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[ 本格/新本格 ] 祈りのカルテ 再会のセラピー |
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知念実希人 | 出版月: 2022年08月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
KADOKAWA 2022年08月 |
No.1 | 5点 | パメル | 2024/12/27 19:22 |
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医療国家試験に合格した新米医師は、二年間の臨床研修を経験することになっている。研修期間中は、内科、外科、小児科、産婦人科、救急など数カ月ごとにローテーション。幅広い知識と技術を身につけたうえで、将来の専門科を見定めるとともに、医師にふさわしい人格を育む大切な二年間となっている。そんな研修医・諏訪野良太を主役に据えた医療ミステリで、配属される科によって診療内容はもちろん、病院の裏側を覗き見するような楽しさが味わえる。
「救急夜噺」意識混濁状態で救急搬送された元ヤクザの秋田は、原因不明のけいれん発作を二度も引き起こす。強く入院を訴える彼は一体何を企んでいるのか。サスペンス色が強めだが、少々強引か。お涙頂戴に持っていったような作者の思惑が感じられる。 「割れた鏡」美容手術を要求する女優・月村空良。すでに何度も手術を重ねているため、これ以上はリスクが大きいと先輩医師は判断するが、空良は一歩も引こうとしない。なぜ彼女は手術を強く望むのか。空良のあまりにも屈折した考え方に唖然。現実離れしすぎている。 「二十五年目の再会」患者の心身の苦痛を和らげ、最期を看取る緩和ケア科。諏訪野は顔見知りの患者・広瀬秀太の心の内に迫っていく。広瀬の過去を調べるが、それは諏訪野自身の人生にも大きな影響を及ぼす。 三編に通底するのは、家族愛。読後には胸に静かな感動が広がっていく。初めの二編が4点、最後の一編が7点でトータルで5点といったところか。 |