皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ SF/ファンタジー ] イリーガル・エイリアン |
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ロバート・J・ソウヤー | 出版月: 2002年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 3件 |
早川書房 2002年10月 |
No.3 | 7点 | 糸色女少 | 2023/03/20 22:22 |
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順調に進んでいたエイリアンとのファーストコンタクトでとんでもない事件が起きた。エイリアンの滞在する施設で交渉に当たっていた地球人が殺されたのだ。
エイリアンが殺人事件の容疑で裁かれるという酒席の与太話のようなアイデアを、あくまでまじめにやった時点で勝利は半ば約束されたようなもの。更にファーストコンタクトの丁寧な描写、リアルな法廷ものとしての雰囲気、伏線をきちんと処理するミステリとしての鮮やかさ、そしてSFとしてのロジカルな大法螺と、個々の要素までしっかりとしている。SFとミステリ双方のファンに安心しておすすめできる。 |
No.2 | 7点 | メルカトル | 2021/10/06 23:21 |
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人類は初めてエイリアンと遭遇した。四光年あまり彼方のアルファケンタウリに住むトソク族が地球に飛来したのである。ファーストコンタクトは順調に進むが、思いもよらぬ事件が起きた。トソク族の滞在する施設で、地球人の惨殺死体が発見されたのだ。片脚を切断し、胴体を切り裂き、死体の一部を持ち去るという残虐な手口だった。しかも、逮捕された容疑者はエイリアン…世界が注目するなか、前代未聞の裁判が始まる。
『BOOK』データベースより。 エイリアンとのファースト・コンタクトというSFと猟奇的な殺人事件の法廷小説の両方を兼ね備えた、贅沢な一冊。エイリアンが友好的で、それ程ハードではありませんし、トーンは明るめで緊迫感がやや欠如している気もします。しかしその裁判の様子は本格的であり、色物感は全く感じません。検事補と弁護士との対決は本作の最大の見せ場でかなりの盛り上がりを見せます。 一方殺人事件に関してはフーダニットとホワイダニットが謎の中心で、一捻りしています。ただ残念なのはその動機ですかね。これに関しては想定外と云うほどではありませんでした。 トソク族の外見や各器官に関する記述にはなるほどと思いました。そこにはエイリアンと人間との共通点と相違点に対する作者の捉え方が垣間見えて、興味深く読めました。そして時折SF小説的で鋭い考察を覗かせている辺りは流石です。 優れたSFでありミステリでもあります。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2011/02/14 17:53 |
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異星人を殺人事件の被告としたSF法廷ミステリ。
”未知との遭遇”風の異星人との友好的なファースト・コンタクトの場面、ウェルカム・レセプションにスピルバーグが出席してたりで妙に可笑しい。そのため、法廷場面になってもあまり緊迫感を感じないが、詳しく描写されるトソク族の生態が真相に繋がる伏線になっているなど、ミステリとしてもよく出来ていると思う。 |