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メルカトルさん
平均点: 6.04点 書評数: 1901件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1221 6点 湘南人肉医- 大石圭 2020/11/24 22:47
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を自宅に持ち帰り、食べてしまう。それは麻酔が施されていたため、苦く、おいしいものではなかったが、人の肉を食べるという禁を破ったことに対して、優児は強いエクスタシーを感じた…。
『BOOK』データベースより。

エロ多めグロ控えめです。タイトル通り美容整形外科医小鳥田が、あの手この手で女を次々と誘き出し、自宅で車の中で殺害浴室にて解体、食べられる部位は全て食べ、残りは捨てる模様を描いています。料理方法も生やステーキ、焼き肉、ハンバーグなど様々で、女の冷凍した生首をテーブルに乗せ、それを眺めながらもりもり食します。なぜ彼がそのような行為に至ったかという切っ掛けから、過去の回想を含んで詳細に描かれており、その筆致は内容とは反比例し美麗なものとなっていると思います。
所謂サイコホラーと言えますが、小鳥田は人肉という特殊な希求や行為以外はごく普通の人間として扱われています。性格的にも破綻はなく、異常な欲求さえなければ単なる名医なのです。カニバリズムと言うより、女の肉を美味しく食しそれを嚥下することにより女と一体になれるという性的興奮を楽しむのが小鳥田の嗜好です。それは私的には何となく理解できる気もします、そういう自分が少し怖かったりして。

警察の動きがなく容疑者扱いもされない為、いったい話がどう転んでいくのかが掴めず最後までどのような結末を迎えるのかが想像できず、オチも読めません。ですから、最初から最後まで興味を持って読むことができましたし、途中でダレることもなく楽しめました。グロくはありませんが、エロ描写はなかなかのものなので、苦手な方は避けたほうが無難でしょう。ツッコミどころは多め。

No.1220 7点 狂乱家族日記 壱さつめ- 日日日 2020/11/22 22:55
「その醜くも穢れきった指先で凶華様のたおやかな御腕を掴むという冒涜行為を今すぐやめろこのユダ的背徳者」ある日、凰火が出会ったのは、罵詈雑言をまき散らすネコミミ、シッポつきの可憐な少女だった。食べ物を掠め取り、大勢の警官に追われるこの人外少女・凶華は一体何者? そして――凰火を襲う最悪の運命とは!? 超常現象対策一課行動部隊長・乱崎凰火と奇天烈な「家族」との馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語!! 
Amazon内容紹介より。

作家日日日(あきら 注 文字検索するとちゃんと出てきます)はやはり本物なのか。本シリーズは番外編併せて24作でやっと完結しています。それだけ人気があったのかは分かりませんが、取り敢えずコンプリートを目指しています。アニメ化もされていますし、本作を読む限りこの人の書く文章とは相性が良さそうなので、まあ何とかなるでしょう。これは最早文字で読む漫画(褒めています)です。随所で笑えるし、いじめ(またか)なんかもヘッチャラ、敵も味方も救ってしまう凶華の無茶苦茶な作戦など読みどころ満載です。

今回含めおそらく今後も、家族愛を描いたものとなっていくであろうと想像されますが、かりそめ家族或いは即席家族の中で果たして誰がクロなのかという命題はそっちのけで、様々な事件が起こりそうな予感がします。
もうキャラが立っているとか云う次元を超えて、それぞれが個性の塊で性格描写もきっちりなされていますし、ラノベもこんなのばっかりだと楽しいなと思いますね、ええ。

No.1219 4点 ただ、それだけでよかったんです- 松村涼哉 2020/11/21 22:32
ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です』という遺書を残して―。自殺の背景には、菅原拓によるKたち四人への壮絶なイジメがあったという。だが、菅原拓はスクールカースト最下位の地味な生徒で、Kは人気者の天才少年。また、イジメの目撃者が誰一人いないことなど、多くの謎が残された。なぜ、Kは自殺しなければならなかったのか。「革命は進む。どうか嘲笑して見てほしい。情けなくてちっぽけな僕の革命の物語を―」悪魔と呼ばれた少年・菅原拓が語り始めるとき、誰も予想できなかった、驚愕の真実が浮かび上がる。第22回電撃小説大賞受賞
『BOOK』データベースより。

そもそも物語の根底にある人間力テストが理解できません。そんな物が現代日本に実際に存在したとしたら、即人権問題に繋がりますよね。父兄がまず大騒ぎ、ネット、マスコミで叩かれて直ぐに取りやめになるでしょう。中学校の生徒をランク付けするなど噴飯ものですね。そんな設定に眉を顰めざるを得ません。それを除けば、もうこういった類の話には食傷気味でして、あまりに定型的過ぎてどうにも感心出来ません。
それと安直に「革命」の言葉を使っていますが、それだけの事で果たして革命になり得るのかなと思いますよ。電撃小説大賞受賞作だから、ラノベなのでしょうが、その割には出来損ないのミステリもどきみたいな印象を受けますが。内容は重めで暗く陰湿で青春らしさの欠片もありません。

これを評して驚愕の事実とかどんでん返しとか言うのは、大きな間違いです。完全に予定調和の世界でしょう。もうそろそろいじめ問題を軽く取り扱うのは止めにしませんか。必然性があれば別ですが、不用意に触れると怪我をしますし、あまりにありふれ過ぎていてうんざりです。
ただ一つ、誰がどんな役目を果たしているのか、には注目すべきものがあると思いました。

No.1218 6点 庵堂三兄弟の聖職- 真藤順丈 2020/11/20 22:29
死者の弔いのため、遺体を解体し様々な製品を創り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、当代の遺工師である長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まる。再会を喜ぶ正太郎だが、次男の久就は都会生活に倦み、三男の毅巳も自分の中の暴力的な衝動を持て余していた。さらに彼らに、かつてなく難しい「依頼」が舞い込んで―。ホラー小説の最前線がここに!第15回日本ホラー小説大賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

ホラーではないと思います。遺工師という一風変わった職業の長男正太郎と、主な語り手であり帰郷した次男、粗暴で口汚い三男のアットホームな物語です。とは言え勿論グロ描写に容赦はありません。かなり異様な小説ではありますね。異色と言うのも憚れるほどの怪作と呼んでもあながち間違いではありません。
読み始めて暫くはゴツゴツした文章やいかにも荒削りな作風に慣れるのに時間が掛かりましたが、読み進むにつれ馴染んできます。しかし、読者を選ぶ作品には間違いないと思います。こういうのが苦手な読者は少なからず存在するでしょう。冒頭から自ら切り刻んだ死体に添い寝する長男の姿で始まるわけですから、想像が付くとは思いますが。

それにしても、前振りが長くいつになったら本筋がスタートするのかとやきもきしましたが、100ページ過ぎ、豊島興業の美濃田会長が登場してから俄かに話が締まってきます。やっと面白くなってきて本編が始まったなと思いました。そこからサイドストーリーを挟み、一気呵成に物語が進行していき興が乗ってきます。
しかしながら、一番盛り上がり泣かせるべきシーンが呆気なさ過ぎてがっかりしました。一流の作家ならばここで読者を号泣させる事でしょう、残念です。そしてラストのあれは出来れば無かったことにしたかったところです、個人的には。何故そこまでして?という疑問は通用しないんでしょうね、この場合。まあその辺りも容赦なしです。その割には後味は悪くありませんでしたけれど。
しかし、これがホラー小説大賞?直木賞作家の仕事なのかと素朴な疑問が湧いてきてしまうのは私だけでしょうかね。

No.1217 6点 外伝・麻雀放浪記- 阿佐田哲也 2020/11/18 22:35
あの懐しい坊や哲、ドサ健が帰って来た、しかもより多彩でより猛烈なキャラクターのメンメンを引き連れて―。天才的なカンであらゆる博打に勝ち続ける街の女。絶対放銃しないが故に緊張に耐えきれずクスリに溺れる芸妓。苛烈な勝負の連続を通して人生の闘いを鮮やかに描きあげた阿佐田哲也会心の珠玉短篇集。他に色川武大「ひとり博打」を併録。
『BOOK』データベースより。

『麻雀放浪記』とは別物と考えたほうが良さそうです。9の短編のうちドサ健が登場するものが2作品のみで、あとは作者がすでに阿佐田哲也として執筆活動する以降の付き合い麻雀やカジノの話であり、終戦当時を背景にした頃の坊や哲とその対戦相手は登場しません。更に言うと『不死身のリサ』は他の短編集に収められていて既読でした。そして結局この作品が私には一番の出来と感じられました。しかし、そこはそれやはり阿佐田哲也の小説はどれも読み物として優れているので、あながち取るに足らぬ短編集という事は出来ないと思います。

それにしても、阿佐田氏本人の出てくる短編については、どれも成績はあまり振るわずやや浮きか敗北に終わっています。正直、かつての坊や哲の面影はありません。まあ自身ナルコレプシー(発作性睡眠症)などの病に侵されていた為、体力的にも若い頃に比べてしまえば身も蓋もありませんけどね。だからその辺りを差し引いて、温かい目で見る、読む必要性があると思います。そうなれば博打打ちとしてはお終いですが、だからこそ物書きに転身したのだと考えればなるほどとなるでしょう。作者の作品はどれも虚々実々の部分が大きいので、それも断言は出来ない訳ですが。

No.1216 8点 麻雀放浪記(一) 青春編- 阿佐田哲也 2020/11/17 22:33
終戦後まもない昭和二十年十月、東京。坊や哲(哲也)の物語はここから始まる――。職にあぶれ街をさまよう哲は、麻雀の主のような男出目徳に出会い、徐々に技(イカサマ)を駆使した高レートの麻雀に惹かれていく。出目徳の下でイカサマ技術を覚えた哲は、長年のライバルドサ健のみならず出目徳すらも凌駕しようと、上野下車坂の「喜楽荘」で勝負を挑む。有り金全てを賭けた真剣勝負の勝者は……!? 麻雀史のみならず小説史にその名を残す金字塔「麻雀放浪記」の第一弾。
Amazon内容紹介より。

何度となく読み返した、私の学生時代のバイブルです。この度何度目かの再読でやはりこの作品はエンターテインメント小説の金字塔だと改めて感じました。本物の名作です。麻雀に限らず博打に於ける、バイニン同士の裏ワザが炸裂する戦いの数々はまるで目の前で展開されるかのように色褪せず、読む者を魅了します。まさに手に汗握る、血沸き肉躍るといういささか陳腐な表現すらピッタリくるような、戦後日本の勝負に命を懸けた博打打達の生々しい姿が躍動するように描かれています。

個人的に印象に残っていたサイドストーリーで登場した、ガン牌の清水のエピソードが意外にあっさりしていて、この先どうなるのかというところで呆気なく死んでしまうのには、あれ?という思いもしました。こんなんだったっけと言うのが本音。
全てが読み所と言っても過言ではない本作ですが、やはり坊や哲、ドサ健、出目徳、女衒の達による最後の闘牌は圧巻ですね。中でもワンランク下の打ち手でありながら、人間味溢れる女衒の達が私の中では意外にも存在感が大きかったのを今回確認できました。和田誠監督により映画化(1984年)されており、私はDVDも持っていますが、映画ではoxクラブのママだけでは色気に欠けるという配慮からか、ドサ健の女まゆみが結構重要な訳を与えられていますが、原作ではそれほど出番が多い訳ではありません。その辺り原作と映画を比較してみるとなかなか興味深い事実が浮き彫りになってきます。しかし、映画がかなり原作に忠実に描かれていたのは間違いないです。映画の撮影には阿佐田哲也氏自身が立ち会ったようで、坊や哲役の真田広之は自分の若い頃に似ているとおっしゃっていたそうです。

No.1215 7点 きみにしか聞こえない- 乙一 2020/11/16 22:09
私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。
『BOOK』データベースより。

いやはや本当に切ないですねえ。これが乙一の本来の姿なんでしょう。まさか本作が10件もの評価数があるとは驚きました。さすがに皆さん目の付け所が違いますね。最早乙一の代表作の一つと言っても過言ではありますまい。

『Calling You』 8点 

これは素晴らしい、文句の付けようがありません。ミステリ要素をチラッと見せつつ、救いのないラストの切なさと永久機関を思わせるエピローグの凄み。表題作に選ばれるだけの事はありますよ。

『傷-KIZ-KIDS』 7点

まさに傷だらけの人生ならぬ、傷だらけの青春。純粋な心を持ち他人の傷を自分の痛みとして感応してしまう少年アサトと、荒んだ主人公の少年の友情。あまりに痛ましい物語でありながら、温もりを持つ結末は読む者の心にほのぼのとした余韻を残します。

『華歌』 7点

途中までは異様な話にやや唐突なイメージを持ち、その因果が語られた時には鼻白んだ気分にさせられました。が、最後にやってくれました。見事騙されましたね。

No.1214 7点 白妖鬼- 高橋克彦 2020/11/15 22:33
物狂帝と呼ばれた天皇が十七歳で譲位し、内裏の陰陽寮から各地に派遣された術士たちは解任され、謎の烏天狗に襲撃された!陸奥で異変を知った陰陽師・弓削是雄は、数奇な運命に導かれた仲間とともに都をめざし、人心を操る鬼との死闘を繰り広げる。胸躍る歴史伝奇長篇。
『BOOK』データベースより。

これは面白い。鬼シリーズ第一弾『鬼』は五人の陰陽師が登場しましたが、本作はその中の一人陰陽寮を免官された弓削是雄が主人公です。まるで桃太郎さながらに、三人と一人の「鬼」をお供に引き連れて鬼退治に向かう至って単純明快なストーリーです。郎党の甲子丸、何かしらの能力を持っている知恵遅れの蝦夷の子供淡麻呂、土蜘蛛の生き残りで盗賊の女首領芙蓉丸、最後に加わる髑髏鬼それぞれが個性的に活き活きと描かれていて躍動しています。勿論主役の弓削是雄は言うまでもありません。

最後の最後まで飽きさせず読ませるリーダビリティは素晴らしく、見たこともない平安の時代の景観が目の前に現れたような臨場感に溢れています。果たして鬼の正体とは?そしてその鬼は誰に憑いているのかという謎が中心にあり、更に最後の対決まで様々な実在の人物が絡んできて、その意味でも十分に楽しめます。これはシリーズ第一弾よりもパワーアップしている印象で、高評価に繋がりました。期待以上の面白さでしたね。

No.1213 6点 木島日記- 大塚英志 2020/11/14 22:38
昭和初期。オカルト、猟奇事件、右傾化が吹き荒れる東京。歌人にして民俗学者の折口信夫は偶然に、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。奇怪な仮面で素顔を隠した主人は木島平八郎と名乗り、信じられないような自らの素性を語りだした。以来、折口の周りには奇妙な人、出来事が憑き物のように集まり始める…。ロンギヌスの槍、未来予測計算機、偽天皇、記憶する水、ユダヤ人満州移住計画―昭和の闇を跋扈するあってはならない物語。民俗学者・折口信夫の名を騙る仮面の古書店主・木島平八郎が偽史の時代を“仕分け”する。超民俗学伝奇小説の傑作、登場。
『BOOK』データべースより。

正直大塚英志、舐めてました。この人、色んな大学や研究センターの教授や講師だったんですね、偉い人だったんです。漫画の原作者兼作家としか思っていませんでしたので、ちょっと見直しました。通りでこの作風はこれまで読んだ作品とは一線を画すものとなっています。折口信夫の近代文学史の金字塔とまで言われた『死者の書』が偽書として本人が脱稿する前に古書店の棚に置かれていたという導入部から、怪しげな人々や民俗学に纏わるアイテムが登場し、まさに幻想小説の如き様相を呈してきます。これは最早奇書と呼んでも差し支えないでしょう。夢か現か幻か、物語が紡ぐ幻視を見せられることになります。二転三転するストーリーは既に私の理解を超えてしまいます。とは言え、伝奇小説のエンターテインメントとして屹立する、孤高の決して日の目を見ることのない幻の怪作だと思います。

個人的には前半に登場する月という女性のエピソードの話をもう少し膨らませて欲しかった気もします。しかし、折口と言い木島と言い土玉と言い、何故このような変人ばかりが出てくるのでしょうかね。美蘭や一ツ橋も真面とは言えないですし。当然一般受けはしないと思いますが、隠れた支持者がいることは確かなようです。

No.1212 6点 放浪探偵と七つの殺人- 歌野晶午 2020/11/12 22:33
大学の男子寮で殺人事件が発生。犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生にはアリバイがあった―「有罪としての不在」や、“水難”とは何を示すか見きわめると、犯人がわかる?「水難の夜」など、さすらいの名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する七つの傑作短編を収録。
『BOOK』データベースより。

やや作品ごとに出来不出来の差があるように思います。増補版に収められた『マルムシ』は分かりませんが、例えば『ドア⇔ドア』なんかは穴が多く、たとえその場を凌げたとしてもすぐに犯行が発覚するかなり杜撰な殺人事件です。指紋の問題などが度外視されており、ちょっとどうなのかなという気がします。アイディアそのものは面白いですが、どこか既視感がありますね。このトリックはおそらく既出ではないかと思いますが。
初出がアンソロジー『奇想の復活』である『阿闍梨天空死譚』は再再読ですので、他とは比較し難い点がありますし、これはある意味別格扱いで良いのではないかと思うのですが、これを除いて最も面白かったのは『烏勧請』でしょうかね。近所のゴミ捨て場からゴミを拾ってきて庭をゴミだらけにする妻と、それをせっせと元に戻す夫。この関係性の裏に意外な事実が、という物語。他にもなかなか気の利いたトリックを駆使して読者を楽しませてくれる短編が幾つかありました。

探偵信濃譲二はあまりアクの強さは感じませんが、それでも風体を含めて異彩を放つ存在であることは間違いありません。まるで猫丸先輩の様に神出鬼没でもあります。定職に就かずアルバイトしながら事件に巻き込まれ、速攻で解決する点は共通する点ですね。

No.1211 6点 長野・上越新幹線四時間三十分の壁- 蘇部健一 2020/11/10 22:19
容疑者は美人双子姉妹! 事件を追う刑事・半下石は鉄壁のアリバイを崩せるか? バカミス史上に残る怪作『六枚のとんかつ』の著者が、本格鉄道ミステリーに挑戦した表題作に加え、どんでん返しのおもしろさが味わえる倒叙型ミステリ『指紋』『2時30分の目撃者』、ボーナス・トラック『乗り遅れた男』の短編3本を収録。本格+ギャグ=? お笑い鉄道ミステリー!
『BOOK』データベースより。

あれぇ?かなり評価が低いですね、私は結構面白いと思ったんですけど。
時にユーモアを交えた本格的な鉄道ミステリです。当然アリバイ崩しの話ですので冒頭でいきなり時刻表が掲載されています。かなり込み入った話を要領よく纏めていて、それでいてトリックは煩雑にならずに最後は一撃で仕留めるという、なかなか読み応えのある内容となっていると思いますよ。作者はこんな本格ミステリも書けるのだという事を証明した一冊として、貴重な作品集だと断言できます。まあ双子の姉妹が容疑者という時点で、半ばネタバレしているようなものですが、それを上手く読者の目から隠蔽できています。なかなかの仕上がりだと思いますけどねえ。
そして終盤のあからさまな伏線が良いです、特に半下石と、離婚して母親に親権を譲った娘とのエピソードが泣かせます。その中でもちゃっかり伏線を張っているのも憎いところ。ラストは洒落が効いていてクスッとなってしまいました。

尚、私はノベルスを読んだので、文庫版に収められた『遅れてきた男』は未読です。作者あとがきも読んでみたかったですね。

No.1210 5点 罪びとの手- 天祢涼 2020/11/08 22:20
廃ビルで中年男性の死体が発見された。身元が判明しない中、葬儀屋が遺体を引き取りにくるが、葬儀屋・御木本悠司は、その遺体を目にした瞬間、刮目した。「これは俺の親父だ」。その偶然に疑問を持った刑事・滝沢圭は、単なる事故死と判断する本部に反発するようにその遺体に固執する。世の中を賑わす幼女連続殺人事件、葬儀屋の葛藤と苦悩、不遇な警察官を親に持つ刑事のトラウマ・・・・・・様々な要素が絡み合う中、意外な犯人と動機が明らかに! 平和な生活を犠牲にしてでも守らなければならない、刑事と葬儀屋の誇りとは・・・・・・慟哭の社会派ミステリー。
Amazon内容紹介より。

舞台が葬儀屋だけに全般的に重苦しく、ラストに至るまではじりじりしたような焦らされた感が強かったです。数えられるのは不可解な謎ではありますが、それだけで最後まで引っ張るのはちょっと無理があるかもしれません。文章は堅実だし人間もそれなりに描かれています、しかしトリックが・・・。意表は突かれたものの、それはないんじゃないの?と思ってしまいました。まあ予想出来る決着の仕方ではあった筈なのに、何だか騙されたような感覚に陥りました。

結局そういう事だったのねって感じで、確かに腑には落ちますがカタルシスとは程遠い結末になんだかなと思いましたね、ええ。
しかし、随分前になりますが、何故この本を入手しようと思ったのか、その時の自分に問いただしたい気分です。まあ葬儀屋という職業がどういったものなのか、勉強になりましたし、決して悪くはないと思いますが、読後感がイマイチスッキリしないというか、もう少し面白い話に仕上げられなかったものかと云う気分に駆られたことは確かです。

No.1209 7点 蟲と眼球とテディベア- 日日日 2020/11/07 22:54
貧しいながらもケナゲに生きる高校生・宇佐川鈴音には愛する人がいた。知力、体力、財力、ルックスすべてに完璧な教師―その名は賢木愚龍。ある日あるとき鈴音が見た「林檎の夢」をきっかけに、二人は有象無象の輩にその純愛を邪魔されることとなる。それは「虫」という「個」を持たぬ謎の存在だったり、スプーンで武装(?)した「眼球抉子」なる名の猛き少女だったり―。魑魅魍魎を相手に二人は生き残れるのか?未曽有の学園ファンタジー開幕!第1回MF文庫Jライトノベル新人賞編集長特別賞受賞。
『BOOK』データベースより。

私が読んだラノベ史上一二を争う面白さ、楽しさ、心地よさでした。
世間ではグリコグリコ(眼球抉子・がんきゅうえぐりこ)と騒いでいますが、最初はそれほどでもないなと思っていました。しかし、次第にグリコに心惹かれていく自分に気付きました。シューズの蝶々結びが出来ず延々と格闘し、結局団子になったまま履く姿やファミコンの腕が一向に向上せず苦戦する姿など、細かなディテールが堪りません。誰にも関心を持たず心を開こうとしない、口の悪いグリコが結局美味しいところを浚ってしまい、主役の二人が霞みます。本作は彼女の為に書かれた物語と言っても良いでしょう。

物語としては新味がないものの、その筆捌きは見事の一言で、ここでそういう表現を持ってくるかと云う、その安心感はどの作家にも負けていないと個人的には思います。編集長特別賞受賞との事ですが、大賞でも良かったのではとないかと。
読み終わってもしばらく余韻が続き、頭の中でリフレインしている滅多にない体験をしてしまいました。自分にとってこの人が特別な作家になってくれることを今は祈るばかりです。

No.1208 6点 捩れ屋敷の利鈍- 森博嗣 2020/11/05 23:04
エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェの捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。
『BOOK』データベースより。

『密室本』の一つですかね。
あれこれ考えると森ミステリの全てを読んでいないとダメみたいになるので、何も考えずに頭を空っぽにして楽しめば良いと思います。解説にあるようにマジンガーZ対デビルマンみたいな感じで。もっと言えばルパン対ホームズのように。
色々詰め込まれている割に短いので、すんなり終わってしまいその意味では物足りなさを感じないでもありません。ただ、意味深なエピローグは気になりますねえ。イマイチメビウスの輪を準えた巨大な捩じれ屋敷の意味が解りませんでした、密室にそれほど寄与しているとも思えないですし。

メインの密室のほうは力技というか、バカミス的トリックで笑わせてくれます。まあ森ファンにそんな事を言う人はいないでしょうけどね。Vシリーズも一作目から読んでいないし、S&Mシリーズも半端にしか読んでいない私でもそれなりに楽しめたので、森博嗣を読み込んでいる人には願ってもない一粒で二度美味しい作品なのではないかと想像します。

No.1207 4点 首交換殺人- 和田はつ子 2020/11/04 22:39
「遺体の首がすげ換えられている」―六本木ヒルズと麻布のマンションで若い女性の遺体がそれぞれ発見されたが、なんと首が交換されていたのだ。被害者の一人は、資産家の娘で高校の非常勤講師、もう一人はホステスで、どうやら売春をして、ヒモに貢いでいたらしい。犯人の動機は一体何なのか?!警視庁捜査一課直属の心理分析官である加山知子は、早速プロファイリングをはじめるが…。現代に生きる男女の欲望と心の闇を描く、心理分析官・加山知子シリーズ、待望の書き下ろし長篇。
『BOOK』データベースより。

完全に名前負けしてますね。ミステリ的に言えばホワイダニット、フーダニットに当たると思いますが、犯人は登場時速攻で判りました(直感ですが)。ホワイに関しては本格ミステリではないので論理的に解明される訳ではありません。その動機もまあ何となくそうなのかくらいにしか感じられません。
ご都合主義もかなりのもので、容疑者も偶々加山知子が知己だった人物の関係者だし、捜査班本体の状況がほとんど描かれておらず、専ら加山知子と二人の助手である警察官による聞き込みなどに終始して全方向的な視点に欠けます。視野が狭く奥行きもなし、結果歪なストーリーになってしまっている印象です。

この作者はサイコサスペンスやサイコホラーを専門的に描いているようですが、それにしては不手際が目立つ気がします。真犯人の心理状態や人間像に迫れていませんし、ホラーとしてもサスペンスとしても警察小説としても中途半端ですね。えぐみや臨場感、外連味に欠け、描写力も弱く、主人公や助手に感情移入出来ないなどの欠点が目立つばかりです。

No.1206 6点 僕たちの好きな京極夏彦- 評論・エッセイ 2020/11/03 22:39
この世には不思議なことなど何もないのだよ―言葉と精神の怪を解く稀代の座敷探偵・中禅寺秋彦、掴みどころのない気ままな幻視探偵・榎木津礼二郎。前代未聞のキャラクターが大活躍する“京極堂シリーズ”から妖怪小説、江戸古典怪談のリメイク、京極版百物語“巷説百物語シリーズ”まで、妖艶なる京極作品の仕掛け、登場人物、キーワードを徹底解剖した、ファン待望のパーフェクトガイド。
『BOOK』データベースより。

『鵺の碑』が近日刊行との噂を前に一度読んでおこうと思った一冊。
京極堂シリーズ『姑獲鳥の夏』から『陰摩羅鬼の瑕』までと、百鬼夜行シリーズ、巷説百物語シリーズ、『ルー=ガルー』『どすこい(仮)』『嗤う伊右衛門』に至るまで当時としてはほぼすべての京極作品を網羅したガイドブックとして最適です。何より作品ごとに解説、評論がなされているので、混乱することなく読み進められます。しかも京極堂シリーズに関しては本作の中禅寺秋彦、榎木津礼二郎と銘打って、それぞれの活躍や見どころ等が書かれていてファンとしては嬉しいところでしょう。総勢9名の論客たちによる論戦が繰り広げられていますが、流石に京極作品とは切っても切れない宗教に関しての蘊蓄、特に真言立川流には閉口しました。前に書評した『京極夏彦の世界』でも登場した斎藤環が『狂骨の夢』における精神分析の齟齬を指摘して、文庫化に際して京極夏彦がそこを改変している点を自慢しているには少し驚きました。本当なのだろうか。

冒頭で水木しげるのインタビューが掲載されていますが、ここが一番感心しました。水木氏が飄々と京極に対する人間性を語るのは微笑ましくもあり、二人の絆が如何に強い物だったかを伺わせます。
中にはあからさまなネタバレを含んでいるものもありますので、一応注意が必要です。出来れば上記の作品全て読破してから挑むのが吉かと思いますね。しかし、タイトルの割には内容はしっかりとしたものであり、優れた評論本ではないでしょうか。

No.1205 7点 作家刑事毒島- 中山七里 2020/11/01 22:39
新人賞の選考に関わる編集者の刺殺死体が発見された。三人の作家志望者が容疑者に浮上するも捜査は難航。警視庁捜査一課の新人刑事・高千穂明日香の前に現れた助っ人は、人気ミステリ作家刑事技能指導員の毒島真理。冴え渡る推理と鋭い舌鋒で犯人を追い詰めていくが…。人間の業と出版業界の闇が暴かれる、痛快・ノンストップミステリ!
『BOOK』データベースより。

一読後中山七里やるなと思いました。なかなかここまで突っ込んだ内容の作品は書けませんよ。出版業界の闇と影の部分を鋭く抉っている訳ですが、誰にも忖度せず誰にも迎合せず、アンチが増えることを想定しながらも、読者や作家志望者を揶揄するような皮肉を多分に有し挑発する姿勢には感心しました。ここまでやればむしろブラックと言うより清々しさすら覚えます。それでいてミステリとしても中身がしっかりとしていて、凄く充実しています。最終話ではおそらく氏自身もジレンマに陥ったであろうと想像される、原作と映像化との乖離にも言及していますし、本作でかなり重要人物と目される人間でさえ、容赦なく天誅を下している辺り、並みの作家でないことを自ら証明しているとも言えます。

辛口オトメとか図書館ヤクザとか、どんな人権侵害をしているのだろうかと思いましたが、ちゃんとフォローしているではありませんか。図書館で借りられる境遇にいる人は図書館を利用すればいいし、借りた本に対してどれほどの書評をしようと構わないと言明しています。これは作者の最低限の配慮と良心だと思いますが。

No.1204 7点 出版禁止 死刑囚の歌- 長江俊和 2020/10/30 22:43
『出版禁止』は第2弾も、やっぱり、すごかった! 幼児ふたりを殺した罪で、確定死刑囚となった男。鬼畜とよばれたその男、望月は、法廷でも反省の弁をひとことも口にしなかった。幼い姉弟は死ぬべき存在だった、とも――。本書の「編纂者」はこう書いている。「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」。あなたには真実が、見えましたか?
Amazon内容紹介より。

重苦しく、読んでいて心地よい感情を喚起する内容ではありません。まるでノンフィクションのようで、噛んで含めるように、言い換えれば執拗に描写されるさまは、異様な迫力をもって読者に迫ってきます。様々な媒体、ルポルタージュなどで構成されており、極端に会話文が少なく、複雑な人間関係を解き解して謎を追うライターたちの執念は最後に結実します。なぜ死刑囚望月は幼い二つの命を絶ったのか、そこには一筋縄ではいかない裏の裏が隠されており、人間の持つ醜さや残酷さを浮き彫りにします。また、刑務所で書された望月の短歌を暗号として捉えたところも重要なポイントとなっています。

それにしても、最後の一行には正直愕然としました。一体何なのだろう・・・。これはどう考えてもおかしいではないかと思いました。そして物語を遡って確認せずにはいられませんでした。なるほどそういうことなのか、と納得したのは暫くしてからでしたね。正直「出版禁止シリーズ」ということで、もっと違ったトリッキーな内容を期待していましたが、良い意味で裏切られました。勿論サスペンスの要素はふんだんに織り込まれていますが、社会派としても十分機能していると思います。

No.1203 6点 明治バベルの塔- 山田風太郎 2020/10/28 22:49
万朝報の売上げを伸ばすため仕掛けた暗号とは(表題作)。漱石の文体模写をした『牢屋の坊っちゃん』、牛鍋屋チェーンの木村荘平が始めた火葬場のこけら落としは誰に(『いろは大王の火葬場』)。幸徳秋水を四分割して描いた『四分割秋水伝』の4篇を収めた短篇集。
『BOOK』データベースより。

所謂明治もの短編を集めた作品集。
表題作が頭一つ抜けている印象はあります。万朝報はライバル誌に打ち勝つため、朝刊の紙面にある暗号を月水金の三回掲載し、宝探し感覚で当時大金であった500円の賞金の目録をある地点に埋めるという、奇抜な物語。ところがある事件が起き、それが暗号と意外な結びつきを持ってくる結末。他3篇は並みの作家が描けば大して面白くないだろうと想像される作品ですが、風太郎の名文というかリーダビリティでもって思わずのめり込んでしまえる珍品に仕上げているのは流石です。

ある犯罪者が牢獄で様々な経験をする悲惨な物語を、一種のエンターテインメントに変貌させる『牢屋の坊ちゃん』。牛鍋屋のかたわら火葬場を始めるに当たって、著名人を最初に火葬しようと躍起になる『いろは大王の火葬場』。これは結末が読めてしまいますが、もう一捻りしているところが面目躍如。表題作でも登場した幸徳秋水が社会主義思想にかぶれ、ついには天皇爆殺を狙う突飛な発想の『四分割秋水伝』。どれも風太郎ならではの意外性のある奇想を発揮して、読み応えのある短編集にまとめていると思います。
尚、本格で登録されていますが、分類不能に入れるべきですね。

No.1202 5点 わたしたちが少女と呼ばれていた頃- 石持浅海 2020/10/26 22:45
横浜にある女子高に通うわたし、上杉小春には碓氷優佳という自慢の親友がいる。美しく聡明な彼女はいつも、日常の謎に隠された真実を見出し、そっと教えてくれた。赤信号のジンクス、危険な初恋、委員長の飲酒癖、跡継ぎ娘の禁じられた夢、受験直前の怪我、密かな失恋…。教室では少女たちの秘密が生まれては消えてゆく。名探偵誕生の瞬間を描く青春ミステリーの傑作。
『BOOK』データベースより。

良くも悪くも安定している石持浅海。これもまあまあでした。イラストも良い意味でデフォルメされることなく、等身大の女子高生の姿を写し取っている感じがします。
しかしこれだけ女子高生を登場させながら、誰一人として可愛げがあるのがいないのが何とも言えません。実際JKと言えば我々が美化する傾向にある為なのかも知れませんが、現実はこんなものという事でしょうかね。日常の謎を扱った連作短編集です。しかしこれって名探偵じゃなくてもほとんどの謎が解けるのではないかと思いますよ。まあ確かに碓氷優佳の観察力は並の人間とは違うかも知れません。が、明かされる謎は他愛のないものばかりで、かなり肩透かしを喰らいますし穴も多いです。
碓氷優佳はあくまでクールで、最終話では・・・。


【ネタバレ】


『優佳と、私の未来』

最終話。碓氷優佳のブラックさが明らかになります。結局彼女の謎解きは誰の為でもなく、誰も救わないという結論。結果オーライではあるけれど。

『彼女の朝』 

アルコール中毒のクラス一の優等生。しかし、二日酔いなら匂いで誰でも分かるはずだけど。優佳が指摘するまで誰も気づかなかったのは、どう考えてもおかしい。

『握られた手』

百合疑惑のあるいつも仲良く手を繋いでいる二人のクラスメイト。しかし、日常生活に支障が出るほど視力が衰えているのなら、誰でもそれと分かるのではないか。優佳が指摘するまでもない。

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メルカトルさん
ひとこと
「ミステリの祭典」の異端児、メルカトルです。変人でもあります。色んな意味で嫌われ者です(笑)。
最近では、自分好みの本格ミステリが見当たらず、過去の名作も読み尽した感があり、誰も読まないような作品ばか...
好きな作家
島田荘司 京極夏彦 綾辻行人 麻耶雄嵩 浦賀和宏 白井智之 他多数
採点傾向
平均点: 6.04点   採点数: 1901件
採点の多い作家(TOP10)
浦賀和宏(33)
アンソロジー(出版社編)(29)
西尾維新(25)
島田荘司(25)
京極夏彦(22)
綾辻行人(22)
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