皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ロビンさん |
|
---|---|
平均点: 6.56点 | 書評数: 130件 |
No.90 | 6点 | りら荘事件- 鮎川哲也 | 2009/02/05 23:14 |
---|---|---|---|
非常に期待して読んだわりには、正直満足のいく内容ではない。多くの他のミステリを読んだあとでは、肝心のロジックにも既読感を抱いてしまって、たくさんの「何故?」に対する回答に全くアクロバティックさを感じられなかった。 |
No.89 | 4点 | 幽霊が多すぎる- ポール・ギャリコ | 2009/02/03 19:12 |
---|---|---|---|
あまり詳しくは知らないのですが、大人の童話を書く氏の唯一の本格ミステリが本書、ということらしいです。
ある館で次々と発生する怪奇現象を、心霊探偵ヒーローが解決する物語。カーを彷彿とさせるオカルトっぷりに読み始めた当初は心がそそられ、続きが楽しみに。しかし、それは過剰な期待に終わった。殺人事件が起こらないのは物足りない(もちろんミステリとして)し、謎の真相も拍子抜けするくらいくだらない。おまけに動機も……。と、フーもハウもホワイも揃って及第点には遠く及ばない。むしろカーと比較してしまった自分が恥ずかしくなった。そんな印象でした。 探偵のキャラクターはいいだけに、変にミステリ仕立てにしないほうが良かったんじゃないかなと。 |
No.88 | 6点 | 戻り川心中- 連城三紀彦 | 2009/01/30 12:32 |
---|---|---|---|
連城作品は最近読み始めたのですが、なんとなく氏の色が感じ取れてきた。
やはり、かなり評判の高い表題作が挙げられるでしょう。まさかそんな単調なまま終わるはずないよね……?とは若干心配したが、最後に構図の逆転があって救われた。だけど、個人的にはこういう発想次第で全ての見え方が一変するというのはあまり好きではありません。複線からいくつかの解釈が存在するということ、結局それは論理的ではないということですし。 |
No.87 | 5点 | 死の接吻- アイラ・レヴィン | 2009/01/30 12:25 |
---|---|---|---|
第一章、第二章までは面白かった。それぞれ倒叙、サスペンスの形式をとっていて、特に後者の仕掛け(若干アンフェアではあると思うが)にはハマった。なるほど、だから名前がなかったのね。
だけど、第三章に入った途端の失速。犯人の正体もわかっているし、展開もありきたり。なんのひねりもないオチはどうかと思います。 |
No.86 | 6点 | ウォリス家の殺人- D・M・ディヴァイン | 2009/01/25 16:11 |
---|---|---|---|
どうしても「本格」と名の付くものは、名探偵による謎解きを期待してしまうだけに、こういった結末は肩透かしをくらった気分になってしまう。そう、ロジックが欲しい。
ただ、犯人の正体は意外。かなり。完全にミスリードされていた。(ネタばれ→)正直、嫌な人間が多発するなか、彼女だけはと信じていました。 だけど、あれは日本人(現代人)にはわからないんじゃないかなぁ。 |
No.85 | 5点 | 黄昏のベルリン- 連城三紀彦 | 2009/01/24 22:59 |
---|---|---|---|
「彼」の存在が表立ってきた途端、なんとなく安っぽさが目に付いてしまった。おそらくこれは僕自身の感受性に問題があるのかなと思います。
文学性は際立っていますが、ミステリとしては平凡。描かれている世界も、現代向きではないかなと。 |
No.84 | 8点 | ブルー・ハンマー- ロス・マクドナルド | 2009/01/21 23:05 |
---|---|---|---|
ロスマク最後の作品。富豪の家から盗まれた一枚の絵画を探し出して欲しいという依頼を受けて、事件に乗り出すアーチャー。今までの「人捜し」と違い、絵を捜し出すという目的でアーチャーは動き出すが、この絵の存在が一つのクッションになっている。今回は頭の中での真相の構築力が及ばないほど、物語は四転五転と様相を変え続けてこちらに提示されてくる。
その真相自体は、ロスマクの一つのパターンではあるが、変わらない中でも驚くべきものをシリーズファンは求めているので、満足です。 アーチャーもいつのまにか五十代に突入かぁ。 しかし、彼の最後の台詞とその場面は、胸を打ちます。 |
No.83 | 6点 | 模倣の殺意- 中町信 | 2009/01/19 23:05 |
---|---|---|---|
う~ん、評価が難しい作品。(以下、若干ネタばれです)
これ系のトリックは、やっぱり真相が分かったときの衝撃度、カタルシスが勝負だと思うので、中途で真相の匂いがしてしまうとダメだと思うんです。「なるほど」とは思えたけど、それは驚きではなくて納得。なので厳しい目で。 |
No.82 | 6点 | 悪魔はすぐそこに- D・M・ディヴァイン | 2009/01/18 15:55 |
---|---|---|---|
いくらなんでも、この展開でこの真相は淡白すぎる。
プロットの構築は上手いし、キャラクター造形も丹念で個性豊かだと思う。まさにど真ん中の本格パズラー。だからこそ肩透かしをくらってしまった。 関係ないけど、毎回のごとくのりりんの解説は好きです。 |
No.81 | 6点 | 火天風神- 若竹七海 | 2009/01/17 03:12 |
---|---|---|---|
やっぱり、若竹作品といったら本書のように嫌な人間が大量に登場してこないと。こんなに読み手に負の感情を抱かせる作家は希少だと思います。
確かに面白くて、一気読みだった。だけど、それはページをめくらされる面白さであって、物語的興奮とか、ミステリ的興奮とは違い、あまり点数はつけられないかなぁと。あくまでもパニック・サスペンスであって、本格要素はちょこっとした仕掛けが施されている程度。それが残念でした。 |
No.80 | 7点 | 暁の死線- ウィリアム・アイリッシュ | 2009/01/15 19:03 |
---|---|---|---|
まあ、予定調和な感には目をつむり。『幻の女』のようなタイムリミットもので、そういった設定からくる緊迫感はさすが。メインとなる男女の捜査方法も大胆で読み手の心を刺激する。
それにしても、ラストのほうは少し都合が良すぎないかい? |
No.79 | 10点 | ゲッベルスの贈り物- 藤岡真 | 2009/01/13 15:18 |
---|---|---|---|
まいったね。超、非現実的。それでいて、超、面白い。
スピーディーな展開にページをめくる手が止まらなかった。エンタテインメントとしての傑作。作者の「読者を驚かせてやろう」という心意気が伝わってきます。何故この作品が映像化されていない!?(いや、無理か) 大小様々な仕掛けが施してありますが、個人的にはラストの小さなアレがツボ。 物語として、こんなに興奮できたのは久しぶりでした。 |
No.78 | 8点 | 黒い天使- コーネル・ウールリッチ | 2009/01/12 18:18 |
---|---|---|---|
とにかく描写が素敵。特に終盤に向かっての主人公の女性の姿は強く胸を打つ。
展開自体は正直マンネリ感を抱かないこともなかったが、彼女という人間を描くために全てがラストに収束されていく。 体面上はハッピーエンドなのだけど、悲劇ですねぇ。 |
No.77 | 7点 | バイバイ、エンジェル- 笠井潔 | 2009/01/11 17:16 |
---|---|---|---|
他の皆さんの多くが批判なさっている問題の哲学の部分に関しては、同じく賛同しかねます。確かに本書の絶対的な個性でありテーマでもあるが、肝心なミステリの部分を喰ってしまっている。故に、誤魔化しのようにも感じられなくもない。
それでも、首切りの真相には驚かされたのも事実。他に例を見ない斬新な着想だと思います。 しかし、矢吹駆に魅力が全く感じられないのはもったいないなぁ。 |
No.76 | 5点 | 水晶のピラミッド- 島田荘司 | 2009/01/04 19:36 |
---|---|---|---|
あまりにも長すぎるし、トリックもひどすぎる。御手洗シリーズでなかったら間違いなく途中で諦めてます。それでようやく名探偵登場!と思ったら、真相にガッカリ。 |
No.75 | 7点 | フロスト日和- R・D・ウィングフィールド | 2009/01/04 19:32 |
---|---|---|---|
大小様々な事件を同時に手がけることになり、なんやかんやの挙句それぞれに解決をもたらす、迷警部フロスト。今回は本当に救いがないなぁ。作戦はことごとく失敗するし、仲間の婦人警官はケガさせちゃうし。本当にどんな決着をつけるのかハラハラでした。
しかし、面白さは文句なし。 |
No.74 | 6点 | 偽のデュー警部- ピーター・ラヴゼイ | 2008/12/30 11:28 |
---|---|---|---|
エンタテインメントとしては十分に面白い。キャラクター造形が丹念で上手いし、文章も読みやすくページがどんどん進む。この構成もシニカルでコミカルでいいです。
ただ、ミステリーの部分に飛びぬけた点がないことが残念。 |
No.73 | 1点 | アルキメデスは手を汚さない- 小峰元 | 2008/12/30 11:23 |
---|---|---|---|
こんなのは青春ミステリーじゃない。「青春」としてもいまいちで、「ミステリー」としてもいまいち。特別な仕掛けがあるわけでもなく、どろどろで自分勝手な世界がただ描かれているだけ。冒頭から中盤までは、自分の年齢的に彼らに偏った見かたをしていたが、真相が明らかにされていくにつれて理解不能に。
現代よりも昔の高校生のほうがよっぽど恐ろしいぞ。 |
No.72 | 7点 | 猫島ハウスの騒動- 若竹七海 | 2008/12/26 20:13 |
---|---|---|---|
葉崎シリーズの第三弾。舞台は葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を越える猫が暮らす通称、猫島。
『ヴィラ・マグノリア』『古書店アゼリア』に続いて、駒持警部補が事件解決に乗り出します。個人的に、こういったコージーミステリはかなり好き。前作、というか若竹さんの作品のわりには、嫌な人間が全く出てこなかったことにまず驚き。 事件は一旦は解決を迎えますが、最後のページまで読者を引っ張り続けるどんでん返しの構造は相変わらずさすが。 「猫とミステリの相性はいい」と作者は説いていますが、僕も賛成です。 |
No.71 | 6点 | 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 | 2008/12/26 20:02 |
---|---|---|---|
短編のほうはそれなりに満足のいく作品が多かったけど、こういったメタっぽい構造はどうも苦手だなぁ。
ただ、猫丸先輩の強烈なキャラクターは読んでいて楽しい。 |