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中村文則 | 出版月: 2004年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
新潮社 2004年07月 |
新潮社 2010年12月 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2022/12/09 22:43 |
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恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった―。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。
『BOOK』データベースより。 短いけれど文字びっしりで読み応えあります。鉛の様に重くて、そして暗いです。冒頭から一人称の主人公である青年が謎の瓶を常に持ち歩いていて、それを事あるごとに見えない様に指で触れている、こう書けば多くの人が、あああれだなと考えるでしょう。みなさんの想像通りですよ。でもまあネタバレって云う訳でもないので書いても良いでしょう。 これは犯罪小説1青春小説2純愛小説7ですね。70%純愛小説。とは言えその愛はかなりの偏愛であり、彼の言動は時に過激且つ乱暴で時に欝々として、読んでいる身としてはどんどん気分がブルーになってきます。 彼と彼女の出逢いが可笑しくて、何となくこの先面白い事が起きそうだと期待していましたが、それは裏切られました。しかし、一人称だけに何かが起こった時、起こらない時の心理がストレートに伝わって来て心情が手に取るように分かります。だからと言って必ずしも感情移入できるとは思えません。私がそうでしたから。 |