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[ 本格/新本格 ] 「夜叉ケ池」殺人事件 潔癖症探偵 泉鏡花シリーズ |
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楠木誠一郎 | 出版月: 2000年10月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
中央公論新社 2000年10月 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2013/10/27 22:36 |
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再読です。
泉鏡花が潔癖症なのは有名な話で、本作ではそのエピソードが存分に散りばめられていて、失礼ながらその都度笑いを誘わずにはいられない。それにしても、潔癖症というのも大変に精神的苦痛を伴うものだということがよく分かる。 何かを触った後にいちいち手を消毒したり、酒は煮えたぎるくらいの熱燗にしなければ気が済まないなど、結構厄介なもののようである。 物語の舞台は割烹旅館「湖畔亭」。ここで鏡花を囲む会で催された百物語が語り終えられた瞬間から殺人事件が始まる。 いきなりその参加者の一人が暗闇の中死体となって発見される。しかも、右腕が欠損した状態で。 その後次々と体の一部を切断された死体が現れる。一体何のために、それぞれの死体の右腕、左腕、右脚、左脚、胴体が持ち去られるのか・・・ 龍神伝説を絡ませて、明治という時代を感じさせる語り口調は、なかなかの力量を感じさせる。 だが肝心の死体の一部を切断する理由は、十分納得がいくものではなく、その点は残念な気もするが、穏やかな性格の泉鏡花と子犬を抱いたお調子者の編集者鯛之介との掛け合いは面白く、陰惨な殺人事件をうまく相殺している。無邪気な子犬もしっかりと活躍していて、その意味では前作とリンクしていて楽しく読める。 |