皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
江守森江さん |
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平均点: 5.00点 | 書評数: 1256件 |
No.28 | 4点 | あの頃の誰か- 東野圭吾 | 2011/02/09 01:30 |
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これも、いきなり文庫化だが、訳ありで埋もれた作品の寄せ集めで(それを宣伝文句にしたから裏切られた感が大きく)決して褒められた出版姿勢ではない。
しかし、こんな作品集が幾ら東野圭吾だからってベストセラーになり、今年に入っての図書館予約が一位を独走するんだから呆れて開いた口が塞がらない。 バブル期にノスタルジーを擽られる最初の作品はまだしも、他は普通の作家なら商品として成立しないだろう。 埋もれるべき作品は掘り起こすべきではない! こんな販売戦略は、ポプラ社の某ベストセラーとは別方向で、出版業界に自分で自分の首を絞める結果を齎すのではないだろうか? 「東野圭吾の訳ありなら・・・」なんて宣伝は大嘘で、やっつけ仕事感満載な近作よりも低レベルで(東野圭吾に求める基準レベルの高さを考えれば)これらの出版を許可した作者も読者を裏切っている。 作品集そのものは3点だが、発売日に図書館へ予約に出向くまでして読んだ自分の行動力を評価して4点にした。 ※色々なネット書評を見たら「駄作だがファンには読めて嬉しい」的コメントが多数で驚いた。 |
No.27 | 4点 | プラチナデータ- 東野圭吾 | 2011/02/09 00:52 |
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所得格差拡大に不景気も相俟って図書館利用で新刊購入しない人々(私も当然含む)が急増した昨今、図書館予約に出遅れた「白銀ジャック」(購入意欲は無)しかも、いきなり文庫だから文庫化での新規予約という奥の手まで使えず、二年近くは読めないだろう。
そんな折り、昨年やや出遅れ程度で予約した本書と先日発売で発売日予約に成功した「あの頃の誰か」が借りられた。 正直な話、ガリレオ・シリーズの長編と加賀シリーズだけしか(作品の方向性も含めて)期待出来ない作家になってしまった。 この作品など読みやすく楽チンなのだから私の読書方針にピッタリなハズなのだが、それが逆にやっつけ仕事感の増幅を齎してしまう。 半分程度読んで先が読める作品でもネームバリューでベストセラーになるのは如何なものだろう。 図書館利用で、出版不況に貢献している身だが、いっそのこと電子書籍化が加速すれば良いと、作品とは関係ない感想が先立ってしまった。 ※余談 電子書籍化が完全普及したら地域の図書館はどうなるのだろうか?(地方予算の都合で大半が閉館すると予想) 完全電子書籍化時代が到来したら私は、ミステリはドラマ視聴のみに移行し書籍離れするつもりで今から対応している。 |
No.26 | 4点 | パラレルワールド・ラブストーリー- 東野圭吾 | 2011/01/12 14:44 |
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山手線と京浜東北線が平行(パラレルと掛けている)して運行され窓越しに見初める。
親友とひとりの女性を巡り、愛情と友情の間で揺れる。 以上の2つは実体験があり非常にノスタルジックだった。 採点については、主体がSF恋愛小説だが伏線の回収やツイストも含めて一応ミステリーの範疇にはある気がするので範疇外な2点にはしなかった(もっともノスタルジックな反面でさして面白くもない) ※パラレルな余談 この作品の影響なのか?6つもパラレルワールドが存在する変な夢を見た。 違っているのは‘嫁’だけで、パラレルワールドでの嫁はそれぞれ中越典子・中山忍・星野真里・伊東美咲・三浦理恵子・栗山千明の御贔屓な美人《貧乳》女優達だった。 そして現実世界の嫁が嫁本人なのか?日頃から似ていると思っている(女優の)ミムラなのか?夢なので判別できなかったのはご愛敬(←エッチして判別する瞬間、嫁に「朝ご飯よ!」と起こされた)←コレって夢オチ?! |
No.25 | 4点 | さまよう刃- 東野圭吾 | 2011/01/12 14:00 |
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読書スタイルが、感情移入せずに読むタイプであるため、提起された社会問題に対しての考察がストーリーに勝ってしまい、重いテーマと相俟ってなんら楽しくなかった(私的な読書志向とは対極にあった)
私は「起こした事の責任から何人たりとも逃れられない」との立場で、年齢や精神状態等による法的救済は社会悪ですらあると考えている。 法律の在り方として、被害者側に対する救済が大切だと思うのだが、全く整備されていない。 関連して「少年法の撤廃」と「死刑の存続及び速やかな執行」を支持する。 義務教育課程で自己責任について学問以上に徹底教育すべきだと主張しておく! この様なテーマだとミステリーの書評にならず脱線してしまう。 |
No.24 | 4点 | 眠りの森- 東野圭吾 | 2010/06/18 08:21 |
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加賀恭一郎シリーズ第二弾。
何故か教師時代をメインにした作品は書かれていない。 バレエ団内での隠された人間関係を紐解く展開な為にミステリとしては良くできた二時間ドラマレベル。 先々描かれる加賀恭一郎らしい洞察力としつこさは発揮されない。 どうも、加賀恭一郎を主役にした恋愛小説な感じで、シリーズを完結するつもりだったのだろうか? このラストで、これ以降もシリーズ継続しながら後続作品で後日談が描かれていない事に不満を覚える。 加賀恭一郎は自分の素質を継ぐ子孫を残せるのだろうか! |
No.23 | 6点 | 卒業−雪月花殺人ゲーム- 東野圭吾 | 2010/06/18 07:57 |
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加賀恭一郎シリーズ第一弾。
大学生の加賀恭一郎が描かれるのは「この作品」だけ。 私の様に新しい作品を先に読んでから原点に立ち返ると、加賀恭一郎と初期の東野圭吾作品を知る為には欠かせない作品だと分かる。 密室の物理トリックはガリレオ・シリーズ、イタい若者描写は各ノワール作品で昇華される。 雪月花ゲームのルールに馴染みがなくジックリ理解する気を起こさせない弱点を図解添付で少し補う。 トリックの方は、カード系賭博のイカサマやマジックのタネに発想の転換を絡め論理パズル好きには面白い。 加賀恭一郎も名刑事になる片鱗が伺えて楽しく読めた。 ※余談 全日本剣道選手権のトーナメント表を見て出場者の9割が警察官だった事にビックリしたのが思い出された(世界のスポーツになった柔道と違い剣道は警察に牛耳られている) 中学時代に胴着の臭さに閉口し剣道は観るだけになった。 |
No.22 | 6点 | ガリレオの苦悩- 東野圭吾 | 2010/06/12 17:46 |
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ガリレオ・シリーズ第三短編集。
ドラマから生まれたキャラ内海に女性的感性から気付かせる事で草薙との住み分けもできている。 「落下る」「操縦る」は合わせてスペシャル・ドラマ化され〈物理トリックは映像で観たい〉を体現してくれた。 また「操縦る」での湯川の存在を利用したホワイダニットは秀逸。 その一方で「密室る」はやっっけ仕事感が漂う。 「指標す」は今までとは違い読者も推理出来る作品でタイトル通りな気付きのミステリとして良作。 「攪乱す」は対決パターンで犯人を誘き出す展開が、映像化を意識した楽しい作品。 作者の懐の深さとハウダニット的にはネタ切れ気味でシリーズが限界に近い事の両方を感じる。 ドラマと違い優秀な内海の登場でシリーズ的には格段に面白くなった。 |
No.21 | 5点 | 予知夢- 東野圭吾 | 2010/06/12 17:29 |
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ガリレオ・シリーズ第二短編集。
相変わらず読者の推理を拒絶しドラマを観る方が良い作品「絞殺る」「予知る」もあるが「夢想る」は気付きのミステリになった反面で探偵が湯川である必然性がなくなった。 「騒霊ぐ」は、かなり以前に同じオチの二時間ドラマを観た覚えがある。 「霊視る」はありふれたアリバイ物で気付きのみ科学的なのでバランス面は良い。 少しシリーズ作風に幅をもたせた事が「容疑者Xの献身」で昇華する! 次を読む為の予習として読む本だろう。 |
No.20 | 4点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2010/06/05 07:12 |
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綾瀬はるか熱愛発覚スクープを記念して!!
「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞するまではドラマ化と相まって作者では一番売れた作品だろう(そこまでの東野マニアではないので売上の詳細は不明) 厚さの割に一気に読了させるリーダビリティの高さはさすが東野圭吾と言ったところだが、ノワール・ミステリーはミステリーの中でも嗜好外にあり、ドラマ化以前に読んでしまいスルーすれば良かったと後悔した。 基本的に東野圭吾好きなら作風の幅広さを絶賛し歓迎するのだろうが、違うので嗜好外な作品は程々にしてほしい気持ちの方が強い。 それでも懲りずに出版と同時に図書館予約に出向く流行物好きな自分に呆れる。 |
No.19 | 7点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2010/05/26 04:18 |
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ガリレオシリーズで「容疑者Xの献身」に続く第二長編。
倒叙形式に叙述トリックを絡めたハウダニット作品なのは前作に同じ。 シンプルなワントリックなのも前作同様だが、こちらの現実味の無さ(発想を褒めている)の方が勝っている。 #その点で「容疑者X〜」の本格ミステリ大賞受賞に対し、本作を既受賞と受賞作を越えないとの見解からノミネートしなかった選考役員の見識には疑問を呈しておきたい!# 見事に張られた伏線から湯川同様論理的に読者も解答に到達できる作りは「前作での本格では無いとのイチャモン」や「シリーズ短編での物理的過ぎて読者の推理を拒絶するとの意見」に対する作者の解答なのかもしれない(グーの音も出ない解答を提示されてしまった) ※要注意 ここから微妙にネタバレします。 書き出しからヒッソリとミスリードを仕込む叙述は、わざわざプロローグなどで構えさせる稚拙な作品を書く作家には是非とも見習ってほしい。 先の方々も書いているが内海刑事はテレビのイメージを遙かに上回る切れ者で、更に洞察力で上回る湯川は(天才かどうかはともかく)間違いなく名探偵だろう! 草薙を含む刑事達のキャラ立ちも素晴らしい(ここまで満点) しかし、先にトリックありきで設定した故か、犯人の行為は救済ではなく単なる猶予でしかない。 タイトルが「聖女の猶予」では、トリックが透ける弱点が生じる。 また、被害者の倫理観とそれに基づく行動は(石持浅海作品に似た感じで)納得出来ない。 更に、大きな如雨露を購入する御都合主義で決定的証拠が保存されたり、キッチンの水道設備描写の不親切さにも不満が残り1点減点した。 それでも、本格ミステリとして(現在までの)東野圭吾の最高作だろう。 |
No.18 | 6点 | 新参者- 東野圭吾 | 2010/02/09 04:59 |
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加賀刑事の移動に伴い舞台が練馬から自分にとって馴染みのある人形町界隈になり嬉しい。
シリーズ前作で更なる成長を見せた加賀刑事に、今も人情が通う町を絡めオムニバス形式で上手く纏めている。 人情小説として改めて作者の技量に舌を巻く。 その反面、各話の些細な日常の謎や作品の本筋である殺人事件がミステリとして弱い。 加賀刑事の細かな気付きは相変わらずだが、もう一つの持ち味であるしつこい捜査がオムニバス形式と人情を絡める事で坦々としてしまったのは残念。 テーマが重くならずサラッと楽しく読めるのは良い。 加賀恭一郎は刑事としての名探偵の理想型に近づいた。 久々に人形町に出向き親子丼を喰って、粕漬けと人形焼きを買いたくなった。 |
No.17 | 7点 | 赤い指- 東野圭吾 | 2010/02/09 04:06 |
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変則的な倒叙形式で事件を描くのに平行して加賀刑事の親子関係を描き、現代社会の抱える家族関係の重いテーマを炙り出している。
相変わらずの細かな気付き、しつこい捜査、落としの技は加賀刑事らしさに溢れる。 重いテーマすら捨て駒にする「赤い指」のロジックと最後の捻りは秀逸。 この作品で加賀恭一郎は更に器がデカくなったと思える。 |
No.16 | 5点 | 嘘をもうひとつだけ- 東野圭吾 | 2010/02/08 22:40 |
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「新参者」を読む前に、この作品と「赤い指」を読んで加賀刑事の変遷を知っておくべきと、どこかの書評で読んだので実践する事にした。
全編に渡り犯行描写をカットした倒叙物な趣で、細かな気付きから真相を手繰り寄せ、しつこく付きまとい犯人を落とす加賀刑事はコロンボや古畑を想わせる。 加賀刑事シリーズとしては実にオーソドックスで淡白な事に戸惑うが、各話安定して楽しめた。 ※余談 「冷たい灼熱」でパチンコ屋の駐車場と明記しないのは業界団体からの抗議を気にしたからなのだろうか? |
No.15 | 2点 | カッコウの卵は誰のもの- 東野圭吾 | 2010/02/03 18:27 |
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※最初に!!
私的なミステリーマップの範疇に含めたくない作品なのでポリシー通り2点とした。 家族関係の秘密・権謀術数・事件が描かれればミステリーに含むのなら、どう考えてもミステリーの範疇にない山崎豊子作品(一般小説として最高レベルな作品多数)もミステリーに含めなければならず、それは断じて嫌だ! 最近の作者の作品の半分はミステリーの範疇にない一般小説で、東野圭吾作品だからと無条件でミステリー扱いせずに線引きが必要だろう(作者の考えは逆で全てをミステリーとして扱う事でミステリー世界を拡大したいらしい:読売新聞掲載のインタビュー) 才能の遺伝、望まない形での才能の発揮と進路、さらには特殊な家族関係へとテーマが変遷する作品。 スラスラ読めるので一般小説として採点すれば6点程度で、作者の水準レベルな作品と言える。 以前のトリノオリンピック取材の残骸からストーリーを紡いだ‘やっつけ仕事感’が漂い、ネームバリューで作品が売れ評価される現状が垣間見える。 タイトルの「カッコウの卵」がスキーの滑降とカッコウの託卵に掛かった親父ギャグになっている。 ※ボヤキ 発売日に図書館に出向き予約して(小説宝石の作品特集も含め)読んでしまう流行物好きな自分に呆れてもいる。 ※余談 図書館入荷日のネット予約が300件オーバーは衝撃的だった。 |
No.14 | 8点 | 超・殺人事件―推理作家の苦悩- 東野圭吾 | 2009/12/20 06:38 |
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ある種のアンチ・ミステリで「天下一シリーズ」とは違う切り口の短編集。
この作品で二階堂黎人に喧嘩を売った?のが容疑者X論争の火種と思える「超長編~」 あと数年後の辻真先(先生ゴメンナサイ)を彷彿させる「超高齢~」 そして、書評家や「このサイト」にも喧嘩を売る「超読書~」 他の作品も皮肉タップリに粒ぞろい。 (まるで野村克也氏のボヤキを小説にした如くで)今まで読んだ東野圭吾作品では断トツに面白い。 皮肉系エンターテインメントの最高峰と断言したい。 ※ショヒョックス&シッタカブリックス(私の目指すファジーな読書に最適)を一台づつ購入してみたいと思ったのは私だけだろうか!! 特に「おべんちゃらモード」と「酷評モード」での同一作品書評を読み比べてみたい。 |
No.13 | 6点 | 悪意- 東野圭吾 | 2009/11/22 14:37 |
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※いきなりネタバレ御免!!
手記から始まる点で読む前から「アクロイド」の技法が頭をよぎる。 よってフーダニットとしては厳しい採点になる。 その一方で、作品の本質はホワイダニットで、クリスティーに喧嘩を売るが如く「手記」&フーダニットを捨て駒に使い、結末でのドンデン返しの伏線(刷り込み)として効果的に機能させている。 それでも「この手の構成」は、どんなに作者の筆力があっても使用した時点で結末の捻りまで一気に到達する可能性が高まり、秀逸な“悪意”と云うタイトルで更に可能性が増すジレンマがある。 作品構成以外では、犯人に誘導される部分もあるが加賀刑事の細かな気付きは本格ミステリとして素晴らしい。 それだけに、何とも勿体無い印象が残る。 ※作品上の気になった点 PC執筆で文鎮を手元に置くか? 創作ノートのインクの古さを警察は何故?科学捜査しない。 短期間で立派なペン胼胝って出来るの?(経験上半年みっちりペン習字して普通なペン胼胝だった) 些細なのでスルーすべきなのだろうか? |
No.12 | 4点 | 探偵ガリレオ- 東野圭吾 | 2009/11/03 09:13 |
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原作より先にドラマを観るファジーな接し方になった。
読者の推理を拒絶する点でドラマで観る方が(どの道、物理学を勉強したい訳ではないのだから)理解し易い。 一方では、読者が到達しえない事で天才キャラを強調しているとも考えられる。 その意味で湯川が天才であればある程、本格ミステリ作品としては凡作になるジレンマが生じている。 「所詮、凡人に天才が理解できるワケがない!」と達観しながらエンターテインメントとして楽しめばよいシリーズなのだろう。 自分にも天才と思える友人がいるが、その友人をして「あいつは天才だから理解し難い」なんて言う奴がいるのだから(上には上がいるものだ)・・・・・湯川なんて天才でも何でもない気がするのはご愛嬌。 ※東野圭吾は天才的名探偵を描いてきた先人達に、このシリーズで喧嘩を売っているのだろうか? |
No.11 | 6点 | 私が彼を殺した- 東野圭吾 | 2009/09/23 18:43 |
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作者が解決編を放棄した形式の読者挑戦物の第二弾。
前作みたく犯人特定に“難”がある訳ではないが、フーダニットとしては、潜ませた伏線に気付けるか?の閃き推理クイズと云った趣。 捜査視点では、指紋採取結果が出た時点で犯人の目星が付く(その事に犯人が気付かず実行したマヌケさはスルーしましょう)ので、フーダニットとして成立させる為に容疑者三人の一人称を章毎に切り替える形式にした作者の苦心が察せる。 私的に、全カプセルの行方をロジカルに突き詰める部分は嗜好のド真ん中なのに全体として好みから微妙にズレる辺りが東野圭吾作品らしい。 |
No.10 | 5点 | どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 | 2009/09/21 07:39 |
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発表当時は新たな試みだった、解決編を放棄する形式での読者挑戦物。
ノベルスが余りに不親切な為に文庫には推理の手引きが付された(その分、重要な記述を削除し難易度アップした) 書かれていない解決編についての推理だが、自殺でない事までは納得するが、現実問題として犯人特定には"難"があり結論は出ないと考える(諸々のネタバレサイトでも何点か難点が記載されている) 一方ストーリーは、二人の容疑者を追い詰め復讐しようとする兄と、それを阻止しようとする加賀刑事との攻防はサスペンスとして非常にスリリングで読ませる。 以上を相殺したら水準レベルな評価になった。 |
No.9 | 6点 | 流星の絆- 東野圭吾 | 2009/09/15 07:40 |
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※察しの良い方にはネタバレになるかも
3兄弟の両親殺害事件だが、残されたビニール傘のロジックを名刑事(例えば作者の持ちキャラなら加賀恭一郎)が突き詰めていたら、時効寸前まで引っ張られる事件たりえない(精々ロジカルな短編か二時間ドラマの脚本にしかならない) それを、名探偵(刑事)が介入しない為の意外な犯人を設定(此方は綾辻の某作品等、良く使われる)し、違った方向に話を膨らませ、これだけ読ませる作品にする辺りが東野圭吾の面目躍如だと思う。 ハヤシライスの食べ歩きをしたくなった読者も多い筈で、東野作品らしく洋食屋とタイアップも考えていたのかも? ミステリとしての弱さをストーリーで消し去る=私の嗜好の対極にある作品。 小説としての面白さを評価基準の一番手にする方の採点なら高評価でも頷ける。 |