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simo10さん
平均点: 5.69点 書評数: 193件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.16 4点 SOSの猿- 伊坂幸太郎 2013/08/14 11:12
タイトルからはどんな話なのか全く想像がつかない本書。伊坂氏はミステリ作家ではないことは分かりましたが、とりあえずこれも読んでみました。
ミステリ作家ではないが、読者に対して謎を提示し、最後に真相を披露するというスタイルの作品もいくつかありますが、この作品もそのようです。
本書のメインの謎は、非現実的な現象が起きる「猿の話」等、話の構造自体が謎となっているものだと思います。このような謎は好みなのですが、いかんせん、登場人物が全く好きになれない。というより、そのセリフ等回し等から重力ピエロ以来の鳥肌が立つような嫌悪感を感じました。(孟子ちゃんだと?)
ミステリを読むときは事前情報(先入観)を排除するため、なるべく作品の書評、採点や背表紙のコメントなどを見ないようにしているのですが、もうこの作家のこの先の作品は(ミステリでもないし)このサイト内で評価の高いものに絞って読むことにします。

No.15 5点 あるキング- 伊坂幸太郎 2012/11/10 10:56
あるキング(野球選手)のお話。何がキングかというと野球の才能。
非常に読みやすく、忙しい時にサクっと読めるのが助かりました。
ただ全然ミステリではないし、ラストも意味がわからんです。

No.14 7点 ゴールデンスランバー- 伊坂幸太郎 2012/08/07 21:38
--ネタばれ含みます--

首相殺しの犯人役に祭り上げられた主人公の逃亡劇を描いた話です。設定から期待した通りの、映画を見てるようなスリル感を味わえ、ページ数も気にならずにサクサク読めました。
大学時代の同級生達の他、ヘッドホンの男、キルオ等、伊坂作品特有の冗談みたいなキャラも良く描けていたと思います。
ミステリとは違うが、伊坂氏お得意の細かい伏線(小ネタではあるが)も心地良く利いていました。
前評判通りの出来だったと思います。
ただし、自分がもし伊坂作品の作風(主に小ネタ的伏線)を知らずに、ミステリを期待して一発目にこの作品を読んだとしたらたぶん評価は低かった(5点くらいかな)と思います。こんなの伏線でも何でもねーよとか言ってたと思います。

No.13 5点 フィッシュストーリー- 伊坂幸太郎 2012/08/02 22:42
伊坂氏の短編集。以下の4作品で構成されます。

①「動物園のエンジン」:タイトル通りの異名を持つ男の奇妙な行動の真相やいかに?と思わせて別の仕掛けがあった。巧い。
②「サクリファイス」:ラッシュライフの黒澤が登場。麻耶雄嵩氏の「鴉」に似た印象で、世界観に引き込まれたが、ラストはイマイチ。
③「フィッシュストーリー」:無名バンドのCDの一分間の無音にまつわるエピソードと、その結果(影響?)を綴った物語。ご都合主義だけど見せ方が上手いから良い作品に見える。
④「ポテチ」:再び黒澤登場だが主役はその同業者。感動話っぽかったが自分は何も感じなかった。

今回の短編集は連作にはなっていませんでした。①、③はまあまあで②、④はイマイチでした。

No.12 5点 陽気なギャングの日常と襲撃- 伊坂幸太郎 2012/07/27 22:43
陽気なギャングシリーズ第二弾。
前半は四人の主人公それぞれの話を短編形式で紹介し、後半はグループとしての活躍を描く形。
伊坂氏お得意の各話のリンクと時系列パズルが堪能できます。というかやり過ぎの感があり、整理するのも面倒なくらいでした。
まあこの作品の醍醐味はキャラを楽しむものだと思っているのでその点では楽しめました。第一弾が好きな方は安心して楽しめると思います。
やはり響野のキャラが良い。あと小西、大田、良子の掛け合いに対する久遠の突っ込みが好きでした。

No.11 5点 終末のフール- 伊坂幸太郎 2012/07/26 21:59
舞台はお馴染みの仙台だが、なんと地球滅亡まであと三年らしい。五年前に発表された地球滅亡説以降、混乱を極めた世界がようやく一定の小康状態を見せ始めた頃という設定です。
8つの短編で構成されており、各主人公達のこれまでの、そして今後の生き方が描かれています。
登場人物達は皆五年間の辛い混乱時代を経験し、また短い未来しか残されていませんが決して暗い話ではなかったと思います。
残された三年間を普通の日常のように生きようとする登場人物の姿にちょっと感動しつつ、避けられない現実にしんみりする、そんな作品でした。
苗場のセリフ「あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」が特に印象的でした。自分の生き方について考えさせられました。
しかし非常に良い作品でしたが、全然ミステリでないので5点です。

No.10 6点 砂漠- 伊坂幸太郎 2012/07/02 21:36
--ネタばれ含みます--

一言で言えば大学青春モノです。
主人公が学生生活での印象深いエピソードを章分けして紹介してくれ、各章がちょうど四季で分けられいるため四章構成になっています。
どの章も敵役が据えられており、飽きずにサクサク読めます。
話全体にある仕掛けがなされており、上手いとは思ったのですが規模が小さいのが勿体ないと感じました。規模を大きくするとパクりになるんだろうな。
ちなみに登場人物に関しては、私は西島だけでなく全員変人だと思いました。

No.9 3点 魔王- 伊坂幸太郎 2012/06/26 22:36
ミステリ性は皆無。娯楽性もありそうで実はない。なんか敷居が高いというかメッセージ性が強いというか、あまりにも自分の求めているものとかけ離れていました。
モダンタイムスが続編にあたるらしいですが、読みません。

No.8 6点 死神の精度- 伊坂幸太郎 2012/06/26 22:31
以下の六つの短編で構成されており、全て死神が語り手となっています。

①「死神の精度」:標的はストーカー被害に悩む冴えない女性。オチはベタで予想通りだけど後味は爽やか。
②「死神と藤田」:真の仁侠の男に無様な死は似合わない、といったとこなのかな。
③「吹雪に死神」:伊坂氏には珍しい、というかまさかの雪の山荘もの。しかし、というかやはり本格ではなかった。
④「恋愛で死神」:実に切ない話でしたな。
⑤「旅路を死神」:この作品だけ、やけに文学色が強いというか、自分には合いませんでした。
⑥「死神対老女」:美容師の老女の奇妙な依頼。その真相以外にも幾つかサプライズが仕掛けられている。

人の生き様もしくは死に様、人と人の繋がりが死神を介して描かれた異色の作品です。そんなテーマにも関わらずどの話もライトに描かれているのが良いです。
しかしどっちが先かは知らんがデスノートと似ている。

No.7 6点 グラスホッパー- 伊坂幸太郎 2012/06/23 11:51
--ネタばれ含みます--

銀行強盗だけでは飽き足らず、今度は殺し屋達が主役の作品。
普通人の鈴木、ナイフの達人の蝉、自殺誘導者の鯨の三人の視点が入れ替わりながら話は進みます。謎の殺し屋「押し屋」を巡って三者が交わっていく流れは、良い意味で想定通りでサクサクと読めます。
本当にこんな奴等がいたら堪らないけど、あまりにも現実離れしているため、そこは割り切って楽しめます。(ただし悪の枢軸寺原の息子はリアルな悪で本当に嫌です)
終わり方が引っ掛かったのでネタばれサイトを見たのですが、仕掛けがあったんですね(しかもちょっと嫌な仕掛けが)。伊坂氏には珍しく後味の悪い終わり方でした。せめて「始まり」は鈴木の奥さんの死からだとまだ救いはあったんだけどな~。
まあ面白かったんで続編のマリアビートルは文庫化されたら読もう。

No.6 6点 チルドレン- 伊坂幸太郎 2012/06/20 22:40
伊坂氏の連作短編集。以下の五話で構成されています。

①「バンク」:銀行強盗事件の仕組みの推理には納得。ただ、たかが社員同士でそこまで結束が固まることなんてあるものなのかな。
②「チルドレン」:万引きをした息子と家庭を顧みない父親のギクシャク関係が家裁を通じて修復される、というベタながらも暖かいお話。と思いきや不自然な程急すぎる展開に違和感を感じずにいられなかったが真相が分かって納得。
③「レトリーバー」:時間が止まっている公園、って真相あまりにも単純過ぎる。仕掛人は意外ではあるけれど。
④「チルドレン2」:再び家裁のお話。何だかごちゃごちゃした家庭問題があったが印象に残っているのはラストのシーンのみ。
⑤「イン」:④でチラッと語られた「正体をバレずに親を殴った」という方法が明らかに。全盲である永瀬の主観で語られるためはっきりと表現されておらず、想像力をかき立てられるのが面白い。

全ての話に陣内という男性が登場しますが、いずれも別の人物の視点から、主役というより変わった脇役といった立ち位置で描かれています。アクが強いですが語り手から程よい距離を置かれて語られているため、魅力的なキャラに描かれていると感じました。全ての作品が暖かみがあり、和める作品です。

No.5 5点 陽気なギャングが地球を回す- 伊坂幸太郎 2012/06/19 20:50
程度の差は激しいが、特殊能力を持つ銀行強盗四人組が主人公のお話。
伊坂氏の作品なので悪人が登場しますが、それは主人公達ではなく悪い銀行強盗達です。つまり良い銀行強盗(主人公達)VS悪い銀行強盗という図式になります。
まあこんな設定なのでミステリ要素は全くありませんでしたが、割り切って楽しく読めました。
これだけ妙な設定の登場人物達なので伊坂作品特有のセリフも気にならず、むしろマッチしていたと思います。
悪人は登場しますがタイトル通りライトな展開で、安心して読めました。続編も読もうと思います。
ちなみに響野が島田氏の御手洗潔に似ていると思いました。
また、ミシェル・ペトルチアーニの評価には全く同感です。

No.4 6点 アヒルと鴨のコインロッカー- 伊坂幸太郎 2012/06/19 20:44
--ネタばれ含みます--

まず序盤の「本屋を襲わないか?」と「シッポサキマルマリを見なかったか?」というセリフに嫌気がさし、半年程放置してしまいました。
傷も癒え、再度挑戦。序盤こそセリフにイラついたものの、悪者が登場してから一気に読み易くなりました。
話の構成としては本屋襲撃が行われる現在の場面とペット殺し事件があった二年前の場面を交互に語る形です。
二年前の話の続きが気になるところで現在に引き戻されるという感じで進み、うまいこと焦らされながらもサクサク読めました。
伊坂氏には珍しく、トリックが仕掛けられていました。やや哀しい結末ですが、良い終わり方だったと思います。

No.3 4点 重力ピエロ- 伊坂幸太郎 2012/01/17 00:09
伊坂作品を読むのは三作目ですが、予想通りミステリとしては緩めで物足りなかったです。タイトルが勝ち過ぎた印象があると思います。
しかし他の方の書評からも窺い知れる通り、この作品の最大の評価のキモはやはり会話文を許容できるかどうかだと思います。
あの会話文から逃げ出したい気持ちと闘いながら読了に到った時の疲労感が一番強く印象に残っています。(実際一度他の著者の作品に逃げてそのまま三か月以上放置しました。)

No.2 7点 ラッシュライフ- 伊坂幸太郎 2011/05/15 21:06
騙し絵の世界を見事に描写していると思います。
語り手が変わるにつれ時間軸が絡まっていく感覚と、最後の章でその時間軸が一本に紐解かれた時の爽快感が素晴らしかったです。
物語も爽快。
登場人物の描き方が(特に京子が)島田荘司っぽい感じがしました。

No.1 5点 オーデュボンの祈り- 伊坂幸太郎 2011/05/13 23:40
初めて伊坂氏の作品を読んでみました。
詩を読んでるかのような独特のタッチで描かれる奇妙な世界は魅力でした。
ただしタイトルから予測した通り、特にミステリと言う訳ではなかったので謎が解けてスッキリという感覚がなく、物足りなくはありました。(勧善懲悪的な結末にはスッキリ感がありましたが)
本人的には島田荘司氏の影響を受けているそうですが、私には全くピンときませんでした。

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simo10さん
ひとこと
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