皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
シュウさん |
|
---|---|
平均点: 6.78点 | 書評数: 141件 |
No.18 | 4点 | 双生児は囁く- 横溝正史 | 2009/01/01 00:54 |
---|---|---|---|
旧角川文庫に未収録の作品を集めた作品集です。金田一耕介が登場しないこともあって地味ではあります。
乱歩の「魔術師」を連想させいい話で終わる『怪犯人』、後の「悪霊島」や乱歩の「孤島の鬼」に通じるテーマを持つ『蟹』、 「喘ぎ泣く死美人」収録の「絵馬」同様浅原元刑事から語られる『心』あたりはそれなりに楽しめました。 ですが全体的には小品ばかりなのは否めないです。特にページ数が多い『三年の命』と『双生児は囁く』が面白くないのが致命的です。 もし横溝作品を未読な人が最初にこの本を読んでしまったりすると横溝正史は面白くないと誤解しそうでちょっと怖いな。 |
No.17 | 4点 | 悪魔の百唇譜- 横溝正史 | 2008/12/01 01:10 |
---|---|---|---|
うーん、正直今まで読んだ横溝長編作品で一番つまらないです。
あまり興味が持てない事件、悪趣味なのはいつものことだけどなんか直接的で投げやりなエログロ、影が薄すぎる犯人など作品に精彩が感じられません。 短編版の方がまだ話がまとまっていたような・・・金田一の朝食風景が楽しめるのが唯一のとりえかも。 |
No.16 | 5点 | 金田一耕助の新冒険- 横溝正史 | 2008/12/01 01:08 |
---|---|---|---|
後に長編化や中篇化されることになる短編ばかりを集めた「金田一耕助の帰還」の続編です。
これを先に読むと後で長編版を読む気が失せるので、長編版を全部読んだ後で本書を読んだ方がいいです。 正直「帰還」よりも小粒な作品が多く、一番面白かった「悪魔の降誕祭」も後の中篇版とほとんど展開が変わらなかったりするので新鮮味がなく 全体的にあまり楽しめませんでした。 |
No.15 | 7点 | 金田一耕助の帰還- 横溝正史 | 2008/12/01 01:06 |
---|---|---|---|
後に長編化や中篇化されることになる短編ばかりを集めた作品集です。基本的に長編の方を先に読めば本書はいらないとも言えるのですが、
現在角川書店版では「白と黒」と「迷路荘の惨劇」以外は絶版ですし、古本屋で売ってる旧版はビビリの僕には あの妖気溢れる表紙の本を買って本棚に置く勇気が無いので本書は中々重宝してたりします。 基本的に小品が多いのですが、「毒の矢」はヒロインのボンちゃんが可愛いのでお気に入りです。 「迷路荘の怪人」も長編版とは犯人が違うので新たな気分で犯人当てを楽しめますし、グロい場面も出てこないので爽やかに楽しめました。 |
No.14 | 6点 | 悪魔の降誕祭- 横溝正史 | 2008/10/16 22:35 |
---|---|---|---|
杉本一文のなんだかよく分からない表紙が印象的な短編集です。
『悪魔の降誕祭』表題作だけあってこの短編集で一番面白いです。犯人の怖さが印象的です。 『女怪』横溝正史が金田一の相棒役って多分この話だけなんじゃないかと思う。金田一の恋愛ものとして有名です。 『霧の山荘』長いわりにいまいち面白くない。 |
No.13 | 6点 | 喘ぎ泣く死美人- 横溝正史 | 2008/10/13 21:58 |
---|---|---|---|
小品が多い短編集ですが、この中では「川獺」と「絵馬」が後の金田一シリーズを連想させて面白いです。
「絵馬」は昭和21年の作ですが「川獺」の方は大正11年の作で、この時期から後に通じる作風があったんだと感慨にふけってしまいました。 「憑かれた女」はオチがあまり好きじゃないです。後に由利先生シリーズに改作されたらしいですがそっちは読んでないので分かりません。 後はショートショートの「桜草の鉢」が横溝正史らしくないほのぼのとした話で好きです。 |
No.12 | 6点 | 首- 横溝正史 | 2008/10/04 06:52 |
---|---|---|---|
同じ短編集の人面瘡が岡山ものが5作中3作と多かったのに対してこちらの短編集は4作中表題作「首」1作と少なく、
それ以外の作品はみんなすごいエログロです。復顔術を行う博士がマッドサイエンティストとして書かれていたり 自然に女に性転換していったらしい男が出てきたりとか、なんだかよく分かりませんが当時の風俗が想像できて楽しいです。 |
No.11 | 7点 | 人面瘡 - 横溝正史 | 2008/09/28 21:13 |
---|---|---|---|
横溝正史は長編は面白いんだけど短編はあまり面白くないものが多いと思ってるんですが、この短編集はかなり面白いです。
それは5作中3作が岡山ものだからなのでしょう。磯川警部が出てくると話が引き締まります。 特に表題作の人面瘡が面白かったです。そういえば姉のものをなんでも取ってしまう妹って殺戮にいたる病にもいたなあ。 |
No.10 | 9点 | 犬神家の一族- 横溝正史 | 2008/09/26 20:05 |
---|---|---|---|
横溝正史は死体の見せ方で読み手を恐怖させることに関しては右に出るものは無いと思うのですが、この作品がその頂点だと思います。
また田舎を舞台にした作品は人間関係がどろどろしたものは多いですが、その点でもこれは最高にどろどろしてます。 そして謎が全て晴れた後の怖さがせつなさに変わる所も他の横溝作品に共通してます。横溝ワールドの集大成的な作品です。 |
No.9 | 10点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2008/09/25 20:31 |
---|---|---|---|
僕は角川書店版で読みましたが、「本陣殺人事件」と同じかそれ以上に併録の「車井戸はなぜ軋る」と「黒猫亭事件」が素晴らしいです。
こんな面白い話が3話一気に読めるという点で横溝文庫一、お買い得だと思います。 「本陣殺人事件」は正直動機がちょっと前近代的だったり海外の名作探偵小説のネタバレされたりと弱いとこもありますがヒロインの鈴子が可愛いです。 「車井戸はなぜ軋る」は暗い話ですがヒロイン鶴代が可愛いです。 「黒猫亭事件」は個人的に横溝の短編では一番本格として面白い作品だと思います。 |
No.8 | 7点 | 女王蜂- 横溝正史 | 2008/09/25 00:32 |
---|---|---|---|
横溝作品特有のおどろおどろしさも薄いし犯人の動機やトリックもちょっとがっかりするものだったりで横溝黄金時代の作品の中では
ちょっと落ちるのは間違いないと思います。ただそれでも楽しく読めるのは登場人物の魅力が大きいです。 主人公の金田一はもちろん、ヒロイン大道寺智子よりある意味では存在感がある家庭教師の神尾秀子、怪しさ大爆発で素敵過ぎる九十九龍馬など 登場人物の行動を見守るだけでも楽しいです。横溝作品にしては珍しく後味のいいエンディングも印象的です。 |
No.7 | 7点 | 迷路荘の惨劇- 横溝正史 | 2008/09/24 22:15 |
---|---|---|---|
何気に好きな作品です。片手の男とかその名前が静馬だったりとか往年の名作を連想させるものが多いからでしょうか。あと迷路ってのがなんかいいです。
それにしても70年代の横溝作品はなんかグロい場面が出てくるのでちょっと引いてしまうところがありますが、 この作品ではネズミに食い荒らされた死体が2体も出てきます。このおかげでネズミが嫌いになり、トムとジェリーもトム派になりました。 |
No.6 | 8点 | 獄門島- 横溝正史 | 2008/09/24 18:46 |
---|---|---|---|
見立て殺人の傑作です。前作の本陣殺人事件は中篇と言っていい分量なので、この作品が日本最初の本格長編推理小説になるんだと思います。
見立て殺人の鮮やかさ、個性的すぎる登場人物、有名なあのセリフ、衝撃のラスト、牢屋に閉じ込められる金田一など、見所満載です。 あと金田一さん狙われてるのが誰なのか分かってるんだからもっと必死になって守ってあげてください。 |
No.5 | 8点 | 夜歩く- 横溝正史 | 2008/09/24 16:13 |
---|---|---|---|
この作品で使われているトリックは、海外の某有名探偵小説に使われた叙述トリックのさきがけともいえる凄いトリックと同様なもので、
あの作品も特にアンフェアだとは思わないのでこっちも同じくアンフェアではないと思いますw この作品は前半は館ものとして楽しめ、後半は岡山に舞台を移しての怪奇ものとして楽しめるという1作で2度おいしい作品です。ただ個人的に 岡山ものの方が東京ものより好きなのですが、この作品に出てくる異常な人々が前半の方が異常っぷりが弾けてるのに対して岡山に移ってからは なんかおとなしくなってしまうのでちょっともったいないなあという感じです。 |
No.4 | 9点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2008/09/24 15:35 |
---|---|---|---|
自分にとって初横溝だったので特別な作品です。他の作品の絶世の美女的なヒロインたちと違って文章を見る限りではあまり美人ではなさそうだけど
魅力を持った女性が多く登場し、ミステリだけでなくサスペンスあり伝記あり冒険あり恋愛ありホラーありとこれだけ様々な要素が絡み合い、 破綻してなく楽しく読める作品というのは他にあまりないと思います。 ただ推理小説としてみるとちょっと地味な感じではあるかな。 |
No.3 | 10点 | 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 | 2008/09/23 23:41 |
---|---|---|---|
個人的に悪魔の手毬唄と並んで横溝ベストです。冒頭にもある通り、かなり暗く陰惨な事件なのですが、それほどグロい場面はありません。
そして魅力的な登場人物が多いです。変人が多い椿家の中ではヒロインの美禰子がけなげです。謎解き後には強いところも見せてくれます。 出川刑事もいい味出てます。多分この作品しか登場してないと思うのですが、等々力警部の部下としてこれ以降も出てきて欲しかったな。 金田一がこの出川刑事と神戸の旅館のおかみさんらを相手に情報収集したりくつろいでる場面が楽しそうでこの作品で一番好きです。 犯人も悪魔と言われるだけあって恐ろしげなんだけど、謎が解けてみるととてもせつないのがさすが横溝作品というところです。 |
No.2 | 10点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2008/09/23 23:26 |
---|---|---|---|
横溝作品で一番好きです。戦後10年以上経ってからの作品だけに、他の田舎を舞台にした有名作と比べると、
人気歌手や映画など娯楽的な小道具が出てくるのが印象的です。獄門島と比較されることが多い作品ですが、 被害者にちゃんと感情移入できる点で僕はこちらの方が好きです。犯人の哀しさや磯川警部の恋心など見所が多い作品です。 多々良放庵の独特なキャラクターにも注目です。あと、この作品読んで無声映画に興味わきました。 |
No.1 | 8点 | 悪霊島- 横溝正史 | 2008/09/23 23:09 |
---|---|---|---|
確かにミステリとしては早い段階で犯人分かっちゃうし、殺人の動機も解明されないまま終わるのもあったりで(こんなに長いのに!)、
物足りない部分も多々あります。でも犯人が早く分かってしまうだけに後半の犯人の描写が多く、 最後の最後に犯人が判明する関係上犯人のキャラクターが描かれることの多くない横溝作品の中では結構貴重な存在なのではないかと思います。 その描写のせいで横溝作品一犯人が怖い作品として物凄く印象に残りまくってます。いや、マジで怖いですこの犯人は。 |