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[ ホラー ] 隣の家の少女 |
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ジャック・ケッチャム | 出版月: 1998年07月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 3件 |
扶桑社 1998年07月 |
No.3 | 6点 | メルカトル | 2022/02/09 23:03 |
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1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。
『BOOK』データベースより。 非常に繊細に筆致で描かれるボーイミーツガールの物語。そのともすれば壊れそうな世界に、私は思春期独特の心の揺らぎを見ました。美しいとさえ思える文章に引き込まれ、これからどんな冒険が始まるのかと密かに期待しながら読みました、途中までは。そしてそこからは地獄でした。デイヴィッドの隣の家の中年の離婚した女性ルースが、何故メグとスーザンに過酷な運命を課すのか理解に苦しみますが、兎に角残酷の一言に尽きます。読者の一部はここで本を置くかも知れませんし、そうでなくても多大な嫌悪感を持つ人が多いと思います。 正直私も、この4人の親子や粗暴なエディ全員が立ち上がれなくなるまでこの拳を顔面に叩き込んでやりたいと、本気で思ったほどです。怒りと吐き気や苛立ちを抑えることは困難でした。それだけ作品ののめり込んでしまったのは、やはり作者の手腕でしょうね。 最後の最後でやっとスッキリ出来ましたが、デイヴッドがもっと早く勇気を持って事を起こせばと思わずにはいられませんでした。それにしても、主人公の心情は非常に丹念に描かれており、物の善悪すら区別が付かなくなる程心が揺れる過程は、本作の一番の読みどころではないかと思います。 |
No.2 | 7点 | mini | 2014/12/19 09:56 |
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先日2日に扶桑社文庫からジャック・ケッチャム「私はサムじゃない」が刊行された、扶桑社文庫では7月にも「狙われた女」が刊行されており、今年は2冊出たことになる
ケッチャムで1冊挙げるとすればまず殆どの人が代表作「隣の家の少女」になるだろう、私も試しに読んでみた これはねえ、評価が難しい作品である、いや低評価という意味じゃなくて採点するのが難しいという意味で 読者によって10点の人も居れば1点の人が居てもおかしくない、どんな点数を付けても正解、その人次第だ 私などは無難な点数で誤魔化しちゃった(苦笑) さらに難しいのは、どのジャンル認定にするかの判断だ 私は今回読んで初めて知ったのだが、解説のスティーヴン・キングによれば、本国アメリカではケッチャムはちょっとマイナーなホラー作家と認識されているらしい しかしだ、日本の読者から見るとホラーと思う人はむしろ少数派じゃないかな、何故なら”超自然”などは一切出てこないから 日本的な感覚でのジャンル認識では、クライムノベルかサスペンスあたりが妥当だろう 私も迷ったが全体に語り手の心理の変遷が多くを占めるので、ちょっと違和感も有るが本サイトではサスペンスに投票した この問題作が本国アメリカでもそれほどの話題作にならなかったとすれば次の理由かなと推測する アメリカの一般大衆的嗜好からすると、もっとエンタメに徹したスリル溢れる物語を好むだろうし、逆に高尚を気取るような評論家筋にはもっと文学的芸術的に高貴な香りのする作が好まれるだろう つまり「隣の家の少女」という作品は、エンタメと呼ぶにはハラハラドキドキ感が弱いし、といって文学的香気にも徹しきれず中途半端かもしれない そう考えると作品自体はホラーというジャンルなのかは微妙だが、キングのようなホラー作家に受けるのは分かる気がする、一種の人間心理の闇を覗くホラーという解釈も有り得る ところで重要登場人物のルースの行動動機だが、私の解釈では盛りを過ぎた女性から見た、大人になる直前の少女年齢に対する畏敬みたいなものかと思ったが、それでは単純過ぎてどうせ”読みが浅い”とか言われそうだけど(苦笑) それよりも本書の主題は、語り手の傍観者的態度とその心理の移ろいにある気が‥、でもそれも読みが浅いんだろうな(自嘲) |
No.1 | 1点 | ムラ | 2011/02/03 19:24 |
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キングが名作と絶賛した小説。
私的には肥溜めから発せられる下品な演説と少女が甚振られる描写を延々と繰り返された退屈な小説であった。 被害者と加害者と第三者(あと読者?)の温度差や葛藤を見る本なのかもしれないけど、そのまえにつまらなく思えてしまってしらける上に不快。というよりやっぱり下品なだけで理由が皆無。 最後、少年がルースを突き飛ばしたところだけはなんとなく見れた。頭が真っ白になって人を殺すときはあんな感じなのだろうか、という感想。 文章が軽いので(これは翻訳が悪いのかは知らないが)さらさらと読めるのが唯一良かったかな。というかルースは結局なんであんなになったんだろ。更年期なのだろうか。 |