皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
E-BANKERさん |
|
---|---|
平均点: 6.01点 | 書評数: 1785件 |
No.6 | 6点 | ポンスン事件- F・W・クロフツ | 2010/10/05 22:55 |
---|---|---|---|
名作「樽」に続く2作目の長編。
探偵役はスコットランド・ヤードのタナー警部ですが、キャラクター的にはほとんどフレンチ警部とイコールのような印象です。 本作品、”いかにもクロフツ”といった作品。 当初有力視された容疑者2人については、タナー警部の丹念な捜査により、アリバイ成立! ところが、その後登場した素人(容疑者の婚約者)の推理が的中し、何とアリバイが崩れる・・・という展開。何だか「樽」と似てますね。(タナー警部形無しです) こういった作風自体は嫌いではないんですが、本作は他の佳作に比べると、やや捻りが足りない印象ですねぇ・・・ 特に「殺人事件」そのものの真相が「あれ」では、ちょっと肩透かし・・・ |
No.5 | 9点 | 樽- F・W・クロフツ | 2010/07/22 22:32 |
---|---|---|---|
記念すべき作者の処女長編。
本邦作品へ強く影響を与えたことは周知のとおりで、横溝「蝶々殺人事件」、鮎川「黒いトランク」、島田「死者が飲む水」も同種のプロットをベースにしています。 今回、久々に再読。 まぁ批判はいろいろあるでしょうが、本書が100年近く前に書かれたことを考えれば十分賞賛に値すると思います。 「樽」の動きに翻弄されるバーンリー・ルファルジュの両警部、その2人の後、案外簡単にトリックを見破るラトゥーシュ・・・ アリバイトリック自体は今となっては正直、低レベルとしか見えませんが、「樽」の動きについての作者の仕掛け・欺瞞については十分に唸らされます。 やはり、時代が変わっても読み継がれるべき名作と言ってよいでしょう。 |
No.4 | 7点 | マギル卿最後の旅- F・W・クロフツ | 2010/04/08 20:28 |
---|---|---|---|
フレンチ警部物の代表作の1つと言っていいでしょう。
まさに、これぞ「クロフツ流アリバイ崩し」というべき作品です。 特に今回は、舞台がロンドン~スコットランド~北アイルランドにまたがっているため、鉄道・自動車・船という3つの交通手段をフルに利用したアリバイトリックになっています。 話の進展はいかにも「フレンチ警部物」・・・フレンチが容疑者1人1人のアリバイを丹念に調べ、一旦はすべての容疑者にアリバイ成立! かと思いきや、一筋の光明が!・・・という展開です。 まぁ、こんな筋立てが嫌いな人には退屈かもしれませんが、私は好きなので・・・ |
No.3 | 8点 | クロイドン発12時30分- F・W・クロフツ | 2010/02/11 23:23 |
---|---|---|---|
倒叙物の古典名作の1つ。
主役とはいえませんが、フレンチ警部が探偵役として登場。 とにかく、読んでいるうちに引き込まれます。 本作は冒頭とラストを除いて、すべて真犯人の視点で語られ、恐れや疑惑、安堵といった彼の心情が読み手の心とシンクロし、まさに感情を共有している気分にさせられます。 完全犯罪を遂行したと思い込んだ矢先に訪れたピンチ、それを乗り切ったと思い込んだあとに、フレンチ警部の明晰な推理力の前に敗北を喫する彼の挫折感・・・ できれば最後に”一捻り”あれば言うことなしですが、時代を考えればそこまで望むのは酷というものでしょう。 |
No.2 | 7点 | フレンチ警部最大の事件- F・W・クロフツ | 2009/11/23 14:01 |
---|---|---|---|
フレンチ警部が初登場する記念すべき作品。
タイトルは「最大の…」となっていますが、作者も当初はフレンチ警部を本作だけの探偵役と考えていたためで、「最大」というほどのインパクトはありません。 ただ、クロフツらしい一作なのは間違いなく、細かな手掛かりや考えをもとに、フレンチ警部が丹念に捜査を進めていきます。 特に、真犯人を指摘するラストの場面がいいですね。フレンチ警部を翻弄した犯人とその理由が気持ちよく頭に入ってきます。 ちょっと途中がモタモタしますが、それはそれでクロフツの特徴ですから・・・ |
No.1 | 6点 | 英仏海峡の謎- F・W・クロフツ | 2009/10/17 16:18 |
---|---|---|---|
個人的に、翻訳物の名探偵ではポワロよりもF・ヴァンスよりもフレンチ警部が好きなのですが(「名」探偵ではありませんけど・・・)、そのきっかけとなった作品のひとつ。
ストーリー的には特に目立つ部分はなく、作者得意のアリバイ崩しをフレンチがコツコツと積み上げ、ふとしたきっかけで真相に行き着く、という展開。 ただ、それまでは翻訳物といえば名探偵が最終章で容疑者の中なら鮮やかに真犯人を指摘する・・・という物ばかりを読んでいたので、ある意味新鮮でした。 |