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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 北極基地/潜航作戦 別邦題『原子力潜水艦ドルフィン』 |
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アリステア・マクリーン | 出版月: 1966年01月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
講談社 1966年01月 |
早川書房 1973年01月 |
早川書房 1983年07月 |
早川書房 1983年07月 |
No.2 | 7点 | Tetchy | 2014/12/07 23:04 |
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極寒の地での冒険小説はもはやマクリーンお得意のシチュエーションであり、最も彼の筆致が生きる題材と云えよう。本書は突然消息を絶った北極の気象観測基地の作業員たちを救うべく、アメリカ最新鋭の原子力潜水艦で極寒の地に赴くという、これぞマクリーン!とも云うべき作品だ。
しかし本書はそれに加え、ゼブラを、ドルフィン号を襲う謎の魔の手がいる。つまり本書には犯人捜しと云う謎解き興味も盛り込まれているのだ。 まずは過酷な状況下で不可能とされる任務を遂行しようとする主人公カーペンターと彼の協力者である潜水艦の乗組員の苦闘はいつもながら心胆寒からしめる迫真性に満ちており、10作目になってもマクリーンのアイデアは尽きることがない。 ただ本書の最後の最後で明かされるバックストーリーは、どうもとってつけたような感は否めない。確かにマクリーンは物語のそこここにカーペンターが真相を見抜いたかのように行動する様を描いているが、最終章にて長々とそれまで語られなかった全く別の話が唐突に繰り広げられるのでバランスの悪さをどうしても感じてしまう。これが現代のミステリならば、プロローグでそのことに関するエピソードを語るなどして、読者に記憶させる手法を取るだろう。この辺がマクリーンがプロットをストーリーに結び付ける力が不足しているように思わせる弱点だろう。 しかしそれは瑕疵と云えよう。本書は何よりも実に読みやすいのが面白味を増しているように思う。 極限状態の中にあって、一歩間違えば死の状況に幾度も遭い、満身創痍の状態になりながら軽口を叩いて、眼前の危難を乗り越えていく。さらには本書には連続殺人を犯す犯人探しの興趣さえも盛り込まれている。繰り返しになるが、本書は私が期待していた「これぞ、マクリーン!」と快哉を挙げたくなる作品だ。 |
No.1 | 6点 | kanamori | 2013/12/24 22:15 |
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北極冠にある英国気象観測基地で原因不明の大火災が発生、米国の原子力潜水艦ドルフィン号が生存者を救助すべく出航した。しかし北極海という自然との戦いに加え、艦内では不可解な事故につづき殺人事件までが発生する------。
”舞台が寒冷地域になるほど物語が冴える”といわれたマクリーンの北極圏を舞台にした冒険小説。 たしかに凍結した北極の海、吹き荒れる烈風との戦いなど、王道の冒険行はスリル満点の内容です。とくにブリザードのなか大氷原の捜索行の場面が圧巻のひとことです。 しかし本書の魅力は、その冒険小説としてのクライマックスを物語の中盤にもってきて、後半はフーダニットものの本格ミステリになっていることでしょう。自らも秘密を抱える主人公、英国海軍の軍医カーペンターが探偵役となり、(後出し情報もありますが)いくつかの伏線も張られたうえ、大団円では関係者を一堂に集めた謎解き披露という構成はなかなかユニークです。 |