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[ ハードボイルド ]
もう年はとれない
バック・シャッツ
ダニエル・フリードマン 出版月: 2014年08月 平均: 5.60点 書評数: 5件

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東京創元社
2014年08月

No.5 5点 E-BANKER 2019/11/05 22:20
齢87歳の元刑事バック・シャッツを主役としたシリーズ第一作。
活躍する所は中米の犯罪都市メンフィス。孫のテキーラを味方に付け“昔とった杵柄”を再び・・・となるのか?
2012年の発表。

~思い返せば戦友の臨終になど立ち会わなければよかったのだ。どうせ葬式でたっぷり会えるのだから。捕虜収容所でユダヤ人の私に親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれない・・・そう告白されたところであちこちにガタがきている87歳の元殺人課刑事に何ができるというのだ。だがその将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られて周囲が騒がしくなり、ついに私も宿敵と黄金を追うことに・・・。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高にカッコいいヒーローを生み出した鮮烈デビュー作~

もう上の紹介文どおりです。以上!
・・・という感じなのだが、さすがにそれでは失礼ということで、簡単に感想を記します。
まず最初にラスト(=真相)の場面なのだが、うーん。サプライズといえばサプライズだが、10人中8人くらいはこの解決を予想してたんじゃないかな?
終盤まで来ても、連続殺人事件の方は、真犯人が定まらないまま。気になる伏線もなし。こんな状況なので、主要登場人物を見渡して、もうコイツしかいないよなぁという考えにたどり着いてしまう。
そこはまぁ安易といえば安易かもしれない。

でも本作の良さはそんなところにないのだろう。
とにかくバック・シャッツである。
とても87歳とは思えない行動力。ライフルで狙撃されても死なないなんて、もはや不死身としか考えられない。
GoogleやGPSは分からなくても、そこはメンフィスにこの人ありと恐れられた元鬼刑事。経験のなせる業ということ。

いまや超高齢化社会である。
社会の中心層は70歳以上なのだから、当然こういうヒーローが生まれても全然おかしくない。むしろ遅すぎたくらいだ。
こんなこと書いてると、年寄り好きかと勘違いされそうだけど、別にそういうわけじゃない。
「老害」を地でいく人もいるし、バック・シャッツだって老害と言われてもおかしくない振る舞いは多い。
でも何となくカッコいいと思えてしまうのは、人間としての「軸」「芯」を持っているからなんだろう。
評価は・・・こんなもんかな。続編も読むと思います。

No.4 5点 YMY 2018/07/27 20:53
ブラックな皮肉を飛ばすバックと現代っ子のテキーラの掛け合いが痛快。バックは「遠慮なく他人に面倒をかけられるのは、年をとる三つの楽しみの一つだ」と放言し、老人であることを逆手にとって、とことん楽しんでいるように思える。その一方では抗凝血剤を飲み、認知症におびえ備忘録を作ってもいる。
避けられない老いを淡々と受け入れながら、人生の終末期を謳歌するバックの生きざまは共感を覚える。

No.3 5点 蟷螂の斧 2015/06/26 19:07
主人公のキャラクターからして、もう少しドタバタ調でもよかったのでは?という思いです。つまり、ハードボイルド系の主人公がただ年をとってしまっだけの物語という印象しか残らなかった。残念。

No.2 6点 2015/04/06 14:25
前代未聞の87歳の元刑事バック・シャッツが探偵役の、ユーモアたっぷりのハードボイルド巨編。

刑事引退が35年前。拳銃を持たせること自体危なすぎる。そんな爺さんだが、一挙手一投足は予想していた以上にかっこいい。でもやっぱり笑えるなぁw
彼の吐く言葉はシニカルといおうか、辛らつといおうか、ほとんど悪態にちかい。
元気な爺さんはこうでなくっちゃ。痴呆症の一歩手前だろうと、このぐらい減らず口をたたかないと主人公は務まらない。
孫の大学生テキーラとのコンビネーションは危なっかしいが、そこがまた面白い。

話の半分がナチ残党の隠し金塊探しで、残りの半分が殺人事件の謎解きに関するもの。
金塊探しのクライマックスは銀行でのシーン。元刑事があんな形で銀行に乗り込んでいいのだろうか。ちょっと勇み足なのではという気はするが、これも笑いの種なのだ。
前半に殺人は発生するが、そんなことも忘れてしまいそうな中盤だった。
金塊探しが一段落ついてからは、さらなる事件が起き、連続殺人事件の謎を追う展開となる。お笑いはこれで終了、といっていいかな?ここからがシリアス物の始まりだ。
そしてそれなりのラストが待ち受けている。

No.1 7点 kanamori 2014/10/28 22:35
戦時中の捕虜収容所でお前さんを虐待した元ナチス将校が、金塊を持ち逃げして今でも生きているかもしれない.........戦友の臨終の床での告白を契機に、87歳の元殺人課刑事「わたし」の周りが騒がしくなり、やがて連続殺人が--------。

元メンフィス警察の”伝説の刑事”で、齢87歳という超・後期高齢者探偵バック・シャッツの初登場作品。
これは主人公のユニークなキャラクターの魅力だけで楽しめる。シャッツの武器は357マグナム拳銃と強烈な皮肉。たびたび飛び出す”喫煙”をネタにしたシニカルなジョークがツボにはまって笑ってしまう。弱点は肉体の衰えとアルツハイマー性認知症に対する恐れw  なにせ老齢探偵の先輩LAモースの「オールド・ディック」より10歳も年上ですから。
元ナチス将校と金塊の所在追及に力点が置かれず、別の方向にずれていくプロットは好みが分かれそうですが、アイゼンハワー将軍の戦時エピソードなどの伏線を活かした終盤の逆転展開はお見事です。
老妻のローズや孫の大学生テキーラなど、脇を固めるサブキャラクターもいい味を出しているので、シリーズ2作目も期待したい。


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ダニエル・フリードマン
2015年08月
もう過去はいらない
平均:5.50 / 書評数:2
2014年08月
もう年はとれない
平均:5.60 / 書評数:5