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ショパンの手稿譜
ジェフリー・ディーヴァーほか
リレー長編 出版月: 2010年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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ヴィレッジブックス
2010年12月

No.1 6点 kanamori 2011/02/18 17:40
ジェフリー・ディーヴァーほか15名の作家によるリレー・ミステリ長編。
黄金時代の英国ディテクションクラブ・メンバーによる「漂う提督」を始めとして、このような企画は本格ミステリが定番で、本書のように国際謀略サスペンスというのは珍しい。
もともと小説としての完成度を期待するのは野暮で、リレー・ミステリの楽しみは、前段担当の作家がばらまいた伏線を、後ろを受けもつ作家がうまく回収できるか、という点にあると思う。各自が自身の思惑でプロットを発展させるため、ある人物の造形が作家によって善悪にぶれたり、主役級で登場させた人物を後ろの作家が簡単に「殺して」しまったりで、図らずも先が読めない意外な展開になっているのが面白い。
終盤になるほど担当する作家は大変だと思うが、なんとかまとめ上げたうえに、ラストに二度のどんでん返しを持ってくるなど、やはりディーヴァーの技量が抜きんでている。