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[ 本格/新本格 ]
火事と密室と、雨男のものがたり
松浦純菜・八木剛士シリーズ
浦賀和宏 出版月: 2005年07月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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講談社
2005年07月

No.1 5点 メルカトル 2019/02/27 22:28
“奇跡の男”八木剛士の周辺で何故か頻発する怪事件。女子高生の首吊り死体が発見され、無差別放火事件が連続する。世の中を恨み続けて生きてきた剛士が、唯一出会った理解者・松浦純菜と事件を調べるうちに、ある一人の男に辿りつく。孤独に徹しきれない剛士の心に芽生える複雑な想いを、青春ミステリの先覚者、浦賀和宏が切なく描く。
『BOOK』データベースより。

私のイメージしていた物とは全く違う青春ミステリでした。シリーズ物は本来第一作から読むべきですが、やむを得ない事情により第二作から読み始めたわけですが、やはり所々に?な部分が見られます。一応、これはこれで完結していますので文句を言えるような立場にありませんが。

内容はタイトルが全てを見事に表現しています。まさに名は体を表すというね。火事、密室状況での首吊り死体、そして雨。それらが上手く絡み合い物語は進行します。ミステリとしては凡庸かもしれませんが、相変わらずの非現実的な設定を生かしての「らしさ」は十分出ていると思います。
八木は虐めを受けながらも高校に通い続ける、内面に憎しみを充満させた、これ以上ない程のアンチヒーローです。何の取り柄もなく平凡な男が主人公であってもいいじゃないか、それのどこがいけないんだという、浦賀の読者に媚びず我が道を行く姿勢が貫かれているような気がします。だから人気もイマイチ、でも私は読み続けるでしょう。


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