皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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臣さん |
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| 平均点: 5.91点 | 書評数: 676件 |
| No.256 | 7点 | 妖魔の森の家- ジョン・ディクスン・カー | 2011/12/17 14:59 |
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| 表題作は、20年前の消失事件の当事者であるヴィッキーが、現代になってまた消えてしまうという内容。しかも消失は、H.M卿らとのピクニック中に発生する。
巻頭ページで、この表題作が白眉であるとの説明文があります。奇抜な謎やその謎発生の場面設定、手がかり伏線を評価して「白眉」と褒めたのでしょうが、古典だからといってそれはすこし褒めすぎなのではと思います。たしかに良く出来てはいますが、どちらかといえば、短編本格ミステリーの教科書、お手本という程度です。 それにH.M卿が現場にいながら何故すぐにわからないのかという点もひっかかります。まあ短編なので、そのへんはよしとしましょう。 「赤いカツラの手がかり」はちょっとユニークで、楽しい作品。物語の面白さでは編中ナンバーワンかと思います。 「第三の銃弾」は提示される謎の深さが特徴。謎は読み進むごとにさらに深まっていく。手の込んだ犯行計画に突発的な条件を加味して真相を上手く隠蔽した精緻な作りは、秀逸だと思います。ミステリーとしての凝り方はピカイチです。万人のミステリー・ファンが楽しめるかというと疑問ですが、よく考え抜かれた作品だとは思います。 本作は早川の完全版を少し前に読みましたが、今回のものは簡約版で、復習するのにはちょうどよかったです。 これら3作は趣が異なり、それぞれの楽しみ方ができました。他の2作も悪くはなく、1冊まるごと飽きることなく楽しめました。 |
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| No.255 | 7点 | 第三の銃弾<完全版>- カーター・ディクスン | 2011/12/09 10:01 |
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| 提示される謎は、それ自体はわかりやすいのですが、どう考えても解けそうにないほど難解です。しかも、読み進むごとにいろんな証拠や証言、手がかりなどが加味されて、謎はさらに深まっていきます。
この真相の隠蔽の仕方やミステリーとしての精緻な作り、凝り方は秀逸だと思います。 犯人による犯行自体が完璧かというと全くそうではありません。犯行計画は立派ですが、実行にはミスもあり、突発的な行動もあり、そんな種々の条件が合わさったからこそ、事件が難解になったようです。もちろん、それはそれで上手いとは思いますが…。 犯人は、こんな手の込んだ犯行計画を立てるのなら、微細にいたるまでもっと完璧に仕上げることもできたのでは、という気もしました。 トリックは突発的にそうせざるを得なかったという状況の中でのものとはいえ、よく出来ています。 |
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| No.254 | 6点 | 日経おとなのOFF 9月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 2011/12/06 09:42 |
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| 歴史・時代小説特集なら年に一度はビジネス誌に取り上げられるが、ミステリの場合、かつて「ダ・カーポ」に取り上げられていた程度で、すくなくともビジネス誌での特集は見たことがない。本誌は趣味系の雑誌だから、さもありなんだが、ビジネス誌寄りな雑誌なので目新しい気がする。
内容的には、内外ミステリが全般的に網羅してあるし、「名探偵30人のプロファイリング」や「ミステリの中の犯罪心理学」など凝ったものもあり、初心者にも上級者にも役に立つ永久保存版という感じだ。ただ、どの記事にも宮部みゆきが登場していないのが意外だった。編者の嗜好なのかな。 「プレジデント」などのビジネス誌に歴史・時代小説特集が組まれた場合、著名な経営者による「仕事で行き詰ったときに『宮本武蔵』を読み返す」とか、「『三国志』で人心掌握術を習得した」なんてコメント記事が載るが、ありきたりすぎて面白くない。むしろ、ビジネス誌にミステリ特集を掲載し、「ミステリの謎解きで論理的思考力を身に付けた」「ミステリで子どもの読解力がアップした」なんてコメントを載せれば、ミステリの社会的地位の向上につながるのではないか。 書店の文庫コーナーの大半がミステリか時代小説という今となっても、世間的にはミステリはいまだ低俗でマニアックな趣味なのではという強迫観念がある(偏見なのかもしれないが)。ビジネス誌もつまらん記事ばかり載せずに、ミステリの地位向上のために一役買ってほしい。 |
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| No.253 | 4点 | ハマースミスのうじ虫- ウィリアム・モール | 2011/12/01 10:18 |
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| ラストはピンときませんでした。こんな解決方法もあるのですね。後半の殺人事件からこのラストまでは、印象に残るといえばいえますが、主人公のキャソンと、恐喝者ペリーとの心理対決の構図にはそれほどのサスペンスを感じられず、全体としては退屈なプロットに思えました。
キャラクタについてもやや不満です。 キャソンは、刑事でもないのに、趣味とはいえ、正義感に燃えて恐喝者にしつこく立ち向かっていくタイプです。エンタメ小説の主人公に向いているのか、向いていないのか、すこしは好感が持てたところもありますが、微妙な印象です。ペリーがそれほど悪いやつではなかった(というかあまりよくわからなかった)ことにも違和感を覚えました。 『罪と罰』の判事とラスコーリニコフ、『男の首』のメグレと犯人、『刑事コロンボ』のコロンボと犯人などの心理闘争を想像していましたが、予想とは違っていました。心理サスペンスというのは読者がうまくはまれば作中人物と同じ気分に浸れるのですが、ちょっとずれると退屈このうえなしです。出来、不出来というよりは、感性の問題なのかもしれません。 |
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| No.252 | 3点 | 哲学探偵- 鯨統一郎 | 2011/11/24 10:34 |
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| 二人の刑事が、事件に出会い、情報収集し、最終的に競馬場に向かい、そこで藍色のスーツを着た謎の男性が登場する。その男の登場が手掛かりはすべて出そろったという合図になる。そういうパターン化された連作本格モノ。
一話ごとに哲学、短歌、競馬の薀蓄が盛り込んである。一編が2段組ノベルズ版の30ページ弱で、全8話。薀蓄がなければ、一話20ページぐらいで済みそう。薀蓄も興味がもてればいいが、そうでなければじゃまな存在でしかない。 じゃまな話を盛り込むよりは、本格部分を厚くするか、人物をもうすこし面白おかしく描いたほうがよかったのでは、と思います。 |
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| No.251 | 9点 | シャーロック・ホームズの冒険- アーサー・コナン・ドイル | 2011/11/17 09:41 |
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| 本短編シリーズの魅力は、奇想天外で不気味な謎が提起されることと、そこからとんでもない方向へと発展してゆく、変化とスリルのある展開とにあると思う。
本格黄金時代作家の作品では時代性をほとんど感じられないが、ホームズ物はヴィクトリア朝の時代性を垣間見ることができ、古めかしさも存分に楽しめる。 キャラクタはもちろん良い。ホームズの独善的ともいえる行動や言動は嫌味ではなく、奇抜な謎の中にあっては不思議なほど映えている。 テンポのよい語り口も申し分なし。 尻すぼみな作品もあるが、そんな作品でも中途は十分に楽しめる。とにかく名編ぞろいで、みな心をときめかせてくれた。 小学生のときジュニア版を読んで以来だから、なにもかも忘れているはずだけど、その後、ジェレミー・ブレット主演のドラマも見たし、数多の似非ホームズにも触れてきたから、今回の再読では何十年もの間読んでいなかったわりには、ホームズ&ワトソンを驚くほど身近に感じることができた。 あらすじについて記憶していたのは、映像が頭に焼き付いている「まだらの紐」と「唇の捩れた男」ぐらいだった。 一般的にはミステリ初心者向きなのだろうが、奇想な物語を好む人なら、いくつになっても、初読でも再読でも楽しめると思う。だからシャーロキアンが存在するのでしょう。 ホームズとワトソンによる階段の段数問答がどの話の中に入っていたのか、このサイトを初めて訪れて以来ずっと気になっていたが、このたび本書を読み始めてすぐに解決した。実は、長編「恐怖の谷」の中だと思っていた。 |
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| No.250 | 10点 | 炎に絵を- 陳舜臣 | 2011/11/10 13:32 |
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| 今回は、E-BANKERさんに倣った、初の節目(250番目)書評です。
父の生前の汚名をそそいでくれとの病床の兄からの依頼を主人公の葉村省吾が受けるところから、物語が始まります。葉村家の歴史を背負って動き出す省吾。でも当の本人は明るく能天気なほどの好青年で、全く気負いはありません。前半では、この青年が探偵ごっこのように調査をしながら、読者を飽きさせない程度に話が進んでいきます。 ところが後半にさしかかるころ発生する突然の事件をきっかけに、省吾は葉村家にまつわる謎の渦の中に飲み込まれていき、最後は驚愕の真相へたどり着きます。 巻き込まれ型の素人探偵が真相へとひた進む、サスペンス性ゆたかな、この壮大な推理ドラマには興奮を覚えます。 陳氏の出世作『枯草の根』とくらべると、今までは、わずかな記憶だけをたよりに、かなりいい加減に、本書がすこし上と判断していましたが、今回の再読で結着を見ました。 本書に関し記憶しているのは、興奮して読んだことと、読後数年間、余韻がつづいたことだけ。筋については、主人公が必死にもがきながら謎を追う情景が記憶にあるだけでした。 でも興奮と余韻は記憶どおり、本物でした。 2年ほど前、ディヴァインの『兄の殺人者』を読んだとき、本書と似ているような気がしたのですが、実際はかなり違います。家族愛が背景にあり、兄が登場するという点では一致しますが、筋も、興奮の程度も全然違っていました。 主人公とその恋人の性格は記憶とは違ってとても明るく、意外な気がしました。彼らの性格と、謎の重苦しさや悲劇性とのギャップが本書の魅力の一つなのかもしれません。現代風な主人公や、柔和でゆったりとした物語の雰囲気は、陳ミステリーの特徴のようです。 |
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| No.249 | 6点 | 堕ちた山脈- 森村誠一 | 2011/11/10 10:54 |
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| 「堕ちた山脈」・・・ベテラン・グループと初心者グループの山での対決。どちらも甲乙つけがたいほど陰湿で卑劣。上手いと思った。
「虚偽の雪渓」・・・被疑者は少ないが手掛かりが後出しなため容易には犯人を特定できない。短編だからこのぐらいは止む無しか。 「失われた岩壁」・・・ワルも命がけ。ここまでリスクをかけることもないのにと思うが…。必死な状況はよくわかる。ラストは想定内。 「憎悪渓谷」・・・短編CC物。本格ミステリで添付図といえば間取り図などの平面図が一般的だが、本作には人間関係図が載せてあった。これには驚いた(笑)。 「犯意の落丁」・・・よくあるミステリ・パターン。雰囲気は楽しめるので、短編だから許せるという感じかな。 以上、5編。 森村氏の山岳モノは初めて。解説によれば、森村氏の山岳短編は、山も俗界の延長にある、だから山好きだからといって高潔ではない、という考え方にもとづいているらしい。5編ともそんな感じがよく出ている。 「堕ちた山脈」「虚偽の雪淫」「失われた岸壁」、これら3編は山ならではの話で、シンプルながらも引き込まれ、楽しめた。一方、「憎悪渓谷」と、「犯意の落丁」とは山を舞台にするほどでもないと思うのだが…。そう思いながら読むと面白さも半減した。 |
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| No.248 | 5点 | 暗い森- アーロン・エルキンズ | 2011/11/10 10:40 |
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| スケルトン探偵シリーズ第2作です。米国現代本格と聞き初めて読んでみました。
本書は本格色が濃いとはいえないし、プロットも平板に感じますが、会話や人物描写が生き生きとしていて好もしく、テーマに似合わず親近感を覚えます。民族学的なペダンチックな内容をやさしく解説する語り口が読者を惹き付けてくれるようです。 物語は後半、『インディー・ジョーンズ』『ナイルの宝石』ばりの探検モノの様相を呈してきて俄然楽しくなります。この程度の見せ場が中盤にもあれば、もっと起伏に富んだ楽しい小説になっていたのにという気もしますが…。 こんな本格以外の要素があるからこそ、骨から推理するという特殊な設定でも長年にわたり人気シリーズになったのでしょう。 主人公の学者探偵・ギデオンが、その周りを取り巻くFBI捜査官・ジョン、公園保護官・ジュリー、恩師・エイブたちとどのように関わりあっていくのか、どんな難事件を解決するのか、初心者にとって興味深いですね。 謎解き物としては物足りませんが、評点は今後の期待を込めてこんなところです。 |
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| No.247 | 5点 | 超特急燕号誘拐事件- 辻真先 | 2011/10/21 11:44 |
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| 時代は昭和10年、舞台は超特急燕号の中。主人公でもありワトソン役でもある四条杉彦が現代において、その回想を語るというスタイルです。そして事件を解決するのは女性探偵・亀谷ユーカリ。
機関車と一等車の消失、列車内の密室殺人、と謎はたっぷり。しかもwho,how,whyのすべてがそろっています。ちょっとした逆転の発想ができれば真相解明はたやすいかもしれませんが、まあそれでも面白い着想だとは思います。動機についてもいちおう筋は通っています。ただ、そうは言うもののメイントリックについては、いくらなんでもそれはないだろうという感じがしますし、読後感ももうひとつすっきりしません。結局、アイデアだけの作品だったということなのでしょうか。 |
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| No.246 | 6点 | 十津川警部の抵抗- 西村京太郎 | 2011/10/14 10:27 |
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| 連続殺人モノです。十津川警部シリーズを読むのは本当に久しぶりです。実は全く期待しなかったのですが拾い物でしたね。
後半、謎のほとんどが解明されつつあるのに最初の事件の真相だけがうやむやなので、もしかして放置かと心配しましたが、最後の大捕物の前に種明かしされました。この真相は驚きですし、その隠し方は実に巧妙です。隠し方といっても叙述トリックではなく、犯人による手段なのですが、この最初の事件の真相を包み込んだミステリー構造には納得もし、感心もしました。とにかくこの巧妙で残忍な最初の殺人が最も重要です。作者もこの事件に重点を置いたのでしょう。ただ、十津川&亀井が登場するまで警察はいったいなにを捜査していたのと突っ込みたくはなりますが… なお、タイトルの「抵抗」は上司に対する些細な抵抗のことで、事件の内容とはあまり関係ありませんでした。こういうメグレ風のタイトルを付けてしまうと、ファン以外は寄り付かないように思うのですが…まあ、佐伯泰英氏の時代小説のように熱狂的なファンが多くいれば、作者にとっては十分なのかもしれません。 |
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| No.245 | 6点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2011/10/09 13:30 |
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| 本の仕掛けは倉阪氏の小説で経験済み。でも本書が本家だし、マジックとして使えるので、その分評価は高い。早速、家族に披露しました。これからも使えるので、本のコストパフォーマンスはきわめて高いということですね。
ただし、ミステリとして、小説としては平均か、平均以下でしょう。 |
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| No.244 | 5点 | メグレと無愛想な刑事- ジョルジュ・シムノン | 2011/10/05 18:59 |
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| 今までに読んだ長編のメグレ物とはちょっと違って、早々と謎が提起され、短編ミステリーらしさが感じられます。もしやしてこれは謎解きミステリーなのではと思ってしまいます。でも、ストーリーの流れからすれば、本格ミステリーというよりは、やはり一般小説寄りなミステリーとして楽しむほうが正解でしょう。
『児童聖歌隊員の証言』では、メグレが39度の熱を出して、自宅で少年から真相を聞きだす場面があり、いくらなんでもこんな事情聴取はないだろうと思いながらも、なんともいえぬ可笑しな光景を頭に思い描いて、吹き出しそうになりました。 『誰も哀れな男を殺しはしない』は、ミステリー度の高さは編中随一です。物語の進行とともに徐々に被害者の謎めいた実態が明かされていくものの、謎はさらに深まります。はたして真相は?と少しだけ本格として期待したのですが・・・ |
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| No.243 | 3点 | 失踪- 西村京太郎 | 2011/10/02 13:00 |
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| 佐文字進の推理は空想のように発展していくので、話の展開はスピードアップしていきます。駆け足で駆け抜けていくような感じです。早く読めるということはいいのかもしれませんが、もっとじっくりと楽しみたいですね。それに、こんなとんでもない発想をする犯人がいるのだろうか、という疑問もあります。とにかく恐ろしい発想です。まあ、佐文字の犯人に対してとった行動も常人では考えられない発想によるものでしたが。
携帯やパソコン、メールも登場する現代の作品ですが、西村氏もまだまだ現役でがんばっているんだな、と妙なところに感心しました。 |
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| No.242 | 5点 | 五声のリチェルカーレ- 深水黎一郎 | 2011/09/28 11:15 |
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| 著者に関する予備知識はわずか、特に本作に関する情報はゼロでした。だから最初は、たんに薀蓄開示がくどいだけのミステリかと思っていましたが、徐々にこの手のミステリだということがわかってきた次第です。その薀蓄は物語の根幹とうまくリンクしています。
ただ、この種のミステリは書き方しだいでなんとでもなるし(そう言ってしまえば身も蓋もないが)、書き方自体も後半がかなりわかりやすくなってきていて、驚きも中程度だったので、結果的にはそれほどすごいミステリだとは思いませんでした。「告白」「向日葵の咲かない夏」「イニシエーションラブ」の強烈なパワーとテクニックがほしかったですね。まあ、だからこそマニアックだと言われるのですが。 総評すれば、一部のマニアには受けるけど、その受け方もベストとは言えないかなという感じでしょうか。 併録の短編「シンリガクの実験」は独立したものですよね。これについては、意味のない短編をいっしょにするはずがない、という意見もあるようですが、いくらなんでも考えすぎです。 深読みするのは自由だし、それができるのが小説の本当の醍醐味。そういう意味では2作品とも高評価できますが、エンタテイメントとして楽しめたかというと、微妙です。 |
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| No.241 | 6点 | 月光亭事件- 太田忠司 | 2011/09/22 11:09 |
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| 大技トリック付きのオーソドックスな本格派ミステリです。
中程度の満足度でした。 気になる点をいくつか挙げます。 (1つ目はトリック)トリックの手掛かり材料(伏線)について、他のサイト等で伏線とその回収をほめる書評を2,3見かけましたが、これぐらいならごく普通だと思うのですが・・・。それはさておき、このトリックをどう実現するのかを、添付図からは理解できませんでした。添付図の形状では実現できないような気がするのですが、理解力不足なのでしょうか。状況をもう少し詳しく説明してもらいたいですね。 (2つ目は登場人物欄)登場人物欄でミスリードするのってありですか?それとも逆に読者サービスなのでしょうか。 (そして最後に)初めて読む作家さんで、何も知らず、ラノベの延長ぐらいの作品だと思っていましたが、読んでみれば意外にも正当派の本格推理だったので驚いています。狩野俊介少年のキャラクタや、人間関係がドロドロしているところは好みだし、読みやすさも申し分なしなのですが、なんとなく物足らなさもあります。トリック以外にクセがなさすぎるからでしょうか。 本書にかぎらず太田作品全般にいえることですが、このサイトであまり読まれていない(同世代の森博嗣よりもはるかに少ない)のには、なにか理由があるのでしょうか。 |
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| No.240 | 7点 | 殺す手紙- ポール・アルテ | 2011/09/16 12:35 |
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| 前半は謎が重なり合って、推理しようにも何がなんだか全くわかりません。わけがわからないものの、この前半部分のサスペンスは極上の一級品です。サスペンスがいったん収まり一部の謎が種明かしされると、やや平坦に感じるも、後半ではアルテらしいテクニックが冴え渡ります。もちろん最後にはひねりがあり、それが見事に決まります。まさに二転三転です。不可能犯罪がないので本格推理物とは標榜しなかったのかもしれませんが、サスペンスフルな本格派ミステリであることにはちがいありません。
読みやすく相変わらずの短さで、一段組も手伝って、おかげであっという間に読了できました。 |
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| No.239 | 5点 | 暁の死線- ウィリアム・アイリッシュ | 2011/09/12 13:05 |
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| 都合のよすぎるところがが大いにひっかかります。そもそも、そこまでして犯人を一定時間内に見つけ出さなければならないのか、という疑問を冒頭でまず抱きました。この必然性が弱すぎます。Tetchyさんが指摘されるような解決方法もありますしね。そんな疑問を抱えてしまうと、最高のサスペンスにも乗り切れません。そんなことを気にしていては、アイリッシュのサスペンスは楽しめないのですがね。
一般的には名作の誉れ高い作品なんですけど、やはり長編ミステリはサスペンスの一点豪華主義では不十分で、物語性を含めて全体のバランスが良くないと傑作にはなり得ないなと感じた作品でした。短編ミステリのように、一点(サスペンス)だけを堪能するつもりで読み進めればよかったのかもしれません。 |
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| No.238 | 6点 | サーカス殺人事件- リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク | 2011/09/07 09:49 |
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| ノベライズ作品。といってもシナリオだけで映像化はされなかったようだ。理由は不明。
ノベライズ・倒叙スタイル物だから深く考えずに読めた。手口はわかっているので、読みどころはコロンボの手口解明のロジックと犯人との対峙場面だ。コロンボが最初に不審に思うきっかけとなった花と犬についてはうまいと思ったが、密室トリック解明のヒントがあまりにも安直だったのには驚いた。こんなに安っぽくていいのかなという気がした。それとも手口がわかっているからこそ、そう感じてしまうのかな。まあ、その後の展開にはほどほどに楽しめた。犯人との心理戦がやや薄めだったのは残念。 サーカス小屋というノスタルジックな香りのする舞台設定や、部下のウィルソンとの迷コンビぶり、被害者の犬との関係など、非ミステリ的にも楽しめる要素があるのは好印象だった。話の背景にはサーカスの身売り、買収、リストラなどがあり、企業社会に置き換えても面白いのではと思った。会社でも「綱渡り」みたいな仕事もするからね(笑)。 |
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| No.237 | 5点 | 街の灯- 北村薫 | 2011/09/05 09:48 |
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| 上流階級のお嬢様&女性運転手のコンビ・シリーズ3編。
このような時代背景、舞台設定であるせいか、時間がゆっくりと流れるような気がして、ほんわかとした気分にさせてくれる。そういうところは好ましい。こんなゆったりとした雰囲気のミステリには、それとは対極的な凄惨で強烈な事件が似合うのだが、残念ながらそういう事件はない。さらに、提示される謎も、その謎解きもパンチ力がなかった。お嬢様・花村英子のそばにいる、運転手のベッキーさんが謎めいていたところが、むしろ楽しめた。 やや期待はずれだったが、ひまつぶしにさらりと読んで、ほっこりとした気分になれたので、それでよかったのかな。 |
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