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江川蘭子 江戸川乱歩、横溝正史、甲賀三郎、大下宇陀児、夢野久作、森下雨村 |
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リレー長編 | 出版月: 1993年10月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
春陽堂書店 1993年10月 |
春陽堂書店 2022年10月 |
No.1 | 5点 | メルカトル | 2023/11/01 22:34 |
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モボ・モガを父母として生まれてきた江川蘭子は、まだ物心もつかない二歳のとき、その両親を殺人事件の被害者として突如として失い、しかもその血みどろの惨劇の現場に放置されるという異常な状況の中に置かれたことから、その精神構造への影響が心配された…。世間はこの乱脈を極めた生活者である被害者に同情を寄せず、また犯人を挙げられない警察の無能を罵る者もなかった。が、蘭子は後年、みずから父母の仇討ちを目論んだ。『新青年』昭和五年九月号から六年二月号まで、江戸川乱歩の発端から横溝正史・甲賀三郎・大下宇陀児・夢野久作・森下雨村と書き継がれた合作探偵小説第二弾「江川蘭子」。妖艶江川蘭子の魔性の生涯に、血みどろの夢はいかに叶えられるか…。
『BOOK』データベースより。 ミステリマニアなら一度は耳にした事があると思われる、「江川蘭子」。しかし、その正体となる原本を読んだ人は意外と少ないでしょう。三津田信三の代表作や他の本格ミステリにもその名を刻んだ蘭子とは?これらの作品には推理作家として登場しています。それはつまり、江戸川乱歩その人の化身として機能しているのではないでしょうか。本書を読んでそう思いました。ここでは江川蘭子を推理作家として成長させている訳ではないからです。 この物語は江川蘭子の血塗られた生い立ちを描きながら、紆余曲折を経て様々な人物との邂逅などの人間模様を中心に進められています。よって本格ミステリとは言い難く、何ですかね、一種の犯罪小説でしょうか。それぞれの作家がある程度自己完結させており、これは最後を担当した森下雨村も書きやすかったのではないかと思います。粋な締めくくりも本作を後味の良いものにしていますね。 |