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メルカトルさん
平均点: 6.02点 書評数: 1771件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.111 6点 ブラウン神父の童心- G・K・チェスタトン 2010/09/17 23:32
第二話までは何とか読めたが、それ以降は・・・。
情景は浮かばないは、内容は頭に入ってこないはで、非常に苦戦を強いられる事に。
原文も原文だろうが、翻訳の仕方ももう少し何とかならなかったものかと、正直思う。
一文、一文が異常に長いのも難点である。
この作品は、脳を活性化してから読まれることをお勧めする。
でないと、文章が右から左へ素通りする可能性が高い。

No.110 5点 狐罠- 北森鴻 2010/09/11 23:33
正直『狐闇』よりは面白さ、スピード感において劣るのは否めない。
ただし、主人公の宇佐見陶子をはじめとして、一癖も二癖もある登場人物の描写力は流石だと言える。
見事に各キャラクターを描き分けられているのだ。
二人の刑事もいい味出してはいるのだが、陶子の目利き殺しと二つの殺人事件が有機的に繋がってこないのは、マイナス点。
骨董の世界を覗き見たい人には、もってこいの一冊かも。

No.109 5点 なみだ研究所へようこそ!- 鯨統一郎 2010/09/05 07:48
波田煌子の推理は、ほとんどがこじつけで感心しない。
だが、そのキャラは天然ボケで憎めないものがあるし、逆に名探偵らしい鋭さが全く感じられないので、作品全体がほのぼのした雰囲気に包まれている。
最終話は、切ないような、胸に迫るような展開となっているのは少々意外で、嬉しい誤算とも言える。
優しく暖かい余韻を残す幕切れとなっている。

No.108 6点 天使の囀り- 貴志祐介 2010/09/01 23:52
平均点が高いので期待していたのだが、やや冗長で盛り上がりに欠ける気がするのは私だけだろうか。
ホラーとしてはさして怖くない、ちょっぴり気持ち悪い描写があるのみで、これといった謎もないのでミステリとしても成立しないと思う。
ただ、リーダビリティに優れているため、最後まで飽きずに読めたが、捻りもなく文句なく面白いとは言いがたい。

No.107 8点 時計館の殺人- 綾辻行人 2010/08/29 23:44
ある意味、この作品こそが『十角館の殺人』以上に「館シリーズ」の代表作かもしれない。
よく考えてみれば、至る所に伏線が張られているのに、このトリックに気が付かなかった自分が愚かしい。
島田潔が一日一本と決めていた煙草を、徹夜で推理する際に灰皿が吸殻でいっぱいになるほど、禁を破って煙草を吸ってしまうシーンが何故か印象に残っている。
とにかく本格ミステリとして立派な作品だと思う。
蛇足だが、『暗黒館の殺人』もこれくらいのボリュームなら良かったのにと強く思う。

No.106 9点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2010/08/27 23:41
『刺青殺人事件』と並び称される高木彬光氏の代表作のひとつ。
「人形はなぜ殺される?」の命題のもと、披露される数々の殺人は芸術作品といっても過言ではない。
天才神津恭介が苦戦し過ぎのきらいはあるものの、事件が解明されると納得が驚愕に変わる。
特にアリバイトリックは前代未聞。

No.105 4点 ドグラ・マグラ- 夢野久作 2010/08/26 23:52
確かに理解不能ではある。
だから評価の仕様がない、これを正当に評価できる人はある意味凄いと思う。
だが私の超低い読解力では持て余す他はなく・・・。
だから申し訳ないがこの点数で。

No.104 6点 MISSING- 本多孝好 2010/08/25 23:52
ミステリに近い作品、ホラーっぽい作品、一種の恋愛小説、文芸的作品など、非常にバラエティに富んだラインナップの短編集。
どの作品にも共通するのは、人間の心の奥には愛や優しさばかりでなく、憎しみや醜くさも同時に存在しているのだという事実を、時に儚く、時にリアルに表現した異色作であること。
特に第16回小説推理新人賞を受賞した『眠りの海』は印象深い。

No.103 6点 ミステリアス学園- 鯨統一郎 2010/08/20 23:38
最終話までのメタミステリぶりは、『匣の中の失楽』ばりでなかなか面白かった。
国内外のミステリ作家や、作品が多数紹介されているのは初心者でなくても嬉しい構成だと思う。
密室やアリバイ、ダイイングメッセージの講義なども盛り込まれており、ある意味親切なミステリ入門書ともなっていて、その点は好感が持てる。
だが、あの結末だけはどうにも納得がいかずスッキリしない。

No.102 5点 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵- 歌野晶午 2010/08/17 23:35
このタイトルはどうなの、と思ってしまう。
おそらく中身を知らずに買った人は、ひとみちゃんがダンスに探偵にと、大活躍する安楽椅子少女探偵物語みたいなのを期待していたのではないだろうか。
しかし、ひとみちゃんは、ダンスも探偵もしません。
ただ、刑事である叔父の歳三にヒントとなる言動をするのみ。
警察小説としてはまずまずだと思うが、感情移入できるほど登場人物に魅力が感じられなかったのは残念である。

No.101 5点 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 連作推理小説- 鯨統一郎 2010/08/12 23:49
前作『九つの殺人メルヘン』以上に、ノリノリの昭和の懐かし話が逆に多少ウザく感じられてしまう。
また、御伽話の新説は「そうとも考えられる」程度なので、あまり真剣に受け止めるとバカバカしくなる。
肝心の殺人事件の真相も、前作に比べると今ひとつ納得できない、もやもや感が残る。
総評として前作より劣るが、まずまず楽しめる、と言ったところか。

No.100 6点 闇に用いる力学- 竹本健治 2010/08/11 23:35
まあ、なんと言うか竹本氏らしく、謎のベールに包まれたような筆致は本作には似合っていたとは思う。
ミステリともSFともつかない作品だか、オカルティックな雰囲気は悪くないし、先の展開はどうなるのだろうという興味は持たせてくれる。
だが、果たして続編は書かれるのだろうか。

No.99 4点 古書店アゼリアの死体- 若竹七海 2010/08/09 23:36
古書店アゼリアの女主人ばかりが目立って、他の登場人物の影が薄く個性が感じられない。
この作者はやはり長編には向いていないように思われて仕方ない。
デビュー作のような連作短編集をもっと書けば良いのにと、勝手な希望を抱いてしまう。
ラストは捻りが効いているが、事件そのものとは関係ない為あまり評価できない。
それとやはり前作同様、冗長である。

No.98 8点 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 2010/08/07 23:49
天銀堂事件の真相、無駄な密室など、細かい疵はあるものの、様々な小道具を駆使しての雰囲気作りは素晴らしい。
横溝作品の中にあっては異色作かもしれないが、それだけに貴重な存在ではないかと思う。
犯人が黄金のフルートを吹く場面では嫋々たる切ない余韻を残す。
暗い話ではあるが、それなりに救いもあって印象的なラストだと思う。

No.97 6点 九つの殺人メルヘン- 鯨統一郎 2010/08/04 23:30
実に軽妙で、時々笑える、とてもユニークな連作短編集。
昭和の懐かしいTV番組やCM、歌手、俳優などの昔話~メルヘンの新解釈~殺人事件のアリバイ崩し、といったパターンの繰り返し、かと思いきや、最終話では驚きの展開が・・・。
肩の凝らない軽いミステリを読みたい時には最適。
ただ、グリム童話の新解釈には、それ程新味があるようには感じられなかったのは少々残念である。

No.96 6点 被害者は誰?- 貫井徳郎 2010/08/03 23:33
貫井氏にしては軽妙な短編集。
こんなのも書けますよ、とでも言いたげな作者の姿が見え隠れしているような気もする。
それにしてもこの作家も結構様々な作風の作品を物しているようだ。
私としては『妖気切断譜』の続編を一刻も早く読みたいのだが。

No.95 6点 ホワイトアウト- 真保裕一 2010/08/02 23:50
こんな超人いないだろう、という突っ込みはなしで。
壮大なドラマはいかにも映画向きではあるけど、映画のほうはイマイチだった。
ミステリ的趣向はほとんどないに等しいが、サスペンスとしては高得点であろうと思う。

No.94 8点 ラットマン- 道尾秀介 2010/07/31 23:44
これが道尾氏の実力かと思わせるに十分な力作。
途中までは作者のミスリードにまんまと乗せられて、見事に騙された。
その先に更なる驚愕の真相が待っていようとは・・・。
ただ、過去の事件も含めて、伏線が少ないような気がする、その為真相を看破するのは難しいのではないかと思う。
アンフェアとまではいかないが、その点だけがやや不満。

No.93 7点 バイバイ、エンジェル- 笠井潔 2010/07/28 23:29
哲学部分を取り除いてみれば、スッキリとした本格ミステリに様変わりする。
しかし、本作においてはその哲学が肝要であり、どちらかと言えば作者が描きたかったのは、こちらにあるのではないかとも思える。
それでも、メイントリックはまさに本格と呼べるものであり、それだけでも絶賛に値する。

No.92 3点 ヴィラ・マグノリアの殺人- 若竹七海 2010/07/27 21:43
長すぎる、この内容なら短編で十分。
登場人物が多すぎて、誰が誰だか分からないし。
全体の2/3以上を占める容疑者同士の退屈な世間話を延々と読まされて、まるで拷問、挙句あの結末では・・・。
これがコージー・ミステリと呼ばれるものなら、二度と読みたくない。
しかし、姉妹編も同時購入してしまった為読まぬわけにはいかない、これには大後悔。

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メルカトルさん
ひとこと
「ミステリの祭典」の異端児、メルカトルです。変人でもあります。色んな意味で嫌われ者です(笑)。
最近では、自分好みの本格ミステリが見当たらず、過去の名作も読み尽した感があり、誰も読まないような作品ばか...
好きな作家
島田荘司 京極夏彦 綾辻行人 麻耶雄嵩 浦賀和宏 他多数
採点傾向
平均点: 6.02点   採点数: 1771件
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