皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
こうさん |
|
---|---|
平均点: 6.29点 | 書評数: 649件 |
No.19 | 7点 | 奇術探偵 曾我佳城全集- 泡坂妻夫 | 2012/02/10 00:17 |
---|---|---|---|
10年以上かけて完結させた作者の労作に敬意を表したいです。ラストは個人的には不満もありますが。1作1作は軽いものが多いですが一気読みする必要のない本だと思いますので個人的には気になりませんでした。この作品も泡坂妻夫にしか書けない作品だと思います。もう新作が読めないのが残念です。 |
No.18 | 6点 | ヨギ ガンジーの妖術- 泡坂妻夫 | 2008/08/17 03:09 |
---|---|---|---|
タイトル通りヨギ ガンジーシリーズ第一作です。不動丸、美保子が仲間(?)になってゆくエピソードも書かれており、しあわせの書の世界が気に入っている方なら読む価値はあるかと思います。作品の雰囲気は一貫しておりとぼけた感じがいいです。
ただ「超能力を暴く」というテーマの短編集ですが内容は普通です。(しあわせの書も内容は普通ですが) |
No.17 | 7点 | 死者の輪舞- 泡坂妻夫 | 2008/08/10 20:31 |
---|---|---|---|
連続殺人もので、一人目の殺人の犯人が二人目の被害者で、二人目の犯人が三人目の被害者で、ということが作品序盤で明らかにされるストーリーが独特の泡坂ワールドの中進行してゆきます。何人も次々と死亡が確認されますがあまり深刻にならずおかしみにあふれているのは泡坂作品らしいですが、やはりリアリティには欠けると思います。しかし真相というかこの輪舞のまとめはよく考えらていると思います。
作品の瑕としてはこの作品は「病院での同室者」ということがキーポイントになっていますが現実には一般患者(意識のある患者)の男女混合病棟はありえないため「同室者」であることが作品の成立に重要なポイントであるためまずいと思いました。 |
No.16 | 7点 | 毒薬の輪舞- 泡坂妻夫 | 2008/07/24 01:45 |
---|---|---|---|
精神病院を舞台にしたミステリで登場人物、作風はまさに泡坂ワールドとしか言いようのない物で楽しめます。
ただリアリティは他作品以上に乏しいのと殺人事件の真相が理論上はともかく実際うまくいくかどうか、という点が難点でしょうか。 トリック(?)の雰囲気(?)としては乱れからくりを連想させます。 |
No.15 | 7点 | 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 | 2008/07/06 22:58 |
---|---|---|---|
デビュー作である「DL2号機事件」は泡坂作品で見られるチェスタトン風ロジックが見られますが作品集全体で言えば後の作品ほどその特長が見られないと思います。
「右腕山上空」のトリックも実現性は低いと思います。 シリーズキャラクターは配していますが個人的にはまあまあといった感じです。 |
No.14 | 6点 | ダイヤル7をまわす時- 泡坂妻夫 | 2008/07/02 23:16 |
---|---|---|---|
あまり統一感のない短編集です。チェスタトン風ロジック炸裂というほどではないですが無難な短編集だと思います。
広重好みが一番当てやすい作品かと思います。ダイヤル7はラストの一ひねりが面白いです。 |
No.13 | 4点 | 花嫁は二度眠る- 泡坂妻夫 | 2008/06/18 00:14 |
---|---|---|---|
泡坂作品では珍しい安っぽい仕上がりになっています。一族の当主が殺された半年後、従妹と合同での結婚式を予定していた主人公の説明から始まり、途中で従妹が死体で発見され、最後にはどんでん返しが、という泡坂作品らしさはありますが、殺人トリックは安易ですし、犯人も悪い意味でうすっぺらで泡坂作品らしくないと思います。
どうやって犯人が犯行を実現させたか、という所は一見泡坂作品らしいですが電話のトリックもちょっと今では通用しそうもないですし、犯人の第二の殺人の動機も必然性もちょっと納得しかねます。 幻想的作品以外では最も個人的に低評価の作品です。 |
No.12 | 8点 | 煙の殺意- 泡坂妻夫 | 2008/06/17 23:59 |
---|---|---|---|
シリーズキャラクターのいない単発短編集ですが非常に高水準です。泡坂作品のチェスタトン風ロジックが冴え渡る作品集で煙の殺意が最も気に入っています。
また奇妙な味に入る閨の花嫁も真相はわかり易いですが泡坂作品らしくなく新鮮でした。 皮肉の利いた歯と胴もまあまあ気に入っています。 個人的には亜シリーズより気に入っています。 |
No.11 | 6点 | 喜劇悲奇劇- 泡坂妻夫 | 2008/06/11 23:10 |
---|---|---|---|
泡坂妻夫第6長編です。主人公(一種の狂言回し)の奇術師が船の奇術ショーの仕事の依頼を受け助手と一緒に乗船、乗船中に連続殺人事件が起きて、というお話です。
被害者たちは皆回文、各章のタイトルも回文という泡坂作品らしい仕上がりです。 かなりの人数が殺されるのですが、明るい雰囲気でストーリーが進行するのは他の奇術系作品と同じです。真相というか、犯人のトリックの一つは奇術が本職の泡坂氏には常識なのでしょうが読者にはちょっとわかりづらいものです。他の奇術系作品よりは一段落ちるかなと思いますがまあまあ楽しめました。 |
No.10 | 7点 | 花嫁のさけび- 泡坂妻夫 | 2008/06/08 20:34 |
---|---|---|---|
泡坂妻夫第4長編です。犯人は泡坂作品だからこそ想像しやすく、その犯人がどうやって犯行を実現したかを期待する作品でしょう。犯人は予想できてもその読者へのトリック(犯人、作者共々)はどうしてもわからないと思います。真相がわかれば伏線が至るところに張られていることはわかりますが一つ一つは違和感があっても読み飛ばしてしまいます。
また犯人がいわゆる証拠品をいつまでも持っていた所などは不自然かな、と思います。 あとがきにも触れられていますがフェア、アンフェアでゆけば個人的にはアンフェアな作品だと思いますが作品としてはこれでよいかな、と思います。(あとがき通りでフェアに書くとこの作品は成立しないでしょう) |
No.9 | 5点 | 妖女のねむり- 泡坂妻夫 | 2008/06/08 20:23 |
---|---|---|---|
泡坂妻夫第7長編は幻想めいた作風が強くでています。
犯人の動機は狂人だからとしかいいようがないのと幻想的なストーリーを実現させるための真相でありトリックであり無理があるかな、と思いました。 泡坂作品は好きですが幻想的ミステリは苦手なので評価は低めです。 |
No.8 | 5点 | 湖底のまつり- 泡坂妻夫 | 2008/06/06 00:05 |
---|---|---|---|
泡坂作品の一部に見られる幻想的な作風が前面にでた作品の一つです。
泡坂作品は好きですが幻想的な作風は正直苦手です。 作品自体はそう悪くないと思いますしこの作風が好きな方には傑作なのかもしれませんが個人的にはまあまあかな、という所でした。またいわゆる騙し絵の世界、といっても本当に騙されるかは正直疑問です。読んだ方には明らかでしょうが騙されなければ作品が成立しないのでそういう意味でも評価は低めです。 |
No.7 | 6点 | 奇跡の男- 泡坂妻夫 | 2008/06/03 00:59 |
---|---|---|---|
これも無難な泡坂妻夫らしい短編集でした。いかにもロジックがチェスタトン風なのは奇跡の男と狐の香典だと思います。但し表題作の奇跡の男はトリックに無理があると思いました。
それでもどの作品も無難にまとまっています。 |
No.6 | 5点 | 妖盗S79号- 泡坂妻夫 | 2008/05/26 00:34 |
---|---|---|---|
まあ無難な短編集だと思います。短編では特にチェスタトン風の直感的ロジックで真相が説明され個人的には真相がほとんどわからないことが多かったですが泡坂作品独特の雰囲気が好きでその一連の構成も含め個人的には是です。
この作品もそういう泡坂作品の雰囲気にあふれた作品で中にはそもそもミステリと呼べない短編もありますが全体として無難にまとまっています。 登場する警察官がおかしみにあふれているのもお約束どおりです。 |
No.5 | 8点 | 迷蝶の島- 泡坂妻夫 | 2008/05/26 00:18 |
---|---|---|---|
泡坂第五長編の作品です。泡坂作品といえば伏線が張られまくっていても進行は経時的なものが多いですがこの作品は倒叙形式の手記ではじまる異色作です。
メインキャストはたった三人でこの三人が三角関係(男一人女二人)で男が本命の女性をとるためにもう一人の女性を殺そうとする物語です。詳細はネタバレになってしまいますので控えますがまず一人が死に明らかに疑わしい一人には明らかなアリバイがあり、という話がテンポ良く進んでゆきます。 アリバイトリックも単純ですがそれだけに無理がなく皮肉の利いた結末といい良作だと思います。ただこの作品では全編に悪意が満ちており共感できる登場人物は皆無であり他の泡坂作品に比べて読後感は落ちるかもしれません。作品自体は良作だと思います。 |
No.4 | 8点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2008/05/26 00:07 |
---|---|---|---|
泡坂妻夫第一長編です。作中作の奇術本が独立しても成立し、その内容が犯人指摘につながる構成となっています。奇術に興味がない人でも読める内容だと思います。
ただ犯人指摘によりある人物の印象が悪い意味で変わるのが後の泡坂作品らしくないかもしれません。泡坂作品では犯人であれその他の人であれ登場人物にはおかしみと好感を持ってかかれることが多いですが(むしろ登場しない人物、殺される被害者が始めから悪いことが多いです)、印象は大体一貫していてある局面から悪く変わることはあまりない気がします。 作品自体は後の奇術を扱った作品と同様な雰囲気の中進行し良作だと思います。 |
No.3 | 10点 | 乱れからくり- 泡坂妻夫 | 2008/05/11 23:51 |
---|---|---|---|
泡坂作品は初期作などは個人的には傑作ぞろいと思っています。いずれも読者に対して何らかの仕掛けをほどこしているのが好きです。(生者と死者やしあわせの書は極端な例ですが)
ただ仕掛けにより犯行が不自然に見える作品もありますがこれが一番無理がないかなと思います。意外な犯人もあり個人的には泡坂長編ではベストと思います。初期のほとんどが絶版の今では手に入りやすいこの本から手にとるのをお薦めします。 亜愛一郎や 曾我佳城などの短編も味わい深いですが趣向を凝らした長編が個人的には好きです。 |
No.2 | 7点 | 生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術- 泡坂妻夫 | 2008/04/21 02:24 |
---|---|---|---|
この本はしあわせの書が楽しめる方ならお薦めです。さすが泡坂妻夫としかいいようがありません。NO1の方が書いてらっしゃる通りで内容よりも仕掛けにつきます。持っている価値はあるかと思います。こんな事を考え付くのも泡坂妻夫だけでしょう。 |
No.1 | 8点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2008/04/21 00:40 |
---|---|---|---|
泡坂作品でないとこういう楽しみは得られないと思います。
とにかく凄い。しかも泡坂作品は絶版が多いのにこれはまだ簡単に手に入るのでお薦めです。 |