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[ 本格/新本格 ]
女王暗殺
萩原重化学工業シリーズ/別題『HELL 女王暗殺』
浦賀和宏 出版月: 2010年01月 平均: 7.50点 書評数: 2件

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講談社
2010年01月

幻冬舎
2018年06月

No.2 8点 じきる 2021/04/15 02:35
これは『萩原重化学工業連続殺人事件』の前日譚ですね。前作よりも青春・恋愛方面での浦賀"らしさ"が増しています。
ミステリよりもサスペンス・スリラーに力点が置かれていますが、多くの人物が入り乱れるプロットがよく練られているため、後半の展開は驚きと興奮の連続でした。シリーズものとしてのファンサービスもあり、その部分でも読者を楽しませてくれます。
更なる続編を期待させる内容だけに、作者の早すぎる死が惜しまれますね……。

No.1 7点 メルカトル 2018/12/17 22:07
美しい母と二人、何不自由なく暮らしていた武田。その母が殺害された。謎の数字と、自らが本当の親ではないことを言い遺して―。自分が見てきた世界は何だったのか?自分は何者なのか?記憶喪失の女、自分を付け狙う怪しい影、実の母を殺した友人…無関係に見えた複数の謎の向こうに、武田はついに巨大な陰謀があることを知る!
『BOOK』データベースより。

本作は『安藤直樹シリーズ』のシーズン2の第二作にして、『萩原重化学工業シリーズ』の第二弾だそうです。とは言え、私自身『安藤シリーズ』を全く読んでいないわけで、そこに関しては何も語ることができません。ただ、安藤直樹なる人物は本シリーズには登場しないことだけは確かです。つまり、作者本人がそう銘打っているだけで深い意味はないのだと思います。

上に紹介した概略だけ読んでも、多くの人が何が何だかわからないでしょう。要するにそういう事ですよ。簡潔にストーリーなりあらすじを纏められるような代物ではないんです。
ですから感想だけ述べると『萩原重化学工業連続殺人事件』に比較して、幾分毒気が抜けている感じはしますが、相変わらず捻くれた物語を紡いでいるなと思います。恋愛小説的な要素も含んでいますが、最後には木っ端微塵に砕かれます。SF、サスペンスなども引っくるめて本格ミステリの形はかろうじて維持していると思います。おまけの密室なんかもサービスで無理矢理入れ込んでいたりしますし。
やや心残りなのは、最後真相が明らかになる過程が足早過ぎて頭の中に浸透するのに時間が掛かる点、前作も感じましたが肝心の萩原重化学工業が背景にあるはずなのに、ほとんど触れられていない点、でしょうかね。ですが、好きですよ私は、こういう訳の分からない世界観というのか、おそらく浦賀にしか書けない独特の作風が。
最後に、本作を読まれる方は(おそらく誰もいないでしょうが)、前作から読んだ方が理解しやすいと思います、余計なお節介ですが。


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