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[ 警察小説 ]
教場2
教場シリーズ
長岡弘樹 出版月: 2016年02月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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小学館
2016年02月

小学館
2017年12月

No.1 6点 E-BANKER 2019/04/27 12:50
~必要な人材を育てる前に不要な人材をはじき出すための篩。それが警察学校だ。白髪隻眼の鬼教官・風間のもとに初任科第百期短期課程の生徒たちが入校してきた。半年間、地獄の試練を次々と乗り越えていかなければ卒業は覚束ない。ミスを犯せばタイムリミット一週間の「退校宣告」が下される~
大変だな・・・こんなところ私なら絶対入らん! ということでスマッシュヒットとなった「教場」シリーズの続編。2016年発表。

①「創傷」=前作では教師⇒警官を目指す男が描かれたが、本作も初っ端は医師⇒警官という異色のコースを選択した男・桐沢が主役。その桐沢が気になる同じ訓練生・南原。なぜ気になるか、その理由は想像を超えている。(よく入学したよなぁー)
②「心眼」=警官を目指すにはあまりにも小柄&ベビーフェイスな男・忍野が主役。学校内で意外な物が盗まれる事件が続発するなか、その真相は・・・。こりゃー、好きな女の子のリコーダーを盗む中学生と一緒だな
③「罰則」=主役は津木田。苦手な潜水訓練の授業で死の恐怖を味わった津木田は教官にある復讐を計画する。それが意外な結果を生むことに・・・。ここまで事実を看破する風間って・・・
④「敬慕」=主役は容姿端麗な女性警官候補生・菱沼。男クサイ環境のなかで可愛い女性ってだけで目立つ。で、自分自身でもそれを自覚して行動してるって奴。そういう奴にはやはり鉄槌が下されてしまう・・・。(それでも男は可愛い娘に弱いのだが)
⑤「机上」=刑事になり重大事件で活躍する姿に憧れる男・仁志川が主役。ただ、そこは単なる候補生。いくら机上で勉強しても、経験・場数を踏んできた風間には到底叶うはずはないのだ。残念!
⑥「奉職」=“警察に恨みがある”男・美浦が主役の最終章。厳しい訓練もようやく終わりに近づいてきたというのに、さすが鬼教官・風間。でもラストはホロリとさせられる・・・

以上6編。
前作同様、警察学校の訓練生ひとりひとりにスポットライトを当て、他の訓練生や教官、そして風間と関わる中で、意外な姿、本性、真相を浮かび上がらせる、という展開。
なかなか旨いです。いや、手堅いというべきか。
人物の掘り下げもあるし、警察学校という密閉された特殊環境が効いてるのもあるだろう。

それほど奇をてらっているわけではないので、サプライズを期待すると肩透かしを食うけど、まずまず満足感は得られる。
短編の書き手としては、出版社も安心して頼めるのではないか?
続編もあるとのことで読むだろうな・・・


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