皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.141 | 4点 | 十二人の手紙- 井上ひさし | 2010/05/24 22:08 |
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この作品の書評がよいので読んでみたのだがこれは私にはあいませんでした。最初の手紙でまずがっかり。なんだこれだけ?あまりに安易ではないかと次を読む気がしなかったのだが、きっと面白くなるのだと我慢して読んだ。ひとつの話が短すぎる。しかも「なあんだ」という話ばかり。最後の話も途中まで読んだら結論は読めてしまった。推理小説のほとんどで犯人が分からず読者への挑戦などで勝ったためしがないというのに、これはまたどうしたことだろう。 |
No.140 | 5点 | 新・オリエント急行殺人事件- 森村誠一 | 2010/05/24 21:55 |
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題名を見てアガサクリスティーの「オリエント急行」を思い浮かべわくわくして読むとなんとオリエント急行の旅は殺人事件など無く終わってしまいがっかり。帰ってからのお話なのだ。いろいろな絡みもあるがいったい森村氏の作品では捜査陣の個性がない。いっぱい意見が出てくるし警察内での対立も描かれているが一人ひとりの個性がない。多分本当の警察ではひねくれて上司に絡むような警察官はほとんどいないだろうからこの方が正しいのだろうが何だか物足りない気もする。作者が「新オリエント」をつけた意味は最後まで読まないとすっきり分からないが犯人は途中で何となく分かってしまう。読後感はよいのだが出来はいまひとつ。 |
No.139 | 5点 | 丹波家の殺人- 折原一 | 2010/05/19 10:58 |
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折原一の凝った作品はマニア以外はなかなか読み難いと思うが、黒星警部シリーズは軽い内容で誰でも比較的読みやすい。しかしこの作品は残念ながらあまり軽くもなく本格としてそれほど凝った内容でもなく中途半端な感じがした。悪くも無いがよくもない。
作者はしばしば作品名を改題するため、私などは新しい作品として買って読むと実が昔読んだ内容であったことが何度かある。この各品もそのひとつでどうも読んだことがあると思っていたらやっぱり改題したものであった。買う前にちょっと見ればすぐ分かるのではあるが。これもトリックの一種? |
No.138 | 8点 | 新・新幹線殺人事件- 森村誠一 | 2010/05/16 11:55 |
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新幹線殺人事件の続編。普通第2作は最初より落ちることが多いがこれはむしろ第1作より出来が良いと思う。トリックはよく考えられ一見無関係そうな事件が偶然と必然が重なって解決に導かれてくるところはすばらしい。最後の犯人も全く意外なもので見事にやられた。森村氏の作品がこのサイトに少ないと嘆いていたらその後ずいぶん沢山取り上げられるようになりちょっとびっくり。氏の作品は特有の冷たさがあるのだが、この作品は登場人物の孤独感や家庭愛が感じられる。好きな作品のひとつ。 |
No.137 | 7点 | 新幹線殺人事件- 森村誠一 | 2010/05/16 11:41 |
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この作品が出た頃たまたま新幹線のなかで読んだ。乗っている間読みふけり時間を忘れていた覚えはあるが、内容はすっかり忘れてしまっていた。今回読み直してみると本格推理物としてもなかなか凝った内容で、トリックなども十分に吟味されていることに感心した。時刻表のトリックはあちこちひねり回して無理やり作り出しましたという傾向に陥りがちであるが、きちんとした設定の上さらにひとひねりふたひねりがあり最後に意外な結末が用意されている。結構面白いですよ。 |
No.136 | 8点 | 闇色のソプラノ- 北森鴻 | 2010/05/05 16:26 |
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二転三転する複雑なストーリー。こんなに込み入った話だと読み難くなってしまうところをさらさらと読ませる。作者の能力が高いのだろう。北森鴻は短編の名手として知られるが長編を書くと時々こんな複雑なお話を作り出す。単に推理小説としても優秀なだけでなく詩情もあふれてすばらしい。好みの小説です。
減点は消化器外科教授の下に精神科医がいるという大学医学部では絶対ありえない設定と最後がちょっとつらいこと。 |
No.135 | 5点 | 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 | 2010/05/03 17:43 |
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本屋で手にとったら最初のナノレンジャーの漫画ですぐに書棚へ返したけど、インターネットで買ったのでまあ仕方ないかと思って読んだ。やっぱりナノレンジャーな不要なのでは?その後のナオミの話も妙にいじけているのに変にずうずうじい女の子の話が実に長々と(ことにアメフトのところは何度かもう読むのを止めようかと思った)書かれていて私にはとてもひとつで何度も美味しいといった感じではなかった。真ん中の話だけで十分。鬼屋敷と堂園別荘の話だけだったらよかったのに。 |
No.134 | 9点 | 黒白の囮- 高木彬光 | 2010/04/29 19:59 |
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この作品は高木氏のなかでもとりわけトリックがさえるすばらしいものだと思います。時刻表トリックとしても秀逸なのに、じつはそれが隠し味のようなものでさらに意外な結末が用意されている。複雑なストーリーを明快に読ませた上に読者への挑戦もあり(私としては当然犯人が当てられなかった)解決方法も納得いくものであった。作者の力量と本格推理への情熱が感じられ読み応えのある本格推理小説でした。 |
No.133 | 7点 | 顔のない男- 北森鴻 | 2010/04/25 10:54 |
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連作のような長編のような複雑な形態の上読み進むにつれ話が二転三転と込み入ってくる。文章がうまいのでさらさらとは読めるが、複雑な話なので途中で意味がよく分からなくなって読み返すこととなった。作者の仕掛けに注意を払いつつじっくり読めばミステリー好きなら面白いと思う人も多いだろう。最後のどんでん返しもなかなかすごい。 |
No.132 | 6点 | 屋上物語- 北森鴻 | 2010/04/19 21:32 |
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なかなか凝ったいかにも北森鴻らしい作品。文章も雰囲気もよいので後味はあまり悪くないような錯覚を受けてしまうが、結構救われない話や残酷な結末なのでしばらくしてちょっと待てよといった感じとなる。北森氏は好きな作家であるがこの作品はどちらかというと好きなほうではない。でも奇抜なアイデアで違った主人公の視点からこのような連作を作ってちゃんと読ませることが出来る作者の力量は相当なものだと感心する。 |
No.131 | 3点 | 五声のリチェルカーレ- 深水黎一郎 | 2010/04/11 19:20 |
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深水氏の作品は今まで読んだのはどれもが水準をはるかに向くすばらしいものであったが、これはぜんぜんダメでした。作者の才能と教養からこういった作品が生まれうることは何となく感じてはいたのですが、私にとって最後まで読むのが苦痛な作品でした。 |
No.130 | 5点 | 支那そば館の謎- 北森鴻 | 2010/04/10 20:10 |
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「ぶぶ漬け伝説の謎」を先に読んだので馬鹿っぽいキャラクターに慣れたせいかすらすら読めた。それなりに面白いが、ミステリー度は低く主人公の魅力で読ませる北森作品としてはあまり評価できない。ストーリーも読んだ傍らから忘れてしまいそうなお話でインパクトに乏しい。 |
No.129 | 5点 | ぶぶ漬け伝説の謎- 北森鴻 | 2010/04/03 07:31 |
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北森鴻の短編集は謎を解くというより登場人物の会話と雰囲気や薀蓄を楽しむといった要素が大きいので、読者にとって登場人物がいかに気に入るかによって作品の楽しみが大きく変わる。このシリーズは魅力的な登場人物が多い北森作品の中ではちょっと馬鹿っぽいキャラクターに振りすぎており残念ながらあまり好みではない。美意識と孤独感を内に備えた人物の小説を書いているとこんなタイプのも書きたくなったのだろうか。 |
No.128 | 8点 | 赤い帆船(クルーザー)- 西村京太郎 | 2010/04/01 22:31 |
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この頃の西村京太郎はきっちりした本格ものを書いていたことを再認識した。スケールが大きい本格海洋推理小説でプロットもしっかりしており二転三転の物語の展開も明快な文章ですらすらと読める。書かれた時代が大分古いが、当時をリアルタイムで経験している私にとってはぜんぜん問題にならない。この後大量に出回るトラベルミステリーの探偵十津川警部(この本ではまだ警部補)がヨットマンとして登場するのも興味深い。薄利多売のようなトラベルミステリーとは格段の差が有ると思うが、この小説でも一介の刑事が気軽に海外出張したり犯人がぺらぺらと犯行の詳細を自供してしまうといった安易な設定がすでに見えるところが減点。 |
No.127 | 8点 | 二島縁起- 多島斗志之 | 2010/03/26 21:50 |
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はじめは海洋冒険小説のようだが途中から推理小説の様相となる。冒険小説としても本格物としても中途半端ともなりかねないのだが、それがバランスよく進行するためなかなか興味深く楽しい。舞台となった島に行ってみたくなる素敵な小説。作者が行方をくらましたようなことが新聞に出ていたがその後どうなったのだろうか。ぜひ復帰してこんな小説を読ましていただきたいものだが。 |
No.126 | 4点 | 湯煙りの密室- 中町信 | 2010/03/23 18:53 |
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殺人事件が次々と起き、伏線が張ってあり、どんでんがえしで意外な(すぐ分かってしまうが)犯人と犯行があり、と何だか面白そうなのだがそれがあんまり面白くない。テシピどうりに作ったこくのない料理を老舗の味ですといっているようなもので、なんとも物足りないのだ。すぐに読めてまあ無茶苦茶の話ではないので時間つぶしぐらいにはなるかも。 |
No.125 | 7点 | 花窗玻璃 シャガールの黙示- 深水黎一郎 | 2010/03/22 10:40 |
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作者らしい斬新なトリックときちんとした伏線がちりばめられたなかなかのお話。当て字の感じがやたら多くこれがこの話のひとつの要素でもあるが気を入れてまともに読んでいると作者が意図した?読者が被害者となりかねない。私だけかもしれないが欧米の名前を漢字で書いてそれをルビで読むとどうも印象が残りにくく、登場人物が多くないのにどの人物だったかがよく分からなくなって時々読み返す必要があった(これも作者の狙いかもしれない)。
作者はヨーロッパの芸術や文化に深い教養と理解があるようで今回は教会がテーマ。前作のイタリアオペラよりはまだましだが教会は苦手のほう。ヨーロッパを回るとどの国にも町ごとに自慢の教会があり、途方もない労力をかけて建てた陰鬱でごてごての(失礼!)ところへ必ず案内される。キリスト教徒でない私などは日本の寺院のほうがはるかに美しく見えるのだが。作者のようなヨーロッパに対する理解の深い人にはやはり特別なものなのだろう。教会の話と分かりにくい文章が減点だがそれでも楽しませるだけの力量には感服。 |
No.124 | 6点 | トスカの接吻- 深水黎一郎 | 2010/03/20 16:14 |
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読んでいて悪くはないが前作のエコール・ド・パリに比べると意外な犯人ではあるがトリックは大分おちる。クラシック音楽は大好きだがイタリアオペラは言葉が分からないこともあってちょっと敬遠気味。トスカはストーリーは知っているが一度も見たことが無い。それが中心となった話なのでやはり興味がもうひとつわきにくいのも評価が低めの一因です。
ところで作者は外国語が堪能なせいか題名が私のようなものには意味不明。ウルチモ・トルッコ、レザルティスト・モウディは何の意味か読んだ後でも分からない。ミステリーとなっております。誰か教えてくれないかなあ。 |
No.123 | 5点 | 写楽・考- 北森鴻 | 2010/03/11 22:56 |
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北森のシリーズはほとんどが読み進むにつれて興味深くなる傾向にあるのだが、この蓮丈那智シリーズは残念ながらだんだんつまらなくなってしまった。主人公にシンパシーがわかないせいであろうか。それとも歴史や民俗学はなまじ興味を持っている分野だけにあらが見えてしまうためなのか。
物語としての出来はそんなに悪くないと思うのですが。 |
No.122 | 6点 | 触身仏- 北森鴻 | 2010/03/08 21:58 |
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北森のメインキャストはいずれも魅力的でそれが彼の作品を好む大きな理由となっているのだが、残念ながら蓮丈那智はあまり好きなキャラクターではない。他のキャラクターがかもし出す孤独感や隠れた愛情が薄いからかもしれない。古典も民俗学も好きなテーマなので期待できそうなのだが、かなり強引なストーリー展開にはちょっとついていけないところがある。これだけの話を短編で比較的短い時間に何編もかくのは大変だったのだろう。北森の才能からすればもう少し推敲して長編にしてくれたらもっとすばらしいものとなったのではないかと思うが、若くして亡くなられたのでもはや望むべくもない。残念。 |