皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 仮面 宮下真人刑事 |
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伊岡瞬 | 出版月: 2021年06月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
![]() KADOKAWA 2021年06月 |
![]() KADOKAWA 2024年09月 |
No.2 | 6点 | パメル | 2025/01/15 19:44 |
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どんな人でも違う一面がある。他人には見せない素顔、心の奥の触れられたくない領域。そんな仮面の内側に迫るクライムサスペンス。
三条公彦は、中学時代に交通事故に遭い読字障害(ディクレシア)になってしまう。このハンディキャップを抱えながらも、アメリカの名門大学に留学した経歴を持つ作家で評論家。帰国後に出版した自叙伝がベストセラーとなり、現在テレビ番組のコメンテーターとして人気を集めている。整った顔立ち、落ち着いた物腰、そこに波乱万丈な生い立ちを武器に、三条はマネージャーの久保川克典と二人三脚でスターに成り上がっていく。だが、秘書の南井早紀から見ても、三条はミステリアスで捉えどころがない。明白な理由はないが、ただ何かが匂うのだ。仮面を被っているのではないか。 三条は、仮面の下にどんな素顔を隠しているのか。物語が進むにつれて、彼の実像が浮き彫りにされていく。三条の動向と並行して複数の事件も描かれていく。三条はこれらの事件と関わりがあるのかが、章ごとに視点人物を変えながら、事件の深奥に迫っていく。しかも興味深いのは、被害者たちも仮面をまとっていることだ。 誰もが仮面をつけているように、誰もが犯罪者になる可能性を秘めている。作者は彼らを理解できない怪物やサイコパスとして遠ざけるのではなく、誰でもそうなりかねない存在として描いている。題材としては平凡で、作者としては問題提起をしていると思うのだが、当たり前のことを言っているだけとしか感じられない。とはいえ、七人の視点から語られる群像劇は読み応えがあった。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2022/04/17 07:37 |
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(ネタバレなし)
テレビトークでも活躍するハンサムな作家・評論家、三条公彦。だが彼が読者から支持を得る最大のポイントは、同人が「読字障害」というハンディキャップを抱えながらも文筆家として活動する、その独特な属性にあった。そんななか、三条の秘書として働くジャーナリスト志望で28歳の女性・菊井早紀は、三条が出演するテレビ局のプロデューサー、堤彰久から、さりげなく今後の活躍の場と引き換えの枕営業の話を持ち掛けられる。一方で東京と埼玉の県境では、白骨化した身元不明の女性の他殺らしい死体が発見されていた。 2016年の『痣』で、主人公の刑事、真壁修のパートナーとして初登場。その後『悪寒』でまた真壁と組んだのち、2018年の『本性』では別の先輩刑事、安井と、さらに今回は女性刑事・小野田静と相棒になる青年刑事、宮下真人。 彼が登場する作品シリーズの第四弾。 (このカウントで間違ってないだろーな。実言うと評者はまだ『本性』だけ読んでないが。) ちなみに本シリーズの次作『水脈』(これから本になる)の噂も聞こえているが、詳しくはナイショ。 事件の主題はこの作者お得意のモンスター的なサイコ犯罪者の凶行だが、一方で主人公の刑事コンビ(今回は小野田&宮下)の描写が軸になっているのも、いつもの通り。 異常犯罪者のキャラクターについては、本の帯を含めて序盤から読者の前に小出しにされていくが、まあ、悪い言い方をすればこれまでも似たようなモンスター異常者を輩出してきた作者なので、さほど新鮮味はない。 それでも終盤に至るまで、いろいろトリッキィな仕込みをしてあるのはさすがだが、その分、全体的にお話が冗長になってしまった印象もある。 作者の著作のなかでは、Bの下か、Cの上クラスといったところ。ちゃんと、直球での主人公っぽい、今回の宮下の扱いはいいんだけどね。 |