皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ ハードボイルド ] ソングライターの秘密 ジョニー・フレッチャー&サム・クラッグ |
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フランク・グルーバー | 出版月: 2024年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 論創社 2024年07月 |
No.2 | 7点 | 人並由真 | 2025/03/13 06:38 |
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(ネタバレなし)
競馬のノミ屋経由で賭けた馬が大穴となったジョニーとサム。二人は、彼らの常宿である「四十五丁目ホテル」の住人でもある胴元モーリス(モーリー)・ハミルトンのもとに支払いを求めに行った。だがこすいハミルトンにうまく丸め込まれ、サムはその場で新たにクラップス(室内賭博の一種)に興じることになる。そしてサムはそこに居合わせたソングライターの青年ウィリアム(ウィリー)・ウォラーに頼まれて、彼の新作の楽譜の版権一切合切と引き換えに40ドルを建て替えた。だがそれが、またしてもジョニーとサムを巻き込む殺人事件の発端だった。 1964年のアメリカ作品。ジョニー&サムシリーズの最終作。 まずは、今は亡き仁賀先生を始め、シリーズ翻訳完走プロジェクトに関わった関係者の皆様、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。 シリーズの中でも上位クラスに、実にハイテンポに心地よく話が進む。その一方、謎解きミステリとしては大きな得点もないが、ところどころに印象的なシーンはあり、そしてフランク・キャプラの人情ヒューマニズム映画みたいな味わいのクロージングで終わる。 ラストのジョニー、粋でカッコイイ。いい男。 前作から10年も間が開いたそうだけど、当時のグルーバーにとって米国ミステリ界での最大の商売敵は、確実に、あのカーター・ブラウンだったんだろうなあ。そりゃまあ、いろいろ影響を受けるよなあ、と今さらながらに思ったりした(といっても本作にはお色気ネタなどはほとんどないので、念のため)。 別に長年のシリーズとしての本格的な決着が用意されてるわけじゃないけれど、それでも本当に気持ちよく最後のページを閉じられる幕切れでこのシリーズが終わったことに感謝。どこまで自覚的だったのかは知らないけれど、グルーバーはやはり超一流のこの手のミステリ分野での職人作家だったとは思う。 で、個人的希望としましては、もっと他のグルーバーの未訳作品、いくらでも読みたいんですけんど。 特に、オリヴァー・クェイドものを是非! |
No.1 | 5点 | nukkam | 2024/08/06 18:23 |
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(ネタバレなしです) フランク・グルーバー(1904-1969)のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズは第1作の「フレンス鍵の秘密」(1940年」から第12作の「レザー・デュークの秘密」(1949年)までは快調なペースで書かれましたが、第13作の「一本足のガチョウの秘密」(1954年)は5年の空白後、そしてさらに10年を経ての1964年に第14作の本書がようやく出版され、これが結果的にシリーズ最終作となりました。執筆ペースがスローダウンした理由はわかりませんが、本書も他のシリーズ作品と同じく軽快なテンポで書かれたユーモア・ハードボイルドで特に衰えは感じません。シリーズ集大成のつもりで書いたのかは判断できませんけど、何度もシリーズ作品に登場した「四十五丁目ホテル」でのジョニーと支配人のやり取り、ボディービル本の行商、ジョニーの機転、サムの怪力無双などがお約束のごとく楽しめます。賭けに負けた代償に自作の楽譜をサムに譲渡したソングライターがジョニーとサムの前で毒死しますが、殺人犯捜しよりも楽譜を巡ってのコン・ゲーム的な展開を重視しているのが本書の特徴です。本格派推理小説好きの私としては第21章の最後の説明は好みの真相ではないし、第2の殺人についてはほとんど謎解き説明されていないのも不満です。とはいえ終盤のたたみかけるような勢いはこの作者ならではで、第27章でのジョニーの粋なはからいも印象的でした。 |