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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] エージェント6 レオ・デミドフ |
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トム・ロブ・スミス | 出版月: 2011年08月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 2件 |
新潮社 2011年08月 |
新潮社 2011年08月 |
No.2 | 9点 | E-BANKER | 2024/03/10 14:32 |
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「チャイルド44」「グラーグ57」に続いて発表された、シリーズ最終作品。
少し前の時代のロシアが舞台となる本シリーズ。現在のウクライナ問題を見てても、やはりロシアという国は理解しがたい部分がある。そんなこともどこか頭の片隅に置きながら、本作も読み進めることになった。 2011年の発表。 ~運命の出会いから15年。レオの愛妻ライーサは教育界で名を成し、養女のゾーヤとエレナを含むソ連の友好使節団を率いて一路ニューヨークへと向かう。同行を許されなかったレオの懸念をよそに、国連本部で開催された米ソの少年少女によるコンサートは大成功。だが、一行が会場を出た刹那に惨劇は起きた・・・。両大国の思惑に翻弄されながら、真実を求めるレオの旅が始まる~ レオ・デミトフ。チャイルド~グラーグ~エージェント三部作を通じての主人公。まさに「不屈の男」である。 本作は文庫版の上巻・下巻でいわば「第一部」と「第二部」にはっきりと別れる。先の紹介分は「第一部」のお話。 前作で凄まじい体験を経たすえ、ようやく安息の場所に落ち着いたはずのレオ一家。養女のふたりは、実はレオが殺害してしまった部下の子供である。その養女もようやくレオに心を許す関係となっていた。 そんな矢先のNY行き。大成功のはずだったイベントの裏側では、米ソ両大国の暗躍がうごめいていたのだ。 そして、ついに悲劇は起こってしまう。 あーあ・・・何という男なのだ。レオは。またもや不幸のどん底に落とされてしまう・・・結局、この男に安息の地は約束されてなかったのだ。 そして「第二部」。物語は大きく変わり、レオは戦火のアフガニスタン・カブールで秘密警察の教官として、アヘンに溺れる無為な日々を過ごすことになる。 しかし! しかし!! しかし!!! ここからレオの人生は大きく動いていくこととなる。ピンチなんて一体いくつあったんだろうかと数えることもできないほど。まさに命を賭した旅がカブールの地から始まる。それもすべて愛する家族、愛する妻、愛する子供のため・・・ 愛するがゆえにどうにもならない窮地に陥ることにもなる。 そして、ついに悲願の地、運命の場所であるNYの地を踏みしめることとなる・・・ すべての謎を解決したレオ。それでも更にピンチが訪れる。 ラストシーンは涙なしには読むことはできなかった。 三部作のテーマは間違いなく「家族愛」である。家族愛のため、人間はここまで身を賭けることができるのだというストーリー。 もちろん政治的な背景は若干現在とは違ってるし、古臭い部分もある。 でも、そんなことが何だというのだ! レオの不屈の姿に接するだけでも本作を読む価値はあるというもの。 あまり政治的な話はしたくないけれど、人間て本当に罪な生き物だ。未だに何人かの半ば狂ったような人間が、市井の人々の幸福をいとも簡単に壊そうとする。これは決して終わることのない人間の「さが」なんだろうか? レオの物語を読み終えた身には、ひとときの「幸せ」がいかに大事なのか、改めて考えさせられることとなった。(青臭いですが・・・) 評点は三部作全体としての評価で。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2011/11/01 18:46 |
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元KGB捜査官レオ・デミドフを主人公にした謀略冒険小説、三部作の完結編。
本書では、第1作の「チャイルド44」からの一貫したテーマといえる”国家への忠誠と家族の再生との葛藤”に決着をつける内容となっていますが、ソ連の国内外情勢に巻き込まれ翻弄され続けた末の、レオとその家族に用意された終幕は予定調和から大きく外れたもので驚きました。 物語構成のバランスの悪さや、タイトルがあまり内容に則していないなど、いくつか気になる点がありますが、いつまでも心に残りそうなラスト・シーンで難点を払拭してくれる。 |