皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ パスティーシュ/パロディ/ユーモア ] 正直者ディーラーの秘密 ジョニー・フレッチャー&サム・クラッグ |
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フランク・グルーバー | 出版月: 2021年04月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
論創社 2021年04月 |
No.2 | 5点 | nukkam | 2022/01/12 22:00 |
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(ネタバレなしです) 1947年発表のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズ第9作で、舞台はラスベガスです。論創社版の巻末解説によると1940年代半ばに豪華なカジノホテルが続々と誕生したと説明されていますが、本書の第10章で「三つの巨大なカジノのあいだには手つかずの砂漠が広がる」という描写があることから現在のラスベガスに比べればまだまだ発展途上だったのではと推測します。このシリーズは本格派推理小説の謎解きを楽しめる作品もありますが本書に関してはその要素は希薄でした。デスバレーで殺された男の死に際に出会ったジョニーとサムが、「ニックに届けてくれ」というダイイングメッセージと男の所持品(トランプやポーカーチップなど)の秘密を探る展開になりますがニックの正体にしろ(登場人物リストにはニックが1名いますが...)、所持品の秘密にしろ場当たり的に明らかになってジョニーの推理の出番がありません。ユーモア・ハードボイルドとしては十分に読みやすい作品ではありますけど。他のシリーズ作品と違うのはいつもは金策に苦心しているのに本書ではジョニーがカジノで稼ぎまくってます。うーん、苦労せずに金儲けしているなんてのはファン読者の期待に反しているのではないでしょうか(笑)。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2021/09/20 15:31 |
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(ネタバレなし)
その年の7月。ラスヴェガスから少し離れたデスバレーで、実用本の行商セールスマン、ジョニー・フレッチャーとその相棒サム・クラッグは、重傷の男に出会う。介抱する余地も名前を聞く余裕もなく、男は「ニックに渡して欲しい」と懐中のいくつかの小物を預けかけて息絶えた。ジョニーたちは男から託された小物を携えてラスヴェガスに向かい、途中でヒッチハイク中のブロンドの美人ジェーン・ラングフォードとも出会う。ジョニーは、死んだ男から接触を頼まれた「ニック」がラスヴェガスにいると考えて捜索する一方、人のいい警官マリガンから買ってもらった本の売上1ドルを元手に、カジノで強運に憑かれたように勝ちまくるが。 1947年のアメリカ作品。 評者がこのシリーズで前回読んだ『ゴースト・タウンの謎』に続くシリーズ第9弾で、今回はうまい具合にシリーズの順番とこちらの読む順番がシンクロした。 論創のハードカバーで本文は200ページほど、シリーズの中でも短めの方だと思うが、見せ場はそれなりに多くて、いつもどおりこのシリーズとして普通に楽しめる。 年中素寒貧のジョニー(とサム)がツキまくって、カジノのギャンブルで連勝。ラスヴェガスのいくつかの胴元を破産の危機? に追い込みかけるという逆転の趣向が笑いを誘うが、事態の決着のほどは読んでからのお楽しみ。 ミステリとしては冒頭に、ジョニー&サムの三人称一視点から乖離したなんか技巧派っぽい叙述のプロローグがあり、これが今回の仕掛けか? と期待したが、これも詳しいことは書かない方がいいだろう。まあなんにせよ、ちょっと緊張感を抱かせる導入部で悪くはなかった。 クライマックスの謎解きはやや書き飛ばした感じだが、一応の意外性はあってそれなりに楽しめる。 地元のお金にガメツイ夫婦探偵とジョニーとの連携や、元ハンターでかなりややこしい結婚歴&離婚歴の警官「生け捕りのマリガン」などとのやりとりもポイント。 当然、ギャンブル小説としての興味も豊潤で、山場のカード勝負はなかなか熱が入っている。 これまで読んだシリーズの中ではそんなに上位の方に行く感じではないが、それでも十分に面白かった。未読の分が楽しみ。このあとの未訳の分に期待。 |