皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
[ ホラー ] 骨灰 |
|||
|---|---|---|---|
| 冲方丁 | 出版月: 2022年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 3件 |
![]() KADOKAWA 2022年12月 |
![]() KADOKAWA 2025年06月 |
| No.3 | 5点 | zuso | 2026/02/13 21:12 |
|---|---|---|---|
| 渋谷の再開発を背景に、東京という都市の「地下水脈」を描き出す。駅再開発事業を手掛ける大手デベロッパーの危機管理チームに属する松永は、不穏な噂に対処するため潜った地下の現場で不気味な祭祀場に鎖でつながれた男を発見する。
伝奇的なテーマを、ミニマムな実話系怪談的心理描写によって鬱々と描き出す奇妙な作品。 |
|||
| No.2 | 6点 | 麝香福郎 | 2025/06/02 19:38 |
|---|---|---|---|
| 二〇一五年六月、渋谷駅の再開発事業に大手企業で投資向けの広報を扱うIR部の危機管理チームに所属する松永光弘は、東棟と呼ばれる高層ビル建設現場の地下に向かう。東棟地下に関するSNS上のデマの真偽を確認するためだったが、彼はそこで地下深くに伸びる階段を発見、白い粉塵と異臭にまみれたその底には、ドアで仕切られた空間の中に不審な穴と祭壇があった。
テーマは都市民俗に根差した祟りで、東京という街は火災や震災、大空襲など多くの犠牲者を出してきた。中盤から始まる松永とその父親とその相克劇も読みどころ。父親であって父親でないそれとの関係から松永のトラウマが浮かび上がってくるだけでなく、家族のありよう、引いては国家と個人との関係のありようにも迫る。渋谷駅再開発という着眼の妙もさすが。 |
|||
| No.1 | 7点 | ◇・・ | 2023/10/25 21:28 |
|---|---|---|---|
| 舞台は、大規模再開発工事が現在も進行中の、東京・渋谷の駅ビル。その複雑さ、通行経路の分かりにくさから、しばしば「迷宮(ダンジョン)」と評される工事現場の地下深くで、不可解な事件が起きる。工事関係者らしき正体不明の人物が、インターネットに「人骨が出た穴」などと中傷目的と思われる不穏な書き込みを行ったのだ。
物語の主人公・松永光弘は工事を管轄する大企業の本社IR部に所属する、働き盛りの社員。理解ある上司に恵まれ、家では可愛い小学生の娘と身重の妻が待つ、順風満帆な身の上だ。 突然の調査を命じられた光弘が、執拗な熱気とちりに悩まされながら、都心の工事現場とは思えない地下最深部へと降りてゆくと、そこには巨大な穴が掘られた奇妙な祭祀場と、鎖につながれた謎の男の姿があった。 事件を契機に明らかとなる、怪しい宗教組織の暗躍や、駆逐される路上生活者の悲哀。知らぬ間に、事件の中心人物となっていた光弘と家族に刻一刻と迫る、超自然の魔の手。 骨灰が堆積する地下の穴は、新たな生贄を求めて、生き物のようにうごめく。かつてラヴラフトが、憑かれたように描いた地下世界の魔性を、現代日本によみがえらせた迫真の怪異譚だ。 |
|||