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線の波紋
長岡弘樹 出版月: 2010年09月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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小学館
2010年09月

小学館
2012年11月

No.1 5点 E-BANKER 2013/04/14 21:24
日本推理作家協会賞短編部門を制した「傍聞き」がスマッシュヒットした作者。
本作は連作短編というべきか、連作短編仕立ての長編というべきか・・・

①「談合」=ひとり娘が誘拐された役所勤務の中年女性が主人公。夫までもが心労で倒れる中、公共工事発注の仕事に忙殺されるが、そんなときある工事入札に絡んで談合の噂が入る・・・。そして、ラストにはついに娘が・・・。
②「追悼」=先輩社員と共謀して会社の金を横領している若手社員が主人公。親友の財務担当者が横領に気付いた矢先、その親友が何者かに殺害されてしまう。その親友は①の誘拐事件を独自に調査していたというのだが・・・
③「波紋」=①の誘拐事件を追う女刑事・渡亜矢子が主人公。先輩刑事とともに、退職した伝説的な刑事に助言を請いに彼の職場に向かう。その職場で亜矢子が知り合った母と息子が事件の渦中に・・・
④「再現」=①の誘拐事件と②の殺人事件がつながり、逮捕された真犯人。本編は真犯人視点で物語が展開されるが・・・ここでサプライスが待ち受けていた。

以上4部構成。
ちょっと「狙いすぎ」かな、という読後感。
連作形式は個人的に好きだし、こういう手のプロットは嵌まると面白いとは思う。
けど、本作は形式への拘りが強すぎて、ミステリーとしての本筋がやや薄っぺらいのだ。
誘拐にしろ、殺人にしろ、それ自体には謎は用意されてないので、読者としてはただ読み進めていくしかない。
“真の”真犯人のキャラクターもどうかなぁ・・・
(こんな奴を好きになる女性の気持ちは全く分からん!)

ということで、それほど評価はしない。
「もう少しプロットを練り込めば」っていう気はするので惜しい作品ではあるかも。
(いろんな作家の作風が混じってて、ちょっとオリジナリティに欠けるように思えるのも気になる・・・)


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