何とも言えない余韻の残るラスト・・・ これこそが20年経っても色褪せない「新宿鮫」の魅力だろう。 (しかし、まさかあんなキャラクターを出してくるとはねぇ・・・懐深いわ!) |
No.19 | 9点 | 絆回廊 新宿鮫Ⅹ- 大沢在昌 | 2011/07/02 23:49 |
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記念すべき(?)500冊目の書評は、「新宿鮫シリーズ」の最新刊で。
本シリーズがパート10を迎えるなんて・・・感慨深い! ~巨躯、凄みのある風貌、暴力性、群れない・・・ヤクザも恐れる伝説的アウトローが「警官を殺す」との情念を胸に22年の長期刑を終え帰ってきた。すでに初老だが、いまだ強烈な存在感を放つというその大男を阻止すべく捜査を開始した鮫島。しかし、捜査に関わった人々の身につぎつぎと・・・親子、恩人、上司、同胞、しがらみ、恋慕の念。各々の「絆」が交錯したとき、人々は走り出す。熱気、波乱、濃度、そして疾走感~ シリーズ第1弾からすでに20年が経過しましたが、第10弾を迎えても、決して褪せることのなく、読者の心を沸き立たせてくれる・・・やっぱり凄いね! 今回も、実に「新宿鮫シリーズ」らしいストーリー&展開。 前半は、鮫島を中心に、登場人物たちの"人となり”や心の動きが順に語られながら、割と静かに流れていく。 中盤以降、物語は加速度的に進行し、登場人物たちがまるで運命に吸い寄せられるように新宿・歌舞伎町の「ある場所」へ・・・ そして、物語が最高潮を迎える瞬間、ついに「○○○が×××しまう」(!) こうやって書いていると、新宿鮫っていつも「交響曲」のような作りになってるんですねぇ。それだけ起承転結がしっかりしているということなのでしょう。 でも、本作ではついに恐れていたことが現実になってしまったなぁ・・・(「狼花<新宿鮫Ⅸ>の書評で書きましたが) 後悔と悲嘆に暮れ、号泣する鮫島の姿が目に浮かんでしまって、思わずもらい泣きしちゃいました。 それと、ラストの新宿署副署長の台詞がまた泣かせる・・・(言いこというねぇ!) 今回、新しいステージへの予感を抱かせるような作りになってましたので、まだまだ本シリーズは続いていくのでしょう。 晶や香田との関係も気になりますが、いつまでも鮫島は鮫島でいて欲しいなぁと思わずにはいられません。 (帯に書いてる「鮫島は歯をくいしばる・・・」という台詞が胸を打つ! 鮫島の姿に、自分が忘れかけた「使命感」とか「熱いこころ」という奴を追い求めているんですねぇ。スイマセン。新宿鮫シリーズについて語り始めると、ついつい熱くなってしまいます・・・) |
No.18 | 6点 | 氷の森- 大沢在昌 | 2011/05/11 22:18 |
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元"麻取”の私立探偵、緒方洸三を主人公とするハードボイルド作品。
新装版で読了。 ~私立探偵、緒方が調査する先で関わった若者たちが次々殺されていく。最も弱い部分を突かれ、非業の死を迎える彼らは、ヤクザすら自在に操る冷血漢に支配されていた。緒方は六本木の街で1人、暗黒に心を支配された男と対峙し、その正体に迫るが・・・~ ストーリーやプロット、主人公・サブキャラの造形などなど、まさに「ザ・大沢’Sハードボイルド」そのもの! 本の帯には、「新宿鮫シリーズ」につながる原点とありますが、同シリーズほどの完成度ではないかなという印象。 巻末解説によれば、作家デビュー以来不遇な時代を過ごしてきた作者が、乾坤一擲、自身のハードボイルド作品の集大成として書いたのが本作とのことで、もちろん十分に水準以上の面白さはありますし、グイグイ読まされました。 冒頭から、複数の事件が同時進行。ラストではそれが有機的につながり、「ボスキャラ(影の黒幕)」の正体が明らかになっていく・・・やっぱり「うまい」ですね。 ただ、その「影の黒幕」の正体が分かった段階では、すでに○○でいた・・・というのがちょっと不満。もう少し盛り上げる方法があったんじゃない?という気がしますし、「動機」に今ひとつ真実味が感じられない結果になってます。 まっ、でも十分に面白い。敵キャラとの対決シーンは手に汗握るし・・・ (時代で言えば、バブル絶頂期の六本木が舞台ですから、あの頃を懐かしみながら読むのも一興かも・・・) |
No.17 | 5点 | アルバイト探偵(アイ)- 大沢在昌 | 2010/12/11 20:12 |
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謎の多い父親(?)の経営する私立探偵事務所の助手、冴木隆を主人公とするハードボイルド連作短編集。
①「アルバイト・アイは高くつく」=TVドラマの刑事物みたいな展開。父親、涼介って何者?と思わされます。 ②「相続税は命で払え」=カッコいいタイトル! 高校生のくせに隆もなかなかスゴイ奴。 ③「海から来た行商人」=涼介の正体がほぼ判明。ストーリー的にはややご都合主義。 ④「セーラー服と設計図」=”機関銃”ではないけど、散弾銃は出てきます。(古い?) 以上4編。 この後、シリーズ物になる「アルバイト探偵」シリーズの第1弾。 「新宿鮫」シリーズのような硬質で重厚なハードボイルドに対し、六本木周辺を舞台にした本シリーズのような軽いタッチのハードボイルド、どちらも作者お得意の作風ですが、個人的には前者の方が好みですね。(六本木よりも新宿界隈の方がシンパシー感じますし・・・) 本作もちょっと型に嵌りすぎてる感がするんで、やや辛めの評価で・・・ |
No.16 | 6点 | 撃つ薔薇―AD2023涼子- 大沢在昌 | 2010/09/23 22:45 |
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近未来の東京を舞台としたハードボイルド作品。
主人公は潜入捜査専門の”絶世の美女刑事”ということで、ついつい想像を逞しくして読んでしまいます。(いろいろと) ストーリー的には、まぁ安定感たっぷり、「さすが大沢在昌!」と言うわけで安心して読み進められます。 持ち前のスゴ腕と抜群のルックスを武器に、闇の組織に潜入する主人公涼子、涼子を助ける謎の男、龍・・・謎が深まる中、ラストはやはりサプライズが! という流れ・・・ 何となく、はやりの韓流ドラマを見ているような気持ちにさせられてしまうのが「う~ん」という感じでしょうか・・・(途中から”龍”はイ・ビョンホンの顔を想像しながら読んじゃいました) |
No.15 | 7点 | 夢の島- 大沢在昌 | 2010/08/05 22:27 |
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シリーズ外の巻き込まれ型サスペンス。
作者お得意のプロットだと思います。 母と離婚後、音信普通だった父の死、そして父が残した1枚の書きかけの島の絵・・・その「絵」をきっかけに主人公が”嵐”に巻き込まれるーという展開。 「島」の秘密が本作を貫く謎になるわけですが、ヒントが結構多いため、途中で完全に察してしまいます。 その点は割引ですが、最後のサプライズはなかなか良かった・・・ 「男のロマン」、「男で良かったぁー」と感じさせてくれる1作。 |
No.14 | 6点 | 亡命者 ザ・ジョーカー- 大沢在昌 | 2010/06/19 00:53 |
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前作「ザ・ジョーカー」に続く連作短編集。
六本木のバーで依頼人を待つ”仕事人”ジョーカーが主人公です。 ①「ジョーカーの鉄則」: ジョーカー最初の依頼についての思い出。 ②「ジョーカーの感謝」: 途中で敵に捕まり大ピンチに! ③「ジョーカーと戦士」: ドラクエを想起させるRPG「クエストエンブレム」が依頼の背景に・・・ ④「ジョーカーの節介」: ちょっと趣の違う一作。協力者である沢木の娘のために、ジョーカーが一肌脱ぎます。 他2編。 全体的には前作より劣るかなぁという印象。 ストレートな作品というよりは、やや変化球的な作品が多いような気がします。 |
No.13 | 7点 | ザ・ジョーカー - 大沢在昌 | 2010/05/09 16:47 |
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殺人も引き受ける便利屋「ジョーカー」を主人公とした連作短編集。
何となく、現代版「必殺仕事人」といった雰囲気も感じます。 ①「ジョーカーの当惑」:出張マッサージ業界の裏事情についても知ることができます。 ②「雨とジョーカー」:「新宿鮫」にも登場した改造銃作りの名手「木津」と肩を並べる男が登場。 ③「ジョーカーの後悔」:一人の少女を媒介として、最後はちょっとしたいい話でオチがつきます。 ④「ジョーカーの伝説」:本作品のベスト。昔の恋人が実は・・・という展開。ラストはハードボイルドしています。 他2編の全6編。 それほど重くなく、読みやすさを追求した作品集という感じでしょうか。 |
No.12 | 5点 | 涙はふくな、凍るまで- 大沢在昌 | 2010/03/26 20:30 |
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前作「走らなあかん、夜明けまで」の続編。
普通のサラリーマン坂田勇吉を主人公にしたちょっと切ない「巻き込まれ型サスペンス」?! なんか無理やり書いた続編という感じで、前作より数段落ちる印象です。 主人公が、北海道でロシアマフィアの抗争に巻き込まれながらも、美しいロシア人女性を助けるために立ち上がる・・・という展開はいいんですが、アクションよりもロシアという国の情勢や民族対立について思い巡らせる部分に話のメインが持っていかれており、何か盛り上がりません。 ラストも唐突に終わった感があり余韻もなく、作者の作品としてはちょっと欲求不満が残ります。 |
No.11 | 10点 | 風化水脈 新宿鮫VIII- 大沢在昌 | 2010/01/24 16:53 |
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新宿鮫シリーズの超大作。
「スゴイ作品」です。読了後もその一言しか思い浮かびませんでした。 今回の登場人物はこれまで以上に印象的です。 藤野組のヤクザ真壁、その内縁の妻・雪絵、雪絵の母、そして西新宿の謎の老人・大江・・・ 鮫島を含め、すべての登場人物が「新宿」という特殊な街に翻弄されながら、どうしようもない「時の流れ」に巻き込まれていきます。 特に、雪絵の母の言葉は印象的です。「・・・せめてこの街からは逃げちゃいけないと思ったの・・・」(どういうシーンかは言えませんが) 読んでいて息が詰まりそうになりました ラストは鮫島がかっこよく締めてくれます。 本作は、できれば単独で読まないでください。「新宿鮫シリーズ」を読み続けた読者のみが味わえる感動だと思いますので・・・ |
No.10 | 9点 | 狼花 新宿鮫IX- 大沢在昌 | 2009/12/21 22:52 |
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新宿鮫シリーズ第9作。
ハードカバー版の帯どおり「桁違いの濃度と感動、一気に炸裂するクライマックス」という言葉がまさにピッタリです。 本作では、パートⅤ「炎蛹」以降、鮫島の好敵手となっていた仙田勝と、キャリア組同期入庁でありながら常に対立していた香田警視という重要なキャラクター2人について、一定の決着が図られます。 今回の鮫島もピンチの連続、緊張感のある展開が続きますが、刑事として人間として、鮫島の心は決して揺らぐことなく自身の任務・正義を遂行しようとします。 シリーズも9作目を数えますが、面白さは全く色褪せません。ただ、鮫島がどんどん孤独になっていくような気がして、今後の展開が何となく心配です。せめて、桃井警部と藪だけは殺さないでください。 |
No.9 | 8点 | 走らなあかん夜明けまで- 大沢在昌 | 2009/11/22 00:24 |
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ちょっとヘタレの普通のサラリーマン坂田を主人公にした、作者としては珍しいシリーズ。
「新宿鮫シリーズ」のような震えるような緊張感こそありません。が、逆に言えば、主人公が単なる一市民になったことで、読者がスムーズに感情移入できるようになっています。 追い詰められて、弱気な自分を奮い立たせて頑張る主人公の姿に、いつの間にか自身を重ね合わせてる自分がいます。 舞台が「大阪」というのも本作に何ともいえない”味わい”をプラスしてますね。憎むべき敵である「や○ざ」もやっぱり大阪だとなんか雰囲気が和らぐというか・・・ やっぱりうまい作家です。 |
No.8 | 8点 | 灰夜 新宿鮫VII- 大沢在昌 | 2009/10/20 23:10 |
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「新宿鮫シリーズ」。
シリーズ中では異色の作品で、いつもの新宿ではなく、旅先である鹿児島が舞台になります。(だから「灰」夜です) いつもなら、桃井警部や藪、晶といったおなじみの登場人物が絡んできますが、今回はまさに一人です。地元の警察官までも敵に回して、それでも戦う鮫島はやはり”かっこいい”としか言いようがありません。 ラスト前の戦闘シーンも迫力満点。本シリーズ独特の緊張感漂う鮫島の心情が読み手にも十分伝わります。 たまには、新宿を飛び出してもいいのでは?と思える作品。 |