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[ サスペンス ] 楽園の眠り |
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馳星周 | 出版月: 2005年09月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
徳間書店 2005年09月 |
徳間書店 2009年02月 |
No.1 | 4点 | Tetchy | 2013/04/12 23:39 |
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馳星周版『マイン』。一人の幼児を巡って一人の女子高生と一人の警察官が追いつ追われつの攻防を繰り広げる。
更に本書は馳作品初の刑事を主人公とした作品でもある。しかしやはり暗黒小説の雄、馳星周はただの刑事を主役にしない。悪徳警官と想像するのはたやすいが、主人公友定伸は妻に逃げられた就学前の幼い息子を持つ男で、わが子を虐待することに喜びを感じながら、それが発覚しないように恐れているというとんでもない刑事なのだ。 そしてもう1人の登場人物、女子高生の大原妙子は鹿児島出身で柔道をやっていた父親から抑圧と暴力を受け育った女子高生。一刻も早く家を飛び出したいと思っている。 そんな妙子と友定の息子雄介が出遭い、2人で暮らそうと逃げ始める。その失踪した息子を友定が捜すというのがこの物語だ。 つまり馳氏が刑事を主人公にしたのは悪徳警官物を書くわけでもなく、正義を司る刑事という職業の人間が児童を虐待しているというインパクトと児童虐待を知られないようにわが子を取り戻そうと奔走する男の物語を書くのに最も強い動機付けとして刑事と云う職業を選んだに過ぎない。どこまで逃げても追いかけてくる友定を警察官に設定することでわずかな手掛かりから痕跡を辿る術を心得ている人物となっており、それが故に全編に亘って繰り広げられる逃亡劇がジェットコースターサスペンスとなっているのだ。 今まで闇社会を舞台に物語を紡いできた馳氏にとって児童虐待と云う今日的な社会問題を主軸に警察官と女子高生と云う我々の生活圏に近い人々の物語を書いた本書は新たな挑戦だと云えよう。しかし相も変わらず何とも読後感の悪い作品だ。 読む前から後味の悪さを約束されたような作品。この前に読んだのが子供と親との絆を描いた『時生』だったこともあり、嫌悪感しか残らない作品だった。 |