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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.20 7点 天空の蜂- 東野圭吾 2008/06/22 01:11
 この作品が出た時点で明らかにそれまでの作品と一線を画した作風のサスペンス大作であまり期待せずに読んだのですがとても面白かった覚えがあります。
 エッセイを読むと作者はこの作品に最も思い入れが強いようです。テーマの掘り下げ方は最近のものも含めて一番かな、と思います。 

No.19 5点 回廊亭の殺人- 東野圭吾 2008/06/22 01:05
 正直いくら頑張っても全くの他人の老婆にうまくなりすませるものかどうかは少し疑問ですが、なりすませる、という前提であれば叙述トリックも含めてフェアな作品だと思います。
 ただ個人的に騙されてもやられた、という爽快感は薄いです。またダイイングメッセージは正直不要だと思いますし、個人的には好きではありません。
 本格色は強いのでその点は評価したいです。

No.18 8点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2008/06/11 23:44
 作品至る所に伏線をはり、手記の叙述トリックも相変わらず上手い秀作だと思います。作品自体は非常に面白いものでしたが個人的にはタイトルが何故僕なのかよくわかりません。エピローグで語られてはいますが主人公の話はごくわずかでほとんどが沙也加の話ですので作者にはタイトルへの強い意図があるのでしょうが内容にそぐわない気がしました。

No.17 6点 レイクサイド- 東野圭吾 2008/06/11 23:21
 相変わらずストーリーテリングを発揮した作品だと思います。謎の主眼は何故他の両親たちが一致団結して犯行隠蔽にあたるのか、という動機一本ですが一気に読まされました。
 犯人については現代ではありふれていますし20年前くらいのイギリスの作品集で類型作品も2、3あったと思いますが何故全員で協力して、という所に説得力をまあまあ持たせているかな、と思います。現実的にはどうかな、と思わないこともありませんが。
 あとラストの所は主人公をあれだけ理詰めな男にしているので正直納得できません。最後の衝撃を与えたかったのでしょうが翻意するものかちょっと疑問に思いました。 

No.16 7点 トキオ- 東野圭吾 2008/06/06 00:17
 ミステリとしてのカタルシスはあまりありませんが過去の回想の部分が懐かしい感じがするのと現在のトキオを踏まえての過去での発言などが心に響きやすいです。(それだけ父親がダメ人間だったということでしょうが)相変わらず読みやすくストーリーテリングの力を感じます。
 初読時に気付かなかったのですが作品の冒頭で宮本拓実がトキオに「最後に一言声をかけてやりたい」という一言もラストへのさりげない伏線になっておりここは流石と思いました。

No.15 7点 赤い指- 東野圭吾 2008/06/04 22:11
 倒叙形式で進む少年犯罪に巻き込まれた家族の話に老人介護問題を絡めた秀作です。手紙、さまよう刃とつながっているテーマがあるのではないかと思います。
 ミステリとしては小振りですが最後の部分は伏線が効いていて流石でした。
 また加賀恭一郎とその父親のストーリーが久々に語られ、加賀の不自然な行動の理由が最後に明かされるこちらのサイドストーリーも楽しめました。
 ただ犯人の性格設定、また崩壊しているその家庭が描かれており考えさせられるテーマ、作品とはいえ読んでいて楽しい作品ではありません。
 作品の出来としては良いのですが本格色の強い作品が近年減っているのが残念です。  

No.14 3点 ダイイング・アイ- 東野圭吾 2008/06/04 21:53
 主人公が記憶喪失となりその記憶を取り戻そうとする話自体は珍しくありませんが(今までで最も気に入っているのはラドラムの暗殺者ですが)自分自身の過去の行動に対しての疑問が徐々に解明されてゆく所は面白いです。また記憶を取り戻した時点で読者に主人公の性格が明らかにされる所も見事です。性格変化というよりも部分的な記憶喪失なので性格は一貫しているはずなのでしょうがあえて記憶を取り戻した直後にその性格を露わにさせる所はなかなかうまいと思います。
 主人公の勤め先が「茗荷」なのは意図的とは言え少しやりすぎな気がします。普通の名前でも良い気がします。
 最後の部分はSF、ホラー的要素が強く個人的にはもう少しすっきりした落ちが良かったです。「狂人の行動」というのであればそれはそれでありがちではありますがまだ納得できますがほとんど超常現象の様ですから。
 またラストまで考えてのタイトルなのでしょうが個人的にはホラー的要素は好きではありませんでした。 

No.13 7点 ゲームの名は誘拐- 東野圭吾 2008/06/04 21:28
 狂言誘拐を倒叙形式で進め、後半のどんでん返し、そしてラストまでテンポ良く進みます。
 単なる誘拐物に一ひねり加えている所は流石東野圭吾と思います。
 ただ誘拐された共犯のヒロイン(?)の性格づけというか年齢設定はやはり無理があると思います。そしてその父親の行動も少し無理があるかなと思います。
 (少しネタバレぎみですが) 主人公が冷静沈着でありその知的ゲームの対戦相手としてはこの父親はつりあいが取れているとは思いますがこの父親も「被害者の父親」であることは間違いないのですから割り切ったストーリー通りの行動を取れるかちょっと疑問に感じます。
 最後のラストは東野作品らしい軽い伏線の効いたおちですが
ストーリー上はやはり殺そうとするのが自然かなと思います。
 個人的にはそういう多少の不満はありますが本格的要素もあるので気に入っています。その後容疑者Xの献身までそういうタイプの作品を待たされるとは思いませんでしたが。

No.12 5点 変身- 東野圭吾 2008/06/03 01:11
 こういう題材ではカタルシスを得るのは難しいのは仕方ありませんがそれでも一気に読ませる力を感じました。
 ミステリとは関係ありませんが人格の変容と共に一人称が突然変化するところなどはうまいと思いました。

No.11 6点 秘密- 東野圭吾 2008/06/03 01:07
 正直今でもこの作品でやっと東野人気が高まったのが驚きです。本人のエッセイを読むまで知りませんでした。確かに泣かせる話ではありますが純粋なミステリではなく個人的にはそれ以前の作品の方が気にいっています。
 ただ最後の部分の伏線はうまく張られておりそこは流石だなと思いました。 

No.10 7点 手紙- 東野圭吾 2008/06/02 01:43
 テーマが犯罪者の家族を扱っており非常に重いです。恐らく実際の犯罪者の家族も主人公同様に差別を受けているのだろうな、と考えさせられますし、この本を読んでからも自分の周りに犯罪者の家族の方々がいれば本人は悪くなくても自分は避けるのではないか、と考えさせられます。
 ミステリではありませんが力作です。
 さまよう刃では一転被害者の家族を扱っておりこちらもお薦めです。

No.9 6点 さまよう刃- 東野圭吾 2008/06/02 01:34
 テーマは重く娘を殺された父親の復讐の話ですが手紙では犯人の家族を扱い、この作品では加害者の人権に対し報われない被害者の家族をうまく書いていると思います。
 20年前の海外作品でHデンカーの復讐法廷という力作がありますがそれを思い出します。ただいかにもアメリカ的結末のその作品に比べさまよう刃の方がテーマを掘り下げている気がします。
 父親に娘を殺した犯人を殺させてやれよ、と読者に思わせる書き方は凄いです。ミステリではないですが考えさせられる作品でありテーマだと思います。実際の個人的な復讐を作者が容認しているわけではないでしょうが作品を離れて考えさせられる作品だと思います。ただ読んで楽しいかというと楽しくはないです。

No.8 6点 流星の絆- 東野圭吾 2008/06/02 01:17
 14年前起きた殺人事件で両親を失った三人兄弟が実質的な主人公で彼らが犯人と思しき人物を追い詰めようとするストーリーです。
 味覚が一つキーポイントになっており絶対味覚(?)みたいなものが存在するのか、とも思いますがそういう前提で話を進めているのでそれはそれでよいのかなとも思います。
 大掛かりなトリックはなく、真相は小振りですが話しは相変わらず面白いです。結末は少し甘ったるいですが。

No.7 6点 使命と魂のリミット- 東野圭吾 2008/06/02 01:09
 相変わらず一気に読ませるストリーテリングの力を感じます。但し犯人の人格を掘り下げているのは良いのですが悪人になりきれない部分がわかりやすく、事件の結末は予想通りでした。
 東野作品は特にサスペンスでは書きたいテーマを選んで書いていることが伺えますがテーマの掘り下げ方としては天空の蜂には及ばないかなと思います。
 サスペンスとしては正直物足りないですが楽しめました。 

No.6 7点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2008/05/28 21:52
 仮面山殺人事件の時点でこの作品のプロットも考えていたのでしょう。皮肉の利いた仮面山荘殺人事件の方が気に入っています。この作品の方が不徹底な気がしますし最後は少し尻すぼみ感がありますがある意味東野作品でもこの作品や仮面山荘のようなこてこての作品をまた書いてほしいなあと思います。

No.5 9点 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 2008/05/28 21:46
 真相の所で判明する所謂プロバビリティの殺人の動機またそれが結末に結びつく所はうまい構成と思います。
 前例も後発例もあり発表から20年経つと評価もしづらいですが個人的には楽しめました。
 心理描写は微妙ですがいわゆる騙りでありこれ以上うまくは書けないと思います。また実際に上手くいくかというと困難だとは思いますが満足した記憶があります。タイトルには問題あると思いますが。 

No.4 10点 悪意- 東野圭吾 2008/05/28 21:39
 手記を扱った叙述トリックものでの新境地を見出した力作です。今時手記での騙りは珍しくありませんがこの作品では今までにないトリック、動機を見出しており素晴らしいと思います。タイトルの「悪意」も秀逸で他のタイトルではありえないと思います。手記を書く理由もそのどんでん返しも説明付けられておりいうことはありません。手記の客観性も保証されています。(手記の内容が正しいかは別問題ですが)唯一気に入らないのは読後感くらいでしょうか。しかし内容からすれば止むを得ないかと思います。

No.3 8点 容疑者Xの献身- 東野圭吾 2008/05/28 00:35
 ミステリ的要素が強い本としてはゲームの名は誘拐以来であり十分楽しめた覚えがあります。
 殺人の動機は前例がありよく使用されているもので個人的には好きではないのですが、この作品の様に愛する人のためならありかなと思いました。
 東野作品は特に最近書きたいテーマがあって、それを優先して書かれている気がします。エッセイによると本人は本格に対して冷めた目をしているそうですが、この作品や初期作品のような方向の作品をもっと書いてほしいです。

No.2 8点 学生街の殺人- 東野圭吾 2008/04/21 01:34
 個人的にはミステリとしての完成度はともかく東野作品の中では一番好きです。話も無理なくまとまっていると思います。知名度でいうと東野作品の中ではさほど高くないかもしれませんし後の作品の様な凝った仕掛けや試み(悪意や山荘ものなど)があるわけではありませんが、伏線は鮮やかで読後感もよいです。
 

No.1 2点 美しき凶器- 東野圭吾 2008/04/21 01:20
東野作品はどれをとっても読みやすいし個人的には好きな作家ですがこれは正直面白くなかったです。犯人のキャラクターに工夫があるのでしょうがそれだけです。

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
採点の多い作家(TOP10)
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折原一(22)
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